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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2010年09月12日

日本並の消費社会を支えるためには地球が「2.3個」必要! (2010.09.12)

大切なこと
 

いま成田空港です。あと15分ほどで搭乗時刻です。

デニス・メドウズ氏や故ドネラ・メドウズさんが始めたバラトングループは、来年30周年を迎えます。毎年1週間の合宿に、私は2002年から参加させてもらっています。途上国も含めて数十ヶ国から最大50人が集い、朝から夜まで、その年のテーマについて議論します。

今年のテーマは、2つあります。

前半:Alternatives to Growth: Challenges, Opportunities and Strategies  
   (成長に代わるもの:チャレンジとチャンス、そして戦略)

後半:Food System(食糧システム)

日本でも「GDPだけではない指標」の話が政府でも出てきたりしていますし、特に前半の議論を楽しみにしているところです。

こうした話を早急に進め、行動しなくてはならない理由はあちこちに見いだすことができますが、その1つは「現状は持続可能ではない!」という事実です。

新聞などでもご覧になった方もあると思いますが、WWFが「日本の消費を支えるには、地球が2.3個必要」という報告を発表しています。ウェブサイトからご紹介します。

http://www.wwf.or.jp/activities/2010/08/884825.html

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

日本並の消費社会を支えるために必要な地球は「2.3個」

2010年8月、WWFジャパンとグローバル・フットプリント・ネットワーク(GlobalFootprint Network=GFN)は、共同で『エコロジカル・フットプリント・レポート 日本2009』を発表しました。

これは、世界の木材や水産物などの資源の消費や、二酸化炭素(CO2)の排出により、日本がどれくらい、どのような形で、地球の自然環境に負荷をかけているかを示したもの。日本の総合的なエコロジカル・フットプリントをまとめた内容としては、初となる報告書です。

エコロジカル・フットプリントとは、地球環境が本来持っている生産力や廃棄物の収容力と、人間による消費量や廃棄量とを比較し、「グローバル・ヘクタール(gha)」という理念上の面積に換算した数値です。

この数が高ければ「環境への圧力が強い国」、つまり、その生活を支える上で、「広大な地球の面積を必要とする国」ということになります。

日本の場合、国民一人あたりの、このエコロジカル・フットプリントは、「4.1gha」でした(2006年)。ところが、地球1個分が持つ生産力・収容力を、世界人口一人あたりで計算すると「1.8gha」にしかなりません。日本の「4.1」という数値は、このおよそ2.3倍に相当します。

つまり、世界中の人々が、現在の日本と同じ大量消費社会を作り上げたなら、2.3個分の地球が必要になってしまう、ということです。

最大の要因は「二酸化炭素」

何が一体、これほどの環境負荷を生み出しているのか?

日本のエコロジカル・フットプリントの内訳に注目してみると、とりわけ大きいのが「カーボン・フットプリント」であることが分かります。

カーボンとは「炭素」、つまり、石油などの燃焼によって排出される、二酸化炭素のこと。

カーボン・フットプリントでは、自然な状態でCO2を吸収してくれる土地の面積が、その国にどれくらいあるかを勘案しますが、日本の場合、急激なエネルギー需要の高まりが、この数値を高める原因となりました。

実際、日本のカーボン・フットプリントは、1961年から1990年代の半ばまでに、10倍以上に増大。石油などの化石燃料に大きく依存した、現在の日本のエネルギー社会の現状が、この割合に表れているといえます。

この他にも、指摘される点としては、海外から資源の輸入に大きく頼っている点が挙げられます。周囲を海に囲まれ、また国内に森を多く持っているにもかかわらず、日本は水産物や木材の消費を、海外からの輸入に大きく頼っています。これは、穀物などの一次産品についても、同様です。

さらに、日本が輸入している全ての農業、工業、木材製品を生産するためには、400億立方メートルもの淡水が必要とされるため、日本は間接的に、世界の水資源についても、大量に使用していることになります。

