JCCCA:全国地球温暖化防止活動推進センター (Japan Center for ClimateChange Action) は、地球温暖化の情報収集と活動ツールの提供や、地域地球温暖化防止活動推進センターや地球温暖化防止活動推進員の支援、NPO・企業・団体との連携などを通じて、温暖化防止活動を推進しています。
温暖化に関する様々なデータやグラフを出典をつければ自由に使わせてくれる「すぐ使える図表集」
http://www.jccca.org/content/blogsection/23/656/
私も「日刊 温暖化新聞」もよく使わせてもらっていますし、重宝していらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
地方に講演などに行くと、各地で草の根の活動を支え、広げる大きな役割を温暖化防止活動推進センターが果たしているのだなあ、とよく思います。
ところが、政刷新会議の事業仕分けで「地球温暖化防止活動推進センター等基盤形成事業費」 「温暖化対策”一村一品・知恵の環づくり”事業」が廃止になってしまったのですね。「25%削減に向けてますます頑張るぞ〜!」というところだったのに。
そんな中で、3月11日、日経カンファレンスホールでJCCCA10周年シンポジウム 「25%削減に向けた新しい温暖化防止活動」が開催されました。
JCCCAのウェブサイトでシンポジウムの報告書がアップされています。
http://www.jccca.org/content/view/2402/748/
私もパネルディスカッションに参加させていただきました。
パネルディスカションテーマ「25%削減に向けた国民各階各層の連携について」
<パネリスト>
枝廣 淳子氏〔環境ジャーナリスト〕
藤村コノヱ氏〔NPO法人環境文明21共同代表〕
宮井真千子氏〔パナソニック株式会社環境本部副本部長〕
杉山 豊治氏〔日本労働組合総連合会(連合)社会政策局長〕
<コーディネーター>
西岡 秀三氏〔国立環境研究所特別客員研究員〕
自分の冒頭のプレゼンと、会場との質疑応答後のコメントをご紹介します。
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(西岡先生)
それでは、最初にトップバッターということで枝廣さん。
私自身は先程西岡先生がおっしゃったような「変えるための活動」「伝える活動」「広げる活動」にずっと携わってきました。もともとは心理学を学んでいて、それがバックグラウンドとしてありますので、心理学的なアプローチも含めて取り組んできたような気がします。
温暖化でもそうですけれども、大事なのは、いま時代が大きく変わってきていて、意識啓発の時代はもう終わったということです。意識啓発ではなくて、いかにそれを行動の変化につなげるか。
これまでのさまざまな活動は意識の啓発に割と重点を置いていた。でも、もう意識はある程度高まっているということです。こちらのスライドを見ていただくと、意識があるかないかというのが縦軸で、行動しているか、していないかというのが横軸です。
「理想」は、意識もあって行動もしている人が増えていくことですよね。ですが、温暖化防止の活動で「困った人たち」はこのセグメントにいて、意識もないし行動もしていない。これまでの活動は、ここの人たちの意識を上げることで理想の人たちへ近づけていこうとしていました。
温暖化は問題であり、なぜこういう問題がおこるのか、何をしたらいいのかなど、意識啓発をしてきました。私自身もそういう活動をしてきましたが、ふたを開けてみていま思っているのは、実際には期待していた通りには増えていないということです。
「意識は高いけれども行動していない」--そういう人たちが非常に増えている。これまで「意識を高めれば行動する」と割と単純に考えていたけれども、そうではないんじゃないかということを私は最近よく思っています。
では、それに対してどうしたらいいか、もちろん行動につなげるような意識啓発をしていく。これは非常に重要です。これまでのような情報提供ではなくて、例えば心理学的、もしくはマーケティング的なアプローチがここでは重要になってくると思います。
もう一つは仕組みです。意識があってもなくても行動したくなる、もしくはしないとソンする仕組みを作っていく。これは三橋先生のほうがお詳しいと思いますが、例えば炭素に価格をつける。たくさん出す人はたくさん払いなさいと、それが炭素税であっても排出量取引であっても。そうしたら、温暖化なんか起こっていないと思っていても行動は変わります。
