明日18:30〜、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の第6回会合が開催されます。いつものようにネット中継もありますので、ぜひどうぞ。
http://www.meti.go.jp/committee/notice/2011a/20111129002.html
明日は、スウェーデンのエネルギー政策について、コバリエル元スウェーデン・エネルギー庁長官からのプレゼンテーションとそれに基づく質疑及びこれまでの会合の論点整理についての議論を行う予定、となっています。
また、資源エネルギー庁の「新しいエネルギー基本計画の策定に向けた意見募集」はこちらです。いつでもぜひ! メール、郵送、ファックスで送れます。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/ikenbosyu.htm
さて、みんなのエネルギー環境会議のウェブサイトにアップされているエネルギー入門コラムより、第5〜6回を紹介します。
第1〜2回:http://www.es-inc.jp/lib/archives/110919_054309.html
第3〜4回:http://www.es-inc.jp/lib/archives/110927_190401.html
サイトにはグラフも載っていますので、よろしかったらご覧ください。
http://www.meec.jp/column/index.html
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
http://www.meec.jp/column/index.html
<5.化石燃料による発電> text by junko edahiro
化石燃料ってどういうこと?
石油、石炭、天然ガスなどを「化石燃料」と呼びます。「化石」というのは、これらは数千万年〜数億年前の動植物の死骸が地中に堆積し、長い年月をかけて化石化したものだと考えられているためです。
この化石燃料(石油、石炭、天然ガス)は18世紀後半の産業革命以降、エネルギーの中核としてどんどん使われるようになりました。便利で安いエネルギーだったからです。
それ以前の主な燃料だった木材や炭に比べると、特に液体燃料の石油などは運ぶのがラクなうえ、重量あたりの発生エネルギー(エネルギー密度)が高く、効率のよいエネルギーです。すこし前までは、その供給量はほぼ無限のように思われ、安価な価格で入手できました。
日本でも世界でも発電の中核
その結果、発電の燃料だけをみても(ほかにもガソリンなど輸送用燃料などとしても使われています)、世界の発電容量の約65%は化石燃料を燃料にしています。
日本も同じです。先ほどの電源構成のグラフを見ると、1980年も2008年も化石燃料の占める割合は65〜66%と主力の燃料となっていることがわかります(30年弱の間に、石油、石炭、天然ガスの比率は変わってきているのですけどね)。
化石燃料による火力発電の問題
化石燃料による火力発電は世界の産業や経済の大きな原動力でしたが(今もそうですが)、大きな問題を抱えています。ひとつは「入口」の問題、もうひとつは「出口」の問題です。
「入口」の問題とは、化石燃料を永遠に使い続けることはできないという、供給の問題です。
今も地球のどこかで動植物が化石化しつつあるでしょうけど、化石燃料になるには私たち人間の時間軸では無限に近いほど長い年月がかかるため、化石燃料は「使い果たしてしまったらなくなってしまう」=枯渇する資源です。
「ピークオイル」という言葉を聞いたことがありますか? 産油量がピークに達してその後減っていくタイミングのことで、近い将来もしくはもう来ているといわれています。 2010年11月、国際エネルギー機関(IEA)が「在来型石油の生産量は2006年にピークを迎えた可能性が高く、今後の石油生産量はこれに再び並ぶことはない」と発表しました。世界の石油需要は増加の一途なのに生産量が頭打ちになると、値段がどんどんと上がっていくということです。すでにそれが始まっていることがグラフからわかります。 「出口」の問題は、化石燃料を燃やすと、二酸化炭素や窒素酸化物、硫黄酸化物などが発生するということです。それによって、地球温暖化や酸性雨、大気汚染による呼吸器疾患などの公害や病気を引き起こします。
熱量あたりで排出する二酸化炭素は、石油は天然ガスより40%多く、石炭は石油より40%多いです。
化石燃料による火力発電は、石炭の安さやシェールガスの利用などで当面は世界全体では主力の電源でしょうけど、中長期的にはその構図も変わっていくことでしょう。
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<6.原子力発電> text by junko edahiro
原子力発電の割合
3.11の震災が起こる前の時点で、日本では54基ある原子力発電所が総発電量の約4分の1をつくり出していました。
世界には何基ぐらいの原子力発電所があると思いますか? 2007年のデータによると435基。世界の発電量に占める原子力発電の割合は8%(2009年)です。
世界で最大の「原発大国」は104基を持つ米国で、次いで59基のフランス、そして日本となります。
原子力発電コストは本当に安い?
原子力発電の利点として、「発電時に地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出しない」「燃料のウランは政情の安定した国からの輸入が多い」などと並んでよく挙げられるのが「発電量当りの単価が安い」です。
確かによく引用される「さまざまな電源の1kWhあたりの発電コスト」(1999年資源エネルギー庁)によると、水力発電や火力発電よりも原子力発電のコストが安いのですが、実際には、原子炉の寿命後に廃炉にする費用や今回のような原発事故の際の賠償金(今回の賠償金もいくらになるのかわかりません)など、多額の費用がかかる部分は計算に入っていません。また、原子力発電所の立地自治体への多額の国からの補助金(私たちの税金から支払われています)も計算に入っていませんから、実際のコストはもっと高くなります。
原子力発電の抱える重大な問題
そのひとつは、今回の事故で明らかになったように、重大事故が発生するとはかりしれない被害を与えることです。放射性物質が空中を漂い風に運ばれ、海に棄てられている汚染水は海流にのって世界をめぐるように、その影響は日本にとどまらず、地球規模に及びます。今なお放出されつつある大量の放射性物質が無害化するまで、どのくらいの年月が必要になるのでしょう。未来世代へも悪影響をもたらしてしまうのです。
しかし、事故がなくても、発電後の放射性廃棄物をどのように処分し、数万年もの間どうやってどこに保管しておけばよいのかという核廃棄物の問題や、原子力発電所などへのテロリズムの危険性、原子力技術の軍事転用の問題(使用済み核燃料に含まれるプルトニウムは原爆などに転用することが可能)、発展途上国の原発の安全性の懸念(先進国である日本ですら……ですから)など、簡単には解決できない本質的な問題を抱えています。
アル・ゴア元米国副大統領によると、「米国では1970年代以降、新規に発注・建設された原子力発電所はゼロ」とのこと。原子力発電のコストとリスクが大きすぎて、民間企業では引き受けられないことも大きな理由だそうです。
今回の福島第一原発事故を受け、スイスやドイツなどは「脱原発」の方向性を強く打ち出しました。
日本でも国民感情からいっても今後の原発の新増設は難しいでしょう。とすると、寿命を40年としても原子力発電は自然消滅していきます。もちろん、それを待たずに、意思を持って脱原発を加速することは常に可能です。
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エネルギーに関するこれまでのメールニュースのアーカイブはこちらにあります。
http://www.es-inc.jp/lib/archives/12.html