昨年の記事ですが、JFSから世界に発信した記事に「熊本市、アジア初のフェアトレードシティに認定」というものがありました。
http://www.japanfs.org/ja/pages/031199.html
フェアトレードという言葉はお聞きになったことがあるでしょう。日本でも少しずつ取り組みが進んでいます。世界では、町ぐるみ、会社ぐるみでフェアトレードに取り組むところも多く、「フェアトレード・タウン」を推進しようと、日本でも「フェアトレードタウン・ジャパン」が日本独自のフェアトレードタウン基準を定めています。
http://www.fairtrade-town-japan.com/http://www.fairtrade-town-japan.com/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%81%AF/
世界でのフェアトレードの歴史や広がりについて知りたい方は、こちらの本が参考になります。
『日本のフェアトレード〜世界を変える希望の貿易』長坂 寿久 (著)
この本でイギリスでの普及のプロセスが紹介されているところがとても参考になるので、少し引用させていただきます(もっと詳しくは本書をお読み下さい)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『日本のフェアトレード〜世界を変える希望の貿易』長坂 寿久 (著) より
イギリスでの普及プロセス
フェアトレードは、これまでどのようにして普及の端緒を掴んだのだろうか。その典型的なプロセスをイギリスを例に挙げて見てみよう。
イギリスには国際的にも有名なフェアトレード団体がいくつかある。国際的影響力を持つ開発協力NGOであるオックスファム(OXFAM)のフェアトレード部門オックスファム・トレーディング(1964年設立、ただし現在はフェアトレードのアドボカシーは行うが、ビジネスは中止している)、SOS財団(67年)、トレイドクラフト(Traidcraft)(79年)、ツゥイン(Twin)(85年)、カフェダイレクト(Cafedirect)(91年)、フェアトレード財団(FairtradeFoundation)(92年)、デイ・チョコレート・カンパニー(Day ChocolateCompany)(96年)、等々である。
フェアトレード商品は、80年代まではフェアトレード専門店(世界ショップ)においてのみ売られていた。90年代に入って、認証団体であるフェアトレード財団(英FLO)が設立され、スーパーでも売られるようになる。そして同財団は、94年から「フェアトレード・フォートナイト」キャンペーン(08年は2月25日〜3月9日の二週間)を始めている。
1997年にフェアトレードコーヒーを自治体や公共施設やレストランで提供するよう、キャンペーンが始まり、多くの政治家の支持のもとに、議員食堂のコーヒーなどがフェアトレード商品に切り換えられていった。地方自治体でもコーヒー、紅茶をフェアトレード商品に切り換えていく決議が行われるようになった。97年からは議会(下院)はフェアトレード調達を導入する。コーヒーから始まり、紅茶、砂糖、チョコレート、ココア、ビスケット、バナナへと、その範囲は拡大されていった。
98年には、「職場でフェアトレード」キャンペーンが開始され、多くの大企業で社内用のコーヒーがフェアトレードコーヒーに切り換えられていった。99年になると、社内の自動販売機にはフェアトレード・マークのコーヒー、紅茶、ホットチョコレートを採用する企業が増えていった(ブリティッシュ・テレコム、監査法人KPMG、、マイクロソフト等々)。
2000年以降の普及にはさらに目を見張るものがある。2000年2月には、ブレア首相(当時)もフェアトレード・キャンペーンへの協力を決め、支持を表明した。英生協が自社ブランドのフェアトレード・チョコレートを開発し、1000に上る店舗で販売を開始、さらにフェアトレード・バナナの販売を開始した。この成功によって、他の多くのスーパーもこの動きに続いていった。
2000年4月に、「フェアトレード都市(フェアトレードタウン)宣言」をする自治体の第一号が現れた。イギリス北西部の町、ガースタングである。この第一号に続いて、最初は徐々に、その後急速に宣言都市が増えていき、2007年10月には300都市を超えるまでになった。
同2000年には、コスタ・コーヒーなどのコーヒーチェーンがフェアトレードコーヒーをメニューの中に入れるようになり、英スターバックスもメニューの中にフェアトレードコーヒーを取り入れた。2001年には、運輸など多くの労働組合が社内のコーヒーや紅茶にはフェアトレード商品を使うよう決議していった。02年には生協は板チョコをすべてフェアトレードに切り替えるという戦略(カテゴリーシフト)を導入した。
また、02年には、大手スーパーマーケットのセインズベリーが自社ブランドのフェアトレードコーヒー(豆と粉)を導入し、それを追うようにして、生協1000店もコーヒー豆を売り出した。2002年以降、新鮮な果物もフェアトレード商品に加わる。パッションフルーツ、マンゴー、パイナップル、さらにはケーキなども加わり、03年以降にはフェアトレード商品の品目数は急速に増えていった。
英生協はフェアトレード商品への取り組みで、02年に「名誉ある小売業者賞」(マルティプル・リテイラー賞)、またフェアトレード・キャンペーンでは「小売業週間賞」「2001年小売業者賞(マーケティング部門)」、03年には「世界理解ビジネス賞」「持続可能な開発賞」を受賞した。
2004年には、生協での成功を受けて、イギリス最大のスーパーのテスコがフェアトレード・チョコレートの販売を開始した。またイギリスユースホステル協会は国内のネットワークで提供するコーヒー、紅茶をすべてフェアトレードに切り換えた。05年には第二位のスーパーチェーンのアスダとソマーフィールドがフェアトレード・チョコレートの販売を開始した。
さらに、06年には、マークス&スペンサーはコーヒーと紅茶はフェアトレード商品のみを扱う旨を決定した。同社は07年からはコットン製品をフェアトレードに切り替えている。鉄道会社バージン・トレインズも車内販売のコーヒー、紅茶、ココアをすべてフェアトレード商品にした。
こうした推移をみると、自治体や政治家の役割が大きいこと、そして消費者の協同組合である生協が牽引し、それにスーパーや企業が続いているのが分かる。そして、その背景には、それをキャンペーンとして推進するフェアトレード団体の結束(ネットワーク)がある。
イギリスでもフェアトレードが十分に普及した状況にあるわけではない。普及の速度が早かったというだけである。今後さらにフェアトレードが主流になっていくための取り組みを、イギリスのフェアトレード団体たちはどのように行っていくのか。地球規模の問題意識で生きるNGOたちの英知が発露する場となっていくことだろう。
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普及のプロセスがとても興味深いです。自治体としても熊本市に続くところがゾクゾクと出てきてほしいですし、企業や組織での「職場でフェアトレード」も、日本でももっと広がってほしいなあ!と思います。
また、上記を読んで、「日本でいちばん欠けているのは政治家の理解と指示」かもしれないと思いました。フェアトレードについて語る政治家、みなさんの近くにいますか〜?(いなかったら、フェアトレードのことや英国の政治家のことを教えてあげて下さいね)