invest(インベスト)は「投資する、株を買う」という意味。では、divest (ダイベスト)とは?
invest の逆で、「株を売却する」という意味です。いま米国では「化石燃料をビジネスにしている企業の株を売却して、温暖化を止めよう!」という運動が広がっています。
「気候を破壊するのは間違っている。としたら、気候破壊から利益を得ることは間違いだ」「だから、教育機関、宗教団体、自治体政府、その他公共の利益のために存在している機関は、化石燃料から株を引き上げるべきだ」という、「化石燃料ゼロキャンペーン」です。
http://gofossilfree.org/
このサイトのメッセージを一部紹介しましょう。
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200社の上場企業が、世界の埋蔵確認済み石炭・石油・ガスの埋蔵量のほとんどを握っている。これらの企業の株を処分することを求める。
気候変動の深刻さを理解しようとするなら、ちょっと計算をしてみればよい。覚えておくべき数字は次の3つだ。
1)2℃
世界中のほぼすべての政府が、2℃を超える温暖化は安全ではないと合意している。すでに気温は0.8℃上がっており、多くの科学者が予期していた以上の大きな被害をもたらしている。北極海の夏の氷は3分の1が帰依、海洋の酸性度は30%上昇し、温暖化した待機はより多くの水蒸気を含むため、破壊的な洪水と干ばつのどちらをも生み出す。
2)565ギガトン
科学者は「気温上昇を2℃以下に抑える合理的な希望が持とうと思うなら、人間が排出できる二酸化炭素は約565ギガトン」と推計している。コンピュータモデルの計算では、今すぐに二酸化炭素濃度の上昇を止めたとしても、気温は、すでに上昇した0.8℃に加えて、さらに0.8℃上昇する。すでに温暖化を進めてしまっているのだ。つまり、2℃目標に対してすでに8割のところまで来てしまっているのだ。
3)2,795ギガトン
ロンドンの金融アナリストチームの「カーボン・トラッカー・イニシアティブ」の推計によると、化石燃料会社および化石燃料会社のように振る舞っている国(ベネズエラやクウェートなど)の有する埋蔵確認済みの石炭、石油、ガスの量は、二酸化炭素換算すると、2,795ギガトンになる。2℃の温暖化を維持するために放出できる量の5倍だ。
つまり、地球を生存可能な場所にしておくためには、こういった企業や国の有する化石燃料のうち、80%はそのまま地下に置いておかなくてはならない。
~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
サイトには、「キャンペーンの始め方」「必要な資料」等が整えられており、「自分たちもやろう!」と思ったらすぐにキャンペーンを立ち上げることができるようになっています。
現時点で、大学308校、市・州105、宗教団体6などがキャンペーンに参加しています。
なかでも大学の動きが盛んですね。こちらに参加校のマッピングがありますが、米国だけではなく、ヨーロッパやオーストラリアからもいくつも参加しており、バングラディシュの大学も参加しています。
http://campaigns.gofossilfree.org/petitions/near/new?category=fossil-fuel-divestment-colleges-universities
さて、米国の大学の中でも、最大の寄付金基金を有しているのがハーバード大学です。その額、何と307億ドルとのこと、さすがハーバードですね~。
これだけのお金をどこに投資するかによって、良くも悪くも大きな影響を与えることになるため、ハーバード大に対する世間の目が厳しくなっており、上記の「化石燃料会社の株を持たない(売却せよ)」キャンペーンのターゲットともなっていると、Triplepunditというサイトが伝えています。
http://www.triplepundit.com/2013/08/will-harvard-divestment-after-appointing-new-vp-sustainable-investing/
もしハーバード大が売却に動けば、他の大学への影響は大きく、後に続くところが出てくるのではないかという期待もありますが、記事によると、昨年12月に同大学のスポークスパーソンはニューヨークタイム紙のインタビューで「学生たちの声はつねに大事にしているが、ハーバードは化石燃料に関連する企業の株を売却することは考えていない」と述べています。
しかし、つい先日、ハーバード大が「持続可能な投資担当・副学長」という新しい役職をつくって、初代の担当副学長を任命したというニュースが飛び込んできました。
「これによって、ハーバード大は化石燃料会社の株売却に動くのだろうか?」
さまざまな憶測や期待や懐疑論などが飛び交っているようです。
日本では、欧米に比べてSRI(社会的責任投資)の動きが鈍く、特に機関投資家や年金基金があまり動き出していないため、金額的にも社会や企業を大きく動かすほどの規模になっていないことがよく指摘されます。
日本の大学や宗教団体、自治体、年金基金などにも「持続可能な投資担当VP」がふつうに存在する日が早く来てほしいと願っています。