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2014年10月14日

アースポリシー研究所「2013年中国が太陽光発電で世界をリード」 (2014.10.14)

新しいあり方へ
 

アースポリシー研究所からのリリースを、実践翻訳チームが訳してくれましたので、お届けします。太陽光だけではなく、風力でも、中国は本気で「再エネ大国」になっています。中国や他の地域での太陽光発電の心強い現状がわかります。日本についての記述もあります~!

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~

2013年中国が太陽光発電で世界をリード
J・マシュー・ローニー

過去2年間に世界中の国々が新規に導入した太陽光発電量は、太陽電池が発明されて以来、それまで導入された量にほぼ匹敵するほど多かった。2013年には、3万8,000メガワット近くの太陽光発電が新規に導入され、1年間の新規発電導入量としては新記録となった。

全体では、世界の太陽光発電量は今や14万メガワットに達しようとしており、ドイツの全家庭それぞれの電気需要をまかなえるくらいだ。コストの低下と効果的な政策が、太陽光発電の驚異的成長に拍車をかけ続けている。

【グラフ】 世界の太陽光発電累積設置容量(2000年~2013年)
(http://www.earthpolicy.org/images/uploads/graphs_tables/indicator12_2014_worldPV.PNG)

太陽電池を構成するのは半導体物質で、その代表が結晶シリコン。これが太陽光を直接電気に変換する。太陽電池パネルは、多数の太陽電池で構成され、パネルをつなぐことで、数キロワット規模の住居の屋根上設置型から数百または数千メガワットに及ぶ大規模な地面設置型まで、様々な規模の発電装置を作り出すことができる。

世界の太陽光発電をリードする中国だが、最近まで国内では太陽光発電をほとんど導入してこなかった。しかし、そのような時代は終わった。中国では2010年から2012年にかけて、太陽光発電量はそれまでの9倍近い7,000メガワットにまで増加した。さらに2013年には、少なくとも1万1,300メガワットを追加しているが、これは単年では世界最大となる。総発電量が1万8,300メガワットになった中国をしのぐ国は今やドイツ(3万6,000メガワット)しかない。(www.earth-policy.org  のデータ参照)

2013年に中国で新規に導入された太陽光発電の半数以上は、人口の多い国の中心部から遠く離れた、西部の甘粛省、新疆ウィグル自治区、青海省でのものだ。 同年後半、世界最大規模の320メガワットの太陽光発電プロジェクトが、青海省の龍羊峡ダム沿いに完成した。

中国は、遠方の地での巨大プロジェクトを進めるかたわら、長距離の送電を必要としない小規模な発電装置の数も増やそうとしており、2014年には屋根上設置型装置から8,000メガワット以上の電力を獲得しようとしている。中国は風力発電と同様に、太陽光発電でも近いうちに世界をリードしそうだ。2014年5月、中国政府は2017年までに太陽光発電の目標を7万メガワットにすると発表した。

【グラフ】主要国の太陽光発電累積設置容量(2000年~2013年)
(http://www.earthpolicy.org/images/uploads/graphs_tables/indicator12_2014_countryPV.PNG)

東に目を転じよう。日本の太陽光発電は中国に次いで2番目に多い6,900メガワットを追加し、稼働中の太陽光発電量は1万3,600メガワットに達した。発電量がこのように倍増した主要因は、2011年の福島原発事故の1年後、再生可能エネルギー開発の普及を図るために導入された、手厚い固定価格買い取り制度(FIT)にある。(一般的には、固定価格買い取り制度によって、発電業者は電力会社に電気を一定期間、固定価格で売ることが保証される。現在まで世界中で進められてきた太陽光発電開発の大部分は、このFITに触発され生まれたものだ)。

日本の太陽光発電は小規模な屋根上設置型が依然主流である。しかし、2013年になって初めて新規電力の大部分が大型プロジェクトからもたらされるようになった。2014年初頭、日本最大規模の82メガワットの発電施設が大分県にオープン、同年6月には、京セラなど企業4社が、日本で3番目に大きな島、九州の長崎県沖にある五島列島の農地で430メガワットの発電を行うプロジェクトに合意した。太陽光パネルを支柱の上に取り付けることで作物にも十分に太陽光が当たる。ここで生まれた電力は14万世帯の需要を賄うことができ、海底ケーブルで九州本島に送電される予定だ。太陽光発電開発が進むにつれて、日本は2万8,000メガワットという2020年の設置目標に着々と近づいている。

