今年は2012年。今から40年前の1972年は、環境問題や持続可能性をめぐって、世界的に大きな動きがでてきた年です。
『GDP追求型成長から幸せ創造へ』
(アラン・アトキソン・枝廣 淳子(著) 武田ランダムハウスジャパン)
この本の中で、共著者のアランはこのように述べています。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
このように歴史を振り返ると、1972年が大きな節目の年として浮かび上がる。米国で最後のアポロ宇宙船が飛び立ち、米国の月探査計画が国家予算の逼迫を理由に中断された年なのだ。象徴的に解釈すれば、この転換点は「私たちは本拠地である地球から離れられない」ことの暗黙の了解とみることができるかもしれない。私たちは近い将来、地球を飛び出し、住むことのできる新しい惑星(または衛星)を見つけることはできないのだ。
もっと具体的な話をすると、国連の初めての環境に関する世界会議が(ストックホルムで)開催された年でもある。この会議は、地球の将来をめぐって新たに浮上してきた多くの懸念を反映して開かれた。今では、この「ストックホルム会議」から、その後の数十年間にわたる国連の環境と開発を議題とする一連の地球サミットが始まったとみなされている。
1972年は、米国と欧州のいくつかの国で世界で初めての環境省が設置され、最初の包括的な環境法が成立した年でもある。
しかし、どの出来事よりも、「1972年が成長の歴史における転換点として重要だったのだ」ということを示すのは、ローマクラブとマサチューセッツ工科大学による名高い研究報告「成長の限界」である。
この画期的な書籍『成長の限界』は、世界の人口増加、工業生産、資源の消費量、汚染に関するコンピュータ・モデルを用いた研究の報告書である。若い著者たち(平均年齢約30歳)は、当時の「現状維持パターン」で人間の影響が拡大しつづけた場合に将来起こる深刻な資源・環境問題について警鐘を鳴らした。
この本は世界の舞台に、そう、まるでロケットのように飛び出した。何百万部も売れ、何百もの新聞や雑誌の見出しを飾り、経済成長の長期的な展望をめぐる激しい議論を世界中で巻き起こした。議論は今日まで続いている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そう、今年は『成長の限界』から40周年なのです。この研究と書籍が世に警告を発したとおりに、私たちは「このままでは成長は限界を超え、行き過ぎてしまう」という経路をたどって進んできました。
1972年の最初の『成長の限界』(The Limits to Growth)から20年後、デニス・メドウズらはデータや知見を更新した「Beyond the Limits」を出しました。
日本語訳ではこの書名は『限界を超えて』と訳されており、何だか限界を超えていけそうな希望を与えかねないイメージでしたが、原題の「Beyond the Limits」は「限界を超えた」と訳すべきだったのではないかと思います。「このままだと限界を超えてしまう」と1972年に警告を発していたことは、1992年時点では「現実」になってしまっていたからです。
それからさらに10年、3冊目の「The Limits to Growth 30 years update」は、私が訳させてもらって2005年に『成長の限界 人類の選択』として刊行されました。
それからさらに10年近くがたちましたが、事態はまったく好転していないどころか悪化の一途をたどっている......という状況です。この状況を、そして1972年の最初の研究や出版、それからの40年間をデニスはどのように見ているのでしょうか? 今後の見通しをどう考えているのでしょうか? 希望はあるのか? デニスが今力を入れているのは何なのでしょうか? そしてそれは何を求めて?
今年世界のあちこちで「成長の限界」40周年記念シンポジウムや講演会が開催されていますが、残念ながら日本ではデニスをお招きする機会がありません。
そこで、幸せ経済社会研究所で、「バーチャルなデニスとの対話」セッションを開催することにしました。オープンセミナーですので、どなたでもご参加いただけます。
(1)9月13日(木)第1回勉強会で、「成長の限界」について理解を深め、デニスに質問したいことをみなで出し合う
(2)9月後半のバラトン合宿で、デニスに質問に答えてもらい、そのようすを動画で録画(難しい場合は音声で録音)させてもらう
(3)10月4日(木)第2回勉強会で、デニスからの答えを共有し、さらにみなで考えを深める
というものです。第1回、または第2回のみの参加も可能です。
以下がご案内です。『成長の限界』についての解説をしますので、読んだことがない方でも大丈夫です。『成長の限界』についてよくご存じの方も、そうでない方も、著者とのやりとりもできるこの機会にぜひご参加下さい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここからご案内〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『デニス・メドウズ氏との対話〜「成長の限界」から40年たって』勉強会
●日時:
(第1回)9月13日(木)18:20〜20:50 (18:10〜受付開始)
(第2回)10月4日(木)18:20〜21:00 (18:05〜受付開始)
●会場:
(第1回) 日本青年館 502号室 (地下鉄銀座線外苑駅前より徒歩7分)
〒160-0013 東京都新宿区霞ヶ丘7番1号
TEL:03-3401-0101 FAX:03-3404-0611
(第2回) 日本財団 2F会議室 (地下鉄銀座線虎ノ門駅より徒歩5分
/地下鉄銀座線・南北線溜池山王駅より徒歩5分)
〒107-8404 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル
TEL 03-6229-5111/ FAX 03-6229-5110
●プログラム(予定):
(第1回)
18:20 開始
『成長の限界』についての解説
19:30 参加者による問題意識の共有
デニスへの質問出し
20:50 終了
(第2回)
18:20 開始
デニスからの答えの共有・解説
