ホーム > 環境メールニュース > COP24~日本の排出量の大きな出所は?~石炭火力とのつきあい方~ISEPエネル...

エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2018年12月20日

COP24~日本の排出量の大きな出所は?~石炭火力とのつきあい方~ISEPエネルギーデータ可視化プロジェクト (2018.12.20)

エネルギー危機
温暖化
 

報道でご存じのように、国連の気候変動に関する会議COP24は会期延長の末、無事、パリ協定のルールブック(実施指針)を採択して終了しました。これで、当初予定通り、2020年からの本格運用に向けての準備が整ったことになります。

こちらで、WWFジャパン気候変動エネルギー問題の専門家の山岸さんと小西さんの、交渉過程や結果についての説明を見ることができます。

【活動報告】COP24「パリ協定のルール作り」に成功! [動画あり]
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/3830.html

現地からの動画レポート Vol.8 「ルールブック採択!」 ~COP24動画シリーズ~
https://www.youtube.com/watch?v=V3YmzNiYqr0&feature=youtu.be

また、気候ネットワークからもプレスリリースがでています。【COP24閉幕 パリ協定の運用ルールを採択~脱炭素に向け、目標の引き上げと政策転換・実行を~】
https://www.kikonet.org/info/press-release/2018-12-15/cop24-statement

気候ネットワークが先月下旬に出したプレスリリースも重要な内容なので、ご紹介したいと思います。

~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~

【日本の温室効果ガス排出の実態が明らかにパリ協定「1.5~2℃目標」への道筋はパラダイムシフトを念頭にした制度強化が鍵】(2018/11/22)
http://urx3.nu/NLBt

気候ネットワークは、政府の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による情報開示請求を行い、「日本の大口排出源の温室効果ガス排出の実態―温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による2015年度データ分析」をとりまとめた。

この分析で、2015年度の日本の温室効果ガス排出量の半分以上がわずか約130の発電所と工場による排出であることが明らかになり、日本の温室効果ガスの排出構造は、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」が始まって以来10年間で全く変わっていないことが判明した。

温室効果ガスの巨大な排出源となっているのは、発電所、製鉄所、セメント工場、化学工場、製油所、パルプ・製紙工場の6業種である。また、79発電所の排出量が日本の総排出の約3分の1を占め、またその半分(日本全体の17%)は35の石炭火力発電所から排出されている。

~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~

日本の温室効果ガス排出量の半分以上が約130の発電所と工場から排出されており、全体の17%は石炭火力発電所から出ているとのこと。

これだけ集約されていると、ターゲットが絞りやすく、取り組みもやりやすいとも考えられますね。何をどう変えていけばよいか、具体的に考えられるでしょう。

石炭火力発電所からの排出は日本全体の6分の1を占めていて、大きな課題ですが、もう1つの気候ネットワークからの発表を見ると、世界の石炭火力発電における日本の金融機関の関わりも大きな課題であることがわかります。

「日本は世界の石炭火力発電所計画に、世界で最も多額の貸付を行っていることが明らかとなった」とのこと。

~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~

Urgewald・BankTrack による調査報告書 発表COP24:世界の石炭火力発電拡大のための民間銀行・機関投資家による投資実態が明らかに

ポーランドのカトヴィツェで開催されている国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)での記者会見において、ドイツの環境NGOウルゲバルト(Urgewald)と国際環境NGOバンクトラック(BankTrack)および26のNGOは、新規石炭建設計画を支援している銀行と機関投資家を特定する新たな調査報告書が発表されました。

新規石炭火力発電所の建設計画の設備の68%以上を占める、石炭火力発電事業者の上位120社への貸付・引受・について分析しました。

120社の詳細は、Coal Exit List<https://coalexit.org/database>で、ご確認いただけます。

● 調査報告書の要点日本は世界の石炭火力発電所計画に、世界で最も多額の貸付を行っていることが、明らかとなった。その額は、みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)で128億USドル、2位が同じく日本の民間銀行である三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)で99億USドル。

~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~

メンバーとして参加している 「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会」でも、しっかり石炭の位置づけについても発言したいと思います。

さて、もう1つ重要なお知らせがあります。エネルギーシフトのためには、エネルギーの現状に関する詳細なデータの見える化が必須です。日本はこの点、ドイツなどヨーロッパに比べても遅れていることが課題となっていました。本来、政府がきちんと情報やデータをリアルタイムで出していくべきだと思いますが、まだそうなっていないため、環境エネルギー政策研究所が「見える化」の取り組みを進めています。

https://isep-energychart.com/

~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~

○エネルギー転換を可視化する

ISEP Energy Chart は、環境エネルギー政策研究所によるエネルギーデータ可視化プロジェクトです。自然エネルギーの急速な拡大をデータから読み解きます。

先行して自然エネルギーの普及が進んできたドイツやデンマークでは、エネルギーに関するデータがタイムリーに公開され、政府機関や独立した研究機関などがそれらのデータを可視化し、研究や政策提言に活用してきました。

そこでは共通のデータのもと、さまざまな視点から科学的な分析がおこなわれ、さらなる自然エネルギーの普及拡大に向けた戦略が立てられ、現実にエネルギー転換が進んできたという側面があります。 これまで、環境エネルギー政策研究所は公開されているデータをもとに図表作成や分析を行い、政策提言や「自然エネルギー白書」に活用してきました。しかし、詳細なデータは非公開となっていることが多く、エネルギーデータの可視化は大きな課題のひとつとなっていました。

そうしたなか、電力システム改革の進展にともなって、2016年4月分から、10の電力エリア毎に1時間単位の電力需給データが公開されるようになりました。

私たちはこうした電力需給にかかわるデータをはじめ、これまで蓄えてきた知見やグラフをより多くの方が利用できるかたちで公開していく必要があると考え、新たなエネルギーデータ可視化Webサイト「ISEP Energy Chart」を開設しました。

○Webサイト機能

発電量の推移 ー 電源種別の発電量を時間軸上に積み上げて表示します。電源構成 ー 指定した期間の電力量の電源構成比を円グラフで表示します。累積設備導入量 ー 自然エネルギー設備の累積導入量を年次の棒グラフで表示します。探索 ー 指定したエリアと期間の自然エネルギー発電の最大・最小記録を探索することができます。Blog ー 注目すべきデータについて、グラフをもとに解説記事を投稿します。

~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~

https://isep-energychart.com/
このサイトに行ってみると、たとえば、

全国の電源構成のうち、再生可能エネルギー全体で14.2%であること、そしてその内訳なども見ることができます(グラフになっているのでわかりやすいです!)

また、1時間ごとの最大値を探索すると、九州では、2018年 5月 3日12:00に、再エネ(水力のぞく)が85.6%をまかなっていたことがわかります。

再エネ割合がほとんどなさそうな東京でも、2018年 5月 5日 11:00に、水力をのぞく再エネが37.4%をまかなっていました。

全国でみると、2018年 5月 5日 12:00に、47.1%です。

こうしてみると、日本の再エネもナカナカではありませんか?

こうしたデータを1日単位、1週間単位でも見ることができます。ほかにもいろいろな切り口で、再エネシフトの現状を見ることができますので、是非のぞいてみてください。

また、同研究所では、電力・エネルギー需給の状況の見える化
Webサイト「ISEPEnergy Chart」の英語版を公開しました。
https://isep-energychart.com/en/

ぜひ海外の研究者やお知り合いにもお知らせください。

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