ホーム > 環境メールニュース > 2年半を「私の森.jp」の冒頭の言葉で振り返る(2010.12.15)

エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2010年12月15日

2年半を「私の森.jp」の冒頭の言葉で振り返る(2010.12.15)

森林のこと
 

「森と暮らしと心をつなぐ」ウェブサイト「私の森.jp」立ち上げて2年半がたち、ますます充実したサイトになってきました。
http://watashinomori.jp/

「日本の森が1年間に蓄えるCO2は?」というクイズあり、無料で自由に使える「写真部」の素敵な写真あり、さまざまな方々の思いと考えを聞く「あの人の森は?」コーナーあり、素敵な「今月のお薦め森製品」あり、スタッフのツイッターのつぶやきあり。

毎月1回、このウェブサイトの新しい情報掲載をまとめてお伝えする「月刊:私の森.jp通信」を出しています。

(登録はこちらから。http://watashinomori.jp/magazine/index.html

この月1回のメルマガの冒頭に、短いコメントを書いています。この間、その集積を読み返してみたら、この2年半の世の中の動きも感じられて面白かったので、ご紹介します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 01  2008.04.18

こんにちは。 このサイトを主宰する枝廣淳子です。

先月の19日にオープンした、森と暮らしと心をつなぐウェブサイト、 私の森.jp。ようやく歩き出したばかりのサイトを見ていただいた方から、 たくさんの共感や励ましのエールをいただき、心強い思いで感謝しています。

オープニングイベントに来てくださった方、 お忙しい中を本当にありがとうございました。木の香りのする、あの素敵な 時間を一緒に過ごしてくださって、とても嬉しく思います。 あの日、私はこんなことをお話ししました。

---抜粋ここから

全国のあちこちで、森でも町でも、そして人々の心の中でも、大切な動きがいっぱい起こっている。それをどうやったらつなぐことができるか。そしてどうやっ たら、状況を変える大きなうねりにしていくことができるか--そのことをずっと、私は考えていました。

山でもあり、町でもあり、人々の心の中でもある、そんな場所に市(いち)を立 てたいなあ、と思いました。市は、人々がモノの交換や売買をする場所です。そして、たくさんの人たちが集まる、そんな場所です。

現存する「あの山」や「あの町」のように、空間的に限られた場所ではなく、ど んな人も、思い立てばそこに行ける、そして市のにぎわいに参加することができる、自分の思いを出すことができる、森からの製品を買うことができる。そんな場所を作りたいと、ずっと思っていました。

その最初の試みが、この「私の森.jp」です。

(中略)

目に見える活動はウェブサイトですが、単なる情報提供だけではなくて、ここを ひとつの市として、実際にリアルの世界でも森へ行く人が増えて、森での活動が活発になっていく--そういうふうに進めていきたいと思っています。

同じような思いの、同じような活動がたくさんきっとあるし、これからも出てくると思います。そういったところと一緒につながって、力を合わせていきたいと思っています。

そうすることで、町の人たちは、ふっと日常生活の中でも、森に思いを馳せる時間を、きっかけを得ることができたり、森の恵みを使うことが、自分とどんなつながりがあるのかを見ることができたり、「自分ひとりやったって」という無力感に代わって、人々の思いを重ねれば大きな力になるんだという、その達成感ややりがいを味わったりすることができるようになっていけば、と願っています。

そして、大切なものを取り戻し、自分で考えて自分で選ぶようになる。それによって、自分自身の手綱を取り戻す--そんなきっかけになればと思っています。

---抜粋ここまで

 今日、また、私たちはこうして森のことを考えています。  ニッポンは、もうすぐGWですね(^^)  予定はこれからという方、「あなたの森」を見つけに出かけてみませんか?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 02  2008.05.19

こんにちは。 このサイトを主宰する枝廣淳子です。

山の緑が柔らかな美しい季節になりましたね。先日、那須高原の山に行きましたら、「2〜3日前からぱーっと緑が広がりました」とのこと。南北に細長い日本列島ですから、南から北まで、ぱーっと緑が広がっていくのですね! この季節は、本当に素敵だなあ、と思いました。

遠くからはきれいな森に見えても、実際には元気をなくしている森もたくさんあります。そして、あちこちで、そんな森を元気にしよう!と活動している団体やグループも日本中にたくさんあります。

そんな団体やグループをつないでいきたい。お互いの悩みや経験や知恵を共有することで、日本の緑がぱーっと元気になるように。「何かやりたいけど入口はどこだろう?」と迷っている人たちに、「こちらですよ〜!」と旗を掲げて教えてあげたい。

そんな思いで、私の森ネットワークのページを立ち上げています。
http://watashinomori.jp/networks/index.html

どうぞ、ご存じの団体やグループがありましたら、「ここに載ったら?」とお伝え下さいな。「こんな団体がありますよ」と私たち事務局にお知らせ下さいな。

森林に関わる人々や森林に関心のある人々が力をあわせることで、森の声を、都市にも産業界にも政治にも伝えていける力を生み出しましょう!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 03  2008.06.18

