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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2014年01月19日

アースポリシー研究所「2013年――洋上風力発電にとって記録的な年に」(2014.01.19)

エネルギー危機
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レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所からのリリースを実践和訳チームのメンバーが訳してくれましたので、お届けします。風力発電への追い風の音が聞こえてきそうです~(^^;

グラフはこちらからご覧下さい。

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~

2013年――洋上風力発電にとって記録的な年に
J・マシュー・ローニー

2013年、洋上風力発電の設置容量は7年連続で年間記録を更新しようとしている。開発業者は今年上半期で1,080メガワットを追加し、わずか6カ月で世界全体の発電容量を20%増やした。洋上風力発電容量はおよそ6,500メガワットを15カ国が保有し、年内に、世界全体の総量は7,100メガワットを超す模様だ。陸上での風力発電約30万メガワットと比較するとまだまだ少ないが、洋上での発電容量は毎年40%近い勢いで伸び続けている。

【グラフ】世界の年間洋上風力発電設置容量(1991年~2013年)
出典:欧州風力エネルギー協会(EWEA)、世界風力エネルギー協会(GWEC)、4Cオフショアー、ナビガント、ブルームバーグ新エネルギー金融(BNEF)の資料を基にアースポリシー研究所で作成
注:2013年は予測値

世界最初の洋上ウィンドファームを建設したのは、1991年に5メガワットの風力発電所をバルト海に設置したデンマークだった。その後この国の洋上風力発電は停滞と飛躍を繰り返してきたが、2008年以降では発電容量が3倍以上に増え、2013年半ばで1,200メガワットを超すに至っている。

2013年前半には、アンホルト洋上発電プロジェクトによって350メガワット以上の電力が送電網に流れた。総発電容量400メガワットのこのプロジェクトが完成すると、国が必要とする電力の4%がまかなえる見込みだ。

デンマークは陸上、洋上を含めると、国の電力の30%以上をすでに風力発電から得ており、2020年までにそれを50%にまで増やす意向だ。米国ニューヨーク州のほぼ1/3程度の面積しかないデンマークは、国土の1平方マイル(約2.5平方キロ)当たりの風力発電容量が世界で最も多い。したがって、2020年までに上記の目標を達成するには、国はその大部分を洋上風力発電の拡大に頼ることになるだろう。

デンマークは沖合に風力タービンを設置した最初の国だが、洋上風力発電の総量は今や英国と大きく差がつき、世界第2位だ。英国は、2013年の上半期で同国の海域で新たに500メガワット以上の電力を発電し、総風力発電容量を国内の200万戸の電気需要量に相当する3,400メガワット以上に増やしている。

この新たに加わった洋上風力発電容量の大部分は、現在世界最大の洋上風力発電プロジェクト、ロンドン・アレイの第一期工事の完成(完成時の出力は630メガワット)によるものだ。これは出力500メガワット規模の、2012年に完成した英国のもう一つの大型プロジェクト、グレーター・ガバードを上回る。英国の洋上風力発電容量は、現在建設中や開発の初期段階にあるものを含めると、全体でおよそ1万2,000メガワットになる。

ベルギーの洋上風力発電容量は2013年前半に20%伸び、世界第3位となる450メガワットに達した。ドイツは380メガワットの容量を保有し、年内にはこれを少なくとも520メガワットにまで増やすだろう。さらにこの国の洋上風力発電業界は、2014年と2015年に新たに1,000メガワットずつを送電網に接続したいとしている。

アジアの国々では、洋上風力発電を欧州だけのものにしないでおこうとする動きが始まっている。例えば、2010年に初めて洋上でウィンドファームを稼働させた中国は、その後390メガワットまで容量を増やし、あっという間に世界第4位にのし上がった。中国の公式目標は、2015年までに領海で5,000メガワットの発電を行い、2020年にはこれを大幅に増やして、3万メガワットにすることだ。

地価が高く、原子力エネルギーの将来が疑問視されている日本では、国内で手に入る発電資源として、潜在的に豊富で、二酸化炭素を排出しない沖合の風力が注目を集めている。2013年前半には16メガワット規模のプロジェクトが動き出したことで、日本の洋上風力発電容量は41メガワットまで増えた。

日本の海には、標準的な洋上風力タービンが設置できるような浅瀬はあまりない。そのため、この国では、将来の洋上発電に浮体式風力タービンという新技術が使われる可能性が高い。この浮体式風力タービンを使った2メガワット規模での発電が、16メガワットの実証試験プロジェクトの第一期工事として 2013年11月、福島県の沖合で始まる。そこでの結果が良ければ、2020年までにその発電容量を1,000メガワットにまで増やすことが期待されている。

【グラフ】国別累積洋上風力発電容量(2013年年央現在)
【グラフ縦軸】上から順に、英国、デンマーク、ベルギー、中国、ドイツ、オランダ、スウェーデン、日本、フィンランド、アイルランド、ベトナム、韓国、ノルウェー、ポルトガル、米国
出典:世界風力エネルギー協会(GWEC)、欧州風力エネルギー協会(EWEA)、4Cオフショアー、コマツ、ナビガントの資料を基にアースポリシー研究所で作成

