最初にちょっとCMです。今日の午後、私も登壇させてもらった再エネシンポジウムが放映されます。よろしければどうぞ!
NHK Eテレ 12月22日(土)14:00~ 15:00
TVシンポジウム「どう進める?再生可能エネルギー」
さて、
昨日第4回パリ協定長期成長戦略懇談会が開催されました。昨日は官房長官・外務大臣・経産大臣・環境大臣も出席され、とりまとめに向けての各委員が意見を表明。論点がはっきりしてきました。
これまでの資料はすべて、こちらにあります。第1~3回の議事要旨(ほぼ発言そのまま)もあります。
今回は、委員全員が資料を提出し、それに基づいて意見表明をしました。今回の資料はこちらにあります。
発表は「1人3分」でしたので、自分の発表内容について、資料から補いながら、紹介したいと思います。
私の資料はこちらです。
~~~~~~~~~~~~ここから引用(追記含む)~~~~~~~~~~~~~~~
ありがとうございます。資料2-2をご覧ください。G20で議長国としてしっかり機能できるものに、この提言書をするために、今回入れるべきだと思っている7点、そして提言の作り方についてお話をさせていただきたいと思います。
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G20で議長国としてしっかり機能できるものに
今回の長期戦略で大事なこと
1.ぶれない長期目標の明示
2.海外貢献分の位置づけ
3.石炭の位置づけを明示
4.行動変容のための方策
5.地域も長期的に成長できる戦略に
6.人々の幸せと安心につながる道筋を明示
7.戦略策定後の進捗管理・軌道修正のメカニズムを明記
<提案>今回の懇談会提言のつくりかた
(参考資料)日本企業・自治体の声
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まず、これは繰り返し皆さんからも出ていますが、しっかりと長期目標を出していくこと。
そのときにまず、前提として2℃というよりも「1.5℃目標」に取り組むという姿勢が国際的にも必要だと思います。
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COP24でも注目、次はG20
日本政府の打ち出す「長期戦略」への注目度が高かった
G20で議長国として機能するために、必要なこと1.5度目標に取り組む姿勢を明示する積み上げでなく「あるべき姿」を提示する
※プラスチック資源戦略小委員会でも、G20に向けて、現在できることの積み上げでなく、「海洋プラスチック憲章」を上回る「あるべき姿」を打ち出している
今回の長期戦略で最も大事なこと:ぶれない長期目標の明示
長期目標
+
それが今後もぶれないという保証
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また、長期目標を出すだけではなくて、それが今後もぶれないという保証をしっかり出すことです。たとえばスウェーデンは、政党が代わってもこの目標を変えないということを決めており、長期的な投資ができるという状況になっています。
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「政権が代わっても目標は変わらない」スウェーデンのように
スウェーデンの長期目標
「2045年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ」
・議会を構成する8党のうち、極右の1党をのぞく7党が2017年春に気候変動目標に合意
・これによって、政権が代わっても議会の構成が変わっても、目標は変わらないことに
・「投資家も企業も安心して投資できるようになった」
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2つ目は海外貢献分についてです。「日本の海外での貢献を数えるべきだ」というお話はその通りだと思いますが、逆に「日本で海外が貢献しているところも差し引くのか」という議論が今出てきております。国内でしっかり実現するということを出していただきたいと思います。
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今回の長期戦略で大事なこと:海外貢献分の位置づけ
自国内の削減責任をしっかり打ち出す
・海外貢献も大事
・しかし、それを自国の目標にカウントするなら、国内の海外企業による貢献分
(多くの再エネ装置など)を差し引くべき
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3点目は石炭です。この間のCOP24でも、日本の石炭はかなり批判されておりました。長期的にゼロに向かっていくという姿勢は必須だと思います。
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今回の長期戦略で大事なこと:石炭の位置づけを明示
・海外でも批判:「新規石炭建設計画を支援している銀行と機関投資家の第1,2,4位は日本の金融機関だ」
・すぐにゼロにできないとしても、長期的にゼロに向かっていくという姿勢は明示・世界にも企業にも方向性を示すべき