こんにちは。 このサイトを主宰する枝廣淳子です。

木造の家や校舎が増えるといいなぁ!と思っています。住む人にも勉強する人にもやさしくて、木材をたくさん使うことができて、温暖化防止にもなります。

名古屋市が、木造の市営住宅の建設計画を進めているそうです。名古屋市守山区に、3〜4階建て住宅数棟を建設し、2LDK、約70平方メートルの広さの50戸分を平成22年度にも完成させる予定とのこと。

国土交通省の試算では、鉄筋コンクリートの住宅1戸分の建材を製造する際に排出される二酸化炭素は約80トン。これに対して木造では約20トンと、4分の1ですむそうです。

耐震性にも考慮した造りで、建物の保温性や換気面も優れているため、エアコンを使う機会も減るのではないか、と期待されています。ただ、建設コストは鉄筋コンクリートと比べて約1割高くつくという指摘もあるとのこと。

ぜひ進めてほしいですね! そして、「ウチの近くにもこういう事例があるよ」「ウチの自治体では校舎を木造にしたよ」などの情報がありましたら、ぜひ教えてくださいな。

私、小学校の時の木造の校舎をよく覚えています。懐かしいなあ、と思うのも、あったかい木造だったからかも、と思うのです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 04  2008.07.18

こんにちは。 このサイトを主宰する枝廣淳子です。

先日、「天然住宅」の見学に行ってきました。
http://tennen.org/
> 「天然住宅」とは:国産無垢材など自然素材に徹底的にこだわり、健康でエコ
> な住まいを適正価格で実現。子育てに最適。日本の山&職人と直結。

なぜ、そしてどのように、「健康」によく、「省エネでエコ」で「安全で耐久性ある」「快適」で「経済的」な住まいなのか、そして、どのようなしくみをつくることで、山にお金がしっかり戻って、森林と職人さんが元気になる状態を作ろうとしているか、いろいろお話をうかがって、「私の森.jp」とも、私たちとつながっているみなさんを含め、日本の森について考え、取り組んでいる多くの人々の思いや活動と向かおうとしている方向性がとても重なっていることを実感しました。

日本のあちこちで、望ましい未来へ向かっての取り組みが始まり、広がっていることを日々感じ、うれしく心強く思います。ぜひ力を合わせることで、さらにその動きを加速し、大きなうねりにしていければ、と願っています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 05  2008.08.20

こんにちは。 このサイトを主宰する枝廣淳子です。

私の森.jpを公開して半年が経ちます。全国で森林のことに携わる人々と少しずつ「つながり」ができてきて、各地の森林に関わる情報が届くようになってきて、とてもうれしく思っています。

そして、お伝えしたい大事なことや思い、情報がどんどん増えてきています。そこで、私の森.jpでは、より幅の広い内容を、わかりやすくお伝えできるよう、サイト・リニューアルの準備をしてきました。

いよいよ9/9サイト・リニューアル予定です。

森の雑学や、森の写真部など、新しいコンテンツも加わりますのでどうぞお楽しみに!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 06  2008.09.22

こんにちは。 このサイトを主宰する枝廣淳子です。私の森.jpのリニューアルをご案内してから、森林に関わるたくさんの方々から嬉しい応援メールをいただき、みなさんが、それぞれの地域で私たちの森を次の世代にどうやって残すのか、真剣に考えてくださっているのだなぁと、心強く思っています。

さて、現在、林野庁が5年に一回の「全国森林計画」の改訂作業を行っているのをご存知でしょうか?「全国森林計画」とは、森林・林業基本計画に即して、全国の森林について、5年ごとに15年を一期としてたてる、森林の整備・保全に対する国の基本的な考え方や目標を長期的・広域的な視点に立って明らかにする計画。2035年までの長期計画で、全国の44の流域ごとの数値が載っています。

9月26日まで、この原案に対する意見を広く募集しています。森林に関わる活動をなさっている方、自分の地域の森林の25年後の姿に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

■「全国森林計画(案)」についての意見・情報の募集について
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/080910.html

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 07  2008.10.17

こんにちは、枝廣淳子です。

前号で私の森.jp写真部の発足をお伝えしたところ、さっそく素敵な作品が届きました! ご応募、ありがとうございました。

みなさまからお寄せいただいた写真と、編集部スタッフの投稿を併せて「使ってOK!写真部ギャラリー」をオープンしました。ぜひのぞいてみてください。どの写真も素敵ですよ〜。

この私の森.jp写真部は、全国で森の中で活動したり、森のために活動されている人たちが自由に使える写真素材集を提供したい、という思いではじめたコーナーです。

これらの写真は、非商用でしたら、みなさんのブログやホームページなどで自由にお使いいただくことができますので、ぜひご活用ください。

また、作品の応募もお待ちしております。来月は資料写真のコーナーも予定していますので、こちらもお楽しみに。

暦の上では冬ですが、日本の森では紅葉が美しい季節ですよね。今度の週末、あなたの森のベストショットを見つけに出かけてみませんか?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 08  2008.11.21

こんにちは、枝廣 淳子です。

いつも応援ありがとうございます。東京はだいぶ秋が深まり、冬の気配が強くなってきました。みなさま、いかがお過ごしでしょうか? お風邪など引かずお元気でしょうか。

さて、今号では、私の森.jp編集部がココロを込めて応援しているブログをご紹介させてください。

 ○0。「民ちゃんの山守修業日誌」。0○
 http://watashinomori.jp/tamichan/index.html

民ちゃんこと、民辻さんは家業の山守の仕事を修業中の若き女性林業家(見習い)。500年の歴史ある林業地・奈良県吉野川上村でお父さんの山守から仕事を習っています。現在の目標は「私らしく吉野の山守になること」だそう。このブログはそんな彼女の小さな日誌です。

森と一緒に生きる民ちゃんが自然体でのびのびと活動しているようすや、届けてくれる言葉や写真、読んでいると何だかうれしくなって元気が湧いてきます。まだご覧になっていない方はぜひ、こちらからどうぞ!

