国土の67%が森林という日本では、森林をどのように守り、育てるかが国土保全にも直結します。森林保全に関して、政府や住民だけでなく、企業も大きな役割を果たすことが期待されています。
CSR・環境活動の一環として森林保全に取り組む企業はたくさんあります。イーズ未来共創フォーラムにパートナーとして参加している企業・団体の多くも、それぞれの考えや方針で、さまざまな取り組みを行っています。こちらのpdfをぜひご覧下さい。
http://www.es-inc.jp/network/forum/archives/doc/fca.pdf
企業の森林への取り組みは、「よいことだから」「他社もみんなやっているから」やっている、というところも多い印象で、もちろん、やること自体よいことだとは思うのですが、基本的な考え方や方針がどのくらいきちんと議論され、考えられ、関係者も巻き込んで検討されているか--重要ではないかと思います。
せっかく森林活動をはじめても、森づくりは数十年~数百年の長期にわたるという性格を持つため、一社(団体)だけで継続して運営していくことは厳しい面もあり、また、取り組みの効果がすぐには見えづらいため、内外の理解が得にくい、といった悩みもよく聞きます。
本当に地域や地球のためになる森林活動をおこなうには、どのような点に留意する必要があるのでしょうか? これから取り組みを始めるであろう日本の多くの企業・団体の参考にもなるよう、共創フォーラムの各社・団体の経験や学び、知恵を集約し、森づくりの効果を見える化するための評価指標をつくっていけないかなあと思っています。
こういった問題意識で、2月にイーズ未来共創フォーラムの会員向けフォーラムとして「企業・団体のよりよい森林活動のための"評価軸"を考えよう」 を開催しました。開催レポートはこちらで読んでいただけます。
http://www.es-inc.jp/network/forum/2013/nwk_id003583.html
インプットを参考にしながら、参加企業とのさまざまなディスカションをするなかで、「本当に地域や地球のためになる森林活動」にとっての重要(だけど見過ごされがちな)ポイントが少なくとも3つありますね、という話になりました。評価軸につながるポイントです。
1)地元との関係性
このフォーラムでインプットをくださったパートナーでもある認定NPO法人環境リレーションズ研究所の鈴木敦子さんがおっしゃっていたように「森がうるおっても、地域がうるおわないと持続可能ではない」という視点です。
また、企業などの外部者が永遠に関わり続けることは不可能であるため、いずれ地域が自立的に森林保全活動を回せるようにしていく必要もあります。とすると、企業が土地を借りて自分たちでやります、というのではなく、どれだけ多様な地元の関係者を巻き込んで、協働・共創できるか、が鍵を握ります。
2)時間軸
企業の多くは四半期や単年度で動き、予算も年度を超えて長期的に措置することはなかなか難しいものです。一方で、森づくりは数十年~数百年の時間軸で考える必要があります。こうした「企業の時間、森の時間」といった時間軸を意識し、それを採り入れた形で考えていくことが必須です。
3)出口
森林保全活動の多くが「植林」「育林」に向けられていますが、その結果生まれる材をどのように活用し、できれば森林保全活動へ利益を還元できる形での「出口」を作っていくかも重要です。
森林活動を行う企業が、その結果生まれる材を計算し、それだけの量を自社で使っていく(たとえ"みなし"であっても)、ということができれば理想的ですね。
フォーラムでは、こういったディスカションを展開しました。フォーラムに参加してくれた企業の方々の感想の一部を共有します。
~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<参加して良かったこと>
・森の活動の"出口"という視点に気づいたこと。
・企業の森林活動にとって、出口(木を使う)をどう考えていくかが大事である事を再確認出来たこと。
・会社の利害を離れたところで、真剣に考える機会を持てたことが良かった。
・森の「出口」「使い方」「森育」の話が参考になった。
・評価軸を考えるというテーマはまさに自社の活動に現在必要な視点だったので、勉強になった。・やることに意義があると思っていた森林活動に、目的や時間軸という側面も考える必要があることを改めて考えた。
・他の企業、団体の取り組みや意見などを直接見聞きすることが出来て非常に良かった。
・プレゼントツリーの仕組みなどが分かり、勉強になった。