実際、世界的に見ても浮体式風力タービンは、洋上風力発電の今後の発展において大きな部分を占めるだろう。ウィンドファームとして利用できる面積が大幅に拡大するだけでなく、現在は陸上の風力タービンによる発電の2倍以上かかっている洋上でのコストが飛躍的に下がる可能性があるのだ。

洋上風力発電機のメーカーは、従来より軽量で強度の高い素材の使用、効率の改善などによってタービン本体のコストを削減することに成功しているが、こうした削減分は、水深の深い海でのプロジェクトが増えるにつれ、海底に固定されるタービンの設置・維持コストが膨らむ分で帳消しにされてきたのだ。

再生可能エネルギーを扱うコンサルタント会社G L ガラードハッサンによると、浮体式風力タービンの場合、過酷な気象状況への対応が遥かに容易だという。状況が良ければ、タービンを比較的安価なタグボートで建設地まで運んですぐに設置することができるので、設置用に特殊な船を使う必要がなくなるのだ。保守点検の時期が来ればタービンを浮かべたまま岸へ戻すことができるため、コストもリスクも少なくて済む。

世界はこの新技術を利用する経験を積んでいる最中である。ここ数年で、ノルウェーのスタットオイル社とシアトルに拠点を置くプリンシプルパワー社は、それぞれノルウェーとポルトガルの沖でともに浮体式風力発電機のプロトタイプの設置に成功している。

2013年6月、米国はついに洋上風力発電への仲間入りを果たした。メイン州沖に設置された20キロワット(0.02メガワット)の浮体式風力タービンが同州の電力網に接続されたのである。タービンを開発した、メイン大学を中心とする合同企業ディープCウィンド(DeepCwind) は、6メガワットというこれより遥かに大型のタービンを2基、2016年に設置する予定である。

しかし米国初の本格的なウィンドファームは、従来のように海底に基礎を置く着床式になりそうである。3件の提案――マサチューセッツ州のケープウィンド・プロジェクト(470メガワット)、ロードアイランド州のブロックアイランド・ウィンドファーム(30メガワット)、ニュージャージー州のフィッシャーマンズ・エナジーIプロジェクト(25メガワット)――はまもなく建設段階に入る。

米国の洋上風力発電は圧倒的な可能性を秘めている。米エネルギー省によれば、東海岸沖の浅水域には53万メガワットの風力発電施設を建設することが可能で、米国で現在発電されている量の40%以上を担うことができるという。深水域と他の沿岸地域を加えれば、その潜在力は410万メガワット以上に跳ね上がる。

これは世界全体における風力発電の可能性を計算した、ハーバード大学による2009年の研究結果と一致する。この研究では、二酸化炭素排出量が世界でも特に多い国々は、その大半が風力を利用することで国の電力需要を容易にまかなえると推定している。それも洋上風力発電だけで十分だろう。

確かに世界における洋上風力の潜在力は、辛うじてその活用が始まったにすぎない。実際、国によっては規制が設けられたり政策がはっきりしなかったりするせいで、まさに動き出したばかりの洋上風力発電が勢いを削がれ、その今後の発展に影が差しているようにも思われる。

近ごろ英国政府はコストに対する懸念から、洋上風力による発電量を1万8,000メガワットに増やす時期を、当初目標としていた2020年から2030年に先延ばしした。ドイツでは開発業者が、新たな連立政権の洋上風力発電に対する規制や刺激策が決まるのを待っていることもあって、タービンの注文が少ない。そして中国では洋上風力発電会社から、発電する電力の保証価格が低すぎて急速な発展にはつながらないとの意見が出ており、同国が2015年と2020年の野心的な目標を達成できるかどうかが疑問視されている。

こうした国々を含めた主要各国のはっきりしない展望を受け、調査会社やコンサルティング会社、業界誌は、今後10年程度で世界の洋上風力発電容量は3万7,000メガワットから13万メガワットの範囲になるだろうと推定している。近年の目覚ましい成長にもかかわらず、結果的にはこうした予想範囲の中でも低めの値に落ち着く可能性が極めて高そうだ。

私たちには、利用できる資源が実質的には無尽蔵であることがわかっている。今後の課題は、世界がどれくらい早い時期にこの資源を生かして新しいエネルギー経済における洋上風力発電の地位を向上させられるか、である。

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風力発電についてさらに詳しくは、J・マシュー・ローニー「記録的だった2012年の風力発電、2013年世界はいよいよ30万メガワットの時代に」をご覧ください。データおよびさらに詳しい資料はwww.earth-policy.orgをご参照ください。

この情報の友人、家族、同僚への転送はご自由 にどうぞ。

アースポリシー研究所
1350 Connecticut Avenue NW, Suite 403
Washington, DC 20036

(翻訳:酒井、野村)

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