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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2014年07月04日

人口減少「問題」について (2014.07.04)

 

先日盛り合わせでお知らせしたセミナーの開催時間の修正が来ましたので、お伝えします。参加を予定されている方、ご注意下さい~。

2014年7月8日(火)特別セミナー アメリカはなぜCO2規制に動き出したのか? CO2規制の最新情報

>  開催時間を18:00~20:00とご案内しておりましたが、正しくは
> 18:30~20:30となります。
>  誤りがあり、大変失礼いたしました。


さて、先月末のJFSニュースレターで『人口減少社会~課題先進国・日本の現在』を発信し、
http://www.japanfs.org/ja/news/archives/news_id034952.html

おとといは、イーズ未来共創フォーラムの異業種勉強会で、 『人口減少最先端 高知県のとりくみ事例に学ぶ』勉強会を開催しました。

異業種勉強会のメンバーでもあり、全国より15年早くから人口減少に直面している高知県から尾崎知事が来て下さって、とてもわかりやすく、全体像と包括的な施策、そして実績を話して下さいました。

JFSのニュースレター記事に対しては、日・英のディスカションコーナーへの書き込みもいくつかあります。

http://www.japanfs.org/ja/news/archives/news_id034952.html (日本語)

http://www.japanfs.org/en/news/archives/news_id034953.html (英語)

ほかにもニュースレターや、メールニュースへの返信としてコメントや感想などをいただいています。

みんなでディスカションしたり、みなさんのコメントや感想を拝見していて、思うことがあります。

「人口減少は問題だ」というとき、「問題」は何かということのとらえ方がいくつかある、ということです。

「人口が減ることが問題だ」(国威を保つため、労働力が減ると困るため、高齢者を支える若年層の負担が増えると大変なので、など)

だから、人口を増やそう、という考え方が1つ。これまでの人口減少「問題」はこういったとらえ方が多かったかもしれません。

もう1つは、「人口は減っていくのに、現在の社会・経済のしくみや地域のあり方が、それに合っていないこと」が「問題」だ、というとらえ方です。

(私は、こちらの「人口減少という現実に、社会や経済、地域のしくみを変える必要がある」という立場です)

温暖化的に言えば、「人口減少そのものを止めよう」という「緩和策」と、「ある程度の人口減少は不可避なので、人口が減っても大丈夫なように、社会・経済・地域のしくみを変えていこう、人口減少という現実に備えよう」という「適応策」の2つのアプローチがある、ということです。

もちろん、現実には、その両方が必要です(温暖化の場合と同じように)。

私も、永久に人口が減っては困るし、ソフトランディングは必要だと思いますが、現在の人間活動(人口×1人当たりの消費量など)が地球の支えられる限界を超えている現在、ゆくゆくは途上国も含め、人口を抑える(少なくとも平衡状態にもっていく)ことは、持続可能性を考えれば、不可避であると考えます。

「日本は平衡状態どころか、減りすぎじゃないか」というツッコミが来そうですが(^^;)、たしかに、日本はこんなに急速に人口を減少しなくてもよいと思いますし、そうさせているさまざまな要因(たとえば、結婚や出産、子育てがしづらい社会環境など)にきちんと手を打っていくことは必須です。(単に人口を増やすためではなく、日本の人たちの幸せのためでもあります)

一方、人口動態的に(構造的に)、高知県の尾崎知事がおっしゃるように「当面は、急激な人口減少が避けられない」のも現実であり、それでも社会の構成員が幸せに生きていくためには、社会・経済・地域のあり方のほうを、減少する人口に「適応」させていくことも大事です。

尾崎知事の講演「人口減少最先端 高知県の挑戦!」は、人口減少の何が問題なのか、今後の見通し、人口減少の経済への実際の影響、不可避的な人口減少の現実の中で県民の幸せを維持・向上するための、高知県の包括的な枠組みと具体的な取り組みについて、詳しくわかりやすく伝えてくれるものでした。

「地産地消はけっこうですが、人口減少地域での地産地消はジリ貧です」として、高知県が「外貨」獲得のためにどういった施策を展開し、実績を上げているかも印象的でした。

私が特に素晴らしいと思ったのは、人口減少を見込んで、地域で支え合うしくみとしての「小規模多機能支援拠点」や、中山間地の「集落活動センター」を全県的に開設し、準備と運営を進めていることです。

JFSの読者など、海外からよく言われるのは、「いずれ、ヨーロッパも中国も、日本のように、人口が減少していく。そのとき、人口減少の最先端を行く日本の、それを幸せで持続可能な社会につなげていく取り組みから学びたい」ということです。

今回の高知県の取り組みから、具体的な事例を学ぶことができました。JFSでも、そういった取り組みを世界に発信していきたいと思っています。

今回の異業種勉強会の参加者からの感想・コメントの一部をご紹介します。

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~

・尾崎知事の話を聞いて、多くの気づきをいただきました。人口減少社会とい う現実をこれからもっとリアルに考えていこうと思っています。

・不可避である人口減少問題に、6年前から取り組まれた実例を知事が出来て、 有意義であった。

・県知事のお話を直接聞く機会をいただき、地方の現状がよく分かった。積極的 な政策を具体的に聞いたことはとても参考になった。

・さまざまな業種の方とお話する中で、それぞれ人口減少に対する問題意識を持っ て、対策をとろうとしていたりしていることが分かった。

・いろいろな、たくさんのアイデア、話が聞けて勉強になりました。

・人口減少ならびに経済縮小に取り組む高知県の諸施設と、背景にある現状認識 と構想力に強い印象を受けた。

・高知県の現場で起きている問題を把握され、きめ細やかな戦略プランを持って おられ、たいへん勉強になりました。

・企業のそれぞれの視点からの人口減少の"読み"、対応策を聞くことができて良かった。

・高知県の尾崎知事の迫力あるプレゼンを直接聞くことができたこと。

・知事の話を直接聞けてよかった。多様な取り組みをしていることが分かった。

・県知事の生の声がきけた貴重な機会でした。

・日本の「人口減少」問題について、あらためて考える機会をいただきました。

・異業種の会社状況、立場を少しでも共有できて良かった。

・普段きけない話を学べてとても勉強になった。

・企業活動という枠をこえて、広い視点で考えることができ、頭の体操(視野を 広げる)になった。

●「今日学んだことを、どのように活用したいと考えていますか」というアンケー ト項目へのコメントです。

・自治体が今、何に悩み、取り組んでいらっしゃるかということを生の声で聞く ことができたので、今後、地域とくに自治体と協働した取り組みを行う際に参 考にさせていただきたい。

・不可避でありながら、具体策に着手していない現状を再認識させられた。人口 減少を前提に、企業成長の目標値設定を考えなおしたい。

・人口減少から考えられる、いろいろな企業の悩みや今後のマーケットのことな どを参考に、いろいろな指標をクライアントへしていきたいと思いました。

・人口減少は、まだ紙面上の事としてしか認識がなかったが、他県より15年も先 行して人口減少問題に取り組んでおられる高知県の話を聞いて、もう少し真剣 な議論が社内でも必要だと感じた。

・営業政策、商品開発等に、いかしたいテーマがずいぶんありました。

・山間地域のビジネスモデルの展開に役立てたい。

~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~

次回の異業種勉強会は9月です。ご関心のある企業・自治体・組織の方、よかったらご一緒に。詳細はこちらにあります。
http://www.es-inc.jp/network/index.html

 

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