北海道での大きな地震、そして全道停電。被災された方々にお見舞い申し上げます。まだ停電がつづいている地域もあるとのこと、一日も早くふだんの生活が戻りますように。
今回、たまたま、このタイミングで北海道におりました。下川町への出張中だったのです。9月5日に下川町に入って、議員さんとの勉強会などを終え、翌日からの役場職員研修などの準備をして床についたのですが、6日の朝3時過ぎに地震が起こりました。もっとも、下川町ではほとんど揺れなかったので、気づかない人も多かったようです。
今回の経験は得がたい実地の教訓を与えてくれました。Facebookに書き込んでいた状況を共有したいと思います。
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(9月6日 8:12)
北海道下川町にいます。今朝方の地震、こちらでは目は覚めましたが「少し揺れてるかな」ぐらいでした。震度の大きかった地域での被害が大きくないことを祈るばかりです。全道で停電、復旧の見込み不明とのこと、PCを電源節約モードに切り替え、ホテルで待機中です。
(9月6日 23:56)
北海道・下川町は今日は1日電力が復旧しませんでした。予定していた役場職員研修は延期、その分打ち合わせはたっぷりできましたが、夜の部会も延期となり、せっかくだからと有志のキャンドルナイト勉強会となりました。
今回大変なタイミングで北海道にいることになりましたが、いろいろ感じること、考えることが多かったです。
コンビニもあっという間に商品がなくなって買い物もできなくなった私のために、ご飯や畑の野菜を持ってきてくれた方々のありがたかったこと。町の喫茶レストランが私のような夕食難民のために定休日にもかかわらず夕食を作ってくれたことがどんなにかありがたかったか。
ここのマスターが店の前の道路に立って、道行く知り合いに声を掛け、食べ物や燃料を配っていらしたということも聞きました。「隣のおばあちゃんがIHでご飯炊けないと言っているので炊き出しして持って行ってあげた」とか「隣のひとり暮らしのおうちのようすを見に行った」という話がいっぱいあったこと。
町役場が非常用電源を使って「携帯の充電をどうぞ」を呼びかけて、たくさんの町民が町役場に集まっていたこと。
そして、何よりも、電気がすべて消えている夜の星空のすごいこと!「降ってきそう」「掃いて捨てるほど」という表現はこのためにあるんだーと思うような、観たことのない星空です。宇宙にはこんなにいっぱい星があるんですねー。しばらく突っ立って夜空を見上げてホテルの部屋に戻ったところです。
ホテルの方が懐中電灯のほか充電式のランプを用意してくれていて、本当にありがたいです。
日々の暮らしがどれほど電力に依存しているかとともに、人々のつながりがどれほどありがたいものなのかを痛感しています。あとは明日旭川空港から飛行機が無事飛ぶことを祈っています。
(9月7日 9:14)北海道下川町では今朝方電力が復旧しました。電力会社の方々が不眠不休で対処してくれたであろうこと、本当にありがたく思います。
昨日は役場でも町民のみなさんとの話し合いでも、「エネルギー自立の大事さ」が大きなテーマとなりました。これまでもお題目の1つとしては話してきたのですが、今回停電している中での議論は切迫感が違います。「これが零下30度の冬だったら......?」 喉元過ぎるまえに、あるべきエネルギーの姿として打ち出し、施策にして進めていくことを願っています。
オール電化やIHのおうちは立ち往生した一方、ガス炊飯器のおうちからの炊き出しがあちこちでやりとりされていました(私もおにぎりをもらいました!)。
数少ないですがソーラーパネルと充電器でオフグリッド生活をしている人たちのおうちは「いつでも充電しに来て」とSNSで発信。こういうときのレジリエンスを考えさせられました。
レジリエンスといえば、ふだんからの人のつながりの強さ。それぞれが近くの高齢者や独居者のようすを見に行ったり食べ物を届けたり。おとというかがったレストランのマスターは「冷蔵庫のものがダメになる前に料理したので、取りに来てください。無料です」とSNSで発信していました。
