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今後の社会や暮らし、企業活動にとって重要なキーワードの1つであるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)について学び、それが幸せや経済・社会とどのようにつながっているのか、ご自分の暮らしや仕事、地域などでどのように維持・発展させていったよいかについて考えませんか。
11月6日(水)18:20~第25回幸せ経済社会研究会『ソーシャル・キャピタル』
今回のみの参加も受け付けておりますのでぜひご参加ください
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レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所からのリリースを、実践和訳チームが訳してくれました。お届けします~。日本についての記述もあります。
グラフなどはこちらをご覧下さい。
http://www.earth-policy.org/indicators/C47/solar_power_2013
~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~
2012年世界の太陽光発電、10万メガワットを突破
J・マシュー・ローニー
www.earth-policy.org/indicators/C47/solar_power_2013
アースポリシー研究所が追跡するエコ・エコノミー指標は、持続可能な経済の構築における進捗状況を測る12の指標である。太陽エネルギーの利用はプランBの再生可能エネルギー経済のカギを握る要素となっている。
2012年に世界に導入された太陽光発電は、史上最高の3万1,100メガワットとなり、太陽光発電の設備容量は世界全体で10万メガワットを突破した。欧州の電力使用レベルで考えると、現在約7,000万人分の住宅用電力需要を満たす太陽光発電が稼働していることになる。
太陽光発電設備の生産が中国一国にますます集中している中、太陽光発電を導入する国の数が急増しつつある。2006年には、100メガワット以上の太陽光発電を保有できた国はほんの一握りにすぎなかった。しかし、今では30カ国にのぼり、その数は国際エネルギー機関(IEA)の推計によると、2018年には2倍を超えるという。
【グラフ】太陽光発電の世界累積設置容量 2000~2012年
出典:欧州太陽光発電協会(EPIA)
太陽光発電は半導体材料を用いて、炭素を排出することなく太陽光をクリーンな電力に変換する。従来型の太陽光電池は結晶シリコンで作られ、接続されて平面パネル「モジュール」になる。住宅用の屋根設置型システムはキロワットの単位となる一方、大型の地上設置型システムの容量は数千メガワットに達することもある。(1メガワット=1,000キロワット)
今日では太陽光発電設備のおよそ60%が中国で製造されている。10年前には中国はほとんど太陽光発電設備を生産していなかった。しかし、低金利の銀行融資や政府の税優遇策と補助金が後押しし、ゴールドラッシュのような勢いでかつて太陽光発電技術のパイオニアだった米国と日本をそれぞれ2006年と2008年に追い越した。
過去数年間、中国では太陽光発電産業に新しく参入する企業が殺到した。これが世界規模で太陽光パネルの大幅な過剰供給をもたらし、世界中ですでに起きつつあった太陽光発電設備の価格の急激な下落をさらに加速させた。他の国の多数の企業が破産や工場閉鎖に追い込まれ、今では中国国内でさえも業界内の統合のため廃業する企業がいくつか出ている。
世界的に見ると、2012年には史上初めて太陽光分野で年間生産量が落ち込み、2011年比2%減となった。しかし、この減少傾向は短期的なものになるだろう。というのも、需要が依然増加しているからだ。太陽光発電の新規設置容量は年間で40%以上も増加しているし、太陽光発電設備の価格下落のおかげで太陽光発電により手が届きやすくなっている。
【グラフ】太陽光発電の世界年間生産量 1985~2012年
出典:ワールドウォッチ、PVニュース、GTMリサーチに基づきアースポリシー研究所が作成
