日本でも固定価格買取制度の導入以来、太陽光発電が爆発的に増えていますが、世界でも同様のようです。10年前に比べて100倍に増えているとのこと! そうして、どのくらいの規模になってきたのでしょうね?
2010年の確定された数字について、レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所からのプレスリリースをご紹介しましょう。日本についても言及されています。
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太陽光発電2010年に記録更新
J・マシュー・ローニー
アースポリシー研究所リリース
www.earth-policy.org/indicators/C47/solar_power_2011
太陽電池メーカーは2010年に世界全体で過去最高となる2万4,000メガワットの太陽電池を製造し、その量は前年の2倍以上となった。年間の太陽電池製造量は、2000年のわずか277メガワットからほぼ100倍に増えたことになる。新規設備容量の記録も2010年には塗り替えられ、100カ国以上で1万6,600メガワットになった。世界全体の太陽光発電容量は合計で約4万メガワットに達し、欧州の1,400万世帯の電力消費を賄えるほどである。
【グラフタイトル】世界の年間太陽電池製造量(1985年―2010年)
【グラフ縦軸】メガワット
半導体を素材とする太陽電池は、太陽エネルギーを直接電気に変換するものだ。多数の太陽電池から成る長方形のパネルは、接続されて様々な大きさと発電能力を持つ太陽電池アレイになる。太陽電池アレイは、屋根に設置する出力数キロワットのものから、数百あるいは数千メガワットもの出力を持つ地上設置型まである。(1メガワットは1,000キロワットに相当)
主流となっているのは従来の結晶シリコン型太陽電池と、後発の薄膜太陽電池の二つである。2010年に結晶シリコン型太陽電池の製造量は前年の2倍以上になり、太陽電池全体の80%以上を占めた。薄膜太陽電池は遅れを取っているが、それでも60%以上増えている。薄膜太陽電池の製造でトップの座を維持している米国のファースト・ソーラー社は、世界全体の40%以上を製造し、その大部分をマレーシアで作っている。
アースポリシー研究所がGTMリサーチから入手した資料によると、中国の製造会社は、2010年に約1万1,000メガワットの太陽電池を製造し、またもや世界の市場を制した。(データ参照:
http://www.earth-policy.org/datacenter/xls/indicator12_2011_2.xls)
中国は7年連続で太陽電池の製造量を前年の2倍以上に伸ばし続けている。大差をつけられ2位となった台湾の製造量は3,600メガワット。その後には2,200メガワットの日本、2,000メガワットのドイツ、1,100メガワットの米国が続いている。この上位5カ国で世界の太陽電池の82%が製造されている。
ドイツは太陽電池の製造量では世界第4位であるが、ソーラーパネルによる実際の発電量では、他の国をリードしている。この分野では2004年に日本を追い越した後、ドイツはその差を年々広げてきており、2010年には7,400メガワットを追加して、今や1万7,200メガワットの太陽光発電の設置容量を誇っている。
これは世界全体の太陽光発電の40%以上に相当し、世界第2位のスペインの3,800メガワットの4倍以上になる。ドイツでの太陽光発電は、今ではドイツの約3,400万家庭の電力需要を十分に賄える電力を生み出している。
【グラフタイトル】世界の累積太陽光発電設備容量(1998年―2010年)
【グラフ縦軸】メガワット
【グラフ下】出典:EPIAの資料を基にアースポリシー研究所で作成
日本は2010年に新規にほぼ1,000メガワットの太陽光発電容量を導入した。発電容量は合計で3,600メガワットとなり、世界第3位である。日本では太陽光発電導入の気運が高まっており、特に2011年3月の福島の原発事故以降、国が代替エネルギーに力をいれ始めたことから、2020年までに2万8,000メガワットを確保するという国家目標は容易に達成できそうである。
2010年には太陽光発電容量を合計で約2倍増やし、3,500メガワットの発電設備をもつことになったイタリアは、米国を追い抜き世界ランク4位の座を奪った。2011年には、ドイツを上回る8,000メガワットの導入が新規に見込まれ、イタリアは、2020年の公式目標であった8,000メガワットをこの時点で達成することになる。イタリアの代表的電力会社のエネルの予測では、2020年には国内の発電容量は、現在の住宅用電力需要の半分を十分に満たす3万メガワットに達するという。
米国の太陽光発電容量も2010年に力強い成長を見せ、発電容量は50%以上増えて合計で2,500メガワットになった。現在1,000メガワット以上を送電網に接続しているカリフォルニアは、再び太陽光発電の新規設置容量ですべての州のトップに立った。しかしニュージャージー、ネバダ、アリゾナなどその他の多くの州でも、州や連邦による数々の計画や奨励策によって太陽光発電容量が増加している。
ごく最近まで、中国は太陽電池の製造大国でありながら、太陽パネルは国内市場価格が高いと見られていたために太陽光発電が国内で普及することはなかった。現在も中国製の太陽電池は大部分が輸出にまわっている。