 ○山見
 http://watashinomori.jp/tamichan/2008/20080918_22.html

 ○山からの帰り道
 http://watashinomori.jp/tamichan/2008/20081015_30.html

 ○雪が降る前に
 http://watashinomori.jp/tamichan/2008/20081120_51.html

そして、もしよかったら、コメントをお寄せ下さい。記事の下にある「コメント」というリンクを押すと、投稿ができます。コメントがとても嬉しい!とのことで、ゆっくりですが、民ちゃんが応えてくれます。

吉野の森を守る民ちゃん。そんな民ちゃんの今後とその活動を、私の森.jpではゆっくりと見守り、応援していきたいと思っています。ぜひご一緒に。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 09  2008.12.19

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

先日、第10回を迎えた「エコプロダクツ展」に行ってきました。水泳の北島選手やジョン・カビラさんとのトーク、記念シンポジウムのパネル・ディスカションのコーディネータなどを務めるかたわら、にぎわう展示会場も見て回りました(広くて混んでいて、全部は回れませんでしたが……)

今年特にめだったことの1つは、“温暖化一色”から脱却して(まだまだ主流ではありますが)、生物多様性や森林に関わる展示やブースが増えていたことでした。生物多様性は2010年の名古屋でのCOP10をにらんでの動きでしょうし、森林に関しては、「保全」「生物多様性」「代替エネルギー(ベレットやバイオ燃料など)」などのさまざまな背景から、登場していました。

間違いなく、来年はさらに「森林」への注目度が高くなっていくと思います。その動機が、森を守りたいという人々の思いであれ、「ビジネスになりそうだ」という計算であれ、本当に日本の森を守る正しい方向へのうねりにつなげていきたい、と思っています。

私の森.jpで考えつつ、試しつつ、広げていきたいと思っています。ぜひご一緒に!

来年もよろしくお願いいたします。どうぞよいお年をお迎え下さい。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 10  2009.01.19

みなさん、あけましておめでとうございます、枝廣淳子です。昨年は「私の森.jp」を立ち上げ、少しずつつながりを広げ、コンテンツを拡充してきました。今年ももっと広げていきたいと思っています。

(メルマガを読んで下さる方ももっと増えていったらうれしいなあと思っていますので、ぜひお友だちやお知り合いに登録をお薦めいただけたらうれしいです。登録はこちらから。
http://watashinomori.jp/magazine/index.html

さて、日本の森林をめぐる状況は、今年どのように展開していくのでしょうか?国産材に対する市場の興味が大変高まってきており、木材自給率も20%を超え、さらに上昇しそうとのこと。これはうれしいいニュースですね!

でもその一方で、折からの金融不安もあって、林業経営そのものが困難な状況から脱する見通しが立っていない林業家や林業関係の企業も多いと聞きます。このように経済的な観点からも、森林を考えていく必要があります。

また、来年2010年には名古屋で、生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)が開催されます。生物多様性の保全という側面からも、森への期待は大きくなりつつあり、企業の森に対する取り組みもいろいろ始まっています。これからも増えていくことでしょう。

森林・企業・自治体・消費者、生活者である私たち……いろいろな主体をつなぎながら、もっともっと日本の森を応援していきたい、本質的な解決策を模索していきたいと思っています。

今年は、実際に森に行く「私の森ツアー」や、セミナー・勉強会などの開催を計画中です。ぜひお楽しみに!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 11  2009.02.19

こんにちは、枝廣淳子です。

桜の蕾もほころびかけて、春の足音がもうすぐそこまで聞こえる東京から私の森.jp通信2月号をお送りします。

まずは、私の森.jp 写真部 からの嬉しいお知らせです〜。

写真部ギャラリーに掲載している作品がとても評判が良く、これまでに3作品が、雑誌3誌に掲載され、私の森.jpの宣伝に一役買ってくれました!

 ○平島安人さん/長峰山の木漏れ日
 http://watashinomori.jp/go/photo/wm00004/detail.html]
 ○私の森.jp スタッフSさん/吉野杉/奈良吉野原生林
 http://watashinomori.jp/go/photo/wmd0003/detail.html
 http://watashinomori.jp/go/photo/wmd0001/detail.html

ありがとうございました。各写真の詳細ページに掲載履歴を載せましたのでのぞいてみてください。

それから、季節の変わり目なので、新しい募集テーマを追加しました。新テーマは「光と陰」「春が来た」「おいしそう!」です。

どうぞ、ご自分の感性で撮った写真を写真部ギャラリーに加えてくださいな。写真を通じて、私たちの森を元気にする活動を応援してください。

応募要項はこちらにあります。
http://watashinomori.jp/go/photo_guide.html

それから、もう一つ、とても気になることがあります。日本の木材自給率については、クイズなどでも掲載してきましたが原油高や中国の需要増加などの影響から、僅かながらここ数年は上昇の兆しがありました。

しかし今また、世界的な金融危機と円高の影響により、ふたたび多量の外材が輸入される見通しとなっていると聞きました。ようやく上向いてきたばかりの国産材の需要がまた減っていかないよう、みんなで国産材を選び、日本の森を応援していきたいと思っています。

日本の木材自給率は?
 http://watashinomori.jp/knowledge/quiz_06.html

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 12 オープン1周年記念号! 2009.03.19

こんにちは、枝廣淳子です。

私の森.jp が1才の誕生日を迎えます!

