7月が始まりましたね!
暑く熱い夏……熱中症で倒れることなく、大規模停電が起きることもなく、中長期的にも必要な節電と省エネの知恵といろいろな気づきを得られる夏になることを心から願っています。
環境省や経産省の担当者と節電や省エネの話をしていて、思うことがあります。
環境省は、スーパークールビズや緑のカーテンなど、意識啓発や敷居の低い行動を促すことで、「まずやってみて下さい」と最初の一歩を大事にする。なにせ、規則や罰則で縛ることのできない、自由意思の家庭を相手にしているのですから、そういうアプローチが中心になるのも無理はないなあ、と思います。
でもそれで本当にどれだけ減るのか? ピーク時に電力供給量を超えないのか?
たとえば、今日7月1日から企業も家庭も、前年比15%削減という「節電要請」が始まりました。東京電力と東北電力の管内では、契約電力500kW以上の大口需要家に対しては、100万円以下の罰金のある「電力使用制限令」で削減を“強制”しますが、中小企業や一般家庭は「15%削減という目標」であって、強制力はありません。
自動車の運転のように罰金があれば、だれもが意識し、真剣に取り組むのでしょうけど、そうでない現状では、
(1)どれだけの人が、ピーク時15%節電の必要性を知っているのか?(私たちのまわりには環境意識の高い人が多いですが、それが世の大勢ではないのですよね。。。)
(2)知っていても、「つい」または「気づかずに」ピーク時に電力消費量を増やしてしまうことがどれぐらいあるか?
意識の高い人たちが死ぬほどがんばって(メールニュースの読者には真面目で意識の高い方が多いのですが、間違っても節電で死なないで下さいよ〜!!)、あとは我慢できる範囲で少し気をつける人たちと、ほとんど気にしない人たち、、、という構図を変えていかなくては、ですよね。
そういう構図を変えるための、意識啓発や「最初の一歩」作戦ではありますが、「それでピーク時にどれだけ減るのか」は、事前には計算できません。結果論となります。
経産省の、特にエネルギーの担当の方々は、「がんばってやりますが、ピーク時にどれだけ減るかは結果論です、もしかしたら大規模停電が起きるかもしれません」とはいえない責務を負っています。何としても、不測の事態を避けるために、「ピーク時の総電力消費量」をきっちり計算できなくてはなりません。
経産省の担当者と話しているとよく「カウンタブル」という言葉が出てきます。count+able で「計算できる」ということです。罰金付きの「電力使用制限令」を出すなど統制力の及ぶ大口需要家の節電は「カウンタブル」ですが、強制力を持って統制できない中小企業や家庭は「アンカウンタブル」(計算できない)のカテゴリーになります。
でも、アンカウンタブルな家庭でも、「絶対にこれ以上は使わないよ」という上限を「カウンタブル」にできる方法があります。契約アンペアを下げる「アンペアダウン」です。契約アンペア以上は使えませんので(ブレーカーが落ちます)、それ以上は絶対に使わないという意味で「カウンタブル」です。
ご自分のおうちの契約アンペア、ご存じですか? 毎月の「電気ご使用量のお知らせ」に書いてありますので、見てみて下さい。
「実はこれまでもこんなに必要なかった」「今年は節電するから減らせる」と、無理なく契約アンペアを下げられそうだったら、ぜひ「アンペアダウン」をどうぞ! カンタンにできます。
<<アンペアダウンのやり方>>
(1)「電気ご使用量のお知らせ」で、契約アンペア数を確認する
(2)一度に使う必要のある家電製品の合計アンペアをチェックする
たとえば、電子レンジやヘアドライヤーはアンペアが高いですが、同時に使わなければよいので、「レンジとドライヤーは絶対に一緒に使いたい!」というわけでないなら、つまり時間をずらせるならOKです。
家電製品のアンペア数はそれぞれ機種などによって違いますが、アンペアダウンにずっと取り組んできたナマケモノ倶楽部のアンペアダウンのサイトが便利です。
http://www.sloth.gr.jp/a-down/
このページを見ると、よく使う家電のアンペアのだいたいの感じがつかめます。
http://www.sloth.gr.jp/a-down/check/
(3)家族とも話し合って、アンペアダウンすることに決めたら、電力会社に連絡する
「電気ご使用量のお知らせ」などに「契約の変更」の連絡先が載っています。
東京電力はウェブからも申し込めるようです。「ご契約アンペアの変更」
https://www3.tepco.co.jp/ccweb/DV01ADTOP.jsp
(4)配電盤の工事が必要な場合は日程を調整し、20分ほどの工事らが終わったら完了!です。
(★)契約アンペアを下げたのを忘れて、いっぺんに使って契約アンペアを超えちゃったらどうなるの?
ブレーカーが落ちます。(^^;スイッチを切ってから、ブレーカーをあげれば問題ありません。
(★)やってみたけど、やっぱり契約アンペアをモトに戻したくなったら?
電力会社に頼んで戻してもらいます。
「戻すのは年に1回だけ」といわれたりすることもあるようですが、節電をお願いしている立場上、柔軟に対応するとも聞いています。心配でしたら、確認してみて下さい。
私も先週、東京電力にアンペアダウンをお願いし、来週配電盤の工事に来てもらうことになりました。40アンペア→30アンペアで、年間に3200円以上基本料金が安くなるとのこと。(もっと早く頼めばよかった〜!^^;)
ナマケモノ倶楽部のアンペアダウンに取り組んでいらした方が、「段階を追って契約アンペアを下げてきました。今ではごく自然に、何をやってから何をやろう、と電気を使う順序を考えるようになりました。それだけのことで、別に不便はありませんよ」とおっしゃっていたのが印象的でした。
ナマケモノ倶楽部のサイトにいわく、
「アンペアダウンという引き算は、「豊かさ」へのわくわくするような道筋なのです」。
http://www.sloth.gr.jp/a-down/
そうそう、もう1つわかりやすいのが花王の「おうち節電シミュレーション」のサイトです。
http://www.kao.co.jp/ecolife/sp-summer/simulation/
先月の電力使用量を入れたら、「どのくらい減らす必要があるか」がわかり、何をどのようにくふうしたら、必要なところまで減らせるかがシミュレーションできます。
どういう家電製品がけっこう電力を使っているのかなどもよくわかるので、ぜひ一度のぞいてみるといいですよー。
※メールニュースの引用・転載は出所を添えて、ご自由にどうぞ(枝廣淳子の環境メールニュース
http://www.es-inc.jp)