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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年12月05日

文庫本で手軽に 「エネルギー危機からの脱出」最新版が出版されました (2011.12.05)

エネルギー危機
 

エネルギーつながりで、もう1本。

2008年に出版された『エネルギー危機からの脱出』に、最新のデータや事例を盛り込んだ文庫版が出ました。目の前の症状だけでなく、根本的な構造という意味で、システム思考的にエネルギー問題を理解していただけたらと願っています。よろしかったらぜひ!

「エネルギー危機からの脱出 (講談社プラスアルファ文庫) 」枝廣 淳子 (著)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

文庫版あとがき

「ピンチはチャンスなり」――私たちの暮らしや産業を支える、なくてはならないエネルギーの現在の状況にこれほどふさわしい言葉はないでしょう。

3月11日の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故は、私たちがいかにエネルギーのお世話になっているか、ふだん何気なく使っている電力はどのように作られて、どのようなリスクがあるのかを、まざまざとあぶり出しました。

大震災以降、多くの人たちが、それまであまり考えたことのなかった電力やエネルギーについて考えるようになっています。「専門的でよくわからない」「誰かがやってくれるに違いない」と、これまで専門家や政府に頼っていた私たちの態度も、今回の問題の一因だったのではないか……? 社会学者の宮台真司氏がいうところの「任せて文句を言う」から「引き受けて考える」へと、エネルギーの「ワガコト化」が各所で起こっているようです。

政府も、エネルギー基本計画を作り直すための基本問題委員会(私も委員として参加しています)の議論をすべてインターネット中継で公開するなど、国民とともに考えていこうという姿勢に少しずつ転換しつつあります。

このように、エネルギーについて自分たちで考えていこうという意識が広がるとともに、考えるために必要な情報や知識も明らかになってきました。こうした時代に、日本と世界のエネルギーの現状や取り組みをわかりやすく説明した本書の文庫版を、最新のデータや事例を入れてお届けできることをうれしく思います。

どのようにピンチをチャンスに変えていったらよいのか? そこに生まれる私たちの本当の幸せや企業のビジネスチャンスを、どのように見つけていくのか?――世界の先進事例、自治体や企業、私たちがすべきこと・できることを通じて、私たちのエネルギーの今後について、一緒に考えるために役立てば幸いです。

今回の改訂に当たって、最新のデータを寄せてくれたデイビッド・ヒューズ氏、キューバのエネルギー事情を教えてくれた吉田太郎さん、編集・データ整理をしてくれた小島和子さん、リサーチに協力してくれた松原弘直さん、大野多恵子さん、企画を進めてくれた講談社の編集者・木村圭一さん、そして文庫化を快諾してくれたソフトバンク・クリエイティブ社に心から感謝して。

枝廣淳子

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目次

序章
 エネルギー意識の高まり 
 どのエネルギーを多く使っているのか 
 エネルギーを「複眼」で見よう
 「省エネ」から「少エネ」へ
 エネルギーの質の違いは「タービンの回し方」
 発電の中核を占める化石燃料
 望ましい未来の姿を描く
 本書の構成

第1章 エネルギーの現状と見通し
 世界全体の総エネルギー消費量 日本のエネルギー
 消費量 エネルギーを考えるときの重要なポイント
 石油の現状と見通し ピークオイルはいつやってくる?
 天然ガスの現状と見通し
 石炭の現状と見通し
 電力の現状と見通し
 先進国と途上国のエネルギー消費のギャップ

第2章 エネルギー問題の構造
 エネルギー不足の問題は、症状にすぎない
 すでに地球の限界を超えてしまった
 なぜ、人口や工業生産はどんどん増えていくのか?
 人口が幾何級数的に成長する構造とは
 工業生産が幾何級数的に成長する構造とは
 幾何級数的な成長が、限界を超えると
 幾何級数的な成長は、あっという間にエネルギー資源を枯渇させる
 根本的な問題は「多くの限界を同時に超えていること」
  「ある問題に対処する」とはどういうことか?
 枯渇するのは対応能力である
 産油量がピークを超えたあとの世界