2013年、インドは太陽光発電量を倍近くまで増やした。西部の砂漠地帯にあるグジャラート州とラジャスタン州には、インドが保有する2,300メガワットの太陽光発電の半分以上がある。2014年6月、総選挙によって新たに誕生したナレンドラ・モディ政権は、直ちに国の電力に占める太陽光発電の割合を3%にするために、ナショナル・ ソーラー・ミッション(国家太陽発電施策)の目標を、2022年までに2万2,000メガワットから3万4,000メガワットに引き上げると発表した。

太陽光発電のコンサルタント会社、ブリッジ・トゥ・インディアは、インドの土地の約0.5%に当たる6,200平方マイル(約1万5,500平方キロメートル)の土地に太陽光発電を設置するだけで、インドが現在使っている電力の1.5倍の発電が可能になると指摘している。

もちろん、インドには、いまだに電気を使えない人が3億人もいるし、さらに何億人もの人々が、不安定な電力網のためにしばしば停電を余儀なくされている。しかし、嬉しいニュースもある。農村地域では、屋根上設置型の太陽光発電の方が、中央に発電所を建設してそこから電力網を建設するより安価であり、今や電気代は太陽光発電の方がディーゼル発電を使うより安い。

ディーゼル発電や電力網の電気で動く灌漑用ポンプによって、地下の帯水層が慢性的に過剰に汲み上げられている国では、太陽光発電がひとつの解決策を提供してくれる。政府が新たに発表したプログラムによって、灌漑方法を節水型の細流灌漑に切り替えるなら、農業従事者たちは太陽エネルギーを利用した灌漑用ポンプを購入しやすくなるだろう。これは三方良しということだ。収穫を落とさずに節水でき、化石燃料の使用も減る。その上、政府はディーゼルや電気に対する補助金を年間60億ドル(約6,180億円)も節約できるのだから。

アジアの国ではほかに韓国が2013年に40%増やし、発電量をほぼ1,500メガワットにしている。タイもロッブリー・ソーラーファームの容量を拡大し84メガワットにした。国の太陽光発電容量を700メガワットまで増やす計画の80%がすでに達成された中で、これはその一部に当たる。

アジアは2013年の太陽光発電ブームで年間設置量は欧州を抜き、世界一になった。逆に欧州は、再生可能エネルギー導入へのインセンティブを下方修正したことで、太陽光発電の新規設置量が1/3以上減った。例えばドイツは、支払額の節減を図ろうとして、新規発電プロジェクトのFIT 価格を予定より早く引き下げたため、新規設置量が半減している。

太陽エネルギー導入へのインセンティブにストップがかかったことで、1万7,600メガワットの発電量がある世界第3位のイタリアでも太陽光発電の導入に勢いがなくなった。この国では、2011年の中頃から新設の太陽光発電所に適用されるFIT価格が低下し始め、2013年中頃にはついに適用中止が決まった。

しかしこの5年間で、太陽光発電に要する費用は規模によっては56~70%も下がっており、FIT価格撤廃後の太陽光発電が市場競争をする上で明るい材料になっている。最近家具大手のイケアがピサ市で700キロワットの発電装置を店舗の屋上に取り付けた。政府の補助金がつかない最初のプロジェクトの一つで、発電コストは送電線を通した場合の平均価格と比べて、同等か、それより安くなる見込みだ。

大西洋を渡ると、米国が活気づき始めている。2013年には約4,800メガワットを追加し、累積容量を65%増の1万2,000メガワットにした。増加要因には、太陽光発電コストが下がり続けたこと(2013年は平均15%低下)、電力を販売する場合、その一部に再生可能エネルギーから得た電力を含めることを州が電力業者に義務付けたこと、家庭用太陽光発電装置のリース契約に人気が出始めたことなどがある。

