新書『わが家のエネルギー自給作戦』(エネルギーフォーラム新書)が出ました〜!
新書版なので、片手で電車の中などでさくっと読んでいただくことができます。日本・わが家をめぐるエネルギーの現状、3.11後に明らかになったこと、どこからどうやって考え、取り組みを始めたらよいか--よろしかったらぜひ手に取ってみて下さい。
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『わが家のエネルギー自給作戦』(エネルギーフォーラム新書)
はしがき
新聞を見てもテレビを観ても、「原発か、自然エネルギーか」「天然ガスは大丈夫?」「電気代が上がる!」などなど、電気やエネルギーに関するニュースがいっぱいですね。企業や自治体も対応に大わらわです。なにせ電気やエネルギーがないと、工場も動かせませんし、社会の円滑な運営も難しくなってしまいます。企業にとって、エネルギーコストがいくらになるのかは、その経営状態に直結する大問題でもあります。
そして、私たち市民の一人ひとりにとっても、「他人事」ではありません。私たちの家庭だって、電気やエネルギーがなくてはとても困るでしょう。ご自分の家庭では、毎月いくらぐらい、電気代やガス代、灯油代やガソリン代などのエネルギー料金を払っているでしょう?それが10%、20%と上がっていったら……? やっぱり大問題ですよね!
これまでの「安い石油が支えてきた世界」は終わりを告げ、石油の値段は10年前と比べても大きく上がってきています。今後も上がり続けるでしょう。生産量は変わらないか減っていくというのに、需要は増え続けていくのですから。
そして、「安全で安い」とされていた原子力発電も、東京電力福島第一原発事故で「安全でもなく、安くもない」ことがわかってきました。自然エネルギーに期待が集まりますが、これまで力を入れてこなかった分、普及のために最初はお金がかかるでしょう。
石油の値段や電気代がいくらになっても、どんな時代になっても、「わが家は大丈夫!」と言えるように、安心して幸せな暮らしを続けていけるように、いまできること・すべきことは何でしょうか?
幸い、自然エネルギーはいったん設置さえすれば、燃料費は永遠にタダ!です。さまざまな新しい技術も使えるようになってきました。そういった情報も仕入れながら、一つずつ自分で、わが家の現状を確認しながら、「わが家のエネルギー自立」に向けて、ちょっとでもいい、一歩でもいい、動き始めませんか? カンペキでなくてもよいのです。今よりもちょっとでも「安全・安心」に近づけるのなら、やってみる価値があると思いませんか。
「あのとき動いておいて良かった!」と言える日が必ずやってきます。その日に向けて、この本が少しでもお役に立ちますように!
枝廣淳子
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「エネ若の集い」について報告した基本問題委員会で、このように発言しました。
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「エネ女の集い」と「エネ若(やん)の集い」と、女性・若者バージョンを1回ずつやってみて、2つ、これは、これから進めていく上で必要なこと、自分の学びとして得ましたので、皆さん、ぜひ共有していただければと思います。
1点目は、エネルギーに関する情報やデータを、わかいやすく入手しやすい形で提示するということです。いろいろなことを聞くと、「あちらにあります」「こちらにあります」と、きっと、データと情報はもうたくさん、皆さんのほうにあると思いますが、それがわかりやすい形で、入手しやすい形で、自分たちが考えるために存在しているという感じは今、一般の人たちは持っていません。
今回、「エネ女」「エネ若」でも、「こういうことを知りたい」というのがたくさん出ています。それに答える形でぜひ、事務局の責任として、データ・情報を整理して出していただき、それを見て、「もっとここを知りたい」とか「ここ、わからない」とか、キャッチボールを何回かやりながら、一般的な人が手に入れたい情報を提示するようなことを、ぜひやっていただきたいというのが1点です。
前々回でしたか、使用済み核燃料の、「その後どうなるんですか。今、現状どうですか」ということを質問した時、委員長が、「事務局でそれは作らせます」ということを言ってくださって、それもお待ちしていますし、それも含めた全体の話を、ぜひ出していくような場をつくっていただきたいというのが1つ。
2点目は、今回、女性・若者を中心でやりましたが、若い世代も含めた議論・対話の場が非常に必要だということです。これは、参加した人たちも非常にそう思っている。こういうことをもっとやってほしい。これが政府に対する信頼回復の、大きな1つの手掛かりになるという感触も得ています。
プロセスに入れていく必要があります。「エネ女」と「エネ若」の2回は、第1回の試みとして、私が自力でやりましたが、このように個人でやるのではなくて、政府の公的なプロセスとして、国民との対話・議論を入れていただきたいということです。
おそらく、選択肢を作った後、エネ環会議が国民的議論を進めるのだと思いますが、そちらに任せるのではなくて、基本問題委員会のほうでも、きちんとそのやり方を、ワーキンググループを作るなり、事務局がたたき台を作るなり、やっていただきたいと思います。
これまでの経験から言うと、国民的議論をしようとしたときに、これまであまりやったことがないので、全体設計に1カ月から2カ月かかります。その後、具体的なプロセス設計におそらく1カ月から2カ月。そして運営の準備をするのに1〜2カ月、やはりかかります。
ですから、もしエネ環会議が5、6月から国民的議論を、選択肢を提示してやりたいということだったら、もう準備を始めないとおそらく間に合わない。それと並行して、先ほど言った、何往復かキャッチボールした上での、提示された選択肢を考えたり、判断したりするためのデータ情報。その2つを、これはおそらく事務局の責任でやっていただけるのだと思いますが、プロセスとしてぜひ入れていただきたいと思います。
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今回出した本も、「エネルギーに関する情報やデータを、わかいやすく入手しやすい形で提示する」ひとつの方法として書きました。
そして、これからの生き方・暮らし方についても考えるきっかけになれば、と思っています。本の裏表紙にこう書いてあります。
> 暮らしを支える基盤として不可欠なエネルギーを、他人任せにするのではなく、
> 「自分で手綱を握る」ことができれば、世界の状況に翻弄されることなく、「い
> つだって安心」な暮らしを営むことができるでしょう。そして、そんな時代をし
> なやかに生きていくためのキーワードは、「自立とつながり」です。
『わが家のエネルギー自給作戦』(エネルギーフォーラム新書)
いまは、別の「エネルギーに関する情報やデータ」をわかりやすく提示したいと、試行錯誤中です。。。カタチになったらみてくださいね!