<内容>
■歴史が動いた瞬間
■海外からも不気味がられる日本の産業界の“一枚岩”
■米国や英国には温暖化に取り組む先進企業のグループがあります
■日本でも「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)」が始動!
■先進企業は時代をどのように認識しているか
■先進企業を応援しましょう、先進企業の仲間入りをしましょう!
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■歴史が動いた瞬間
いま、温暖化をはじめ、環境問題をめぐって世界は激動の時代にありますよね。どのように時代が動いていくのか、どのように時代を動かしていきたいのか、見ているだけの人にとっても創り出す人にとっても、とても生きがいのある面白い時代だと思っています。
1ヵ月ほどまえの7月30日に、日本の歴史が確実に動いた瞬間が訪れたこと、ご存じでしょうか?
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■海外からも不気味がられる日本の産業界の“一枚岩”
私はよく海外のジャーナリストから取材を受けることがあるのですが、「とっても不思議なのですが」と聞かれたことがあります(一度ならず、、、)
「この件について、企業の考えを聞こうとあちこちに取材したりアンケートをしても、返ってくる答えがみんな一緒なんです。一言一句同じ場合すらあります。そんなこと、ありえないでしょう? どうなっているのでしょうか?」……
私もあちこちで聞いてみたことがありますが、日本の産業界では、どの企業も(少なくとも経団連に連なっている企業は)経団連の見解を出すことになっていて、経団連と違う見解を出すことは、村八分や制裁?にもつながる罪なので、個人的に「自分はそうは思わないんですけどね」と言いつつも、会社としての建前では、みな同じ見解を出すのだ、という説明でした。
本来は何に対しても、それぞれの企業が自分の考え方やスタンスを持っていて、それを外にアピールしていくものだと思うのですが、日本の産業界では仲間からのプレッシャー(経団連プレッシャー?)が強すぎて、それぞれの見解を述べるということ自体ができないとしたら、あまり健全ではないですよね。
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■米国や英国には温暖化に取り組む先進企業のグループがあります
米国には、2007年1月にGEやデュポンなど大手企業が集まって発足した「米国気候行動パートナーシップ」(United States Climate Action Partnership、USCAP)という企業の連合体があります。
これは大手企業および主要な気候・環境保護団体からなる連合体で、1年にわたる話し合いと協力を経て、経済界全体を規制の対象とする、市場主導型の気候保護アプローチを策定する上で指針となる一連の原則と提言をまとめ、米国連邦政府に対して、温室効果ガス排出量の大幅削減を義務づける法律の制定を求めています。メールニュースでもその取り組みをご紹介しています。
http://www.es-inc.jp/lib/archives/080222_081815.html
英国にも、USCAPよりも早く、先進的な企業のグループが生まれて積極的な活動を展開しています。
「気候変動に関する企業リーダーグループ」(The Prince of Wales’Corporate Leaders’Group on Climate Change:CLG)というグループで、気候変動対策の長期政策の実現を目指し、英国皇太子を代表に、シェルやユニリーバ、フィリップス、ボーダフォンなど英国・EU の主要企業のビジネスリーダーによって2005 年に構成された企業グループです。
英国では首相や国会議員に対して要望書を送り、英国産業連盟(CBI)の気候変動への取り組みを促進させるなど、英国の気候変動政策に対して積極的な働きかけを行っています。
http://www.cpi.cam.ac.uk/our_work/climate_leaders_groups/clgcc.aspx
日本では、先述した経団連の「一枚岩」政策の圧力もあり、なかなか先進的な企業が先進的な意見を述べることができなかったのですが、ようやく日本でも、先進的な企業のグループが立ち上がったのです!
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■日本でも「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)」が始動!
