世界経済フォーラムがウェブサイトに「2014年に世界が直面する趨勢トップ10」を発表しています。
http://reports.weforum.org/outlook-14/view/top-ten-trends-category-page/
これは、世界経済フォーラムが組織するグローバル・アジェンダ・カウンシルの幅広いネットワークを使って、今後12ヶ月から18ヶ月の間に世界に最も大きな影響を及ぼすであろう問題を特定し、順位付けしたものです。
どのようなものが挙がっているのでしょうか? 今後12~18ヶ月、どのような世界の動向を予期して、体制を整えておく必要があるのでしょうか?
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世界経済フォーラム「2014年に世界が直面する趨勢トップ10」
●第1位 中東と北アフリカで社会的緊張が高まる
2年前、アラブの春の後に世界はエジプトやチュニジア、リビアに民主化への道を期待したが、短期間でその道のりは困難なものとなった。この地域全体の展望も各国の軌道も見通しがきかず、世界中の専門家が中東と北アフリカの社会的緊張を2014年最大の難問だと考えている。
今回の調査から、現地では半数近い人々が経済政策ではなく、政治的不安定を最大の問題に挙げていることがわかった。この地域では宗教と政治の分離に関して人々の意見が分かれ、地域社会での宗派間の緊張や、重要問題に対する地域協力の崩壊が見られる。
しかし、国際社会が注意深く取り組めば、異なる意見を持つ地元の人々が過渡期の国々で成果を挙げるための大きな役割を果たしていくだろう。
●第2位 収入格差の広がり
貧富の差がさらに大きくなっている。貧困と言えばかつては最貧国を取り上げたが、現在は中所得国で貧しい人々が増えている。ごく少数の人々がかつてないほどの経済報酬を享受する一方、大部分の人々は中流層から貧困へと追いやられているからだ。
所得格差の広がりは中国やインドなど新興市場や欧米諸国にも見られる。その原因は途上国のケースと同様で、第1に質のよい初等・中等教育を受けられないことにある。また、貧困から健康的な食事が取れず、地域の安全性の問題から戸外での運動ができないと、心臓病や糖尿病などの疾患にもつながる。
こうして人々が教育、収入、健康への脅威を感じるようになると運動が起こり、政治的・社会的衝突の危険性が増すことになる。収入格差をなくすには、人々にしなやかな強さを身につけさせ、仕事に必要なスキルを学ばせるなど総合的な方法をとる必要がある。
●第3位 根強い構造的失業
失業問題は、一国の問題ではないため、政府も民間部門もグローバルな視点を持つことが不可欠である。政府は雇用と経済安定を推進する規制構造を作らなければならない。何よりも企業を奨励して仕事を創出し、従業員に投資させることである。
企業は若者を訓練・指導し、若年者失業の対策に参加すべきである。若者は特に前向きに雇用される必要があり、それができなければ社会の基礎構造が劣化することになる。
●第4位 高まるサイバー攻撃の脅威
サイバー戦争が拡大し、企業や政府、個人が巧みに攻撃されている。かつては多くの個人や企業が自分でサーバーを運用しており、ある意味でシステム的に回復力があったが、現在では多くが一握りのベンダーに委託しており、どこかでトラブルがあった場合に影響が広く及んでしまう。
また、最近話題の「モノのインターネット」は、以前は独立して機能していた冷蔵庫のような物理的なものをインターネットにつなぐ技術だが、これもサイバーテロなどを考えると物理的な影響を受けることになる。政府も民間企業もNGOもすべてのハッカー行為を防ごうとするのではなく、ハッキングされても壊滅的状況にならずに簡単に元に戻るようレジリエンス(回復力)をつけるべきである。
●第5位 気候変動に対する無行動
気候変動に対する行動が十分ではないことの重大さがいまだに軽視されているせいで、この問題は第5位となった。そうでなければ第1位になっていたはずだ。
必要な規模で時機を逃さずに行動しなければ、気候によって過去20年間の経済・社会の発展や環境保護における進歩が帳消しになってしまう可能性があるのだ。
行動はなされているし、その方向も正しいが、十分な速さで行われていない。例えば、再生エネルギーにこれまで累計1兆ドルの投資が行われたが、毎年1兆ドル投資する必要がある。私たちは全面的な経済転換に直面しているが、過去の産業革命やインターネット革命を考えれば、これは実行可能な転換だ。