多くの方々に支えられ、応援していただき、少しずつ広がりを創り出してきた1年間だったと、とてもうれしく感謝しています。本当にいつもありがとうございます!

この1年、日本の森をめぐる状況もさまざまに変わってきました。温暖化問題の関連で、森林の新しい側面(二酸化炭素の吸収源)にもスポットライトがあたりはじめ、今後も大きな動きとなっていきそうです。(じょうずに活かして、都市から森にお金が戻るしくみづくりができれば、と思っています)

これからの1年はどのように展開していくでしょうか。日本の森、みなさんのご活動、そして、私の森.jpも。

連携しながら、思いを重ねながら、もっと大きな広がりを創っていきましょう。

では、今月も”森”沢山の、「私の森.jp」をお楽しみください。1周年記念プレゼントもありますので、お楽しみに!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 13  インドネシアから日本の森を想う 2009.04.17

こんにちは、枝廣淳子です。

今月上旬にインドネシアへ出張してきました。

バリ島で持続可能な漁法に替えた漁民グループへの取材や、地元NGOスタッフとのシステム思考を活用したプロジェクト戦略を考えるワークショップの開催などがメインの目的でしたが、国立公園でのバードウォッチングや、サンゴ礁の島でのシュノーケリングなども楽しむことができました。

バリ島の西部国立公園には、熱帯雨林、マングローブ林、サバンナ、海洋など5つもの生態系があって、とても興味深かったです。

さまざまな樹木の間を飛び交うさまざまな鳥たちの姿を見せてもらいながら、森林のもつ力や多様性の姿を実感してきました。

日本の森林を守るためにも、システム思考を活用していきたいと思っています。何が何につながっているのか、都会と森をどうやってつないでいけばよいのか。インドネシアの森林の中で、日本の森にも思いを馳せていたのでした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 14 森と「なりわい」のつながり 2009.05.21

こんにちは、枝廣淳子です。

先日、豊田市の「豊森なりわい塾」の開校記念の会で、講演をさせてもらいました。30人の塾生が2年間にわたって、座学と現場での実践を積んでいくとのこと。きらきらした瞳の塾生のみなさんと話をしながら、とても心強く思いました。

これは、豊田市とトヨタ自動車、NPO法人地域の未来・志援センターがコラボレーションして、森林を活用した「人づくり」「地域づくり」「仕組みづくり」をしていく活動で、森を中心とした自然生態系の利用を軸とする地域循環型・持続型社会の仕組みが生まれ、暮らしの中で人と人の心を結び直す「豊森モデル」を構築することをめざしているそうです。

「豊森なりわい塾とは、山里で自然の恵みに根ざしたなりわいで生きていきたい人、まちに暮らしながら、山里とのつながりの中で生きていきたい人のための塾です。」

森と「なりわい」をしっかり結びつけること、これがいまの日本の森林にいちばん大事なことのひとつだと思っています。各地の森林で、さまざまな形でこの方向への取り組みが始められていることを感じます。

大きくなあれ! 森林となりわいがごく自然につながっている日々を夢見て、各地の取り組みにエールを送ります。私もがんばりますー。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 15 とっておき!?の森林吸収量と日本のビジョン 2009.06.19

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

2週間ほど、世界一周の旅をしているピースボートに乗ってきました。私はギリシャから乗船し、イタリア、スペイン、フランスを経て、スウェーデンで下船して、帰国しました。

スウェーデンも日本と同じように、雨が多く、森林に恵まれた国です。スウェーデン在住の方が、こんな話をしてくれました。

「かつては、山村は過疎化と高齢化が進み、森林は荒れ始めていました。でも、政府がエネルギー政策として、化石燃料に頼るのではなく、国内資源である木材を使おう!と決めて、税制などを変えることで、森林資源を活用する方向にシフトしてきました。かつては石油に頼っていたいまでは暖房などのエネルギー源は、そのほとんどが木質バイオマス(木材)になっているんですよ。

エネルギー自給率はあがり、二酸化炭素排出量は減り、そして何よりも、山村に活気が戻ってきたのです。かつては見捨てられていたような過疎の村や森林が、国の主要なエネルギー源として大きく期待され、お金も回るようになりましたから。今では若者も含め、山村に住むのがひとつのステータスになっているんですよ」

どういう国にしたいのか--そのビジョンをしっかり持って、政策で実際に変えていくことができることを、スウェーデンは示してくれています。日本も、温暖化対策の中期目標の数字遊びなんかしていないで、早く国づくりも含めたビジョンを掲げて、進んでいかなくては!と思っています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 16 この夏、「森」を見つけませんか? 2009.07.24