http://japan-clp.jp/index.html
7月30日のプレスリリースからご紹介します。
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日本気候リーダーズ・パートナーシップ
2009 年7 月30 日
気候変動を経営の最重要課題の一つとして捉える先進企業5社、
日本初の『日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)』を始動
日本を代表する先進企業5 社が、持続可能な低炭素社会の実現をビジネスの視点から目指す日本初の企業ネットワーク『日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)』を設立致しました。同時に、気候変動に対してビジネスの視点からの危機感と約束を盛り込んだ共通のビジョン「私たちが目指す持続可能な低炭素社会」を発表致しました。
Japan-CLP は、気候変動を経営の最重要課題の一つとして捉える製造、小売、金融といった異なる業種のリーダー企業5 社によるネットワークです。持続可能な低炭素社会を経営の前提と捉え、アジアを中心に積極的な発信や活動を行って参ります。また、更なる拡充を目指し、設立メンバー企業に加え、共通のビジョンに賛同頂ける企業を募集致しております。
Japan-CLP の概要は以下の通りです。また、本日公開するWeb サイト(http://www.japan-clp.jp/)では、共通のビジョンの全文、メンバー企業の社長コメント、各社のコミットメントをご覧頂けます。
1. 日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)とはJapan-CLP は、持続可能な低炭素社会への移行に先陣を切る事を、自社にとってのビジネスチャンス・次なる発展の機会と捉える企業ネットワークです。気候変動を経営の最重要課題の一つとして捉え積極的に行動する企業が業種を超えて集結し、社会に対して働きかけを行うことを目指しています。
(URL:http://www.japan-clp.jp/)
ポスト京都の国際枠組みを検討するCOP15 が開催される今年、持続可能な低炭素社会の実現には産業界が健全な危機感を持ち積極的な行動を開始すべきであるという認識の下に日本独自の企業ネットワークとして設立致しました。今後、持続可能な低炭素社会の実現に向けた提言をとりまとめ、メンバー企業と政策立案者、産業界、市民などとの対話を行うなど、国内のみならずアジアを中心に積極的な発信や活動を行います。
【目的】
1. Japan-CLP は、低炭素化を経済活動の前提と捉え、持続可能な低炭素社会の実現を目指す
2. 持続可能な低炭素社会に向けた共通のビジョンを描き、参加企業が自らのコミットメントを掲げ、率先して実行する
3. 社会の変化を加速するために積極的なメッセージを発信し、アジアを中心に活動する
2. 設立メンバー企業
Japan-CLP の設立メンバー企業は以下の5 社です。メンバー企業の社長コメント、コミットメントはWebサイトをご参照ください(http://japan-clp.jp/about_us/our_members.html)。
イオン株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、富士通株式会社、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社リコー
3.共通のビジョン「私たちが目指す持続可能な低炭素社会」概要
産業界が健全な危機感を持ち積極的な行動を開始すべきという認識の下Japan-CLP では社会の基本原則と自らの約束について下記の通り取りまとめました。(詳細は、共通のビジョン「私たちが目指す持続可能な低炭素社会」、およびWeb サイトhttp://japan-clp.jp/vision/our_purpose.html をご参照ください)
持続可能な低炭素社会に向けた5 つの基本原則
Japan-CLP がビジネスの視点で捉えた、持続可能な低炭素社会の基本原則は以下の5 つです。
① 未来責任の追求
② 早期行動を促す長期政策の確立
③ 共負担原則に基づく社会制度
④ 低炭素技術の開発と普及
⑤ 自然の吸収能力の向上
私たちの約束
Japan-CLP のメンバー企業は、持続可能な低炭素社会に向けた企業の行動として以下の7項目が重要であると捉え、各社独自のコミットメント(内容はWeb サイトでご確認頂けます)を掲げて率先して実行します。
① 経営課題としての位置づけ
② 気候変動対策の戦略的推進
③ 積極的な情報開示
④ 社員参加による展開
⑤ お客さまへの働きかけ
⑥ バリューチェーンとの連携
⑦ 国際的な議論への参加
4. 今後の活動予定
今後は、以下の活動の展開を予定しております。
1. 提言の発信
持続可能な低炭素社会の実現に向けた提言を参加企業の視点で取りまとめ、政策立案者、産業界、市民等に広く発信する。第1 回目の提言は2009 年度中を予定。
2. 国内シンポジウム
Japan-CLP の活動・提言を広く国内に向けて発信するシンポジウムを開催し、政策立案者、産業界、市民等との対話の場を設ける。第1 回は2009 年11 月頃を予定。
3. 国際フォーラム
海外、特にアジアの政策立案者や産業界、市民等に対し、Japan-CLP の活動を発信すると同時に、アジアでの低炭素化に向けた対話の機会を設ける。第1 回は2010 年前半にアジアの主要都市での開催を予定。
4. Japan-CLP サミット
年1 回、メンバー企業の経営層が集まり、低炭素化の推進にあたっての課題や、今後のJapan-CLP の方向性などについて、戦略的な議論を行う。
5. 実務責任者による戦略的ダイアログセッションメンバー企業の実務責任者が定期的に議論を行い、Japan-CLP としての提言の内容や活動の詳細を検討する。
お問い合わせ
本件に関する報道関係者様、及び本パートナーシップへのご参加を希望する企業様のお問い合わせは、下記にお願い申しあげます。