これまで価格が高すぎたために太陽光発電の普及が進まなかった中国が、近いうちに太陽光発電による電力生産で世界のトップに立つかもしれない。2006年以降、中国全体の太陽光発電の新規設置容量は毎年最低でも2倍は増えている。2012年、5,000メガワットが導入され太陽光発電の総設備容量が8,300メガワットに達した中国は、ドイツ、イタリアに次いで世界第3位となった。2013年7月、中国政府は2015年までに太陽光発電容量を3万5,000メガワットとする新たな目標を公式に設定した。
中国の最終集計にもよるが、2013年に世界で最も多く太陽光発電を導入する国は日本になる可能性が高い。その新規設置容量はおそらく9,000メガワット超となるだろう。これによって日本の太陽光発電容量はおよそ1万6,000メガワットに達し、2020年の公式目標の2万8,000メガワットの半分を上回ったことになる。
歴史的にも日本は住宅用の屋根設置型太陽光発電で世界トップの市場だ。2011年の太陽光発電の新規設置容量のおよそ85%が住宅用だった。2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故の後、日本政府が大規模太陽光発電事業を促進する手厚い奨励策を採用したことで、公益事業規模の太陽光発電容量への巨額投資に拍車がかかったのである。
アジアでは他にも太陽光発電に関する注目すべき話題がある。インドは12億人の人口を抱えるが、そのうちの推定2億9,000万人がいまだに電気のない暮らしをしている。太陽エネルギーのコンサルタント会社「インドの架け橋」(Bridgeto India)によると、同国では2013年5月までに1,700メガワット分の太陽光発電設備が設置され、そのうち80%は太陽光が燦々と照りつける北西部のグジャラート州とラージャスターン州に導入された。同社は2016年までに1万2,800メガワットに急増すると予測する。
インド政府は「国家ソーラーミッション」(National Solar Mission)を打ち出し、2,000メガワットの独立型太陽光発電を含む、2万2,000メガワットの太陽光発電を2022年までに国内に導入することを目指している。太陽光発電の普及はインドでますます魅力的になりつつある。というのも、インドは停電が頻発することで有名で、系統電力の価格が上昇しているからだ。それに言うまでもないが、太陽光は今やディーゼルよりも安価である。
アジアでの太陽光発電の導入は急増しているものの、地域レベルで優位に立つ欧州連合(EU)の席を奪うにはあと数年かかるだろう。EUは太陽光発電容量で世界全体の68%を占める。2012年には、新規設置容量で太陽光発電が他の発電技術を2年連続で上回った。現在、オーストリアやベルギー、ブルガリア、デンマーク、ドイツ、フランス、ギリシャ、イタリア、英国などのEU諸国が毎年数百あるいは数千メガワットを導入している。
ドイツは世界の太陽光発電容量のおよそ1/3を占め、依然として太陽光発電の世界首位に立つ。2012年には3年連続で7,000メガワット超の導入を果たし、総設備容量は3万2,000メガワットに達した。太陽光パネルから送られた電力がドイツ国内の電力使用量に占める割合は2012年に約5%となり、800万戸超に十分供給できる量であった。
イタリアは2011年に世界記録となる9,400メガワット分の太陽光発電設備を電力系統に新たに接続した。翌2012年には3,400メガワットを接続し、総設備容量1万6,300メガワットで世界第2位を維持、太陽光発電の国内電力量に占める割合は5.6%となった。(アースポリシー研究所のURL:http://www.earth-policy.org/indicators/C47/solar_power_2013のデータを参照)
ドイツとイタリアが太陽光発電容量で世界をリードする原動力となっている主要な政策が、固定価格買取制度(FIT)だ。FITは再生可能エネルギー発電装置から電力系統に送電される電力の買取価格を長期間保証する制度である。太陽光発電の市場が成熟し、太陽光システムのコストが下がっているため、FITの奨励策は縮小されつつある。しかし、世界的に見ると、何らかの形でFITを用いる国は70カ国を上回っており、今ではそのうちの大部分が発展途上国となっている。
