前号「世界自然エネルギー未来白書 2013~総エネルギーに占める自然エネルギーの現状と将来」につづいて、電力について見てみましょう。
「2011年の自然エネルギー電力の世界シェアは20%であった」。つまり、世界中で使われている電力のうち、5分の1は自然エネルギーによるものとなっています。自然エネルギーのリーダー、EUでは21%でした。
国別にみて、その国の電力の30%以上を自然エネルギーで発電している国のリストがあります。
アルゼンチン(31%)
オーストリア(68%)
ブラジル(85%)
カメルーン(88%)
コロンビア(70%)
コスタリカ(94%)
クロアチア(61%)
デンマーク(32%)、
エルサルバドル(65%)
エチオピア(89%)
フィンランド(30%)
グアテマラ(63%)
アイスランド(100%)
ラトビア(55%)
マダガスカル(57%)
ニュージーランド(73%)
ノルウェー(96%)
パナマ(59%)
パラグアイ(100%)
ポルトガル(53%)
ルーマニア(34%)
スロベニア(30%)
スペイン(34%)
スーダン(81%)
スウェーデン(55%)
スイス(58%)
ウガンダ(54%)
ヴェネズエラ(66%)
電力に占める自然エネルギーの割合がとても高い国がたくさんあるのですね。その内訳は「ほとんどの国では主に水力発電によるもの」となっています。
では各国の「電力に占める自然エネルギーの割合の目標」はどうでしょうか?
少なくとも48 ヶ国が2020年から2030年における目標を定めており、目標の多くは現在の割合の2倍または3倍に設定されている」とのこと。たとえば、
○2020年の目標
エジプト(20%)
アイルランド(40%)
マダガスカル(75%)
フィリピン(40%)
タイ(14%)
○2030年の目標
クウェート(15%)
南アフリカ(42%)
チュニジア(40%)
○2050年の目標
デンマーク(100%)
ドイツ(80%)
マレーシア(24%)
そして、「2012年後半、日本政府は、福島原発事故後の新しい対策として、2030年までに30 ~ 35%のシェア目標を発表するよう期待されている」と書いてあります。エネルギー基本計画、どのように策定されるのでしょうか。
さらに、地方や凖国家地域にも電力シェアの目標があります。
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たとえば、スコットランドは2020年までに100%、オーバーエスターライヒ州は2030年までに100%、南オーストラリア州は2020年までに33%、アブダビは2020年までに7%を目指している。
米国では、電力のシェアを義務付け、一般的に10 ~ 30%の事実上の目標の形態をとる自然エネルギー割当基準(RPS)政策が30州にあり、10以上の州に他の種類の政策目標がある。
カナダでは、4つの州にRPS政策があり、他の5州には他の種類の政策/計画がある。インドでは、少なくとも15州にRPS政策があり、他の州には政策目標がある。
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今後の見通しについてはこのように述べられています。
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国の政策が積極的であり続けた場合、2030年までに世界で40 ~ 50%の電力のシェアが実現可能であろうという考えを、インタビューで多くの専門家が述べた。
長期的に見ると、欧州の電力シェアは70 ~ 100%にまで達すると考える、欧州の専門家は多い。同様に、世界規模でこのレベルになるという楽観的考えの専門家もおり、ある専門家は「次の20 ~ 30年で自然エネルギーによる世界の電力シェアは80%に達することも可能だ」と断言している。
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ここまで、自然エネルギーの導入が最もはかりやすいと考えられる電力について、見てきました。この報告書の第1章の冒頭にも、「高いシェアを達成することは、電力が最も容易であり、熱利用/冷房が最も困難であり、交通が最も不確かであると考えられている」と述べられています。残りの2つの分野についても、報告書から抜粋して一部を紹介しましょう。
日本は、熱利用・冷房、交通については重要でありながらまだこれから、という状況ですが、ドイツなどの先進事例はぜひお手本にしたいですね。
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○熱利用と冷房のシェア
欧州以外では、自然エネルギーによる熱利用のシェアを政策目標に入れている国はほとんどない。EUの場合、自然エネルギー国家計画が2020年までに合計で熱利用の約20%をとなる。
2009年に導入された、ドイツの自然エネルギー熱法は、新しく建築する住居用建物はすべて、自然エネルギーから最低20%の家庭用暖房と温水エネルギーを得るよう定めており、2020年までには地域熱供給システムも含めて自然エネルギーによる熱利用を14%とする全体的な目標がある。
自然エネルギーによる熱利用(および冷房)シェアの2020年までのEU加盟国のその他の目標は、ベルギー(12%)、デンマーク(40%)、フランス(33%)、ギリシャ(20%)、リトアニア (39%)、ルーマニア(22%)、スペイン(19%)、イギリス(12%)となっている。
○交通シェア
世界中の道路交通燃料需要の約3%に当たる、約1,070億リットルのバイオ燃料が2011年には世界中で生産された。
自然エネルギーの今後の交通シェアの政策目標がある国や地方は少数である。
2020年までに10%というEU全体の目標には、持続可能なバイオ燃料と電気自動車の両方が含まれている。EU加盟国の中には、2020年までの交通燃料目標も独自に設定している国がわずかにある。
最も顕著なのはスウェーデンであり、2030年までに交通における化石燃料の使用を段階的に完全に排除するという目標を立てている。
米国には、自然エネルギー燃料基準があり、2022年までに360億ガロン(1,350億リットル)のバイオ燃料を他の交通燃料に毎年混ぜるよう定めている。
さらに2011年には、少なくとも24 ヶ国および世界中の26州/地方が、一般的には5 ~ 10%の割合で、バイオ燃料をガソリン/ディーゼルに混ぜるよう指令を出しており、中にはバイオディーゼルを20%混ぜるという指令もある
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以上、「世界自然エネルギー未来白書 2013」の第1章「自然エネルギーはどの程度となるか?(総エネルギーのシェア、電力シェア、熱利用/冷房シェア、輸送シェア)から主なポイントや知っておきたい数字などをご紹介しました。
この報告書のつづきは、以下の構成となっています。
第2章 統合された未来 : 課題と可能性
第3章 投資の未来: フロー、投資家、 ビジネスモデル
第4章 地域/都市レベルでの未来: イニシアティブ、計画と政策
第5章 国家およびEUレベルでの未来: 市場成長と政策支援
第6章 技術、コスト、世界市場成長の進化
第5章では、日本を含め、各国別の状況や見通しも読むことができます。
「世界自然エネルギー未来白書 2013」、ぜひお手元にどうぞ!
http://www.isep.or.jp/gfr