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

先週、尾瀬に出かけてきました。緑の山々と青い空を背景に、一面に咲き誇るニッコウキスゲが黄色い絨毯のように風に揺れる、夢のように美しい風景の中を、2日間で20キロほど歩いてきました。森の時間を感じ、自然のペースで時間を過ごし、とても気持ちよかったです。

ところで、来週から東京の三軒茶屋で『森_Living』展が開催されます!せたがや文化財団が主催するこの展示に、私の森.jpは企画協力として参加しています。

リビングルームに居るように、森をゆったりと感じて、森に想いを馳せてみようというこの催し、私の森.jpとは相性がバッチリ。

私の森.jpイチオシの森製品を、実際に手に取って購入いただけるコーナーや、私の森.jp写真部から、選ばせていただいた作品の展示も準備中。会場は適材適所さんが準備してくださる、杉チップのやさしい香りで包まれます。そして、メインは木村崇人氏のアート作品。森をテーマにした空間展示だそうで、こちらも楽しみです。「森の聞き書き甲子園」プロジェクトから森の名人をお呼びしてお話を伺うトークイベントもあるとのこと。

東京近郊にお住まいの方、この夏、森に行く予定がある人も、ない人もぜひお出かけください。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 17 目を閉じて森を想う 2009.08.24

こんにちは、枝廣淳子です。

最近、森について取り上げたり特集を組んだりする雑誌が増えてきたなあ、と思いませんか?

私たちが「私の森.jp」を立ち上げたいと試行錯誤していた頃は、森が一般の人々に注目されることはほとんどなくて、その状況を何とか変えたい!と活動してきたので、最近の動きはうれしいなあと思っています。

森への関心が一過性のブームで終わることなく、「本当に大切なことを大切にする」ひとつのきっかけや機会につながるよう、「私の森.jp」もがんばって伝え、つなげ、うねりを創り出すお手伝いをしていきたいと思っています。

どんなに忙しくても、パソコン画面を見過ぎて疲れた目を閉じれば、森のいろいろな緑の色や、風とこもれ日のダンス、せせらぎの音などが脳裏に浮かんでくる私はとっても幸せだなあと思う今日この頃です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 18 森の恵みの再発見 2009.09.25

こんにちは、枝廣淳子です。

鳩山首相が「2020年に25%削減するぞ、ほかの国もついてこい〜!」とステキな発表をしましたね。ようやく国際的なリーダーシップをとれそうですし、国内もこれを契機に(往生際の悪い方々にもようやくあきらめていただいて)がんがん進んでいくとよいですね!

この25%には、森林吸収分や他国からの排出枠の購入も含まれます。日本の森林がどのくらい吸収できるかは、どのくらいきちんと手入れがされているか、そのための資金が森に回っているか、人々の思いとまなざしが森に向かっているか、によります。私の森.jp も思いをもつみなさんといっしょに、できるだけ進める力になりたいと思っています。

さて、温暖化については、途上国からの自主的な取り組みの発表や報告も相次いでいます(先進国から削減の枠をかぶせられないための先手でもあります)

ブラジルでは、森林伐採防止のために、外国人の土地取得を制限する法案を作成中とのこと。森林伐採によるCO2排出量の増大が途上国の大きな問題なのですが、その背景に、外国人が土地を買っては伐採してしまう、という構造があるのですね。

しかしそれより、この「外国人の土地取得制限、日本の森林にも必要では?」と思ったのでした。(おそらく水源を求めて)日本の森林を中国などが買いに来ているという話を聞きます。日本の森林はいまはお金になりませんから、売れればラッキーと売ってしまう山が増えていけば、日本の水を抑えられてしまうことになりかねません。

もしこの問題についてご存じの方がいらしたら、ぜひ情報をお寄せ下さい。しっかり考えていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●月刊:私の森.jp通信] Vol. 19 秋の森の過ごし方 2009.10.28

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

気持ちのよい季節になりましたね!実りの秋、スポーツの秋、勉学の秋……どんな秋をお過ごしでしょうか。

私は今、アル・ゴア氏の『不都合な真実』につづく新著の翻訳を一生懸命進めているところです(今回もまた信じられない納期で……)。

翻訳をしながら、『不都合な真実』が世に出た時から、今までのほんの数年の間に、日本も世界も、大きく変わってきたことを痛感しています。人々の温暖化に対する意識もそうですし、世界の政治の舞台で温暖化がメインテーマになる日がこれほど早く来るとは(ゴアさんでも)思っていなかったのではないかなあと思います。

変化の時代です。こういうときは、小さな力で大きく物事や状況を動かせる可能性が生まれます。じーっと状況を見て、物事のつながりを見抜き、どこを押せば、どこが動かせるか作戦を練り、わかりやすく伝えることで味方を増やし、そして、うねりを作り出していきましょう!