米国は太陽エネルギー資源が豊富にあるにもかかわらず、最近まで太陽光発電容量でかなり遅れをとっていた(米国のほとんどすべての州でドイツよりも日射量が多い)。 しかし、2011年、米国の太陽光発電の年間設置容量は倍増した。2012年もその傾向が続き、3,300メガワットの太陽光発電設備が電力系統に接続された。2013年半ばには米国の太陽光発電容量は1万メガワット台に突入した。
再生可能エネルギー利用割合基準(RPS)は、一般的に電力事業者に対して、再生可能エネルギーを利用して得られた電力が販売電力量の一定割合を占めるよう義務付ける法律で、現在29の州で採用されており、これまで米国の太陽光発電の成長を推し進めてきた。
米国の太陽光発電を先導するカリフォルニア州では、電力会社は2020年までに電力の1/3を再生可能エネルギー源から賄わなければならない。また、連邦税控除や現金による助成金も太陽光発電の普及を促しており、ますます普及する施策によって、住宅保有者はすべての費用を先に支払わなくても、サンラン(Sunrun)やソーラーシティ(SolarCity)のような太陽光発電開発会社からシステムをリースできるようになっている。現在、米国の住宅用システムの半数以上がリースである。
太陽光発電容量が著しく増え始めたのが、同じく太陽光が豊富な国であるオーストラリアだ。総設備容量は2,400メガワットで、設備の大半が住宅の屋根に据え付けられており、そのうち42%が2012年に設置された。南オーストラリア州では住宅5件に1件が太陽光から電力を得ている。
さらに、これまで太陽光発電がほとんど、あるいは全くなかった国で、毎週のように大規模な太陽光発電事業が発表されている。例えば、タイでは2013年半ばに84メガワットの事業の建設が終了した。南アフリカではグーグル社が一部出資する96メガワットの「ジャスパー・ソーラープロジェクト」(Jasper SolarProject)が進行中だ。チリでは100メガワットを超える2つの事業で地元の承認が下りた。
こうした大規模事業が明らかにしているのは世界的な太陽光発電の新たな傾向、つまりメガプロジェクトの台頭だ。ほんの数年前、規模で世界最大10位以内に入っていたのは30から60メガワットの太陽光発電所だった。
しかし今では100メガワット超規模の太陽光発電所が珍しくなくなりつつある。アリゾナ州アグアカリエンテの太陽光発電事業は、2012年に第4フェーズの建設が終了した時点で250メガワットに達し、世界最大となった(最終的には290メガワットになる予定)。日本では太陽光発電開発会社が長崎で2016年完成予定の475メガワットの太陽光発電所の建設を発表した。カリフォルニア州では現在500から3,000メガワット規模の事業がいくつか建設中だ。
太陽光発電の配備は大型化に向かうにしても、より小規模な太陽光発電の良さに注目する価値は十分ある。とくに発展途上国ではそうだ。送電網のない農村地域では、住宅ごとに太陽光発電を取り入れる方が、集中型発電所と送電網を新たに建設するよりも安くなることが多い。
例えば、10年にわたり世界銀行と伴に太陽光発電の普及に努めてきたバングラデシュでは、2012年半ばの時点で、農村地域の140万戸にソーラーホームシステムが設置された。ペルーではつい最近、住宅の電化を進める国家計画の第1フェーズで送電網が届いていない50万戸の住宅に太陽光発電を設置することが発表された。
アナリストたちは、2013年には新規設置容量が3万5,000メガワットという記録的な数値になると予想する。欧州は今後数年間、年間設置容量が1万メガワットを下回る可能性があるが、中国と日本、米国、それにますます増える太陽光発電参入国でその減少分を補う以上の増加が見込まれる。
IEAの推定によると、おそらく控えめな数字だが、世界の太陽光発電容量は2018年までに3倍を超える30万8,000メガワットに達するという。これは最大出力で大型原子力発電施設300基分に相当する発電容量である。
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地球の気候安定を図る計画に関しては、『仮邦題:今こそプランBを』"Time for
Plan B."のデータおよびwww.earth-policy.orgにある追加情報源を参照のこと。
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