2013年に米国が新たに追加した太陽光発電は、その半分以上が長期にわたりこの分野でトップを走るカリフォルニア州で生まれている。カリフォルニアでは小規模な家庭用発電装置に加え、多くの大規模なソーラーパークが稼働中か建設途中にある。その中には2015年後半の完成を目指す2件のソーラー・スター・プロジェクトがある。両者の合計発電量は580メガワット、優に25万世帯の電気を賄うことが期待できる。

アリゾナ州は2013年に420メガワットの太陽光発電を追加し、現在フェニックスの郊外で自慢の290メガワットのアグア・カリエンテ・プロジェクトを展開中である。2013年の新規発電量が多い5つの州の中には、ほかにノースカロライナ (340メガワット)、ニュージャージー、マサチューセッツ(共に240メガワット)がある。

南北アメリカ大陸には太陽光発電が盛んな国がほかにもある。カナダは440メガワット増やし、2013年の累積容量は1,200メガワットに達している。メキシコの太陽光発電量は倍近く増えて100メガワットになり、2014年中に240メガワットにまで増えると見られている。チリでは2014年6月に、米国のサン・エジソン社が100メガワットの発電能力がある中南米最大の太陽光発電所をアカタマ砂漠に作ると発表している。またブラジルも2倍近く増やし、発電量は2014年には70メガワット以上になりそうである。

ほかにも日射量が多い国で、太陽光発電を進めているのがオーストラリアだ。発電量は現 在3,300メガワット。 この国では7軒に1軒の割合で屋根型の発電装置が設置されており、南オーストラリア州ではそれが4軒に1軒の割合になっている。

中東で現在、太陽光発電量の最も多いのがイスラエルだ。2013年には75%増え、累積では420メガワットになる。アラブ首長国連合のドバイは2013年10月に13メガワット規模のプロジェクトを開始、今後はこれを少なくとも100メガワットに、できれば10倍の130メガワットにまで増やすという。またサウジアラビアは2032年までに1万6,000メガワットの太陽光発電を保有したいとしている。

アフリカはどうだろう。ここでは送電線につながらない小規模な太陽光発電が一般的で、南アフリカに集中している。この国の北ケープ州では、発電量が合計で少なくとも175メガワットになる3つの大型プロジェクトが2013年の後半から始まった。またガーナでは400メガワットのソーラーパークを作る計画が、中国の太陽光発電企業、ハナジー社のもとで進んでいる。さらに、ナイジェリアではカナダとサウジアラビアの合弁会社、スカイパワー・FAS・エナジーが、2014年5月、この国の連邦政府(federal and state governments)との間で、2019年までに3,000メガワットの本格的な太陽光発電所を設置する契約に調印している。

太陽光発電は依然として急成長を続けるエネルギー技術であり、その成長速度は他を大きく引き離している。実際、2014年に世界で導入される太陽光発電は少なくとも4万メガワットに達し、発電量をさらに30%増やすはずだ。気候変動に対する不安が募る中、太陽光発電は化石燃料から脱却する過程で中心的な役割をしっかりと果たしている。

地球の気候安定化プランについてお知りになりたい方は、『今こそプランBを』をお読みください。さらに詳しいデータ・情報についてはwww.earth-policy.org を参照のこと。

メディア関連の問い合わせ:
リア・ジャニス・カウフマン
電子メール:rjk(@)earthpolicy.org
※迷惑メール対策のため、お手数ですが(@)を@に変更してお送り下さい。
電話:(202) 496-9290 内 線12
研究関連の問い合わせ:
J・マシュー・ロー二ー
電子メール:jmroney(@)earthpolicy.org
※迷惑メール対策のため、お手数ですが(@)を@に変更してお送り下さい。
電話:(202) 496-9290 内 線17

アースポリシー研究所
1350 Connecticut Avenue NW, Suite 403, Washington, DC 20036
http://www.earth-policy.org
註:1ドル=103円(2014年7月31日のレート)で換算しました。
(翻訳:小沢、酒井)

 

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