ところが、政府が太陽光発電をエネルギーミックスの一部に組み入れ、その拡大に本腰をいれはじめたことで太陽光発電容量は今や大きく増加し、2010年には、140%増えて合計で900メガワット近くになった。この年には、太陽光発電への投資の半額と送電網につなぐコストの半分を助成する国家金太陽計画が、丸一年間初めて適用されている。2012年以降は毎年新たに、少なくとも1,000メガワットの発電容量が生まれる見込みだ。
さらに、2011年8月、中国国家発展改革委員会(註:前身は国家計画委員会)は太陽光発電について固定価格買取制度を実施すると発表した。現在、この制度は60カ国以上で採用され、世界中に導入された殆どの太陽光発電がその恩恵に与っている。固定価格買取制度とは、一般的に、国が、電力業者が生産し送電網に流す再生可能な電気を買い取るに当たって、キロワット時当たりの単価を彼らに長期間保証しようというものであり、太陽光発電の導入を促す上で極めて大きな働きをしている。
金太陽計画と新設されたこの固定価格買取制度は、2011年の中国の太陽光発電容量を、再度、少なくとも2倍は押し上げるだろう。中国は2015年と2020年の目標をそれぞれ1万メガワットと5万メガワットに上げたそうだが、それも当然かもしれない。
ここ10年以上の間に太陽光発電のコストは大幅に下がった。しかし、その電気料金は国から多額の助成金をもらっている化石燃料による電気料金に比べると、まだ太刀打ちできる状態ではない。もし健康に与える影響とか、気候変動に伴うコストなど、化石燃料を燃やした結果発生する全コストを電気料金に組み込むなら、太陽光発電が電力としては最も安上がりなもののひとつであることが、すぐにも明らかになるだろう。
太陽光発電は価格の低下とともに、その発電自体の様子も大きく進化している。当初から存在する小規模タイプだけでなく、今や発電容量が数十や数百、いや数千メガワットに及ぶ商業規模の発電パークが出現している。2010年、80メガワットの規模を持ち、当時世界最大であったカナダの発電パークは、翌年9月には150メガワットの太陽光発電基地がドイツ北東部に生まれたことで世界一の座を奪われている。
米国では、2011年の後半までで100メガワット級のプロジェクトが48本動き、その中にはカリフォルニア、サン・ジョーキンバレーの荒れた農地に建つ5,000メガワット規模の発電パークもある。この太陽光発電設備が全て稼動すれば、発電容量は原子力発電設備5基分に匹敵するほどになると思われる。
インドでもマルチメガワット級の発電プロジェクトが、2009年後半に発表されたナショナル・ソーラー・ミッションの一環として現在進展中である。インドの2010年末の太陽光発電設備容量はわずか100メガワットだが、国は太陽光発電と集光型太陽熱発電を半分ずつ利用し、太陽エネルギーによる発電容量を2022年までに2万2,000メガワット程度まで増やすことを目標にしている。インド西部のグジャラート州だけで2015年までに3,000メガワット規模の太陽光発電所を建設する計画がある。
ナショナル・ソーラー・ミッションによる太陽光発電の一部は電気を使えない数百万の人たちが住む地方に向けて拡がっている。他の多くの途上国の場合と同じように、インドの太陽光発電には送電網のない地域に電気が供給できるという大きな可能性がある。各家に小規模の太陽光発電設備を設ければ、電気代は中央に発電所を建設するよりはるかに少なくなるし、石油ランプによる室内の空気の汚れも大幅に減らせる利点がある。
産業アナリストは、2011年には世界全体で約2万1,000メガワットの太陽光発電設備が設置されると予測している。市場が2倍に膨らんだ2010年ほどの勢いは明らかにないが、太陽光発電の需要が伸びている国は依然増え続けている。スロバキアや英国など新しい市場が加わり、100メガワット以上の発電を行う国の数は2010年の13から20に増えそうである。
太陽光発電のコストは低下し、気候変動に対する不安も高まっている。多くの国は限りある化石燃料を無尽蔵なエネルギー源と置き換えることに期待を寄せる。そうしたことから、太陽光発電の成長は続くに違いない。その潜在力は実際無限だ。2011年のEnergy Policy『仮邦題:エネルギーポリシー』(http://www.stanford.edu/group/efmh/jacobson/Articles/I/JDEnPolicyPt1.pdf)は、太陽光発電所をふさわしい場所に展開すれば、現在世界で発電されている電力の30倍もの電力を生み出すことが可能である、との記事を載せている。
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詳しい資料・追加情報についてはwww.earthpolicy.orgを参照のこと。
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(翻訳:山口、酒井)
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日本の数字が大きく伸びていくようす、これからのこういったレポートなどでも読めるのがとっても楽しみです!