幸せ経済社会研究所では、温暖化をはじめとする環境問題やエネルギー問題の根源には、あくなき経済成長の追求があるのではないかという問題意識から、幸せと経済、社会の関係を学び、考え、対話する活動を続けてきました。
今回、これまでさまざまな環境活動・社会活動に取り組んできたパタゴニアの「繁栄とは成長と消費の拡大に基づいた経済のことである」という前提に疑問を投げかける新しい環境キャンペーン「レスポンシブル・エコノミー(責任ある経済)」とともに、本当に幸せで持続可能な社会と未来に向けて「レスポンシブル・エコノミーを考える」コーナーを立ち上げました。
このプロジェクトは、経済のあり方や幸せ、社会などについて、広く意識を啓発し、一般の方々にも興味を持って考えていただくことを目的としたものです。ぜひ一緒に考えて下さい。
http://ishes.org/project/responsible_econ/
このような問題意識で、このコーナーを立ち上げました。
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パタゴニアのウェブサイトにおいて、レスポンシブル・エコノミーについて以下の様に記しています。
「レスポンシブル・エコノミー (責任ある経済)」は、 繁栄とは成長と消費の拡大に基づいた経済のことであるという前提に?疑問を投げかける、パタゴニアの新しい環境キャンペーンです。このキャンペーンで私た ちは地域社会が栄え、有意義な仕事を生み出し、地球が補充できる分だけを自然界から減じて使う、より責任ある経済とはどのようなものかを検証していきます」
人類の未来に暗い影を落としている地球温暖化や生物多様性の危機といった"環境問題"は、実は「問題」ではなく、「症状」のひとつです。根本的な「問題」は、有限の地球のうえで、無限の経済成長を求める、現在の経済や社会の構造ではないでしょうか。
一方、これまで世界の大部分では、経済成長は社会のために必須だと考えられてきましたし、現在の経済や社会が経済成長を前提として組み立てられています。したがって、経済成長至上主義に異を唱えようとすると、「社会保障はどうするんだ」「国際競争力を失ってしまう」等、瞬間的な反駁や否定の声が飛んできます。
○経済成長は「必要かもしれないが、可能ではない」?
「必要である」ことと「可能である」ことは別物です。現在のしくみでは経済成長は「必要である」かもしれませんが、すでに地球が1.5個必要なほど大きくふくれあがった人間活動を、経済成長によってさらに膨張させていくことは、どう考えても持続可能ではありません。つまり、「必要かもしれないが、可能ではない」のです。
「技術の革新や進歩が解決してくれる」という声もよく聞きます。「経済成長を続けても、地球への環境負荷を増やさなければよい」というわけです。考え方としてはたしかにそうですが、どれほど環境効率の良い技術を使ったとしても、何らかの人間活動を行う際の地球への環境負荷がゼロということはありえません。「前よりはマシ」ではあっても、「ゼロではない」としたら、経済成長を続ける限り、環境負荷は増えていきます(増え方は前よりはゆっくりであったとしても)。
技術の進歩は重要ですからどんどん進めるべきですが、根本的な問題解決ではなく、時間稼ぎにとして考えなくてはなりません。やはり考えるべきは「経済成長をどこまでも続けなくてもよい経済や社会に転換していくこと」だと思うのです。
○誰も答えを発見していない難題と向きあう
どのように「経済成長に頼らない経済や社会」に転換していけばよいのでしょうか? 特に「経済成長が前提となっている経済」の中で事業を行っている企業は、現在の土俵の上での自らの事業の持続可能性と、その土俵そのものが引き起こしている地球/人類の持続可能性との折り合いを、どのようにつけながら進むことができるのでしょうか?
それを考え、試行錯誤し、社会のさまざまな人々と対話・議論しながら、正しい方向への歩みを進めていくことが「レスポンシブル・エコノミーを考える」ことだと思っています。
今回、だれも答えを発見していないこの難題に、パタゴニアが真正面から向きあい、進んでいこうとしています。一緒に活動を展開できることは、とても光栄であり、楽しみです。
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上記の問題意識に対して、みなさんはどのようにお考えになりますか?
このコーナーではいくつかのプロジェクトを展開していきますが、その1つがこちらです。
~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~
「レスポンシブル・エコノミーを考える」取り組みの1つとして、「経済成長とは?~100人に聞く」プロジェクトを進めています。
経済学者をはじめ、さまざまな分野の有識者やアーティスト、多種多様な取り組みを進める方々に、「経済成長をめぐる7つの質問」を投げかけ、お考えを共有していただくことで、広くみんなで経済成長について考えを深めていきます。
「経済成長」って、毎日のように見聞きし、口にもする言葉かもしれませんし、それぞれの人が何らかのイメージ(好き嫌いも含めて)を持っていると思いますが、「それは何なのか?」「必要なの?」「何のために必要なの?」「経済成長はどこまで続ける必要があるの?」「経済成長を永久に続けることは可能なの?」などについては、じっくり考えたことはない、という方が多いのではないかと思います。
7つの質問には、正解も誤答もありません。それぞれの人がどのようにとらえているのか、考えているのか、それを出し合ってはじめて、「責任ある経済」における「経済成長」の位置づけや役割について対話・議論ができると考えています。
いろいろな方々の「7つの質問」への回答を読みながら、どうぞ「自分はどう思うか? どう考えるか?」を考えてみていただければと思います。
<経済成長をめぐる7つの質問>
1.経済成長とはどういうことですか、何が成長することですか
2.それは望ましいものですか、それはなぜですか
3.それは必要なものですか、それはなぜですか。必要な場合、いつまで、どこまで、必要でしょうか
4.経済成長を続けることは可能ですか、それはなぜですか
5.経済成長を続けることに伴う犠牲はありますか、それは何ですか、なぜ生じるのですか
6.日本がこれまで経済成長を続ける中で失ったものがあるとしたら何でしょうか
7.「経済成長」と「持続可能で幸せな社会」の関係はどうなっていると考えますか
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これまで、以下の方々のお考えがアップされています。
003:半谷 栄寿さん(一般社団法人 福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会 代表理事)
002:江守 正多さん(日本の気象学者、国立環境研究所 地球環境研究センター 気候変動リスク評価研究室長)
001:セヴァン・スズキさん(12才の時に地球サミットで行った「伝説のスピーチ」で知られるカナダの環境問題活動家)
よかったらぜひご覧下さい。そしてぜひ「自分だったら何と答えるかな?」と考えてみていただけたらと思います。
今後のこのコーナーの展開にもぜひご期待下さい!