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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2010年10月26日

チェンジ・エージェントのコラム「企業戦略とシステム思考」 (2010.10.26)

システム思考を学ぶ
 

下旬に「"成長"を考え直す世界の動きについての勉強会」が始まります。

数十名の方からお申し込みをいただいています。地方なので毎回は出られないが音声ファイルで勉強するので、という方も何人かいらっしゃいます。関心をお持ちの方が多いことに心強い思いを抱き、一緒に考えていけることを楽しみにしています。

勉強会は大きなお部屋をとっているので、これからのお申し込みも大歓迎!です。ご興味のある方、ぜひどうぞ〜!

第1回は、「地球が100人の村だったら」で有名なドネラ・メドウズさんの論文「Indicators and Information Systems for Sustainable Development」から、成長や持続可能性を考える包括的な枠組みを提供してくれる章をじっくりと読み解いていきます。(原文は英語ですが、私が日本語で解説していきますので、英語は必要ありませんし、事前の準備なく参加いただけます)

今回はせっかくなので、「これまで何が成長してきたのか」「それらはどうつながっているのか」「見ていないが、さらにつながっているものは何か」を参加者で考える時間も設けようと思っています。システム思考のループ図を用いて、成長をめぐるさまざまな要因をつなげて描いてみるというグループ演習です。

ループ図って、本当に役に立つなあ!とよく思います。滑らかな思考を促してくれる道具です。自分のことでも組織のことでも、「何だかうまくいかないなあ」と思うと、私や仲間はよく、喫茶店の紙ナプキンなどにぐるぐるとループ図を書き始めたりします。(^^; それぐらい手軽なツールなんですよー。

ループ図だけじゃなく、「システム思考そのものが、さまざまな思考や手法、フレームワークのOS(オペレーティング・システム)なのだ」という興味深いコラムを、チェンジ・エージェントの小田がメルマガに書いていますので、ご紹介します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

http://change-agent.jp/news/archives/000370.html

コラム「企業戦略とシステム思考」

最近、ある企業の経営者研修の依頼を受けて、ビジネスでの事業戦略でのフレームワークや手法を整理しています。あらためて見て思うのは、よくできたフレームワークにはたいていシステム思考がその中核にあるということです。

マーケティングで中心的な考え方であるエベレット・ロジャースの『イノベーション普及理論』や、マルコム・グラッドウェルの『ティッピング・ポイント』は、市場や社会でいかに自己強化型ループを活用し、ティッピング・ポイントを迎えて、アイディアや商品の成長・普及を図るかについての本です。

エリヤフ・ゴールドラットの「制約理論(TOC)」では、ボトルネックを見出し、はずすことを重視しますが、これはシステム原型の『成長の限界』で制約を生み出すバランス型ループを弱めることに相当します。

マイケル・ポーターの「業界分析」の5つの力は、競争戦略を考える上でバランス型ループを作る5つのサブシステムです。W・チャン・キムとレネ・モボルニュの『ブルー・オーシャン戦略』は、そのバランス型ループが激しく回るレッド・オーシャンを離れ、新たなブルー・オーシャンともいえる市場を開拓するかについて論じています。

「プロジェクト・マネジメント(PM)」は、プロジェクトの主要要素の中でのトレードオフ(バランス型ループ)や好循環・悪循環(自己強化型ループ)をいかにマネジメントするかであり、エドワード・デミングの「トータル・クオリティ・マネジメント(TQM)」は、統計理論をのぞけば、学習する組織の3本柱とほぼ同じで、いかにシステムそのものの改善を図るか(ダブルループ・ラーニング)を目指します。

また、ポーターの「価値連鎖」では、価値提案をつくる各機能を部分で見るのではなく、いかにビジネス・システムとして統合するかを強調しています。

さらに、革新的なデザインで知られるIDEO社のティム・ブラウンの「デザイン・シンキング」は、分析・論理と洞察・クリエイティビティの双方を用いて、トータルなビジネス・システムの設計を行います。学習する組織、U理論でも、洞察やクリエイティビティの側面を重視しており、左脳型(論理)と右脳型(洞察)の接点となる点でも、最先端にあるシステム思考そのものという感じがします。

これらのフレームワークの英語の原書に当たれば、どれも「システム」という言葉を用いており、それはすべてシステム思考でいうところの「システム」を意味しています。(日本語で一般にいう「システム」は、機械論的なシステムを想起させ、あまり本来の意味で用いられてないようにも思いますが)

システム思考は、言ってみればさまざまなアプリケーション・ソフトを走らせることができるオペレーティング・システム(OS)に位置づけられるのではないかと思います。上に挙げたようなフレームワークや手法を取り入れる際、システム思考を知っておくと、その価値がさらに引き出せるでしょう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

もしシステム思考への興味が芽生えたら、ぜひこちらの書籍もどうぞ。

事例を中心としたシステム思考の新しい入門書
『もっと使いこなす! システム思考教本』(東洋経済新報社)

システム思考の紹介やツールの使い方を中心とした入門書
『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか』

じっくりセミナーで身につけようという方はこちらをどうぞ。3月には大阪・名古屋でも開催します!

○「システム思考トレーニング」 ベーシック・コース

システム思考の基礎とツールを1日で学ぶコースです。経営戦略演習をもとに、システム思考の氷山モデルと基本ツールを学び、複雑な問題構造のツボを見抜く力を開発します。ループ図を描くには欠かせないシステムの実体験に始まり、個人・グループワークやラーニングゲームを織り交ぜた人気コースです。対象は、企業役員、管理職から若手リーダーまで幅広い方にご参加いただいています。

2010年11月2日 東京開催 http://change-agent.jp/news/archives/000372.html

2011年2月16日 東京開催 http://change-agent.jp/news/archives/000382.html

2011年3月1日 大阪開催 http://change-agent.jp/news/archives/000383.html

2011年3月2日 名古屋開催 http://change-agent.jp/news/archives/000384.html

○「システム思考トレーニング」 アドバンス・コース

「システム思考トレーニング」アドバンスコースは、すでにベーシックコースを受講された方を対象に、システム思考を「使いこなす」力をつけるための知恵とわざを磨くためのコースです。実践編では、自分自身の課題についてシステム思考で視野を広げると共に、思考の内面まで掘り下げます。理論編では、ループ図ノックでループ図の描き方の練習を行い、さらにシステム原型、ストック/フロー、レバレッジポイントなどの上級の知識とスキルを身につけます。

理論編 2010年12月3日 東京開催
実践編 2010年12月4日 東京開催
http://change-agent.jp/news/archives/000373.html

○「学習する組織」リーダーシップ研修

組織開発、人事開発の担当者の方、そして、21世紀型の新しい組織リーダーシップを探究したい方には、「学習する組織リーダーシップ研修」がお勧めです。激しい環境変化の中で現場の一人ひとりが考え、実行できる組織をつくるための5つの基本領域を学び、21世紀型組織に求められるリーダーシップを開発します。

2011年1月28-29日
東京開催 
http://change-agent.jp/news/archives/000375.html

それぞれのセミナーの参加者のコメントを読んでいると、「参加することで、実感できる、深く理解できる、使いこなせるようになる」ことがよくわかります。

そうして実践を積みながら、そのエッセンスを一人でも多くの方に伝えられたら、と書籍プロジェクトも一生懸命進めている私たちです。。。

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