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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年04月24日

日本の自然エネルギーのパワー「全量固定価格買取制度による採算性で原発46基分の発電量を増やせる!」(2011.04.24)

エネルギー危機
新しいあり方へ
 

前号で、レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所が、日本の再生可能エネルギーの可能性(ポテンシャル)についてデータを出してくれていましたが、ちょうど時を同じくして、環境省からも「日本にどのくらいの再生可能エネルギーが導入できる可能性があるか」という調査結果が発表されました。

> 平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の結果について(お知らせ)
> http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13696

ここに掲載されている結果概要のpdfを見たのですが、素人には何だかよくわからなくて、、、何がわかったのか、すごいんだか、すごくないんだか・・・?

そこで、詳しい方に「要するに、何がわかったんですか?」とお聞きして、解説してもらいました。「これならわかる!」バージョンをお届けします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

・環境省は21日、国内で自然エネルギーを導入した場合にどの程度の発電設備が設置可能と見込めるか、民間調査会社に調査を委託し、試算した結果を発表した。

・理論上可能な最大導入量から、土地利用や技術上の制約を差し引いた日本で設置が可能と見込まれる導入量を計算したところ、風力発電を普及できる余地が19億キロワットと最も大きく、太陽光発電(住宅以外)が1.5億キロワット、中小水力が1,400万キロワット、地熱発電が1,400万キロワットとされている。(太陽光(住宅)とバイオマスについては今回は試算されていない。)

・仮に、設置が可能と見込まれるところに全て導入したとした場合には、出力100万キロワットで稼働率85%と仮定した場合の原発約580基分に相当する(現在、日本にある原発は54基)。

・今回の試算ではさらに、事業として現時点で全量固定価格買取制度が導入されれば採算性を確保できると見込まれる導入量についても試算を行った。風力発電が2,400万〜1.4億キロワット、太陽光発電(住宅以外)が0キロワット、中小水力が110〜300万キロワット、地熱発電が110〜480万キロワットとされている。(非住宅系への太陽光発電の普及のためには、FITに加え、技術革新による低コスト化や補助が必要ということ)

・例えば、風力発電の場合は風が吹いているときだけ発電するため、1年間の稼働率(風車が回っている時間)を24%と仮定すると、年間の発電量は約500〜2,900億キロワットアワー。これは出力100万キロワットで稼働率85%と仮定した場合(74億キロワットアワー)の原発約7〜40基分に相当する。

・同様に、中小水力の稼働率を65%とすると、年間の発電量は約500〜2,900億キロワットアワー。これは出力100万キロワットで稼働率85%と仮定した場合(74億キロワットアワー)の原発約0.8〜2.3基分に相当する。

・地熱発電の稼働率を75%とすると、年間の発電量は約500〜2,900億キロワットアワー。これは出力100万キロワットで稼働率85%と仮定した場合(74億キロワットアワー)の原発約1〜4基分に相当する。

・現時点で、全量固定価格買取制度により普及が見込まれる風力発電、地熱発電、中小水力発電を足し合わせただけでも原発約9〜46基分の導入量が見込まれている。

・また、試算では東北電力管内で普及が見込まれる量も計算している。風力発電だけでも、全量固定価格買取制度により普及が見込まれる導入量は980〜4,000万キロワット。これは1年間の稼働率を24%と仮定すると210〜830億キロワットアワーとなり、東北電力が1年間に販売している電力量は約800億キロワットアワーの0.25〜1倍となり、風力発電だけで東北の電力消費がまかなえる可能性があることが示された。

・設置が可能と見込まれるところに全て導入したとした場合には、30,000万キロワットの導入が見込まれる。この発電電力量は6,300億キロワットアワーとなり、東京電力が1年間に販売する電力量約3,000億キロワットアワーと東北電力が1年間に販売している電力量は約800億キロワットアワーの合計3,800億キロワットアワーの1.6倍となる。

・風力発電に太陽光発電、中小水力発電、地熱発電、バイオマス発電を上手に組み合わせていくことで、長期的には原子力発電がなくとも日本全体でエネルギー供給がまかなえること、東北地方はいち早く自然エネルギー100%の電力を自給することができ、長期的には東京電力管内にも全て自然エネルギー100%の電力を東北から送ることができることが明らかになった。

・これに、私たちが節電をしたり、電気を使わなくてもよい場合(暖房や給湯)は住宅の断熱やペレットストーブ、太陽熱暖房や給湯など自然エネルギーの熱を活用することで電力消費量そのものを減らすことができれば、自然エネルギー100%の電力供給が達成される時期はどんどん近い未来の姿となってくる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

> ・仮に、設置が可能と見込まれるところに全て導入したとした場合には、出力
> 100万キロワットで稼働率85%と仮定した場合の原発約580基分に相当する(現在、
> 日本にある原発は54基)。

原発580基分! 「設置可能な場所」に、これだけの自然エネルギーがあるのですね! その10%でも活用できれば、原発の代わりが十分果たせる。

経済的に無理でしょ、という声もあるでしょうけど、再生可能エネルギーにしても何にしても「これまでに市場になかった良いモノ」を広げようと思ったら、最初は普及のための経済政策が必要ですよね。その1つが全量固定価格買取制度です。

> ・現時点で、全量固定価格買取制度により普及が見込まれる風力発電、地熱発電、
> 中小水力発電を足し合わせただけでも原発約9〜46基分の導入量が見込まれて
> いる。

現在進められている政策だけでも大きな導入が可能とのこと。心強いですし、しっかり導入していきたいですね! そして「つまり何がわかったか」は;

・風力発電に太陽光発電、中小水力発電、地熱発電、バイオマス発電を上手に組み合わせていくことで、長期的には原子力発電がなくとも日本全体でエネルギー供給がまかなえる。

・東北地方はいち早く自然エネルギー100%の電力を自給することができ、長期的には東京電力管内にも全て自然エネルギー100%の電力を東北から送ることができる。

・そして、私たちが節電をしたり、電気を使わなくてもよい場合(暖房や給湯)は住宅の断熱やペレットストーブ、太陽熱暖房や給湯など自然エネルギーの熱を活用することで、電力消費量そのものを減らすことができれば、自然エネルギー100%の電力供給が達成される時期はどんどん近づく!

「こうありたい姿」をただ思い描くだけではなく、その姿が可能である、ということがわかって、とてもうれしいです。あとはどう進めていくか、だけですね!

それにしても、環境省の発表文書は、こんなにわくわくする内容が書いてあるようには見えなかったなぁ。。。(政府全般そうですが、、、)

「要するに〜ってことなんですよ」って“翻訳”して伝えてくれるコミュニケータを各省庁に置いてほしいですねぇ。

 

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