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「放射線に関する情報を(少しでも)自分で判断できる力をつけるために」(その1)放射線って何?(その2)「放射線」と「放射能」と「放射性物質」を区別しよう(その3)放射線や放射能の「単位」に気をつけよう
つづきをお届けします。今回は(その4)
「危険な放射線」と「日常生活で普段浴びている放射線」を区別しよう です。
本シリーズは、放射線医学総合研究所の保田浩志氏に監修していただいています。
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「放射線に関する情報を(少しでも)自分で判断できる力をつけるために」(その4)「危険な放射線」と「日常生活で普段浴びている放射線」を区別しよう
身体が放射線にさらされることを「被ばく」と言います。
★ちょっと注意★「ひばく」を漢字で書くと、「被ばく」のほか、「被曝」と「被爆」があります。
「被曝」と「被爆」は、発音が同じうえ、意味や漢字が似ているため、よく混同されています。厳密に言えば、「被曝」は「被る+曝露(ばくろ=通常と異なる環境中に何かを置くこと)で、多くの場合「放射線にさらされること」を意味します。
それに対して「被爆」は「被る+爆発」で、爆発に伴う衝撃などを受けること」を意味します。ただ、「核兵器による被害を受けること」という意味もあるため、しばしば「被曝」と混同されがちです。
そこで、「曝」という漢字が常用漢字に入っていないこともあり、「被曝」は通常「被ばく」と書きます。
放射線というと、X線検査や原子力発電所を思い浮かべる人が多いと思いますが、自然界にも、宇宙から地上に降り注いでくる宇宙線のように微弱な放射線が存在しています(「自然放射線」と呼ばれます)。
自然放射線は食べ物にも含まれています。代表的なものは「カリウム40」で、大地や海水に含まれていたカリウムを植物や動物が吸収し、それらを私たちが食べることで体内に取り入れ、体内から放射線を受けています。そのレベルは年間0.1〜0.2ミリシーベルトで、人体に影響のあるレベルではありません)
自然放射線の量は、地域によって違いますが、1年間に受ける放射線量は世界平均で2.4ミリシーベルトです。
国連科学委員会の2000年の報告によると、その内訳は「呼吸」からが1.26ミリシーベルト、大地からが0.48ミリシーベルト、飛んでくる宇宙線からが0.39ミリシーベルト、そして食物からが0.29ミリシーベルトとなっています。
日本での自然放射線の量は、ラドンの寄与が少ないことなどから、年間1.5ミリシーベルト程度とされています。
ほかに、X線検査やCTスキャン検査など、病院での医療等によるもの人工放射線による被ばくもあります。
たとえば、胃のX線検診を1回受けると、0.6ミリシーベルトの被ばく、CTスキャンは1回で7ミリシーベルト程度の被ばくとなります。こうした検査の回数に制限はなく、もっと高い線量になる可能性もありますが、放射線を受ける人が自分の健康を維持するために納得して行うものですので、特に問題は生じないでしょう。
こういった日常生活で普段浴びている自然放射線や、きちんと管理された範囲での医療などによる人工放射線による被ばくについては、人体への影響は問題ないと考えられています。
前回「一般の人の線量限度は年間1ミリシーベルト」と書きましたが、これは、こういった日常生活で自然に浴びている自然放射線や医療で用いる放射線の"他に"受ける放射線の量です。
ときどき「放射線は日常生活でも自然に浴びているのだから、少々増えても気にすることはない」という声を聞くことがあります。逆に、「わずかの放射線でも危ない、ゼロでなくてはならない」という声も聞きます。
どちらも間違っています。私たちは確かに日常的に自然放射線の被ばくを受けています。だからといって、放射線をいくら受けても大丈夫、というわけではありません。自然界の放射線と、原爆や原発事故などから出てくる「人為的な」放射線は区別する必要があります。
一方、「放射線はゼロでなくてはいけない」というのも偏っています。私たちはふつうに暮らしているだけでも、年間1〜2ミリシーベルトの被ばくを受けていて、このオーダーの被ばくは健康に影響のないものです。「放射線ゼロ」の環境に住みたかったら、宇宙はもちろん、地球にはいられません。あるレベルの放射線はつねにどこにも存在しており、それが2倍に増えたとしても、人体に影響はありません。
大事なのは、自然に浴びている問題のないレベルの放射線に加えて、どのくらいの人為的な放射線に被ばくすると問題なのか、という点です。
(放射線医学総合研究所の保田浩志氏に監修していただいています)
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では、自然に浴びている問題のないレベルを超えた放射線を浴びると、人体はどういう影響を受けるのでしょうか?
その影響には2種類あります。シリーズ次回は、その区別ができるようになるための説明をお届けする予定です。
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