今回の東京電力原発事故を受けて、いろいろなメールがたくさん届いています。(個別にお返事できなくてごめんなさい!)
拝読していると「自分の使っている電力」に対して、罪悪感を抱いている方もたくさんいらっしゃることがわかります。
スウェーデンなどでは、「自分の使う電力」を選べます。電源によって価格は違いますが、「ウチは風力発電の電気をちょうだい」って具合に選べるのです。
いまの日本では、地元の電力会社の考え次第である割合の原子力発電の電力が混ざってしまいますが、もし日本でも「自分の使う電力」が選べたら……?
そうしたら、「少なくても自分の使う電力は、あの地の原子力発電所から来ていたわけではない」と、個人的な罪悪感は少なくてすんだのかも。。。
当面は「この夏の電力不足をどう乗り切るか」の議論が盛んになるでしょうけど、もう少し中長期的に「これから日本のエネルギーをどうするか」という議論では、「それぞれの人が自分の使う電力を選べるようにする」こともぜひ進めていってほしいと思います。
エネルギーのシフト(転換)は一朝一夕にはいきません。発電所を作るにも多くの場合、数年〜数十年かかりますものね。
そう考えると、「いますぐどうしたいか」と「長期的にどうしたいか」を分けて考えることが大事だと思います。
「いますぐ」を考えると、たとえば、夏の電力不足を乗り切ることを考えれば、自然エネルギーを短期間で大きく増やすのも限界があるので、火力発電を増強することも必要、となるかもしれません。
でも、「長期的に」と考えれば、移行のための時間を見込めるので、長期的には、原子力発電はなくして、化石燃料への依存は減らして、自然エネルギーが主役のエネルギーにしていきたい、ということも考えられます。
原発事故後に、いくつかの「エネルギーについての世論調査」がおこなわれていますが、どうも、「いますぐ」と「長期的に」をきちんと分けずに聞いているため、回答がごっちゃになっているのではないか?と思われます。
「すぐに原発をゼロにするのは無理だと思うけど、長期的には原発に頼らないエネルギーがいい」という思いの人がいたとして、時間軸を意識させずにただ「どう思いますか?」と尋ねると、思いの前半だけ(すぐに原発をゼロにするのは無理だと思う)が反映され、後半(長期的には原発に頼らないエネルギーがいい)は反映されないこともあるのではないかな?と。
エネルギーをどうするかは、中長期的な時間軸で考えていくべきことだと思い、イーズ/幸せ経済社会研究所/JFSで、「30年後の日本の電力について」答えてもらう世論調査をおこなったところです。
アンケート調査会社に依頼した調査の結果は、プレスリリースなどにまとめて、またお伝えしたいと思いますが、よかったらみなさんのお考えもお聞かせ下さいませんか? 世論調査と同じ質問項目のアンケートをこちらに設けました。
http://www.tfaforms.com/199338 (4月21日まで)
一般の人々1000人に聞いた結果と、環境や持続可能性に意識の高いメールニュースの読者の方々に聞いた結果が、どのように重なり、または違っているのか、それもきっと、今後のエネルギーを考えていく上で大事な切り口になると思います。
さて、私たち日本人は現状では「自分で使うエネルギー」は選べませんが、選挙を通じて政治家を選ぶことはできます。各候補者のエネルギー観・原子力発電についての考え方やスタンスがわかれば、その情報も考慮に入れて、だれに投票するかを選ぶことができます。そうすれば、政治家の選択を通じて、日本のエネルギーの選択に影響力を及ぼすことができます。
そういう思いで、村上龍さん、坂本龍一さん、大貫妙子さんたち100人を超える賛同人(私も賛同人の一人です)が立ち上げた「候補者のエネルギー政策を知りたい有権者の会」が、今度の統一地方選挙の知事・政令市長選候補の方々に質問状を送り、その結果をウェブで発表しています。
http://energy-policy.net/
以下、プレスリリースです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
PRESS RELEASE
候補者のエネルギー政策を知りたい有権者の会
http://energy-policy.net/
info@energy-policy.net
f a x : 03- 6730- 2902
広報:吉村栄一
報道各位
来るに際して、立候補者のエネルギー政策を知りたいという人々が集まり、「候補者のエネルギー政策を知りたい有権者の会」を立ち上げました。
会ではアンケートを実施し、いただいた回答を WEB サイト(http://energy-policy.net/)にそのまま掲載いたします。アンケートの目的は、立候補者のエネルギー政策を有権者が知るためのもので、特定の候補を応援するものでも批判するものでもありません。
質問は以下となります。
我が国のエネルギー政策について、どのような立場をお持ちですか、お教えください。
A:今後も原子力発電は維持していくべき
B:今後は原子力発電以外のエネルギーへの転換をはかるべき
※質問の回答に対しての各候補のコメントがあれば掲載します。
本会は統一地方選挙の立候補者のエネルギー政策を知りたいという思いから、賛同人一同(現在 109 名)で立ち上げたものです。
候補者からの回答は随時、WEB サイト(http://energy-policy.net/)に掲載していきます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今サイトを見ましたら、
2011年4月6日 23:50 現在: 全39名中 / 回答:24名 未回答:15名 / 回答率:61.5%
とのこと。各候補者の回答、ぜひじっくりと読み、比べてください。エネルギーについて考える上で、とても役立つ「さまざまな意見の見本」でもあります。
こういう質問状を送り、回答がアップされていること、ぜひいろいろな方に伝えて下さい〜。きっと情報の1つとして役に立つと思います。
残り4割の候補者からの回答を待っているところです。
> ・お知らせ
> 当「候補者のエネルギー政策を知りたい有権者の会」では、すでにすべての4月
> 10日投票の統一地方選・知事候補のみなさま、政令市長選候補のみなさまに質問
> 状を送付(公開されているFAX、電子メール、一部郵送)しております。
> 万一手違いで質問状が届いていない場合、あるいは回答を返信したのに24時間以
> 上経ってもサイト上で更新されていない場合は、お手数ですが
> 「info@energy-policy.net」までご連絡ください。よろしくお願いいたします。
もしお近くに知事・政令市長選候補の方がいらして、まだ回答していないようでしたら、「みんなが見ていますよー」と教えてあげて下さい。(^^;
※メールニュースに掲載されている内容・情報はそれぞれのご判断の上、出所(枝廣淳子の環境メールニュース http://www.es-inc.jp)を添えて、引用・転載くださってけっこうです。ただ、どの情報も「その時点での情報」であって、のちに修正・追加等される可能性がある情報であることをご理解・ご明記いただければ幸いです。