昨日の夕方は、本当においしいフルートトマトのアテネファームに連れていってもらったのですが、「出荷ができない」状態でした。道路は問題なくても電力が落ちると物流が止まってしまうのですね。お願いしていたトマトを買わせてもらって、色とりどりの5種類ものプチトマトをいっぱいおまけにもらいました。連れていってくれた友人は「自分たちも買うから」と言って、町に戻るとさっそく口コミしてました。(アテネファーム: http://athenefarm.com/)
みんなで気遣いあって声を掛け合い、差し入れしたり助け合っているようすを目の当たりにして、「もちろん被災したくないけど、被災するなら下川町にいるときがいい」と。そして、ふだん飛び回っていて自宅にほとんどいない自分は自分の地域でどうしたらいいのかなあ?と考えさせられています。
このあと旭川空港に移動し、午後早い便で東京に向かいます。たくさんのフルーツトマトといろいろな思いをいっぱい携えて。
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外的な衝撃にも折れずに立ち直る力である「レジリエンス」の観点から、エネルギーとコミュニティの力について考えさせられました。
(1)エネルギーのレジリエンス:私たちの暮らしと産業がいかに電力に依存しているかをしっかり認識し、必要な手立てを講じておくこと
下川町は再エネの取り組みも進んでいて、町の熱需要の半分近くを地元の森林バイオマスでまかなっています。それでも、バイオマスボイラーを動かすために電力が必要なため、停電時には稼働できません。灯油ファンヒーターストーブも電力が必要です。
今回は夏でしたので、まだ不幸中の幸いでしたが、零下30度にもなる冬で今回のような停電が起きたらどうなるのだろう?とみんなで話しました。バイオマスでも灯油でも、電力がなくてはならない部分をどう手当てしておくか、考えておく必要があります。
そして、このような非常時にも使えるよう、ソーラーパネル+蓄電池などの再エネシステムをもっと導入しておく必要があると思いました。役場など公共の施設でもそうですし、みんなの家にも、です。加えて、近くの発電所と非常時に電力を融通してもらえるような協定も議論した方が良さそうです。
(2)コミュニティのレジリエンス:非常時にも助け合い、支え合える住民どうしのつながりをふだんから築いておくこと
今回非常時の下川町に滞在していて、この町にはしっかりした「地域の絆」があること、こういうときに遺憾なく発揮されること、それがどれほど安心でありがたいことかを痛感しました。
こうした地域のつながりや住民のあいだの信頼関係は一朝一夕に、危機がやってきてから築くことはできないでしょう。ふだんからのやりとりが土台となります。
他方、都会では、ふだんのこうしたやりとりは、「効率的ではない」「何の役にも立たない」と重視していない人も多い。自戒も込めて、ですが、「短期的な効率性を追求することが中長期的なレジリエンスを損なう」一例になってしまいそうです。
最後に、Facebookにも書いたように、停電の夜の星空は見たことのない美しさでした。下川町の人たちも口をそろえてそう言っていたので、ふだんでも東京よりは星空がきれいなこの町でも、電気が消えて真っ暗になると、ふだん以上に星が見えるのですね。
ホテルの入り口に突っ立って、空を仰ぎ、満天の星に圧倒されながら、中国古典の田口先生のおっしゃっていたことを思い出していました。
https://inst-east-and-west.org/learning/2018/002532.html
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古代人は、この広大な宇宙を眺め、そこに絶対的な秩序が存在することを発見しました。もしそれが無ければ、この宇宙ではあちらこちらで、星と星が衝突し、大変な混乱が絶え間なく発生していることでしょう。しかし、宇宙は実に秩序正しく動いているのです。
この絶対的な秩序をこの地球上に降ろしてくることによって、秩序破壊の極地である戦乱の世を終わらせることは出来ないかと考えたのです。宇宙の秩序の源泉として孔子が発見したのが「礼」です。
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本当に星が多すぎて、あちこちでぶつかっても不思議ではないほど、ごちゃごちゃなほどの星の数でした。それらが秩序の中、混乱している地上の上に輝いている。そして、ふだんは街の光があって見えないけど、見えなくても、あれだけの星が宇宙にはあるんだ!と感動していました。これも得がたい経験でした。