前号でお知らせしました、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の第1回会合が10月3日に開催されました。
インターネットですべて中継という、画期的なオープンプロセスでの開催です。(このあとの委員会もすべて中継があります)
第1回会合のアーカイブはこちらから見られます。
http://www.ustream.tv/recorded/17675645
枝野大臣のコメント、とても心強く思いました。冒頭の挨拶では、「10年、20年ではなく、50年、100年、200年という視点で、あるべき姿を考えてほしい」と。
大臣の挨拶のあと、25人中出席していた22人全員が、「一人3分」の持ち時間で最初の意見表明をしました。
当日配布の資料はこちらにあります。
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihon_mondai/001_haifu.html
五十音順だったので、私は4番目に話しました。私の資料はこちらにあります。
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihon_mondai/001_i01_00.pdf
自分の発言内容をご紹介します。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ありがとうございます。このような機会をいただき、うれしく思っております。資料を出させていただきましたので、メインのポイントはそちらのほうを見ながら聞いていただければと思います。基本的に私は、普段、市民・NGO・学生さんと日常的に接する立場におりますので、今回は国民に近い立場ということで、委員に呼んでいただいたのかなと思っています。
3.11が日本にとって大きな転換点になったということは言うまでもないと思います。短期的な経済効率とかコストだけではなくて、本当に大切なことは何なのか、本当の幸せとは何なのか、私たちは何のために生きているんだろう--そういうことを、多くの人が問い直す、そのようなきっかけになっています。
エネルギーに関しても、コンセントの先には、たとえば原発があるんだということを直面せざるを得ない状況になりました。としたら、コンセントの先まで自分たちで責任を持ちたい。知りたいし、考えたいし、選んでいきたいという思いの国民が今、とても増えてきていると思っています。
そのような流れを背景に、3点書かせていただいています。1つ目、大臣からも「あるべき姿から考えましょう」という話がありました。もちろん、コストも経済性も重要ですが、しかし、大事なことにはもっと大事なことを考えるべきだと思っています。
エネルギーは言うまでもなく、暮らしと産業を支える本当に大事なものですし、私たちは、エネルギーなしでは暮らせない。としたら、単に目先のコストや経済性だけではなくて、本当に大事なのは何なのかということを、目先のお金だけではなく、どのような未来を、私たちは将来世代に渡すのかということを、少し青くさく聞こえるかもしれませんが、立ち戻って考えて議論できればと思います。
皆さんにもお子さんやお孫さんがいらっしゃると思います。2030年、2050年を生きていく若い人たち、子どもの世代に、そしてその次の世代に、私たちはどういうエネルギーのシステムを、日本として手渡していくのか。その責任をどう考えるのか。
多分、メディアの方も、中継を見ていらっしゃる全国の国民の方も、どの委員が「脱」で、どの委員が「推進」だろうと、見ていらっしゃるかもしれません。そういった見方ではなくて、この議論自体がどういう価値観に基づいて行われているのか。どういった時間軸で行われているのか、それをぜひ見ていただきたいし、そこに対してフィードバックをいただければと思います。
もう1点は、「国民の国民による国民のためのエネルギー政策」へということを、ずっと思っておりまして、そういった点で今回の完全オープンというのは、大きな一歩だと思っています。ぜひこういった形で続けていただきたいと思います。一方で、この形式で委員が議論するのは非常に難しいので、また別途、できたら合宿のような形で、委員が本当に密に議論する場ができたらなと思っています。
このオープンの場を活かして、単に一方的にオープンにするだけではなくて、たとえばパブリック・ビューイングであるとか--このご議論をインターネットで見ているグループがそちらでも議論して、その内容をまたフィードバックしてくれるとか、あと特に、若い世代の声がここには足りないと思っていますので、高校生、大学生、若い世代のディスカッションをしてもらう場を、ここでも用意し、その声をフィードバックするとか、そのあたり、いつも私がやっていることと重なっていますので、ぜひ事務局の方と、そういった場もつくっていきたいと思っています。
2ページ目には、参考資料として、ドイツがエネルギー政策をどのように決めたかというプロセスの紹介をしてあります。コストなどのテクニカルな議論だけではなくて、本質的に倫理感として、未来世代に何を渡すのかというところで、オープンなプロセスでディスカッションしたということです。
結論は私たちが日本でつくっていくわけですが、こういったオープンなプロセスで進めていけるかどうか。そして何に基づいて議論していくか。これは日本の人々だけではなくて、世界も注目していると思います。それに恥じない議論を、これからしていきたいと思っています。
以上です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
初回の会合は1回のみ、しかも短時間しかしゃべれないのは全員わかっていたので、それぞれ、最初の1回はどこに焦点を当ててしゃべるか、いろいろ考えていらしたのだと思います。原子力の賛否を取り上げる方もいらっしゃったし、私のように「議論の前提」を共有したいという人もいました。
今後、どのような展開になっていくのか、そして、並行しての「国民的議論」をどのように設計・実施していくか、見守りつつ、考え、動いていきたいと思っています。
最後の挨拶での枝野大臣の言葉もよかったです。(01:48過ぎです)
「今日の発言を聞かせていただいて、1点だけお願いをさせていただきたいと思います。みなさんに委員になっていただいたのは、それぞれいま持っていらっしゃるお立場を含めてさまざまな経験や知見を活かさせていただきたいということですが、どなたがどの利益集団を代表するとか、どういうお立場の代表であるとかいうことでのお願いは一切しておりません。どうかみなさん、後世の批判に耐える議論をしていただきたい。
その点で、WeではなくIを主語にお話しいただきたい。私たちの立場からは、という発言ではなく、それぞれがご自身の良心に基づいたご意見をぶつけあっていただきたい」。
これからの議論の進展、ぜひ見守り、フィードバックを寄せ、あるべき方向に進むよう、力を貸してください。どうぞよろしくお願いします。