実際に行動してその変化を広げていくためには、単なるスローガンや意識啓発では十分ではない。これまでは割と根性論でやってきたようなところがあると思うんですね。わかるまで繰り返す。わからないのは相手が悪い。そうやって伝えていると、やはり伝わる人はいるけれども、なかなか広がっていかない。
そうではなくて、やはり意識があってもなくても行動するというような仕組みを作っていくと同時に、もう一つ大事なのは、実際に価値観や行動が変わっていくような意識啓発です。そのためには、先ほど言ったようにマーケティングそれからコミュニケーション、このあたりのもう少し理論的なことを実践していく必要があると思っています。
これまで温暖化のさまざまな会議は、主に自然や温暖化などを扱う科学者が中心でしたが、やはりこれからは人の行動をいかに変えるかという意味で、心理学者、社会学者、マーケティング、コミュニケーション、こういった専門家がもっともっと入ってこないといけないんじゃないかと思っています。
私がいろいろ取り組んできたなかで大切だと感じているのは、本質的に大事なことをちゃんとわかりやすく伝えるということです。「未来を考える上での補助線を引く」という言い方をしていますが、普通、多くの人は「いま」もしくは「極めて近い将来」のことしか考えない。でも、「このまま行くとどうなると思います?」とちょっと補助線を引いてあげると、やっぱりそういう将来は嫌だなというふうに思う人がたくさんいます。そのような形でサポートすることができる。
時間の関係で、私が工夫してきている戦略について詳しく話をすることはできませんが、たとえば温暖化を防止しよう、もしくはそういう行動をとろうという、これまでと違う価値観や行動はイノベーションの一つと言えます。イノベーションというのは新しい考え方や新しいものです。では、その新しいもの、それがiPodであっても温暖化防止の行動であっても、どうやって広がるか。
これには「イノベーション普及理論」という理論があります。このグラフのような形で最初なかなか離陸しないけれども上手に離陸すると広がっていく。その離陸するためには何が必要かということもこの理論できちんと説明がされています。
最初に何が必要か。最初は新しい考え方、製品を作る人がいますよね。でも、それだけだと世の中に広がらない。それをわかりやすく伝える人が必要です。その人たちが、「要するにこういうことなんだよ」「こういうプラスがあるんだよ」ということをうまく伝えて初めて、社会のなかでもフットワークの軽い人たちが、じゃ、やってみようかと始めるわけですね。
たとえば、マイ箸がはやり出したころ、マイバックを持ち始めたころ。最初のころからやっていた人がいて、その最初のころからやっていた人たちの様子を見て社会の主流派はついていく、大体こういった構造です。
残念ながら世の中はこれだけではなくて、「なんと言ったって新しいことは嫌だ」という保守派もいますし、「オマエが言うことはやらないぞ」というひねくれ者もいます。こういったなかで私たち温暖化の防止活動を推進する人たちはどうやって伝えていくかということを考える必要があります。
大事なのは、知らない人に知らせるための伝え方だけではなくて、「いま自分が相手にしている人はどこにいるのか」を知ることです。たとえば、既にわかっている人たちにその事実を伝えてもしようがないですよね。だったら、もっとその人がやる気になるような伝え方が必要になってきます。この図で、どこの箱にいる人をどこの箱に連れていくのか、そのためにどういうふうに伝えるかということを伝える側として考えていく必要があります。
人が行動を変えるときの「ギルマンの方程式」をご紹介します、これも変えるためのスキルの一つです。これまでのやり方よりも新しいやり方、たとえばガソリン車に乗るよりもハイブリッドのほうがいいと思わないと人は行動を変えませんよね。
ただ、そのときに変化のコストが余りにも大きいと、やはり人は行動を変えません。なので、私たち変化をサポートする側としては、古いやり方よりも新しいほうがいいんだよとアピールすると同時に新しいやり方に変えるのはそんなに大変じゃないんだよということをどうやって伝えていくかということを考えていく必要があります。