これらの輸入に依存した実態は、日本という国が、海外の資源、それを生み出す世界の生物多様性なくしては存続できないことを物語っています。海外の環境破壊は、決して日本と関係のない話ではありません。

むしろ、そこには消費国としての責任と、問題の解決に向けて積極的に取り組むことの必要性があるといえます。

家庭の中のフットプリント

エコロジカル・フットプリントが示す、さまざまな資源を利用している日本の現状は、そのまま一人ひとりの市民生活を反映したものでもあります。

WWFジャパンが今回発表した報告書では、日本人の日常生活の中に、どのようなエコロジカル・フットプリントが存在するのか、つまり、生活のどの部分が特に大きな環境への負担になっているのか、その内訳を明らかにしました。

その結果、とりわけ大きな割合を占めていたのは「食料」でこれが全体の36%にのぼりました。

ここには、日本国内で食べられることなく廃棄されている、大量の食糧が含まれています。その量、年間で1,380万トン。この廃棄量は、全世界で食料援助にまわされている量の1.7倍にもなるとみられています。

この廃棄される食品の量を減らすことは、日本のエコロジカル・フットプリントを下げる、一つの確実な手段となるでしょう。

また、二酸化炭素の削減についても、個々人で取り組む省エネはもちろんのこと、社会全体で削減を実施できる新たな法制度を整備できれば、日本のエコロジカル・フットプリントの総量も低下させることができるに違いありません。

生物多様性の保全に向けて

今、フットプリントに示されるような環境への負荷が、世界の自然と、生物多様性を損なう、大きな原因になっています。 この現状を変え、「持続可能な社会」をつくるためには、人の暮らしが生む「消費」が、地球の限りある「生産力」を超えないようにすることが必要です。

WWFでは、このエコロジカル・フットプリントを使うことで、その双方を数値化し、比較の結果を明示しました。

もちろん、エコロジカル・フットプリントは、地球環境の現状を示す、あくまで一つの手段に過ぎず、またその手法も今後改善の余地があるものです。

しかし、このような試みを通じて、環境の変化を「見える化」することができれば、世界の人々は、より明確に、今が「持続可能な社会」となっているかどうか、考えながら行動することができます。

その一歩として、2010年8月25日、WWFジャパンは政府に対し、このエコロジカル・フットプリントを、環境政策の指標として取り入れ、国の環境基本計画の中で積極的に活用することを求める要望書を提出しました。

また同時に、10月に名古屋で開催される生物多様性条約の第10回締約国会議(CBD/COP10)において、エコロジカル・フットプリントを、「ポスト2010年目標」の指標の一つとして明確に入れ、その軽減に向けた世界の取り組みを、議長国である日本がリードするよう、強く求めました。

エコロジカル・フットプリントの高い日本は、世界のフットプリント全体をも低下させることのできる、大きなカギを握った国といえます。

名古屋での国際会議を控えた2010年、日本が先進国の一員として、世界の国々に率先して、自らの社会を見直し、未来に向けた取り組みを打ち出してゆくことが期待されます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エコロジカル・フットプリント・レポート 日本2009
http://www.wwf.or.jp/activities/lib/lpr/WWF_EFJ_2009j.pdf

上記のサイトにはグラフなどもあって、とてもわかりやすくなっています。こうして「見える化」してもらえると、「特に効き目の大きなところ」がわかりますよね。化石エネルギーの利用と食べ物--毎日の暮らしでお世話になっているからこそ、毎日私たちは「変えていく」チャンスを手にしているのですよね。

さて、アイスランドはどのようなエコロジカル・フットプリントなのかな?地熱と水力をバックに、世界で最初に水素経済をめざしている同国の現状など、見てこられたらと思っています。地熱はありがたいけど(温泉も楽しみだけど)、火山活動はお休みしてくれることを願いつつ、、、行ってきます〜!

 

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