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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2009年11月22日

米国では「地球温暖化の証拠がある」と考える人が減っている?(2009.11.22)

温暖化
 

<内容>

■アル・ゴア氏の新著『Our Choice』(第16章「政治的な障害」)より

■「地球温暖化の証拠がある」と考える米国人が減少
  〜日刊 温暖化新聞 11月14日号より

■何が起こっているのか? どうすればよいのか?


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■アル・ゴア氏の新著『Our Choice』(第16章「政治的な障害」)より


「米国上下院の議員ひとりにつき、4人を超えるロビイストが気候問題に関して働きかけをしている(数年前の数倍)。そして、気候法案に反対するロビイストの数は、賛成する側のなんと8倍以上もいるのだ!」

「ジャーナリストによると、エクソンモービルは、人々に温暖化の科学を誤解させるべく活動している40近い偽装団体に資金を提供していたという」

「たとえば、IPCCが2007年1月に第4次評価報告書を出す直前に、エクソンモービルが資金を出していたある偽装団体は、世界の科学界が合意している研究結果に異議を唱えるあらゆる論文に対して、1本につき1万ドルを提供した」

「業界によるプロパガンダのキャンペーンが大規模に始まった後、報道の取り上げ方が大きく変わったことから、温暖化汚染物質を削減するための方策への政治的な支援が激減した」

「温暖化に反対する議員は偏って共和党に多く、その数も圧倒的である」


このような翻訳を進めていただけに、日刊 温暖化新聞の11月14日号に掲載された以下のニュースに、心配が募りました。


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■「地球温暖化の証拠がある」と考える米国人が減少
  〜日刊 温暖化新聞 11月14日号より


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

http://daily-ondanka.com/news/2009/20091114_1.html
「地球温暖化の証拠がある」と考える米国人が減少:調査結果


(ピュー・リサーチ・センターより)

米国の世論調査機関ピュー・リサーチ・センターは10月22日、地球温暖化に対する米国人の考え方を尋ねた調査結果を発表した。この調査は、全米の1,500人に対して2009年9月30日から10月4日にかけて電話により実施したもの。

「地球の平均気温が上昇している確かな証拠があると思うか?」という質問に対しは、57%が「ある」と答えているが、前回調査(2008年4月)の71%から大きく減少した。また、大多数(65%)の回答者は、温暖化を非常に深刻、または、ある程度深刻な問題とみているが、この数字も前回の73%から減少している。

しかしながら、企業の排出量に制限を設けて超過分を支払わせる政策に関しては、半数(50%)の回答者が賛成しており、反対の39%を上回った。さらに、コペンハーゲンでの国連気候変動会議を前に、過半数(56%)は、米国が他の国々と協調して気候変動対策の基準を作るべきだとし、32%は米国独自の基準を設定すべきだと答えた。

この調査では、支持政党による考え方の違いや、地域差についても詳しく分析している。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

このニュースを担当してくれたスタッフに、この調査結果の詳細を教えてもらいました。かなり心配になってきます……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用で〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


●温暖化の証拠があるか?-- 「ある」と答えた割合
        2008年4月   2009年10月   
<全体>     71% →    57%
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<支持政党別>
共和党       49% →    35%
民主党       83%      75%
無党派       75%      53%

・減少が大きかったのは無党派層
・共和党はもともと温暖化の証拠に懐疑的、今回はさらに減少
・民主党は、2006年の91%から年々減少し、今回は75%

<地域別>
Northeast   73%  →   60%
Midwest     64%      48%
South      71%      61%
West      77%      58%

・証拠があると答えた割合が多い地域はSouth(61%)
・少ない地域は、Midwest(48%)、Westの中の山側地域(Mountain West)は44%で最も少なかった
・2008年と比較して、証拠があるとする人の割合が最も大きく減ったのは、Mountain West(75%→44%)と、五大湖地域(69%→49%)。この2つの地域では、温暖化が人間活動によるものだと考える人の割合も大きく減少した。


●温暖化は深刻な問題か?
               2008年4月   2009年10月   
<全体>     
非常に深刻          44%  →  35%
ある程度深刻         29%     30%
それほど深刻ではない    13%     15%
問題ではない         11%     17%
わからない           3%      3%
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<支持政党別>
・温暖化を非常に深刻な問題だとみている割合は、共和党が14%で、民主党が49%

<地域別>
・温暖化を非常に深刻な問題だとみている割合が低いのは、Midwest(30%)とMountain West(26%)
・どの地域もある程度減少しているが、昨年との比較で大きく減少したのはWest(52%→36%)

●キャップ & トレード(排出量取引)について
全体としては50%の回答者が賛成しているという結果が出ているが、医療保険改革議論に人々の関心が向かい、Cap & Tradeについてはあまり知られていない。

Cap & Tradeを聞いたことがあるか?
<全体>
頻繁に聞いたことがある    14%
少しは聞いたことがある     30%
まったく聞いたことがない    55%
------------------

<支持政党別>
・少しは聞いたことがある人の割合は民主党が多かったものの、頻繁に聞いたことがある割合に関しては、共和党20%、無党派17%で、民主党8%を上回った。
・頻繁に聞いたことがある割合がもっとも高かったのは、共和党の保守派(28%)

●世界の温暖化への取り組みに参加すべきか?
              他国と協調   独自の基準
<全体>           56%       32%
-------------------------------
<支持政党別>
共和党             47%      39%
民主党             66%      26%
無党派             53%      34%


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■何が起こっているのか? どうすればよいのか?


まず支持政党によってこんなに意見が違うというのにびっくり!ですね。日本だと、自民党支持者と民主党支持者と、温暖化対策の方法論はともかく、温暖化そのものについての懐疑度にこれほどの差はでないでしょう。

でも、米国では何が起こっているのでしょうか? 医療改革議論などに押されて、人々の関心が薄くなっている、だけではないような結果ではないでしょうか?

ゴアさんが厳しく批判している「既得権益を守るための温暖化否定論者たちの金にまかせた情報攪乱キャンペーン」が浸透し、人々の意識や行動にふたたび影響を与え始めているのでしょうか? これからどうなっていくのか、目が離せません。。。

ゴアさんは、『私たちの選択』のなかで、温暖化否定論者のある反論を引いて、「言うまでもなく、この主張も見かけ倒しだ。しかしここでも、大事なことは議論に勝つことではなく、人々を混乱させ、そうすることで、そうでなくても難しい決断に直面している政治プロセスを麻痺させることなのである」と述べています。

温暖化否定論者にとっては、議論に勝たなくてもいい、人々の心に「まだ科学でもわからないのかも?」という疑いを持たせれば勝ち、という戦いなのですね。

こうした金にまかせた温暖化否定論者の大規模な情報攪乱キャンペーンに対抗するには、どうしたらよいのでしょうか?

『私たちの選択』でゴアさんが述べている「究極の対抗策/克服策」は、私やみなさんがやってきたこと・やっていこうとしていることと同じだと思います。

それは、草の根レベルで、伝えていくこと、広げていくこと。

ゴアさんは、本書の中で、その心強い展開や、効果的なツールについても述べてくれています。どうぞお楽しみに〜!

 

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