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2011年12月07日

基本問題委員会第6回会合、論点整理案と進め方について(2011.12.07)

エネルギー危機
新しいあり方へ
 

昨日、来夏に向けて「エネルギー基本計画」を見直すための総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会第6回会合が開催されました。

すべての回の議事要旨・配付資料はこちらにあります。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/index.htm

これまでの5回にわたり、各委員が自分の考えをプレゼンし、質疑応答をするセッションをシリーズのように続けてきましたが、それらが一巡したところで、事務局から出された「論点整理案」が昨日の主要な議論点でした。

新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた論点整理(案)
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/6th/6-1.pdf

これって、「論点整理」なの??? と思いませんか?

これが大きなポイントの一つ(何人もの委員から指摘された点)でした。

「これまで、プレゼン+質疑応答だけで、議論はしていない」

「それぞれの主張を述べ合っただけで、その中から意見が異なる点=論点を取り出す作業はまだ行っていない」

のに、事務局が「概ね共通の認識が得られたと考えられる」と、事務局側のまとめを「論点整理案」として出すことはどうなのでしょうか? という異議です。

これまでの意見表明をつきあわせて、どういう意見が違う点(=論点)があり、それぞれどういう意見が出ているのかを、表形式で整理してもらえたら、本当の意味での「論点整理」として、その後の議論がしやすくなると思います。

何人かの委員からそのようにお願いをしました。事務局も大変と思いますが、ぜひそのようにして、今後の国民的議論のためにも、「議論の仕方」そのもののモデルにもなっていただけたら、と思います。

私は主に内容について、以下のように発言しました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ありがとうございます。3点お伝えしたいことがあります。

1点目は、「これまでのエネルギー基本計画はエネルギー供給計画だった」と発言させていただいたことがありますが、今回の論点整理では需要側、特にエネルギーの絶対量そのものを減らす省エネということ、それから生活者の視点--これは経済性のみならず、倫理的なほかの視点も持ち、また消費しないという選択肢も行使する存在としての生活者の視点--も取り入れていただいているのは、非常にうれしいなと思いました。

2点目は、「3.11を踏まえてゼロベースで見直す」ということで今回始まっていると思います。3.11は原発事故でしたので、それをもってゼロベースで見直すとしたときに、原発をどうするのかというのは、基本的にメインの論点の1つだと思います。

今回の論点整理だと、省エネと再エネと化石エネルギーの使用についてまずやって、残ったところは原発で、という考え方のように見えますが、原発をどうするのかを決めた後で、「じゃあ残りの部は分どうするか?」ということが、今回のゼロベースの意味ではないかと理解していたので、そこのところは、おおむねみんなの理解が――「共通理解」と書いてあるようですが、私は少なくても違うと思っております。

3点目は「ベストミックス」という言葉です。これも誰にとってのベストミックスかというのは、それぞれ違ってくると思っています。

そういった意味で、特に最後に「国民との効果的な議論の方法の検討を引き続き行う」と書いてありますが、これは事務局への質問になるかと思いますが、現在“効果的な国民的議論の検討”がどこまで進んでいるのか、教えていただきたい。

「検討する」と言い続けて、最後まで「検討する」と言い続けてやらないということもこれまで多々あったかと思います。せっかくインターネット中継もしていますし、この何カ月か、本当にいい機会だと思うので、効果的な国民的な議論をやっていきたいと思っています。その点、どのように今進められているか含めて、もう一度ご検討いただければと思います。

以上です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

上記で指摘しているのは、この文書のなかでも最も重要と思われる、以下の部分です。

> 昨年6月に策定したエネルギー基本計画においては、2030 年に電源構成の過半を
> 原子力に依存するとしていた。震災・原発事故を踏まえ、こうしたエネルギー構成3
> のあり方は抜本的に見直す必要がある。その際の方向性として、
> ① 需要家の行動様式や社会インフラの変革をも視野に入れ、省エネルギー・節
> 電対策を抜本的に強化すること
> ② 再生可能エネルギーの開発・利用を最大限加速化させること
> ③ 天然ガスシフトを始め、環境負荷に最大限配慮しながら、化石燃料を有効活
> 用すること(化石燃料のクリーン利用)
> ④ その上で、原子力発電への依存度をできる限り低減させること
> を基本として、今後議論を深めていくことについては概ね見解の一致を得たと考え
> られる。


> 3.今後検証すべき事項と当面の進め方
> 本委員会としては、2.(1)で示した考え方に沿って、来春を目途としてベスト
> ミックスの選択肢を提示し、来夏を目途に策定される新しいエネルギー基本計画> 検討の成果を反映させることを目指す。このため、当面は、原子力発電への依存度
> 低減の代替となる「省エネルギー・節電対策の抜本的強化」、「再生可能エネルギー
> の開発・普及の最大限の加速化」及び「化石燃料のクリーン利用」の各々の具体的
> なシナリオについて集中的な検討を行う。


後半に引用した部分は、この基本問題委員会では「省エネ」「再エネ」「化石燃料」について議論し、原発や電力システムの改革については、ここでは取り扱わない、とも読めます。

(枝野大臣は、委員からのそういう懸念や反発に対し、そうではなく、何であれ重要な問題はここで議論します、とおっしゃいました。その言葉が実際のものになるよう、今後の論点整理や議論の進め方にぜひ注目していて下さい)

前半は、私の発言にあるように、「省エネ・再エネ、クリーンな化石燃料を最大限やって、残りは原発ね」という持って行き方のようにみえます。この「考え方の順番」はどう思われますか?

そうではなく、

「原発はこれだけにしたい。だから残りの部分は、省エネ・再エネ・クリーンな化石燃料でできるよう、政策をつくっていく」

という考え方もあるのではないか。

エネルギーを経済性などだけでなく、倫理的な側面からも考えたいと思う私にとっては、「残りは原発ね」という持って行き方はちょっと違うのではないか、と思えるのです。

もう1つ、再エネを「最大限」加速する、ということですが、「最大限」とは、上限や目標のない真空地帯では意味がない/ありえない、と思っています。

ここでの「最大限」とは、どのような犠牲を払っても、ということでしょうか?

この夏も、企業を始め「最大限」の節電努力をしました。そのとき、「15%削減」という目標・上限値があったからこそ、そこに向けて「最大限」の経営努力を行ったのだと思います。

上限値や目標がないところで、「最大限」加速すると言われても、どのくらいのリソース(資金その他)を突っ込むのか、どのくらい規制をし、または緩和するのか、はどうやって決まるのでしょう? 単なる「できるだけやりましょうや」という感じになってしまいませんか?

厳しい目標もなく、「最大限」やって、あとは原発ね、という考え方だとしたら、違うのではないか?と思っての発言でした。

みなさんは論点整理案を読まれて、どう思われるでしょうか?

基本問題委員会での議論をどのように進めてほしいと思われますか?

ぜひご意見を直接委員会に届けて下さい。市民が関心を持って見ていること、考えること、発言することが、委員会が正しい方向に向かって進んでいく上でもっとも大事な力になります。

資源エネルギー庁の「新しいエネルギー基本計画の策定に向けた意見募集」はこちらです。メール、郵送、ファックスで送ることができます。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/ikenbosyu.htm

この窓口に送られたコメントもとりまとめて委員会にフィードバックされることになっていますので、「本当に聞いてもらえるのか?」と心配せずに、安心してお送り下さい〜!

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