秋の一日、ぜひ森の中での作戦タイムをどうぞ。いつもと違う発想が生まれてくること、間違いなし!です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 20 森と、どんな時間を過ごしていますか? 2009.11.30

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

あっという間に、街も秋から冬の装いに変わってきましたね。お風邪など引かず、お元気でいらっしゃいますか。(私は、珍しく風邪を引いてしまい、鬼の霍乱と言われております。。。^^;)

12月10〜12日、東京ビックサイトで、エコプロダクツ展が開催されます。日本最大の環境展示会で、昨年の来場者は16〜17万人とか。今年も、エコブーム、25%削減、コペンハーゲンでの温暖化交渉(COP15)など、さまざまなキーワードと動機で、多くの方が来場することでしょう。

エコプロ展には、森をテーマに活動しているNGOや、木材を扱っている事業者さんたちなども、いろいろなブースを出し、自分たちの活動や製品をアピールしています。

「私の森.jp」としてはブースを出しませんが、姉妹ウェブサイトである「日刊 温暖化新聞」は小さなブースを出し、号外の新聞を配ります。このブースで、「私の森.jp」のすてきなチラシも配る予定です。よかったらぜひ受け取りにいらしてください〜。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 21 今年も、森へ。 2010. 1.21

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

新しい1年が始まりましたね。私たちのそれぞれにとって、そして日本の森にとって、どんな1年になるのでしょうね? どんな1年にしていきたいでしょう?

さて、先日、この「私の森.jp」のファウンディング・スポンサーである東京電力の影山環境部長とお話をさせていただきました。対談内容は、来月アップ予定ですので、お楽しみに!
(※こちらにあります。http://watashinomori.jp/csr/tepco/interview_1.html

いろいろなお話をうかがう中で、「緑の資産」という、とても魅力的なキーワードを教えていただきました。

企業にとっても地域や国にとっても、これまでバランスシートやGDPの計算には入っていない「緑の資産」の価値がこれからどんどん大きくなってくると思います。これまでの計算や考え方ではなかなか見えないこの価値を、どうやって「見える化」し、進捗を測り、企業や国の運営にフィードバックしていくか。

年明けには、「昨年はこんなことをして、緑の資産を増やしたんですよ」「おお、いいですなぁ。ますます緑持ちになりましたね」なんて会話が交わされる日を夢見て。

今年もみなさんにとって、素敵な実りある1年となりますように。どうぞよろしくお願いいたします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 22 森は誰のもの? 2010. 2.17

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

昨年12月に出版されたアル・ゴア氏の『不都合な真実』の続編(問題解決編)の『私たちの選択』(http://bit.ly/8NsFsN )では、18章にわたって展開されるさまざまな解決策の重要な1つとして、「森林」の章があります。具体的な森林の吸収源としての重要性なども説明されていますが、いろいろと考えさせられる点がほかにもあります。

たとえば、ゴアさんは「今私たちは途上国に対して、温暖化が悪化するから木を切るなと言っているが、ヨーロッパや北米の国が発展していたころ、私たちも、自国にあった森林の多くを切り倒した。米国だってかつては、大西洋からミシシッピ川まで、森林に覆われていたのだ」と言います。

「私たち先進国は、今は温暖化の危機があるから同じことをしてはいけないと途上国に言うが、それに反感を持っている国も多い。自分たちは自分たちの経済を開発し、国民を貧困から救い出す必要がある、自分たちの資源をどうするかは自分たちに決める権利があると考えているからだ。だから、アマゾンの熱帯雨林のように、そういった国々にある森林を守ろうと他国が努力することに抵抗することもある」と。

森は誰のものなのでしょう? みなさんはどう思われますか?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 23 2周年、春のリニューアル! 2010. 3.26

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

春がやってきましたね! 小さい頃から「はーるがきた、はーるがきた、どこにきたー山にきた、里にきた、野にもきたー」という歌が大好きでした。

先日、長年にわたって春日大社の神官をつとめられ、権宮司をされた中東弘さんという方の対談を読んでいたら、こんなすてきなお話がありました。

「日本には昔から、草木からすべてに神々が宿っているという思想があるが、特に森や山は神様の領域として考えてきました。そもそも仏教が入ってくるまでは御本殿などの建物はなかったと言われています。山そのものが御神体で御本殿だったのです。特別な日に人々は神様の山へ入ってお祭りをする。それでもって穢れを払いました」。

「穢れはいまは不浄なものという概念ですが、もともとは「気が枯れる」こと。年を取ったら気が枯れて、病気になって死んでいくのですが、昔の人たちは山に入ってお祭りをして、神様の大いなる気をいただいて弱った気を元に返していました。だから「元気」っていうんですよ」。

忙しい毎日だと思いますが、神様に「元気」にしてもらいに山に行ってみませんか?

さて、満2歳になった私の森.jp、この度、春の衣替えをしました。リニューアルしてより見やすくなった私の森.jp、今月のラインナップをどうぞ!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 24 あの人は組み木絵作家! 2010. 4.26

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

先日、音楽家の坂本龍一さんとお話しする機会がありました。ある企画の収録のためだったのですが、お会いするのは4ヵ月ぶりかな? 会場での待ち時間に、more trees の最近の展開についていろいろ教えてもらいました。

more trees はご存じの方も多いと思いますが、坂本龍一さんのほか、桑原茂一さん、細野晴臣さん、高橋幸宏さん、中沢新一さんが発起人になって立ち上げた取り組みで、自治体や森林組合、民間と連携した森林整備を進めています。(私も賛同人として名を連ねています)http://www.more-trees.org/