イノベーションの普及について、新しいものをできるだけ早く普及するためにはここの示した五つのこと大事です。これらはもうきちんと理論になっているので、新しいことを伝えたい立場にいる人たちはこのような理論を上手に使っていくことが大事じゃないかなと思います。根性論や気持ちだけではなく、それがこれからのコミュニケーションにとっては大事だと思っています。
これまでは、企業側もいいことをやっていれば通じる、そう思う場合が多かったけれど、そうではなくて、何を誰に伝えるのかを考える。それにあわせて戦略を作っていくことが必要です。
これは後半でまた話をしようと思いますが、大事なのは、一方通行で伝えたりするだけではなくて、伝えたことに対してアンケートをとったりフィードバックをもらうことよりさらに進めて、共に創るという意味での「共創」です。
これから大事なのはコラボレーションとも言われますが、どうやって市民、企業、行政がこれまでの役割を超えてみんなで作っていくか。その点において、私は消費者もしくは生活者の役割が非常に大事だと思っています。
その理由を一つだけ伝えたいと思います。先ほど三橋さんが「ヨーロッパの国はGDPは増えているけれどもCO2は減っている」という話をされました。そのとおりです。それは、GDPとCO2のデカップリングができているからです。
ただ、ここで気をつけないといけないのは、これはデンマークの研究者が言っていたのですが、デンマークの人たちが海外から輸入しているものをカウントするとデンマークのCO2は減っていないという研究もあるそうです。つまり、中国やほかの国で作ってもらっているからです。
いまは生産でカウントされているんですよね。生産するところでカウントしている。なので、外で生産すればするほどその国のCO2は減ってしまうわけです。その分中国はいま世界一になっていますよね。
なので、生産でカウントするのではなくて消費でカウントするようにこれから変えていかないといけないと思います。どこで作っているかにかかわらず、使う人たちのところでカウントする。
そうしたら日本の企業は非常にプラスになります。鉄を1トン作るのに日本の企業は一番効率がよく、CO2の排出が少ないんです。それを世界の人たちが求めるようになるからです。
なので、いまは便宜上生産でカウントされていますが、きっと本当は消費側でカウントされるべきものだし、そうなってくる。そうしたときに生産側は「GDPとCO2のデカップリング」をする。私たち消費者、生活者は「幸せとCO2のデカップリング」をする。そのような時代になっていくと思います。
いまスマートグリッドという話が賑わっていますが、送電線がスマートになるだけじゃなくて、スマートコンシューマー、私たち消費者が「できるだけ少ないCO2で最大の幸せを得る」ような、そういった消費者に変わっていく必要があると思います。そういう意味で生活者、消費者の側がこれからもとても大事になってくると思います。
ということで、第1ラウンド終わります。
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西岡 どうも皆さん、ありがとうございました。
それでは、これからもうあと25分しかございません。お一人5分、プラスアルファ。プラスアルファのプラスは質問に答える分はプラスアルファにします。どなたからでも結構です。どうぞ。それでは、枝廣さんのほうから。
枝廣 先ほどお話をした共に創るという共創について、単に声を上げるだけではなくて、「市民力」をつける。そういった共創を作り出していくために何が大事かということ、いただいたご質問も含めて自分の考えを伝えたいと思います。
大事なことは四つあると思っています。一つは、西岡先生が先ほど負担論の話をされましたが、私は「コスト・リテラシー」という言葉を作って使っています。コストに関してきちんと理解をして、そして議論していく。
そのコストのリテラシーがいま残念ながら日本の社会にはないと思うんですね。なので、やるとしたらこんなお金かかるよ、それでもいいのという脅しのような形でコストが出てくる。そうすると、ああ、じゃ、そんなにかかるんだったらやめようというふうになってしまう。
そうじゃなくて、コストを考えるときには少なくとも三つ大きな部分があります。一つは、それをやるときのコストですね。例えば最近私はマンションの四つの部屋を二重窓にしたのですが、二重窓にするとお金がかかります。やることのコスト、これが1つ目ですね。
