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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2012年11月28日

アースポリシー研究所より「2011年、世界の風力発電量、新記録を達成」(2012.11.28)

 
前号の最後に、 > 日本の銀行にも、このようにNGOやNPOを本業を通じて支援してくれているところ があったらぜひ教えて下さい~。 と書いたところ、何人かの方から情報を寄せていただいたので、お届けしますー。 ●NGO・NPO向け融資(信用金庫) http://www.erca.go.jp/jfge/info/finance/pdf/shinkin.pdf ●日本公庫のNPO法人向け融資実績、24 年度上半期も増加(株式会社日本政策金融公庫) ~地域で社会的課題を解決し安定的継続的な雇用を創出するNPO法人を応援しています~ http://www.jfc.go.jp/common/pdf/topics_121115_1.pdf ●ムトス飯田市民ファンド NPO法人は、保健・医療・福祉・社会教育・環境など17の分野で、営利を目的とせず、市民のための公益活動を行っています。しかし、資金調達の面では活動資金の借入が困難な場合もあります。 ムトス飯田市民ファンドは、地域できめ細かく公益サービスを行っているNPO法人に対し、事業を資金面で支援するために無利子融資を行っています。 http://www.city.iida.lg.jp/iidasypher/www/info/detail.jsp?id=3965 社会に役立つ活動をするにも、やはり先立つものが必要になります。社会の中で、社会が必要とするところへお金が流れていくことが大事ですよね。そういったお金の流れを、本業でお金を扱う金融機関がつくっていくことは本当に大切なことだと思います(金融機関でそれを抜きにしたCSRってありなのかなあ?とさえ思います) NGO側もこういった情報をじょうずに活用し、また資金の流れも創り出すつもりで働きかけをしていきましょう! さて、レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所からのリリースを実践和訳チームが訳してくれましたので、お届けします。 ちょっとご案内 ★翻訳勉強中の方、勉強してみたいなという方へ★ ふだんはメールで課題を配信してトレーニングをしているトラたまコミュニティでは、ときどきトライアルを行い、合格者に実践和訳チームに入っていただいて活躍しながら実践をつんでもらっています。12月23日には1日じっくり翻訳に取り組み、自分が次に進むために効果的な勉強法を身につける道場を開催します。 毎回、参加者が力をつけていることが感じられるトレーニングです。来年へのステップアップにぜひどうぞ! http://www.es-inc.jp/news/002417.html ~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~ 2011年、世界の風力発電量、新記録を達成 J・マシュー・ローニー (グラフなどはこちらのサイトをご覧ください http://www.earth-policy.org/indicators/C49/wind_power_2012 ) 風力エネルギーの開発業者は、2011年、4万1,000メガワットという記録的な発電容量を設置し、世界の総発電容量を23万8,000メガワッ トに増やした。風力発電は今や80カ国以上に普及し、世界全体では、3億8,000万の人たちが欧州並みに電気を家庭用に使った場合、それを十分満たすだけの量がある。 【グラフ】世界の風力発電累積設置容量(1980年~2011年) 【グラフ右】メガワット 出典:世界風力エネルギー協会、ワールドウオッチ研究所のデータを基にアースポリシー研究所で作成 中国はこの年、なんと1万8,000メガワットもの風力発電容量を設置した。これで年間設置容量は3年連続で世界一となり、総発電容量は6万 3,000メガワットに達する。中国が世界のトップに躍り出たのは速かった。2005年から2009年まで毎年発電容量を倍増させ、2010年には米国を追い越している。(データ参:www.earth-policy.org.) 中国と他国との開きは、この国が押し進めている壮大な風力基地計画により、今後数年の間にさらに大きくなることは間違いないだろう。風力資源の豊かな北部全域で、現在1万~3万8,000メガワット規模の巨大風力複合施設の建設が進んでいる。2020年までにこれらの基地からは、2008年末時点の世界の合計を上回る14万メガワット近くの発電容量が生まれる見込みだ。 これまで中国の実績には目をみはるものがあった。