報道でご存じの方も多いと思いますが、これまで2030年までのエネルギー基本計画について議論し、原発依存度を含む選択肢などを準備してきた「基本問題委員会」が廃止され、新たに総合資源エネルギー調査会の総合部会で、エネルギー基本計画についての議論が進められることになりました。
ご参考まで、委員のリストです。(敬称略です)
<新しい委員会> ●は新規委員
部会長:三村 明夫(新日鐵住金(株)取締役相談役)
エネルギー分析:豊田 正和((財)日本エネルギー経済研究所理事長)
グリーン政策(省エネ・再エネ):
柏木 孝夫(東京工業大学特命教授)
中上 英俊((株)住環境計画研究所代表取締役所長)
化石燃料の戦略的活用:
橘川 武郎(一橋大学大学院商学研究科教授)
電力システム:
松村 敏弘(東京大学社会科学研究所教授)
原子力政策:
●山名 元(京都大学原子炉実験所教授)
エネルギー安全保障:
寺島 実郎((財)日本総合研究所理事長)
経済・環境とエネルギー:
●秋元 圭吾((財)地球環境産業技術研究機構システム研究グループリーダー)
植田 和弘(京都大学大学院経済学研究科教授)
地域経済とエネルギー:
●増田 寛也(野村総合研究所顧問、東京大学公共政策大学院客員教授)
国民との対話の深化:
崎田 裕子(ジャーナリスト・環境カウンセラー、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長)
各界代表(産業界/消費者/自治体):
●志賀 俊之(日産自動車(株)代表取締役最高執行責任者)
辰巳 菊子((社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問)
●西川 一誠(福井県知事)
(計15名)
ちなみに、廃止された「基本問題委員会」の名簿はこちらです。
<総合資源エネルギー調査会 基本問題委員会>
×は今回外された委員
委員長:三村 明夫・新日本製鐵(株)代表取締役会長
×阿南 久 全国消費者団体連絡会事務局長
×飯田 哲也 NPO法人環境エネルギー政策研究所所長
植田 和弘 京都大学大学院経済学研究科教授
×槍田 松瑩 三井物産(株)取締役会長
×枝廣 淳子 ジャパン・フォー・サステナビリティ代表
幸せ経済社会研究所所長
×大島 堅一 立命館大学国際関係学部教授
柏木 孝夫 東京工業大学大学院教授
×金本 良嗣 政策研究大学院大学教授・学長特別補佐
×北岡 伸一 東京大学大学院法学政治学研究科教授
橘川 武郎 一橋大学大学院商学研究科教授
×河野龍太郎 BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミスト
×榊原 定征 東レ(株)代表取締役会長
崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー
NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長
×菅家 功 日本労働組合総連合会副事務局長
×高橋 洋 (株)富士通総研主任研究員
辰巳 菊子 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・
コンサルタント協会理事
×田中 知 東京大学大学院工学系研究科教授
寺島 実郎 (財)日本総合研究所理事長
豊田 正和 (財)日本エネルギー経済研究所理事長
中上 英俊 (株)住環境計画研究所代表取締役所長
東京工業大学統合研究院特任教授
×八田 達夫 大阪大学招聘教授
×伴 英幸 認定NPO法人原子力資料情報室共同代表
松村 敏弘 東京大学社会科学研究所教授
×山地 憲治 (財)地球環境産業技術研究機構理事・研究所長
(計25名)
私が"外された"ことに対して、自分では「あらら、やっぱり......、基本問題委員会、楽しかったのにな~」程度で、怒ったり落ち込んだりしていませんので、ご安心を(たぶん私がいちばん基本問題委員会を楽しんでいたと思います。^^;)
他の方々から、FBなどでいろいろなコメントやメッセージをいただいていますが、なかでもうれしかったのは「枝廣さんの資料はとてもわかりやすかったのに」というコメントでした。
特に求められていないときも含めて、できるだけわかりやすく、伝わるように、と努力して(資料と発表に命を賭けて!と冗談で言っていました。^^;)資料を作成して参加していましたので。
ちなみに、各委員の資料はこちらにあります。
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/index.htm#theme
自分の資料は、自分のサイトにもアップしています。
http://ishes.org/es/energy/
基本問題委員会でも「女性が少ない」(25人中4人)、「若い年代の声が届かない」(60才以上が64%)と繰り返し問題提起し、少しでも補いたいと、「エネ女の集い」「エネ若の集い」を自主開催し、声を委員会に届けてきました。こういった集まりでも「そもそもの委員の人選を、性別や年齢的にも国民をより代表するような形にしてほしい」という声が強く出されていました。
が、今回の部会の委員名簿を見ると、ますます「女性が少ない」(15人中2人)「やはり若い年代がいない」状況です。。。
民主党時代の基本問題委員会や国民的議論の進め方にはいろいろ課題もあり、改善すべきことも多いとは思いますが、委員会の議論をすべて公開し、ネット中継し、アーカイブも見られるようにし、いくつものやり方で国民的議論をおこない、その声に耳を傾けようとしたことは評価すべきだと思っています。
今後の議論も、すべて公開し、政策策定のプロセスで国民的議論をおこない、その結果を勘案して方向性を定めていってほしいと思います。
国民との関係性において、前政権から後退することは許されないし、私たちも許してはならないと思っています。
先日、NHKの番組で茂木大臣とのやりとりをさせていただいたとき、政府の役人の方々と話していてよく感じることを、やはり感じました。
「国民の理解は大事だ。丁寧にわかりやすく説明すれば理解してもらえるはずだ」
たしかに、理解のためにわかりやすい説明は必要です。でも「わかりやすく説明されれば、理解できる」というものでもない、ということをわかっていただきたいと思うのです。
わかりやすく説明されて、内容が理解できたとしても、「それは自分たちにとってどういう影響や意味があるのだろう?」「あれとこれの関係はどうなっているのだろう?」等々、聞き手側にはいろいろな疑問や連想、自分に惹きつけた問いが出てきます。
それらを出し合って、対話・議論していくこと(自分にとっての意味を見出していく=ワガコト化)が鍵なのです。腑に落ちるか落ちないかの分かれ目です。ここを抜かすと「理解はすれど、受容はしない」ということになりかねないのです。
対話や議論とは、話を蒸し返したり面倒くさくするものだと思っている向きもあるようですが、そうではなく、本当の理解のために必要なのです。
「理解のために、丁寧な説明だけではなく、継続した対話を」。
今後のエネルギー政策のプロセスに対し、強く強く願っています。