先ほど、ウェブサイトの「一日一題」コーナーに、短い記事をアップしました。そのご紹介に加えて、日本企業の動きについて、内部からのコメントをいただきましたので、お伝えします!
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パリ協定、発効! 1分間で読める"その意味と意義"
国連の世界気象機関(WMO)が「二酸化炭素(CO2)など主な温暖化ガスの世界平均濃度が2015年に過去最高を更新した」と9月24日に発表。それから約10日後の今日、10月4日、世界197カ国が参加する温暖化対策のグローバル・ルールとなるパリ協定が発効しました。
京都議定書は採択から発効まで7年余以上かかりましたが、パリ協定は去年12月のパリでのCOP21で採択されたのち1年足らずで発効という、異例の"スピード発効"でした。
また、京都議定書は38の先進国・地域を対象としていたのに対し、パリ協定は、途上国も含め、世界中の197カ国・地域が対象となります。
そして、京都議定書では「大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させる」ことを目的としていましたが、パリ協定は、「産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑える」ことを目的としています。
京都議定書では、「EUは8%、アメリカ合衆国は7%、日本は6%の削減」と国ごとにも温室効果ガス排出量の削減目標を定められていましたが、パリ協定の削減目標は各国が自主的に定めて提出することになっています。
日本が提出している目標は「2030年までに2013年比26%減」です。他の主な国の目標はこちらにまとまっています。
現時点での各国の削減目標を足し合わせても、気温上昇を2度未満に抑えることができません。そこで、5年ごとに自主目標を見直すことになっています。京都議定書の時は、日本の目標はずっと「6%削減」でしたが、今度はずっと現在の「2030年までに2013年比26%減」ではなく、どんどん高くなっていくことになります。
そして、中長期的には、パリ協定を受けて定めた地球温暖化対策計画で設定された「2050年に80%削減」が、日本が世界に約束した目標になります。
これまでのように「省エネ技術や省エネ行動で少しずつ減らしていこう」では、京都議定書の6%削減はともかく、30%の削減や80%の削減にはつながりません。
単なる「低炭素」でなく、「炭素激減」そして「脱炭素」のための技術や社会の仕組みが必要になってきます。そして、それらを提供できる企業や国が「脱炭素の時代」の勝者となることでしょう。
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パリ協定について繰り返しお伝えしてきました。それを見ていらして、長年メールニュースを読んでくださっている企業の方から、「パリ協定を受けて、企業はどう動こうとしているか」を教えていただきました。ご快諾をいただき、みなさんにも共有させていただきます。
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◎パリ協定をうけて企業はどう動いているか、動こうとしているか
企業セクターでは、CDP(Carbon Disclosure Project)への対応がだいぶ進んできました。
最新のCDP報告会が10/25に開催され、その様子がWebで紹介されています。サプライズで小池都知事も登場したようですね。
http://sustainablejapan.jp/quickesg/2016/10/27/cdp-2016-session-in-japan/24045
CDPに対応するために、GHGプロトコルScope1~3に従い、GHG排出量を算定する企業が増えました。自社由来の環境負荷を全方位で把握することで、削減への取り組みポイントがさらに明確になるものと思います。
さらに注目すべきはCDPの質問項目にSBT(Science Based Targets)への取り組み状況が加わったことです。SBTの求めるものはIPCC AR5のシナリオ RCP2.6にそった形での、これから5~15年先の目標(中期目標)です。すなわち、気温上昇を2℃未満にするための科学的知見に基づく目標設定と実行を求めているわけです。
ちなみに、SBTはSBTイニシアティブが承認してSBTと認められますが、日本ではソニーと第一三共が承認をうけています。そして承認へ向けての予備軍企業は多数かつ増加中です。
IPCCが示すシナリオに合致した目標設定を行う方向へと企業が動き始めていることを感じています。
もちろん目標設定だけではだめで、SBTでは毎年Scope1~3排出量を開示することも求めています。
COP21あるいはパリ協定への対応で、日本は出遅れている印象もありますが、以上のように動き出している企業もあり、これは波及していくのではないかと考えています。
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日本の企業にも動き出しているところがあること、波及していきそうとのこと、ほっとしました。
ちなみに、CDP(Carbon Disclosure Project)とは、企業などの重要な環境情報を測定、開示、管理し、共有するためのグローバルなシステムを提供する国際的な非営利団体です。機関投資家が連携して、企業に対して気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるもので、主要国の時価総額の上位企業に対して毎年質問表が送付され、その回答を開示します。
SBT(Science Based Targets)」とは、WWF、C上記のDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)による共同イニシアチブで、世界の平均気温の上昇を「2度未満」に抑えるために、企業に対して、科学的な知見と整合した削減目標を設定するよう求めるものです
昨年ですが、WWFジャパンがSBTについてのセミナーを開催しており、資料等もアップされています。http://www.wwf.or.jp/corp/2015/11/science_based_targets.html
パリ協定をはじめとする温暖化対策を実効性のあるものにしていくためには、単なる「かけ声」や「できればいいな的目標」「他社に倣え的目標」ではなく、科学に基づいた目標を設定し、きっちりと進捗をはかっていく必要があります。そのためのしくみの1つとして、今後SBTの重要性・信憑性が高まっていくことと思われます。
企業でも「京都議定書の時は、おつきあいてきに6%削減目標を立てたけど」というところもあるかと思いますが、パリ協定は京都議定書の延長や焼き直しではない、まったく性格の異なる枠組みであることをしっかり認識して、それぞれの取り組みを進めていってくださいね!