しかし、発電容量を急激に増やしたことがいま大きな問題を生んでいる。風力発電所自体が完成しても、遠方の地域では肝心の送電網や送電線の改良が間に合わないのだ。その結果、多くのタービンが遊休状態にある。完成を急いだことで、風力発電所の安全性や性能に関する不安の声も広まっている。 こうした事態を受け、行政当局は新規の発電設置容量を年間1万5,000~2万メガワット内に制限するとともに、プロジェクトの質の見直しと送電網へのアクセスの改善を図ることを優先するようになった。 風力発電では今やすっかり中国と差のついた米国が2011年に設置した発電容量は6,800メガワットであった。米国の風力発電所は今では38州に拡がり、全体での発電容量は、1,000万を超える世帯の需要を賄うことが可能な4万7,000メガワット近くに達している。2012年にはさらに1万メガワットの設備が稼動する見込みだ。 しかし、2013年の見通しはそれほど明るくない。影響力の強い税額控除が予定通り2012年末で終了すると、発電容量の新規設置分が急激に落ち込むことを業界は懸念しており、そうなれば、米国製造業界で輝かしい成功をおさめてきた多くの仕事が困難な状況下に置かれるようになるだろう。 現在1万400メガワットの風力設置容量を持つテキサス州は、国内順位では2006年以降トップの座を維持している。2番目がアイオワ州で、発電容量は4,300メガワット。全電力に占める風力発電の割合ではアイオワ州とサウスダコタ州が最も多い。いずれも20%が風力発電だ。 人口が2,500万人のテキサス州では、その割合は8%である。 中国もそうだが、米国でも大規模な風力発電所のいくつかは都心から遠く離れた場所にあり、人口の多い都心に送電するには新たに送電線を敷くか、あるいは送電線を高品質なものに取り替える必要がある。 この問題の解決に向けて、今全国では多くの長距離高圧送電プロジェクトが動いている。その中に含まれているクリーン・ライン・エネルギー・パートナーズ(Clean Line Energy Partners)が提案する4つのプロジェクトは、米国の中西部、南部、および西部で、合計1万7,000メガワット以上の再生可能な電気を起こし、これを送電するというものである。 例えば、クリーン・ラインの"グレイン・ベルト・エクスプレス"プロジェクトが動き出せば、再生可能な電気を風力資源の豊かなカンザス州で発電し、これを東部のミズリー州やイリノイ州、さらにはその東方にまで送電することが可能に なるだろう。 風力発電容量を地域別でみると、10万メガワット近い容量を持つ欧州が世界をリードしている。EUが2011年に設置した風力発電容量は9,600メガワット。これはEUでこの年増えた発電量の20%以上に相当する(残りは太陽光発電が大半を占める)。 2000年以降、EUは石炭や原子力による発電容量をそれぞれ1万メガワットと1万4,000メガワット削減してきたが、風力発電の方は8万4,000メガワットも量を増やしている。 デンマークは電力全体の1/4以上を風力発電から得ており、その割合はどこの国よりも多い。政府はこれを2020年までに50%にまで引き上げると公約している。 総風力発電容量がドイツに次いで多い世界第4位のスペインでは、その割合は10%以上、ポルトガルやアイルランドも同様である。ドイツでは、風力発電が国内の電力使用量のうち8%を占めるが、北部の4つの州はいずれもが自慢するように、なんと40%以上が風力発電である。 EUではこれまで未成熟であったいくつかの風力発電市場が活気づき始めている。 設置容量が1,000メガワットを超えたばかりのベルギーは2012年中にこれを倍増するようだし、ルーマニアは2009年に14メガワットにすぎなかった発電容量を2011年には980メガワットにまで増やしており、2012年はさらに850メガワットを追加しそうだ。 世界有数の風力タービン製造業者に成長したスズロン・エナジー社があるインドの風力発電設置容量は、2011年は3,000メガワットであった。累積発電容量は合計1万6,100メガワットに達し、世界ランクは5位を保っている。政府はこれを今後5年以内に倍増させるつもりだ。 国内28州のうち18の州が固定価格買取制度を導入し、風力エネルギーの開発を後押ししている。欧州で広く採用されているこの制度は、電力会社が再生可能エネルギーから生まれた電力を買い取る際、割増料金を支払うというものである。 この固定価格買取制度を全国的に取り入れたばかりの隣国パキスタンの風力発電容量は現在6メガワットしかない。しかし、この国でも1,500メガワット以上の容量が2013年までに上乗せされる見込みだ。 こうした拡大の大部分は、この国最大の都市カラチがあるシンド州が予定されている。全体的にみて、パキスタンの風力発電容量にはこの国の電力需要の10倍分以上が賄える35万メガワットまで増やせる可能性がある。 