「九州に行ってきたんですよ」。今回、熊本県小国町、大分県日田市、宮崎県諸塚村の3箇所で森づくりがスタートし、その調印式に行かれたとのこと。「森がすごく深くてねー」「日田ではどうやって木材を乾燥していると思います?」と目をきらきらさせて語る坂本さん。

坂本さんのような人間の文明という大きなフレームワークからの取り組み、ほかにも、温暖化対策としての森林吸収源の整備、目前に迫るエネルギー危機に対するバイオマスエネルギーの可能性を実現するための取り組み、生物多様性という観点からの森づくりなど、日本には「森林をあるべき姿にする」方向への追い風がびゅんびゅん吹きつつあります。

追い風を受けて進んでいる地域や自治体もあれば、まだ吹いている風を感じていない地域や自治体もあります。

しっかり帆を上げて、風をじょうずに受けて、進んで行かれますよう!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 25 日本の森の歴史ってすごく面白い! 2010. 5.31

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

「コモンズの森」って聞いたこと、ありますか?

(ここから引用)

コモンズの森。それは「共有の森」という意味です。 豊かな日本の森林を、誰も管理しない荒れ果てた山にするのではなく、お金になるからといって海外の資本に売却してしまうのでもなく、そこで生活する林産地の人たちと共に守っていきたい。そう考えて、私たち天然住宅バンクはコモンズの森をつくるための出資を募集します。

(引用ここまで)

集めた出資金は、まず260haある宮城県の栗駒の森を守っている栗駒木材(株)に融資をする計画だそうです。 融資金利(2%)と伐採や植林などの山の手入れの費用と相殺して、実質金利0%での融資です。山を守っている人々はどんなにうれしく心強いことでしょう。気持ちだけでは山は守れないからです。

守りたくても先立つものがない……。そんな状況を変えていく手伝いを、私たち町に住む人たちにもできる。都会の人々が思いを馳せて、気持ちをつなげて、お金を出資することで、良い方向に状況を現場から変えていくことができる。

「最初は栗駒で行いますが、その次にはいろいろな地域の良心的な林業者と一緒に 『日本中の森林』で広めたいと思っています」とのこと。

この取り組みをぜひ応援し、見守っていきたい!と思っています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 26 木材の炭素固定認証はじまる? 2010. 6.29

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

この春から、温暖化対策の中長期ロードマップ小委員会に参加しています。この委員会ではここ2ヶ月ほど、各業界団体や先進企業・自治体などのヒヤリングが続いています。

先日、港区のヒヤリングがありました。港区では、「二酸化炭素固定認証制度」を考えているそうです。たとえば、港区で国産材を使って建物を建てたら、その建物が固定するCO2を計算して、認証しましょう、という制度です。ゆくゆくはクレジット化も考えているようです。

どうやって、建物などのCO2固定量を計算するのでしょう?

CO2固定量=木材使用量×容積密度×炭素含有率×44/12

例えば、スギの場合、容積密度は0.314、炭素含有率は0.5

港区のエコプラザでは、60m立方メートルのスギを使っていますから

 60×0.314×0.5×44/12=34.54トンのCO2を固定されている

と計算できるそうです。

世界的にも、炭素固定への熱い注目が集まり始めています。何らかの制度や認知になると、国産材への追い風になるでしょう。山の方は、そんな動きを見守りつつ、準備体操をはじめて下さいね!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 27 森貯金てどんな貯金? 2010. 7.30

みなさん、こんにちは! 枝廣淳子です。

面白い取り組みを知りました。山形県が、「絆(きずな)の森貯金通帳」という制度を始めたそうです。植栽や除伐・間伐、枝打ちといった森づくり活動に参加すると、通帳を発行してもらえるそうです。活動ごとに設定された削減CO2量を「記帳」していくというもの。

「どれぐらい貯まったかな〜」と通帳を見るのはよくあるシーンだと思うけど、そこには汗をかいて得られた削減CO2量が載っている、って面白いですねー。

どれだけの汗と作業と思いが積み重なっているかを「見える化」する、面白い取り組みだと思いました。

こういうくふう、特に活動を続けてもらうためのくふうって大事ですよね。モチベーションに効果的につながり、かつ、事務的な手間が大変になりすぎない、というバランス感覚も大事。

今取り組んでいる活動に「もうひとくふう」、夏休みに考えてみませんか?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 28 エダヒロ父の作品登場! 2010. 8.31

みなさん、こんにちは。 枝廣淳子です。

夏休みの社員旅行で、清里へ行ってきました(涼しかったです〜!)キープ協会の方に自然散策に連れて行っていただいたときのこと、森の中で目の前をぱーっと鹿が走っていきました。みんな「わあ、鹿だ!」と大喜び。

でもキープ協会の方は眉を曇らせて「最近、ここでも鹿が増えていて大変なんですよ。50頭ぐらいで牛のための牧草地で優雅に食べていることもあります。ここから追い払っても、山に戻るわけではなく、もっと里に近いところに行ってしまうから、手も打てなくて」と。

「鹿は木の樹皮を食べちゃうんです。ぐるりと樹皮を剥かれちゃうと、木は枯れて倒れてしまいます」

話を聞きながら、思い出したことがあります。「皮むき間伐」ってご存じですか?

