前号で、何か大変なことがあっても、そこで折れてしまうのではなく、しなやかに立ち直る力「レジリエンス」について書いたところ、読者の方から、メールをいただきました。ご快諾をいただき、ご紹介します。ありがとうございました!
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今回の大雪で山梨県全体が孤立するという前代未聞の状況になりました。清里の積雪量は140cm! 私の胸の高さまで積もって、吹き溜まりなど場所によってはもっとありました。
もちろん自宅前の道路も途絶、近所の家もどうしているのかわからないような状態で、土曜日は出勤不能。職場でもスタッフが帰宅難民になりました。
日曜日には天気が良くなったので、スノーシュ―を履いて近所を尋ねるといずれも備蓄が十分で心配なく、職場にはそのまま歩いて出勤しました。
普段は車で数分の道ですが森の中をスノーシュ―で膝上までもぐりながら片道40分、最初は大変でしたが帰り以降は一度通れば踏み跡が付いて、夏道と変わらず快調に歩けました。
結局2日間、久々の「森林フィットネス」通勤を楽しみましたが、ニュースの題材はオリンピックばかりが先行し、状況がなかなか進展しませんでした。
電気と水道が止まらなかったことが何よりも幸いで、近所では私がスノーシュ―で歩いてきたのを見て「そんなもの持っていたんだ」と不思議がっていましたが、持ってない家は本当に庭から先に出ることができない状態でした。
民家が避難所として外泊を受け入れたり炊き出しをし、滞在のお礼に庭の雪かきをしたといった美談も生まれました。
昨日からは自動車が出せるようになり、職場の復旧作業に遅くまで取り組めるようになりました。現在もまだ道路の不通区間や商品の欠品が続いていますが、こうした状況にはまさに「レジリアンス」が求められてきますね。
個人のレベルでは備蓄食料とか衣類、山道具などがモノを言いますが、この量の積雪には小型の除雪機では刃が立たず、結局は人力スコップが最強兵器になりました。
自宅にはまだ数日分の"籠城"できる食料がありますので買い物は状況が落ち着いてからにします。
早く孤立集落などが解消され、今後雪崩など続いて起こるであろう災害が軽減できることを祈ります。
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いまレジリエンスの入門書を執筆しているのですが、レジリエンスはもともとは、生態系と心理学という学問分野からそれぞれ別個に出てきた考え方でした。
心理学でいえば、同じようなトラウマ体験があったとき、折れてしまう人もいれば、そのうち立ち直って、それを糧に以前よりも成長していく人もいる--その違いは何だろうか? という観点からの研究です。
いまでは、地域づくりや教育など、世界ではいろいろな分野でレジリエンスを採り入れる動きが加速しています。温暖化の「適応策」もそうですし、防災もその一分野です。
日本でも「防災から減災へ」という動きは、災害を防ぎきれるものではないので、災害が起こったときの被害を最小化しようという考え方ですが、災害の直後だけではなく、時間軸を延ばして考えたとき、レジリエンスの考え方と重なってくる部分がたくさんあります。
国や社会のレジリエンス、地域のレジリエンス、組織のレジリエンス、家族のレジリエンス、自分のレジリエンス--いろいろな観点から考えていきたいし、そして考えるだけではなく、動いていく必要がありますね。