20:00 今後に向けてのディスカション
20:50 共催者挨拶、終了
●講師:
枝廣淳子(幸せ経済社会研究所 所長)
小田理一郎(有限会社チェンジ・エージェント 代表取締役)
●主催:幸せ経済社会研究所、有限会社イーズ
●共催:有限会社チェンジ・エージェント、ジャパン・フォー・サステナビリティ、公益財団法人日本財団
●定員:
教室受講 約50名(先着順)
音声受講 定員なし
※音声受講者には毎回、音声ファイルと資料をお送りします。
※教室受講者で当日不参加の場合、音声ファイルと資料をお送りします。
●参加費
1回 3,000円 (第1回、第2回とも参加される場合は 6,000円)
●お申込み:
以下のフォームよりお申込みください。
http://bit.ly/PIPLHk
※セキュリティの関係でフォームをご利用頂けない場合は、
事務局までメールにて以下情報をお知らせくださいませ。
-----------------------------------------------------
・お名前(ふりがな)
・ご所属
・メールアドレス
・ご連絡先電話番号
・受講形態(教室受講/音声受講)
・受講回数(第1回のみ/第2回のみ/2回とも受講)
・備考
-----------------------------------------------------
●お問い合わせ
有限会社イーズ「幸せ経済社会研究所」事務局(担当:岩下、田中)
Email: info@es-inc.jp
TEL:03-5426-1128/FAX:03-6413-3762
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ご案内ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
本当はデニスに来てもらって直接話を聴ければよかったのですが、それが難しいということで、それでも、今後をしっかり考えていくために「成長の限界から40年たって、デニスに聞きたいこと、教えてほしいこと」をやりとりできたら、と思います。バラトン合宿にいっぱいの質問を抱えていくことを楽しみにしています。ぜひご参加下さい!
このあとは、上記とは関係のない余談ですので、お時間やご興味のある方だけ、どうぞー。
少し前の日経新聞に「ビジョン描き不安解消 女性中心に研修・講座が人気」という大きな記事がありました。
「年功序列など従来の慣行が崩れ、語学や資格取得に努力しても先々の仕事の迷いや不安が解消しないビジネスパーソンも多いだろう。そんななか、じっくりと自分の将来を考えさせる研修が女性を中心に人気を集めている。不透明な時代にこそ、目先のスキル向上の前に将来ビジョンをしっかり描くことが大切だと気づく女性が多いようだ」とのこと。
「今の仕事は本当に自分がやりたいことなのか」「自分の生き方・あり方・暮らしはこのままでよいのだろうか?」という自分への問いかけをし、考えてみようとする人は、女性に限らず増えているように思います。
私は10年ほど前から、「自分のビジョンをじっくりと描き、実現に向けての行動計画を立て、途中で挫折しないしくみを身につける」個人向けのワークショップをおこなっていますが、ここ数年、男性の参加もとても増えています。
数年前の講座に参加された方から、先日メールをいただきました(ご快諾を得て、一部紹介させていただきます)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今となっては、枝廣さんから直接教えをいただいた日々があったことが夢のような気がします。でも、あの時の半年間が、今の私にとってかけがえのない大きな時間であったことは疑いようがありません。
コースを通じて、自分の目標を持ち、それに向かって努力することを具体的かつ戦略的に教えていただいたことで、その当時は夢でしかなかった仕事に就くことができました。(中略)先日、上司に呼ばれチーム長という肩書が与えられることになりました。任期制の職員が管理職になることは異例の事らしいです。
7年前に枝廣さんの講座に申し込んだ時の私は、派遣で秘書をしていました。気楽で楽しい毎日でしたが、このままでいいのか、という思いが常にありました。でも枝廣さんの講座を通じて自分の人生は自分のためにあり、自分がマネジメントするものだ、という気持ちになってから一歩も二歩も踏み出す勇気が出ました。
今、私の経歴では有り得ないようなポストを与えられて、不安でいっぱいですが、同時に私を評価してくれた上司とこの環境を与えてくれた周囲の人々に感謝しながら、自分のできることを臆せず骨惜しみせずやっていこうと思っています。
突然、このようなメールを差し上げて申し訳ありませんでした。今の私があるのは、枝廣さんの講座のおかげであることは軽視できない、という思いがありますので、厚かましいとは思いましたが、現状報告を兼ねて改めてお礼申し上げたくメールいたしました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここに至るまで、自分なりに努力もしたし、我慢したこともありました。でも、今、欲しかったものは全部持っている、と思える自分がいます。あとは、今、持っているものをより良いものにできるように、努力していきたいと思っています。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「自分の人生は自分で変えていける」こと、本当にそうだなあ!と思います。私の会社イーズのスローガンのひとつは、「自分を変えられる人は、社会も変えられる」。「変える」ためのスキルやコツは共通しているものが多いからです。
当時は月に1回×6ヵ月というコースをおこなっていました。今はそれだけの時間が確保できないので、年に2回、1泊2日でおこなっています。次回は9月1日〜2日、那須高原の緑に囲まれた素敵な空間でおこないます。
もし「ここらでじっくり自分の今後について考えてみよう」と思われたら、ぜひご参加下さい。ビジョンの描き方、実行計画を作る上での留意点、自分を責めずに進み続けるコツなど、盛りだくさんのお手伝い付きです〜。
※有限会社イーズは、2017年12月25日に移転いたしました。
この記事に関するお問い合わせ