私たちには、技術も資金もある。政策と行動の歩調をそろえて進めることである。これは単に政府の責任でも、ビジネスチャンスでも学問的訓練でもなく、誰一人として逃れることのできない変革への挑戦なのである。
●第6位 経済政策への信頼の下落
信頼が下落した理由は3つある。危機の広さと強さ、回復の遅さ、何か方策があるのではないかという経済政策への非現実的な期待である。若者たちは今日の経済政策に対して特に批判的である。
調査では、18~29歳の若者が経済政策を最も重要な問題だと考えている。こうした状況を覆し、信頼を取り戻すには、国際経済がいかに相互に関連しあっているかという教訓を心に留めることだ。G20首脳会談は財務大臣レベルで行われてきたが、それを各国首脳レベルに引き上げることはそう難しくはないだろう。相互に関連した問題を扱うには、国際社会の強調的な取り組みが最善の方法である。
●第7位 リーダーシップにおける価値観の欠如
リーダーが自分自身や家族のためでなく、いかに一般市民のために尽くすかいう問題である。短絡的なリーダーは、人々の共通の利益が長期的に繁栄するための唯一、現実的な方法であることに気付かないだろう。
私たちはリーダーに、自分の知識にこだわらず、私たちを前に進め人々を結びつけるものによって動いてほしいと考える。恩恵を受ける人だけでなく、マイナスの影響を受ける人々のことも考慮し、マイナスの影響を最小限にする世界的視野を持ちたいものだ。
すべてのリーダーに自分の利益をまったく考えるなというのは明らかに不可能だ。しかし、リーダーにはできる限り多くの人々のことを考えほしいと思う。前向きな世界的視野を持つには情報の共有が鍵となる。考え方や関心、視野の異なる人々を表に出し、異なるタイプの人々、情報、価値観を取り込んで、理解を生み出すことに努めるべきである。
●第8位 アジアで中流層が拡大
アジア社会は自由市場経済、科学技術の熟達、教育など重要な改革を実行することによって成功しつつある。中国では市場改革に取り組んで以来、6億人が絶対的貧困から抜け出した。中流層の拡大によって生活水準は大きく上がり、その結果この地域での紛争が減った。
ただ、アジアの中流層が欧米並みの生活水準を目指せば、地球環境への負荷は破滅的なものになる。こうした人々がその素晴らしい知力をもって日本並みのエネルギー効率を学び、環境技術の面で貢献できるなら、大きな経済成長を生み出しつつ資源消費量を抑えることは可能だ。
●第9位 高まるメガシティーの重要性
都市がいかにレジリエント(しなやかで強く、持続可能な)でいられるかを理解することはいくつかの最大の難問を解く鍵である。これまで、ロンドン、ニューヨークなどの大都市は犯罪や汚染、病気、貧困などマイナスのイメージにもかかわらず、非常に流動的かつ多様な社会で、最終的には世界経済の促進につながる大きなチャンスを提供してきた。
今日アフリカやアジアで台頭しつつあるメガシティーについても同様のことが言える。すべての都市は同じDNAを有している。なぜなら都市とは人々から成り立っているからだ。都市とは基本的には社会的ネットワークであり、複合的で適応可能なシステムなのだ。それは、地形や政治体制、経済モデルにかかわらず同じ振る舞いをするのである。
●第10位 ネットワーク上での誤情報の急速な広がり
ネットワーク上の情報はどれも、相互に関連する要素を多く持つ、より広範で複雑な人間生態学の一部だ。そのため、誤情報が急速に広がるプロセスを完璧に描くことも、その情報がどこから出たのかを特定することも非常に難しい。
私たちは特定のメディアを超えて考え、誤情報が広がる政治的・文化的背景を考慮すべきである。そして誤情報のケースはそれぞれに違うことを心に留め、個々の誤情報が広まった業界構造に目を向けそれぞれ独立して考える必要がある。誤情報に解明に関しては、人間の判断が情報に筋道をつけるために今後も不可欠となるだろう。
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以上、世界経済フォーラムの「2014年に世界が直面する趨勢トップ10」 でしたー。
「2014年に日本が直目する趨勢トップ10」を挙げるとしたら、どういうものが出てきそうでしょうね?