日本気候リーダーズ・パートナーシップ事務局(株式会社イースクエア内)
担当:藤津 朋子/大西 梨沙
Tel: 03-5777-6730 Fax :03-5777-6735 E-mail:jclp@e-squareinc.com
※Japan-CLP 設立の経緯
2008 年10 月、低炭素社会の実現とビジネスの役割について、日英企業が英国皇太子殿下を交えて対話を行いました。その際、日本においても、英国の気候変動に関する企業リーダーグループ(CLG、下記参照)のように「気候変動問題に対して本気でリーダーシップを発揮する企業グループ」を設立することが有意義ではないかという結論に至りました。
そこで、ポスト京都の国際枠組みを検討するCOP15 が開催される今年、持続可能な低炭素社会の実現には産業界が建設的な危機感を持ち積極的な行動を開始すべきであるという認識の下に日本独自の企業グループとしてJapan-CLP を設立致しました。2009 年1 月に有志企業で議論を開始し、約半年間の検討を重ねた結果、本日Japan-CLP の設立と共通のビジョンを発表するに至りました。
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■先進企業は時代をどのように認識しているか
日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)のウェブサイトから紹介します。先進的な企業がどのように考えているか、ぜひ知っていただきたく。
http://japan-clp.jp/vision/our_perspective.html
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「時代認識」
下記の時代認識を踏まえ、産業界が健全な危機感を持ち、積極的な行動を開始すべきという認識の下、我々はJapan-CLPを結成しました。
○気候変動に対する危機感
・気候変動は人類にとって重大なリスクであると同時に、社会・経済の大きな構造転換も視野に入れるべき世界の喫緊の課題であると認識している
・CO2を抜本的に削減しながら経済発展を実現し、豊かな社会を実現するための行動を起こすことが急務であると捉えている
・世界で2050年までに温室効果ガス半減を目指すと共に、先進国と途上国の合意の下、早期にピークアウトを達成する必要があると考えている
○ビジネスの視点から捉える気候変動
・持続可能な低炭素社会への移行は産業革命に匹敵する変化であると認識し、炭素制約のある社会を今後の企業経営の前提として捉えている
・適切な政策や枠組みと企業の主体的な取り組みにより、持続可能な低炭素社会への転換は新たな事業機会にも成り得ると認識している
・COP15にて明確にポスト京都の方向性が示され、長期的な気候変動政策の枠組みが確立されることは、実効性ある気候変動対策のみならず、今後の企業経営にとっても重要と考える
「持続可能な低炭素社会の基本原則」
Japan-CLPがビジネスの視点で捉えた、持続可能な低炭素社会の基本原則は以下の5つです。
1 未来責任の追求現世代のニーズを満たしながらも、未来世代に対する責任を率先して果たす。
2 早期行動を促す長期政策の確立 温室効果ガス削減の早期行動が経済的に報われ、企業が新たな機会や投資として捉えることを可能とする、長期的な方向性と明確な道筋を示した低炭素政策の導入が望まれる。
3 共負担原則に基づく社会制度 先進国と途上国、また国内での様々な主体が負担や役割を共有する共負担の原則に基づき、社会の公正なルールを構築することが求められる。
4 低炭素技術の開発と普及 低炭素技術を戦略的に開発し、世界の低炭素な暮らしを実現するエネルギー・商品・サービスを広くかつ迅速に普及させる仕組みが必要だと考える。
5 自然の吸収能力の向上 自然の吸収・固定化能力を高めるために、森林・土壌・海洋などの保全や修復を気候変動対策の一環として位置づけることが重要である。
「私たちの約束」
Japan-CLPのメンバー企業は、持続可能な低炭素社会に向けた企業の行動として以下の7項目が重要であると捉え、各社独自のコミットメントを掲げて率先して実行します。
1 経営課題としての位置づけ 経営者自らが、炭素制約のある将来社会を前提に低炭素化を経営における最重要課題の一つと位置づけ、明確な目標を掲げて取り組む。
2 気候変動対策の戦略的推進 事業プロセスの低炭素化と、気候変動の緩和・適応に寄与する革新的な技術・商品・サービスの開発と普及に向け、具体的な戦略を策定し実行する
3 積極的な情報開示 掲げた目標と成果についてのみならず、低炭素化に向けた企業活動全般の積極的な情報開示を行う。
4 社員参加による展開 社員の意識を高め、暮らしやワークスタイルの低炭素化を支援するための具体策を講じる。
5 お客さまへの働きかけ お客さまの事業や暮らしの低炭素化を推進する、より魅力的な商品・サービスの選択肢を提示し、積極的に働きかける。
6 バリューチェーンとの連携 低炭素化に資する調達を進め、ビジネスパートナーへの働きかけと協働によってバリューチェーン全体の低炭素化を図る。
7 国際的な議論への参加 日本のみならずアジアをはじめとしたグローバルな議論に積極的に参加し、社会の変化を加速するための建設的なメッセージを発信する。
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■先進企業を応援しましょう、先進企業の仲間入りをしましょう!
「歴史が動いた」この動きをぜひ応援し、広げていきましょう。企業であれば、仲間になることをぜひ検討してください。一般の私たちは、こういう動きが日本にも出てきたことをあちこちで話をして伝えていきましょう。いまは5社ですが、こういう先進的な勇気ある企業を私たち市民が見守り、ほめて応援することで、産業界の前向きな取り組みを推進することができます。
海外のジャーナリストから取材を受けたときに、「日本にもこういう動きがあるんですよ。5社から始まりましたが、市民の支援を得ながら広がりつつあり、日本の社会や産業界の中に新しいうねりを作り始めています!」と胸を張って答えられる日が1日も早くやってきますように!