木を切り倒すのではなく、樹皮をぐるりとはぎ取って木を立ったまま枯れさせる、新しい間伐のやり方です。これだと、チェーンソーもいらないし、子どもにもできます。立ったまま枯れていく間に水分が抜けるので、運び出すのも簡単だし、建材としても質がよいそうです。

いまあちこちで取り組みが広がっています。

印を付けた木の樹皮だけを食べてくれれば、「鹿さん、皮むき間伐で大活躍!」なんて、感謝されるのになあ、、、と思いながら、鹿が走り抜けた斜面に揺れるクマザサのカーペットを見ていました(そうそう、ついでにクマザサも食べてくれるとうれしいですね! ^^;)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 29 「山即海」で「クニ」をつくる人って? 2010. 9.30

みなさん、こんにちは。 枝廣淳子です。

9月に10日ほどアイスランドに出張に行っていました。

アイスランドといえば、こんな話を聞いたことがあります。「アイスランドがデンマークの植民地だったとき、“アイスランド”(氷の島)という名前が作り出す住みにくいというイメージから、本国から人を送り出すのが大変だった。だから、次の島には“グリーンランド”と名づけたんだよ。本当は、アイスランドの方がグリーンランドよりずっと緑が多いんだけどね」。(^^;

首都レイキャビクやそこからバスで1時間ほどの郊外のホテルでの合宿でしたが、日本のような緑の山があちこちに見えるという感じではなく、街路樹などはもちろん豊かにあるのですが、少し行くと、緑ではなく、茶色〜灰色の風景が広がります。溶岩のごつごつした山や崖のあちこちから、白い湯気が大きくあがっています(地熱エネルギーの出口ですね)、火山の島なんだなあ、という感じです。

以前、オマーンに行ったときも、行けども行けども赤茶けた砂の風景に、日本の森ががとても恋しくなりましたが、グリーンランドよりはグリーンなアイスランドで、やっぱり日本の緑の山を恋しく思い出していました。

暑い暑い夏を乗り込んで、山もきっとほっとしていることでしょう。秋のはじまりの森に、ちょっと思いを馳せてみませんかー?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 30 今月のあの人は、彫刻家の三沢厚彦さん! 2010.10.29

みなさん、こんにちは。 枝廣淳子です。

今月29日まで名古屋で開催されていた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)のゆくえを注目されていた方も多いことと思います。

生物多様性と森林は密接につながっていますよね。

「生物多様性の観点から言うと、天然林はいいけど人工林はあまりよくないんじゃないの?」という声も良く聞きます。でも手入れのされた人工林は、天然林に負けないほど(場合によってはそれ以上に)生物多様性を保全する力があるという調査もあります。

COP10のお膝元である愛知県は、奥三河地方を対象に、2年がかりで地形・地質、植生などの状況、希少種を一覧表にまとめた「奥山環境カルテ」を作成しています。

資料を見ると、奥山の78%はスギやヒノキといった人工林にもかかわらず、愛知県の「レッドデータブック2009」に載っている絶滅の恐れがある一般の植物587種のうち304種、コケ植物も68種のうち45種が生息していることがわかりました。動物も哺乳類18種、鳥類40種、昆虫60種など、希少種の半数程度が確認されたそうです。

ご参考:奥山生態系保全の考え方(本編)
http://kankyojoho.pref.aichi.jp/DownLoad/FileInfo.aspx?ID=85
動物も植物も、人間みたいに「ここは天然林」「ここからは人工林だ」なんて区別していないんですよねー。「ここは居心地がいい」「ここは生きにくい」ってことだけなんでしょうね。天然林でも人工林でも「ここは気持ちいい〜!」という場所が増えていきますように!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

●[月刊:私の森.jp通信] Vol. 31 癒される森のまとめ情報ありマス♪ 2010.11.29

みなさん、こんにちは。 枝廣淳子です。

先日、坂本龍一さんたちの進められている more trees の最近のお話を聞きました。国内で8番目(海外も入れると9番目)の more trees の森が新潟で立ち上がるそうです。着々と広がっていてすごいですね!

「これまでは植林活動をおこなって、森林吸収によるオフセットを中心にすえた活動をしてきましたが、今回はエネルギー利用による排出削減がメインとなる新しいチャレンジです」とのこと。

木材は材として使えるものはもちろん材として使いながらも、端材や廃材はエネルギーとして活かすことが、大量の木材を活用することで森林を守れるという点からも、日本のエネルギー自給率(安全保障)の点からも、大事なことだと思っているので、「今回の取り組みはすてきですね!」とエールを送ったのでした。

いま政府で検討中の自然エネルギーの固定価格買取制度でも、バイオマスエネルギーがどのように位置づけられ、どのように扱われるか、森林やエネルギーに関わるすべての人の関心の的だと思います。

この固定価格買取制度を含む「温暖化対策主要3施策」に関する国家戦略室のヒヤリングに呼ばれ、発言してきました。短期的思考に陥らず、日本の行く末をしっかり見据えた政策を打ち出してほしい!と切に願っています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「月刊:私の森.jp通信」、よろしければぜひ登録下さい。
http://watashinomori.jp/magazine/index.html

「不定期って好きなだけ出すってことなんだね……」というどこかのメールニュースとは違って、「月に1本」という節度あるメルマガでございます。(^^;

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