第3章 問題解決への道すじを描くために
 構造を見るための「氷山モデル」
 「対症療法」と「根治策」を区別する
 「簡単な問題」と「難しい問題」
 「難しい問題」への取り組み方① 「よくなる前に悪化する」パターンを理解
する
 「難しい問題」への取り組み方② 時間軸を延ばす
 「難しい問題」への取り組み方③ 全体像をよりよく理解する 地球温暖化問題
も同じである
 構造を変えて、真の問題解決を
 しくみを変えて、構造を変える
 構造を変えるために① 情報の流れを変える
 構造を変えるために② ルールを変える
 構造を変えるために③ 目的の前提を問い直す
 問題構造への根本的な働きかけは
 「このままの将来」はあり得ないことを理解する
 何を比べて判断すべきか

第4章 世界の成功事例
 エネルギー効率の向上
 すばらしい日本の「トップランナー制度」
 白熱電球一つを「電球型蛍光灯」に換えると?
 各国に広がる「電球型蛍光灯」への切り替え
 産業界も「電球型蛍光灯」の普及に取り組む
 さらに効率のよい電球へ
 建物の省エネ化を進める
 建物のエネルギー効率はこんなに向上できる
 交通システムのエネルギー効率を高める
 すばらしい日本の新幹線システム
 ヨーロッパの高速列車網
 物質に使われているエネルギーの効率を高める
 リ・マニュファクチャリングの取り組み
 減らしたあと、必要なエネルギーは再生可能エネルギーで
 急拡大している風力発電
 太陽電池も広がる
 大規模も小規模も広がる太陽光発電
 広がる太陽熱利用
 太陽熱発電所の大きな可能性
 地熱の大きな可能性
 埋め立て場のメタンガスを有効活用する
 バイオ燃料の拡大と可能性
 小型水力発電の可能性
 潮力発電や波力発電
 自動車で発電?―プラグイン・ハイブリッドカー
 新しいエネルギー経済が台頭しつつある
 都市の設計がエネルギー問題のカギを握る
 先進的なボゴタ市の取り組み
 クリチバ市の取り組み
 エネルギー危機の時代の都市交通システムは?
 自動車への課金で、市内の渋滞を減らす
 パリ市に注目
 自転車王国オランダ
 都市の水利用:コンポスト型トイレの可能性と広がり
 都市型農業の可能性
 先進国でも広がる都市農業
 分散型エネルギーを導入したキューバ
 長期的なビジョンと着実な取り組みが未来を創る

第5章 国や自治体がすべきこと
 公共交通機関の利用を促進する
 物流のモーダル・シフトを進める
 域内の食糧自給率を上げる
 料金設定のルールを変えることで、省エネを進める
 再生可能エネルギーの利用を促進する
 すでに86市区町村が民生用電力需要を100%自給している
 地熱の利用を進める
 国内の森林資源の利用を進める
 持続可能なバイオ燃料を
 バイオガスの活用を進める
 太陽光発電を広げるしくみ
 風力発電を増やす
 日本や地域の強みを生かしたエネルギーの利用を進める
 太陽熱の利用を進める 自治体がリードすることができる
 長期的なビジョンと着実な取り組みを

第6章 企業がすべきこと
 エネルギーコストが競争力を左右する時代
 エネルギー消費量を減らす取り組み
 輸送や通勤・出張のしくみを考え直す
 再生可能エネルギーへの切り替えを進める
 新しいビジネスモデルの創造
 高すぎる社会の期待値をゆるめる試み
 エネルギー危機時代を乗り越える力が企業の競争力の源泉になる

第7章 私たち一人ひとりがすべきこと
 余分な贅肉を落とし、しなやかな省エネ体質に
 自動化された行動は変えられる
 毎日の暮らしのなかで具体的にできること
 一回やればあとは意識せずにずっと減らせる取り組み
 ほかにもできることのヒントを探すなら
 再生可能エネルギーの利用を増やす
 成長と本当の幸せについてもう一度考えてみる

文庫版あとがき

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

手に取りやすい大きさ・重さ・価格の文庫本として出版できたこと、とてもうれしく思っています。

「任せて文句を言う」から「引き受けて考える」ようになっていけるよう、「知る・考える」ためのデータや視点を提供できたら、と願っています。よかったら、まわりの方や関心のありそうなお知り合いにお伝えいただけたらうれしいです。

「エネルギー危機からの脱出 (講談社プラスアルファ文庫) 」枝廣 淳子 (著)

 

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