ハンガリーのバラトン湖畔のこじんまりしたホテルを借り切って、世界から60人ほどが集まり、第32回となるバラトン合宿が始まりました。私は2002年から参加させてもらっているので、今回が12回目となります。
今年のテーマは「テクノロジー」。持続可能性との関連を中心に、システム思考(システム・ダイナミクス)などさまざまな側面や観点からの発表と議論が続きます。
そして、休み時間や食事中に、旧知のメンバーからも新しいメンバーからも聞かれるのは、「フクシマの現状と見通し」「日本のエネルギー政策の今後」です。いかに世界の人々の関心がいかに高いかを(国内の方が低い......)を感じます。と同時に、国内でもそうですからしかたないのかもしれませんが、情報が世界に届いていないのだなあと......。
今朝、テクノロジーに関する発表が始まるまえの小グループの議論で、「フクシマの事故を考えても、人は複雑で先進的な技術のほうに向かう傾向がある一方で、もっとシンプルでわかりやすく、レジリエンスの高い技術もある」という問題提起から、「だれが技術を評価し、だれが選ぶのか」も大事な議論のポイントだ、という話になりました。
だれが技術を評価し、だれが選ぶのでしょうか?
技術革新が便益とともにリスクを大きくする(原発のように)可能性がある場合など、「もっともっと(技術の進歩を)」に歯止めをかけるべきときがあるとしたら、その歯止めはだれがどのようにかけることができるのでしょうか?
今朝の発表でも、遺伝子組み換え技術、温暖化に対するジオエンジニアリング(成層圏にエアロゾルを散布して太陽光を反射し、地球への入射を減らすといった、気候システムに対する大規模・意図的な工学的介入)といった技術が例として取り上げられていましたが、その結果を不特定多数の人が被る技術(原発もそうですね)についての評価や選択・決定はだれがどのように行うべきなのでしょうか。
さまざまな問いとともに、1日目の午前中が終わったところです。何かの結論を出す会合ではありませんので、さまざまな議論が展開し続けます。今後の学びが楽しみです。
さて、ときどきお届けしている【世界からのニュース】です。
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グーグル・メキシコの飲食施設、ケージフリー卵使用へ
この数年間、バタリーケージ(多段式の養鶏かご)をはじめとする、残虐な監禁型飼育方式を段階的に廃止することを発表する企業が多くなっている。バタリーケージはA4の用紙よりも小さいスぺースに産卵鶏を閉じ込めるため、鶏は、羽を広げる、歩く、止まり木に止まる、砂浴びをする、巣の中で産卵するといった本来の行動をとることができない。
グーグル・メキシコもサプライチェーンからバタリーケージを排除した企業に仲間入りし、自社の飲食施設ではケージ飼育の鶏卵を提供しないと発表した。メキシコでは毎年約1億9600万羽の産卵鶏が飼育されているが、ほとんどがバタリーケージを使う工業的な施設で育てられている。
同社は企業の社会的責任を厳しく捉え、ケージを使用しないことで、鶏はよい状態を享受するだけでなく、食の安全も同時に改善されると述べている。
動物福祉団体の国際人道協会は同社の発表を評価している。動物の福祉を改善するために、バタリーケージに反対の声をあげる国や食品小売業者が世界中で増えている。イスラエル、ブータン、インド、EUはすでに禁止、あるいは撤廃しつつある。
米国カリフォルニア州では、2010年に法案が可決され、バタリーケージで飼育された雌鶏の全卵を州内で販売することが不法となった。連邦法の改正卵製品検査法(2013年)では、鶏のためにより広いスペースが段階的に導入されることになる。
クラフト、バーガーキング、コンアグラフーズなど、多くの国際的な企業がケージフリー卵の使用を増やしている。今年、マリオット・インターナショナルが2015年までに転換を約束。2011年には、ユニリーバが、業界で初めて2020年までに全世界でケージフリーにすることを明言している。米国では、レストランチェーンのオー・ボン・パンが2017年までに、ダンキン・ブランズやバーガー・キングも昨年転換を発表した。スーパーマーケット・チェーンでは、ウォルマート、コストコ、セーフウエイでケージフリー卵の販売が増加、他の企業も追随している。
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日本ではこういった動きはほとんど聞かないように思いますが、どうでしょうか。
今日のテクノロジーの議論でも、「効率至上主義」の弊害への言及がありましたが、上記の例は、効率だけではない(効率よりも大事な価値観が優先する)ことも可能なのだ、という一つの例ですね。何があればそれが可能になるのか、そこから学べることを他にも展開していけたらと思います。