尊敬するサティシュ・クマール氏のT・L・C(Tender Loving Care)ツアー2015
のお知らせが届きましたので、ご案内します~。
○学びをほどき、編み直す
「ゆっくり小学校 with サティシュ・クマール」@明治学院大学白金
【開催日】3月28日(土)11:00~18:30(開場10:30)
【会 場】明治学院大学白金キャンパス3201教室ほか
【内 容】・サティシュ・クマール お話&問答の会
・ゆっくり小学校特別課外授業
ゲストの先生・島村菜津×校長・辻信一
進行:用務員・上野宗則
・心の準備体操 ソーヤー海 with 鈴木重子
・スローシネマ「今ここにある未来」上映会
・オーガニック・マルシェ「スロー・バザール」など
※詳しくはこちらからご覧ください
上記他、静岡、三重、京都などでも来日イベントが予定されています。
全イベントの詳細・申し込み等はこちらをご覧ください
数年前に、大事なメッセージと教えを伝えてくれるエッセイを、40年以上にわたり世界中で読まれてきたイギリスの雑誌『リサージェンス』から編纂・翻訳した本を出しました。
『つながりを取りもどす時代へ――持続可能な社会をめざす環境思想』
この雑誌『リサージェンス』の編集長を長らく務めているのがサティシュ・クマール氏です。サティシュは、「Soil、Soul、Society(土、心、社会)」が大切であると考え、そのすべてに影響を与えている現在の経済の仕組みも含めて、さまざまな角度から思考の糧、心の栄養を届けてくれています。
『つながりを取りもどす時代へ――持続可能な社会をめざす環境思想』から、サティシュの文章を一部、ご紹介します。
~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~
「精神性を取りもどす」
自己の変革が、社会、政治、宗教の変革への第一歩です。どのような変革も、底辺から始まり、だんだんと上に進み、より大きな世界へと及んでいきます。それが自然界の法則です。見上げんばかりのカシの大木も、土にドングリをまくことから始まります。ドングリをまいた後、数週間から数カ月は、そのドングリが生きているのか死んでいるのか、本当に芽を出すのかどうか、誰にもわかりません。でも、地下の目に見えないところで変化が起き、ドングリは小さな若芽となって土の中から顔を出すことができるのです。それはまだ、ほんのささいな変化です。でも、こうした小さな小さな始まりがあってこそ、やがてカシの巨木へと続く営みが動きだすのです。
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そう、個人の変革、社会の変革、そして政治の変革は同時に起こるのです。恐れや不安から解放され、心がゆったりと安らぐと、私たちは身の周りの集団や社会全体に積極的にかかわれるようになり、あらゆるものの暮らしを向上させるための社会や政治に変革を起こすことができるようになるからです。こうした自分のことよりも他人のことを考える献身的な行動は、めぐりめぐって、私たちにより大きな充足感や満足感、幸せな気持ちをもたらします。このように、私たち一人ひとりの変革と、政治的な変革は作用しあっているのです。
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では、精神性につながるいくつかの領域を見てみましょう。中でも真っ先にあげられるのは、恐怖を取りのぞくことと、信頼をはぐくむことです。よく考えてみると、心の苦悩の多くは、恐怖によってもたらされていることに気づくでしょう。不安な気持ちや成功したいという野望、自分の力を示したいという欲望、他人にいいところを見せようとする努力、他人を思いのままに操り支配したいという欲求、モノを買って所有して使いたいという執着心一どれもよくよく考えると、恐怖心がからんでいます。
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こうした一人ひとりが抱える恐怖が、社会的、政治的な不安へと広がっていくのです。ですから、精神を取りもどすための第一歩は、私たちの生活の中で恐怖心から起きている事象をよく見て、「恐怖というものはたいてい、より多くの恐怖と重なりあって大きくなっていく」ことに気づくことです。恐怖が恐怖を生み、恐怖が恐怖を引き起こすのです。そのため、あらゆる手を使って心理的、物理的な防護を固めるようになります。でもそれは、恐怖を増大させるだけなのです。自分たちを守るために核兵器を持ったところで、恐怖から逃れられるわけではありません。
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精神の領域を復活させる第一歩は、恐怖を理解して、信頼をはぐくむことです。自分自身を信じること。あなたはあなたのままでよいのです。すばらしいひらめきや創作意欲、想像力を形にしましょう。そうすれば必ずあなたを支え、守ってくれるでしょう。そして、他人を信じること。みんな、あなたと運命を共にしているのです。誰もがあなたと同じように愛を求めています。あなたが成長できるのは、他人とのかかわりにおいてだけです。あなたあっての私、私あってのあなたです。誰もが、こうした「お互い様」、あるいは持ちつ持たれつの関係性や一体感の中で存在し、発展し、花開き、豊かな人間になるのです。愛すれば、愛が返ってくるでしょう。恐怖を与えれば、恐怖がもどってくるでしょう。アザミの種を一つまけば、何百というトゲだらけのアザミの花が咲き、ツバキの種を一つまけば、何百というツバキの花が咲きます。自分がまいた種は自分で刈りとることになるのです。この先人の教えを、私たちはいまだに身につけていません。
~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~
また、今回のツアーのテーマである「T・L・C」について、主宰者の方が書かれた文章を、許可を得て転載します。
~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~
ところで、TLCってなに?って、思いますよね。
サティシュさんにイギリスへの移住を勧めたのは経済学者のE.Fシューマッハーなのですが、シューマッハーはサティシュさんを説得し『リサージェンス』誌の編集長就任を願い出るのです。
「インドにはガンディー思想の継承者はたくさんいるだろう。でもイギリスには、そのたったひとりを求めているのだ」と。
世界的なベストセラーとなったシューマッハーの代表的な著書、『スモール イズ ビューティフル』に出てくる言葉、それがTLCです。『ゆっくり小学校 学びをほどき、編み直す』の4つめの講義のなかに"TLC"についての記述があります。
その部分を少しご紹介しましょう。
・・・何ごとにもそれにふさわしい規模がある。その適正な「小ささ」を決定する要素として、シューマッハーが挙げたもうひとつのキーワードは「TLC」です。「テンダー・ラヴィング・ケア」の頭文字でできたこの言葉の意味は、"優しい心づかい"。
誰にも備わっている優しさは、小さな場でこそ発揮される。逆に、適正な規模とは、TLCが可能なスケールだとも言えるでしょう。
人間相互の関係だけではありません。人間と自然との、人間と地域との親密な関係も同じことです。日本語では「臆病」を意味する「小心」が、中国語では「心配り」を意味する。TLCにも通じる言葉です。
教育におけるTLCの大切さは言うまでもありません。だからやっぱり、学校もクラスも小さくなくちゃ。そんな〈小〉学校で、TLCに溢れた、スモールな経済や政治を編みだそうではありませんか。
以上、『ゆっくり小学校 学びをほどき、編み直す』より
~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~
今回の来日に際して、サティシュにも「経済成長についての7つの質問」のインタビューを受けていただく予定です。どうぞお楽しみに!
http://ishes.org/project/responsible_econ/enquete/