・ワーク(話し合い)の時間が色々あって勉強になった。
・森林活動について時間軸や地域の観点など深い視点で意見交換ができたことが良かった。
・様々な業種の企業の森の課題を聞けてとても有意義だった。
・森林保全活動の評価軸、少し難しいと思う。でも、それなりのものが出来ればかなり面白展開が見込めそうな気がする。極力関わりたいと思う。
~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~
当日の感想に「これだけの企業のCSR担当をコーディネートする会でディスカッションするのは他にないと思う。有意義なソリューションが見いだせると思う」と書いて下さった方もいらして、とてもうれしく思いました。
この「イーズ未来共創フォーラム・異業種勉強会」は、現在60社近くの企業・団体の方々と、「共創に向けて」の取り組みを進めています。
http://www.es-inc.jp/network/index.html
> 「共創へ向けて」
> 私たちは、組織や業種・セクターを超えて、課題を共有し、「共創のための作法
> と力」を身につけ、日本全体の取り組みを少しでも良い方向に動かしていくこと
> で、持続可能で幸せな未来を共に創っていきます。
次回の異業種勉強会は4月23日、『被災地支援活動の共創について考える』をテーマに開催します。
http://www.es-inc.jp/network/forum/2013/nwk_id003786.html
東日本大震災から2年が経過しました。
震災後に支援の手をさしのべた企業もたくさんありました。
私たちの未来共創フォーラムのメンバー企業・団体でも、本業を通して、または寄付やボランティア派遣などを通して、さまざまな支援活動を展開されています。パートナーさんの「うごき」でも企業・団体の懸命な支援活動をご紹介させていただきました。
しかし、震災から2年たって、復旧も復興も思うように進んでいない地域も多いにも関わらず、社会の関心や支援は薄らぎつつあるようです。
支援活動を続けてきた企業の中でも「このまま同じ活動をしていてよいのか」「そもそもこの支援で被災地のかたはどれだけ救われているのか」「いつ、なにをもって出口とするのか」といった、悩みもでてきているのが現状であり、特に予算がからむ企業の取り組みは難しい局面を迎えているところもあるようです。
被災地に関わっていくことは大事だとわかりつつ、今後、どう関わっていけばよいのか、社内にも長期支援の必要性をどう伝えていけばよいのか、いろいろな悩みがあることと思います。
前回のフォーラム後にも「ぜひ企業の被災地支援について取り上げてほしい」というご要望を複数いただきました。
そこで、互いに、どのようなニーズに対してどのような支援活動をしてきたのか、震災から2年経って現地のニーズはどのように変化しつつあるのか、企業として役立ち続けるには何が必要なのか、支援の現場で活動するNGO/NPOの方もゲストにお迎えし、一緒に考えてみる機会を設けることにしました。
企業として操業を続けている限り、被災地支援はこれで終わるものではなく、地震国・日本ではまたいつ何時、同様の必要性が生じるかわかりません。今回からの学びを共有し、今後の体制づくりなどに活用できるようにしておくことも大切だと思います。
今回はとりたてて被災地支援はしなかったけれど、という企業・団体の方もぜひ今後のための学びの共有の場としてご参加下さい。
一度止まって支援とは何かを考え、被災地の人びとや地域に本当の笑顔がもどるような活動につなげる機会となればと願っています。
NGO・NPOとして被災地支援を展開されてきた日本財団と、フォーラムメンバーでもあるap bank の担当の方に現地から見た企業の支援活動についても、率直なお話をいただき、今後の有効な支援活動につなげられるよう、みんなで考えていきたいと思います。
現在、パートナーになっていないけど関心があるという企業の方、オブザーバーでの参加(1回限り、2名まで/社・団体)もできますので、事務局宛メールにてお問合せください。
【メールアドレス】info-partner@es-inc.jp
【宛先】イーズ未来共創フォーラム 異業種勉強会 事務局
(企業同士が安心して率直に議論できる場を創ることをひとつの目的としているため、恐れ入りますが、個人でのお申込みはお断りさせていただいています。同時に、企業と市民・NGOの対話の場も重要であると考えており、別途そういう場を設けますので、ご関心のある個人の方はぜひそちらにご参加下さい!)