2つ目は、やったことのプラスです。それは例えば温かくなるだけではなくて、騒音がなくなるとか、結露もなくなるとかいいことがいっぱいあるんですよね。やることのお金にならない部分も含めてメリットは何か。
そして、3つ目がとても大事なんですが、それをやらなかったら将来的にどれぐらいコストがかかるか。これをやはり考えないといけない。例えばこれからどんどん石油の値段が上がって、電気の値段も上がっていくとしたら、二重窓にしなかったら暖房代がどんどん上がるかもしれない。
このように「やることのコスト」「やることのメリット」「やらなかったときのかかるであろうコスト」、この三つをそろえて初めてコストの議論はできると思います。
なので、例えば産業界には「25%削減」を国民に嫌だと言わせようとして「1家庭100万円かかるんですよ、いいんですか」というような話をする人がいますけれども、「100万円捨てますか?」と言われたら誰だって嫌だと言うと思います。
でも、その100万円を投資することで何が得られて、いま100万円かけなかったら後でどんな大変なことになるか、そこまでを含めての議論が大事だということが一つです。そういった議論を私たちは市民としてやっていかないといけない。
もう一つは、特に企業とのコラボレーションということで、「プロシューマー」という言葉があります。これはもともと、アルビン・トフラーさんが『第三の波』で使った、プロデューサー(生産者)とコンシューマー(消費者)を合わせた言葉です。あなた作る人、私使う人ではなくて、私たちが欲しいものを一緒に企業と作っていく。
一つの例としてスウェーデンのエタノール車の話があります。スウェーデンの人たちがエタノールの車が欲しい、ガソリン車は使いたくないと考えました。そのときまだエタノール車はなかったんですね。その市民グループの人たちは自動車のメーカーに行ってこういう車が欲しいと交渉しました。
ところが、自動車メーカーからは、金型作ることは大変なリスクですから、売れるかどうかわからないのに作れませんと言われました。そのときにその市民団体は、「じゃ、何台が最小ロットなんですか」「3000台だ」「じゃ、3000人必ず買う人を集めてきます」と言って3000人本当に集めたんですね。
それで最初の金型が作られて、スウェーデンでエタノール車が走るようになりました。1回金型ができればあとは安くできますから、スウェーデンでいま非常にはやっているわけです。
このように企業から出してくれるのを待って、出てきてから「要る・要らない」を決めるという、そういう消費者ではなくて、欲しいものを一緒に作っていくような働きかけをしていく。そういう形になっていきたいし、なっていくだろうと思っています。
もう一つは、共創もしくはコラボレーション。先ほどからそのための仕掛けや、どうやったら社会対話ができるかという話がありました。それには私たちがそういったことをするための「作法」を身につけないといけない。これまでとは違う作法が必要だと思うんですね。
触媒役というかファシリテーターが必要です。例えば、仲間内で話しているときはみんな同じような意見だから話しやすいわけです。でも、立場が違う、意見が違う人と話をするのって大変です。
私は、温暖化懐疑論者と言われる武田邦彦先生と鼎談をしてそれを本にしたのですが、自分と全く違う意見の人の話を聞くって結構難しいんですね。イライラしてくるし、「何でわからないの!」と言いたくなるかもしれない。でも、そう言っちゃったらもうそこでとまってしまう。
もしご興味あったら本を見ていただくとわかりますが、どこが同じでどこが違うんだろう、その違いはどこから出てくるんだろう。これらを一つずつ丹念に押さえていかないといけないんですね。
そういったことを含めて、違う意見や立場の人たちと、人格否定ではなくて意見を戦わせるという意味での議論をする、そういった作法を私たちは身につけていかないといけないと思っています。
4番目に大事なのが、先程いただいた質問にも重なりますが、「本当の目的は何か」を見失わないことです。例えば、いろいろな意見の人と辛抱して話をしないといけない。そのときに何を目指しているからというのがわからなくなったら、やっぱり嫌になります。
私は本当の目的は「幸せ」だろうと思うんです。本当の幸せって何だろうと、本当の幸せは、企業だろうと労働組合だろうと市民だろうとみんな求めている。その形や求め方は違うかもしれないけれど。なので、本当の幸せのために、いま苦労して、立場の違いを乗り越えて話しているんだよねと、時折それを確認していかないと、やはり途中で嫌になっちゃうと思います。