中南米、アフリカ、中東の国々でも風力資源が活用されている。ブラジルは風力発電市場が急速に拡大する中南米で他国をリードし、2011年には総発電容量を前年より63%多い1,500メガワットにした。ほかに、7,000メガワット規模のプロジェクトがあり、既に顧客との間で設備が稼動次第電力を購入するとの契約が締結されている。 サハラ砂漠以南では、待望久しかった300メガワット規模のトゥルカナ湖風力発電所が、2012年4月にケニアの北西部で運転を開始する見込みだ。エチオピアでは2011年に初めてウィンド・ファームが稼動し、ナイジェリアやモーリタニアでも2012年初頭の操業を目指し同様の動きがある。中東はどうだろう。トルコの風力発電容量は2005年は20メガワットであったが、2011年には1,800メガワットにまで増え、さらに現在はその5倍の容量が計画段階にある。 現在稼働中の風力タービンは大部分が陸地にある。しかし洋上での風力発電も徐々に開発が進んでいる。そのほとんどは欧州にあって、今や総発電容量は4,000メガワットを超え、2006年当時の5倍になる。 その半分以上を占めるのが英国である。この国の洋上風力パーク、グレーター・ガバードには、すでに世界最大となる380メガワットの発電能力が備わっている。 全体が完成すれば発電容量は500メガワットを超えるだろう。欧州風力エネルギー協会は、欧州の洋上風力発電容量は2030年までに15万メガワットに達し、EUで予想される電力需要の14%が賄えるようになると予測している。 欧州以外の地域で唯一洋上風力発電所が稼動しているのはアジアである。中国は2010年以降200メガワット以上の洋上風力発電所を設置し、日本も2004年以降に25メガワット規模の発電所を建設している。近い将来を見据えた壮大な目標もある。これが実現すると、洋上風力発電拡大の動きは一気に加速するだろう。 中国は2015年までに洋上風力発電容量を25,000メガワットに増やそうとしており、韓国も2019年を目処にこれを2,500メガワットにする計画を持っている。 再生可能なエネルギー資源から電力を得ることに関して、反対の声があがることがよくある。コストがかかり過ぎて原子力発電所や石炭火力発電所には太刀打ちできないというのだ。 しかし、風の場合、陸地の最適な場所では、今でもコスト的に他のエネルギー資源と張り合えることが多い。ブルームバーグ・ニューエネルギー・ファイナンスのアナリストたちは、風のコストが今後も低下を続けると、2016年までに普通の風力発電所でもコスト的にひけをとらなくなると見ている。 世界の風力発電容量は2011年から2016年までの間に少なくとも2倍にはなると予想されている。すでに導入した国は今後巨大な基地を増やすだろうし、市場に新たに参入する国も増えてくるだろう。 資源に限りがあり、コストのかかる化石燃料から再生可能資源に移行する動きは、人間の手には負えない気候変動による悲惨な状況が回避できそうに思えるほど速まっている。風は広範にあり無尽蔵であることや、規模を拡大するのが早く、気候に優しくて燃料費をゼロにしてくれるなど、魅力的なメリットが数多くあることから、風力発電がいまや新エネルギー経済への移行に拍車をかけつつある。 # # # さらに詳しいデータ・情報についてはwww.earthpolicy.orgを参照のこと。 情報の友人、家族、同僚への転送を歓迎します! メディア関連の問い合わせ: リア・ジャニス・カウフマン 電話:(202) 496-9290 内線12 電子メール:rjk@earthpolicy.org 研究関連の問い合わせ: マット・ローニー 電話:(202) 496-9290 内線17 電子メール:jmroney@earthpolicy.org アースポリシー研究所 1350 Connecticut Avenue NW, Suite 403 Washington, DC 20036 (翻訳:酒井、チェッカー:川嶋) ~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~ 世界の風力発電には追い風がびゅんびゅん吹いているようすがわかりますねー。遅ればせながら、日本でも新聞紙上によく登場するようになってきました。これからの展開に大いに期待!です。 もちろん風力発電が増えるのはよいことなのですが、単にCO2を出さず、化石燃料に頼らないエネルギー源として見るだけではなく、地域の資源として見ると、同じ風力発電でも「地域にお金を落として地域に役立つ風力発電」と「東京などにお金を持っていってしまう風力発電」があることがわかります。 同じ風車でも地域社会や地域の人々の幸せによりつながる風車を応援していきたいですね。次号ではそのあたりをもう少しご紹介します。
 

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