ハンガリーでのバラトン合宿からです。食事中の会話や立ち話でも「フクシマはどうなっているのか」と聞かれたり、原発の今後について話をすることが多いのですが、「米国では、事故や安全性の観点というより、経済性から原発が減少し始めている」と、つい最近レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所からのプレスリリースについての話がありました。
このリリースは、いつものようにボランティアの実践和訳チームが訳してくれている最中ですが、全訳をお届けできるのは少し先になるため、重要な数字などだけをピックアップしてお届けします。
グラフはこちらをご覧ください。
http://www.earth-policy.org/plan_b_updates/2013/update116
~~~~~~~~~~~~ここから抜粋~~~~~~~~~~~~~~
「米国の原子力発電、減少中」
http://www.earth-policy.org/plan_b_updates/2013/update116
米国では原子力発電が減少している。
・原子力による発電は、1970年代以降急激に増加
・2000年代初期には伸びが鈍化し始める
・2007年から2010年にかけて頭打ちに
・この2年間で4%以上落ち込んだ
・2013年は、さらに1%の減少が予想される。
原子炉の廃止が早まり、予定されていたプロジェクトが断念される中、米国の原子力発電の先行きは短い。
減少に向かう動向は、1979年のスリーマイル島原発事故のかなり以前から
・1957年以来、発電所建設が進んだが、工事の遅れやコスト超過などの理由から、原子炉の年間新設注文数は1973年の40基超をピークに、その後急激に落ち込む
・1978年までに253基が発注されたが、それ以降の30年間発注ゼロ。
・発注された253基のうち、約半数の121基が建設前または建設中に取りやめに。
・完成した原子炉では、建設費が平均で予算の3倍を超えた。
・1990年代後半までには、コストの上昇、電力需要の伸び悩み、規制環境の変化などの理由から、40年の運転免許の期限切れを待たずに28基が永久閉鎖に。
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米国の原発:104基、合計約10万メガワットの発電容量
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その後、2005年のエネルギー政策法による税額控除、借入保証がはずみとなり、天然ガス価格の高騰と相まって、原子力の復活がビジョンに。
→2009年までには原子炉30基の新設計画。
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現在までにそのほとんどが棚上げに(民間金融業者は、巨額の補助金があっても、原発新設への融資は危険すぎると考えている)
2012年:原子力発電所の建設コストを建設前や建設中から電気料金に上乗せできる、「早期コスト回収法」 を策定している州で、2カ所合計4基の原子炉の新設が認可された
→工事は遅れ、高額の追加費用が発生している。 電力需要減から、原発新設や既存の原発の出力増強を取りやめる電力事業者も。
2013年:原発4基(計360万キロワット)が永久閉鎖、さらに廃炉を決定する原発が続いた。廃炉の動きはさらに続くと見られている。
○クレディ・スイスによると、老朽化した原子炉の運転、維持コストは年5%で上昇し、核燃料コストの上昇率は年9%とさらに高い。一方、風力や太陽光の発電コストは引き続き下降し、発電量も急速に伸びている。
○核廃棄物の処理も高くつく。この30年で、米国政府が核廃棄物の集中保管所を認可しようと使った費用は約150億ドルに上るが、安全性の問題などから、米国政府はこのプロジェクトを廃止、他の選択肢を調べている。
○2011年の東京電力福島第一発電所の事故では最低でも600億ドルの費用がかかるとみられているが、ニューヨークで同様の事故が起これば、金額はその10倍から100倍に。発電所のオーナーたちがプールしている保険金はわずか120億ドル。
○仮に新設中の原発が稼働するとしても、風力や太陽光発電と比較すると、電気料金はさらに高額なものに。
●原子力規制委員会は、既存原発の2/3に20年の運転延長を認可しているが、新設がなければ、米国では2050年代の後半に最後の原発が閉鎖することになる