そういった意味で言うと、先ほどのライフスタイルの利便性に関するご質問ですけれども、利便性があるということが本当の幸せなのかどうかということを考えることが必要です。「利便性=幸せ」だとほとんどの人は考えているけれども、それってどういう時間軸で考えているのかなということも含めて考えていく必要がある。
便利だったら短期的には非常に幸せかもしれない。でも、例えば、どこへ行くのにも、短い距離でも車で移動して、それは便利かもしれないけれど、そのおかげで長期的には病気になりやすくなったりするかもしれない。
夜中まで買い物ができるコンビニは便利だけれども、でも、それが日本の社会に作り出している子どもたちへの影響や成長に対する悪影響とか、そこまで考えたときに本当に利便性が幸せと言えるのかどうか。
ですから、短期的な「いまだけ」の幸せではなくて、もう少し時間軸をとった形で幸せを考えていくこと。多分そういったことを常に忘れないように、みんなで思い出しながら社会対話、そしてコラボレーション、共創を進めていくことが大切なのではないかなと思っています。
(以上)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
上記に出てくる武田先生と温暖化科学者・江守さんとの鼎談はこちらです。
『温暖化論のホンネ 〜「脅威論」と「懐疑論」を超えて』
武田 邦彦・ 枝廣 淳子・ 江守 正多 (著)
このシンポジウムでもお話しした「ただ伝えればよいから、マーケティングを意識したコミュニケーションの方法へ」という問題意識から、みなさんにも呼びかけて始めた「エコ・マーケティング勉強会」、先日第1回を開催しました。
第1回は、マーケティング入門、ということで、マーケティングってなあに?という方にもマーケティングの基本的な考え方と枠組みをレクチャーしつつ、参加者それぞれが「広げたい(売りたい)もの」に引きつけて、考えていきました。
第2回は、これも上記に出ていますが、「イノベーションの普及」という450ページの本にチャレンジし(最初に私から概要を話すことになっています)、身の回りのさまざまなヒット商品や、ヒットしない商品(_ _;)について、普及理論に照らし合わせて考えていきます。
キャンセル待ちをして下さったのに今回参加していただけない方がかなりたくさんいらっしゃいました。もっと広い部屋を取っておけば良かったです(予想以上の反響・共通する問題意識でした、、、)、ごめんなさい。
また遠くて参加できないが興味があるというお声もたくさんいただいており、今回のエコ・マーケティング勉強会のレクチャーを、音声と資料で短時間で受けていただける通信講座を開設する予定です。用意ができましたらご案内しますので、よろしければぜひどうぞ!
JCCCAに話を戻しますと、「廃止」が決まった「地球温暖化防止センター等基盤形成事業」って、総額9億円弱の予算のものでした。
国家財政が苦しいから9億円だって大事とは思いますが、だから「もっと効率的、効果的にやりなさい」ということならまだしも、これから国民挙げて25%やさらにはそれ以上の削減に向けて、大きく意識と行動を変えていくべきそのときに、その「基盤形成」をやめてしまってあとで困らないだろうか?と思います。これも「やるコスト」と「やらないときに将来かかってくるコスト」の問題ですね。
切迫してくると誰でも時間軸が短くなっていきます(明日まで何とかなれば、今さえよければ……)。政治家がどのくらいの時間軸で見ているのか、私たちもしっかりチェックして、必要な長さの時間軸を持つよう、プッシュしていきましょう。
同時に、政治家は社会(国民)が短い時間軸しか持っていなければ、長期的に大事なことには取り組めません(すぐに結果が出ないと引きずり下ろされますから)。
「社会の時間軸」は、私たち一人ひとりの時間軸の平均値じゃないかと思っています。だから、社会の時間軸を伸ばすためには、私たち一人ひとりの時間軸を伸ばすことが大事。
いつもは今日のため、明日の〆切のためにいっぱいいっぱいだとしても、時には、ちょっと遠くに目をやって、ふだんは目に入っても見えていない雲の動きや木洩れ日のダンスを眺めたり、いつもの部屋にいながらでも、5年後、10年後、次の世代のことなどにちょっとだけでも思いを馳せたり、ね?