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その次は行動変容のためです。意識や価値観を変えるのも大切ですが、すぐに行動が変わるわけではないので、値札を変える、カーボンに価格をつけるということは、必ず必要と思われます。
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今回の長期戦略で大事なこと:行動変容のための方策
人や企業の行動を変容する方法
△意識や価値観を変える:時間がかかる
○値札を替える:意識がなくてもすぐに行動が変わる
・パリ協定の実現に資する行動(再エネ利用・省エネなど)のほうが「安い」なら、すぐに行動は変わる
・移行プランや必要な手当は運営方法の問題
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その次は、繰り返しお話ししていることですが、地域も長期的に成長できる戦略にしていただきたい。ここは、特にエネルギーに関しては大事なところかと思います。
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今回の長期戦略で大事なこと:地域も長期的に成長できる戦略に
・エネルギー・温暖化政策と地方創生を別々に進める余裕は日本にはない
・現状:エネルギーは地域経済から大量のお金が流出する「最大の漏れ穴」
・地域を「支援を受ける側」でなく、「稼げるプレーヤー」にしていく
FIT後の地域エネルギーの設計
移行を支援する技術開発、制度設計を
○うまく移行できれば
・ソーラーパークなどは地元エネルギー生産拠点に
・ゆくゆく数百万戸の家庭がオフグリッド化!?
・自家発電の住宅をつないで地域で融通!
○さもなくば、FIT後、悪夢の状況も......
・日本の再エネ率は下落、CO2増加
・各地に大規模ソーラーやバイオマス発電所の廃墟
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その次、経済成長にしても、究極の目標は幸せだと思うんですね。人々が幸せで安心して暮らせること、今回の長期戦略がそこにつながっているということを出す必要があると思っています。
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今回の長期戦略で大事なこと:人々の幸せと安心につながる道筋を明示
・スウェーデン政府局セバンテ・アクセルソン氏:「スウェーデンでは1990年から温室効果ガス排出量を25%減らしているが、この削減と福祉(GDPや雇用、都市部の健康状態など)の向上が相関している」
・パリ協定も経済成長も"手段"であり、究極の目的である"人々の幸せ"を支え、向上させるため、という位置づけを打ち出す(世界をリードできる打ち出し方)
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ところが、12ページのグラフを見ていただくとわかるように、日本の人々にとっての温暖化対策は今、幸せにつながるというよりも、負担でありマイナスであるというイメージになっております。これは、他国と比べてかなり違う様相になっているんですね。
なので、これに取り組むことが自分たちの幸せになるという、そこの位置づけや価値観もしっかり伝えていかないといけない。負担感ばかりが積み上がっていくと、なかなか取り組みも進まないと思っております。
13ページに書いてあるのは、今回決めて「おしまい」ではないわけなので、どのように進捗管理・軌道修正していくか。このメカニズムをきちんと入れ込む必要があると思っています。たとえばイギリスの気候変動委員会のように、客観的に進捗を見ながら科学的レビューができるような形が必要と思います。
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今回の長期戦略で大事なこと:戦略策定後の進捗管理・軌道修正のメカニズムを明記
例
・科学的レビューメカニズム(エネルギー情勢懇談会、エネルギー基本計画)
・英国気候変動委員会
(参考)英国の気候変動委員会
2008年に設立された独立機関
<目的>
①排出目標について政府・非政府機関への助言
②気候変動対策の進捗の議会への報告
<主な活動内容>
・自国のカーボンバジェットに関する独立した助言
・進捗状況の監視
・気候変動の科学・経済・政策に関する独立した分析
・広範な組織や個人と連携したエビデンス・分析の共有など
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15ページに書いているのは、今回の提言の作り方についてです。事務局に任せて作っていただくというよりも、私たちの委員としての気持ちと思いを乗せた提言を作りたいと思っております。
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<提案>今回の懇談会提言のつくりかた
事務局の省庁に任せるのではなく、委員の気持ちと思いを込めてつくりたい(地球温暖化問題に関する懇談会提言のように)
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10年前になりますが、洞爺湖サミットに向けて福田内閣時代に、地球温暖化問題に関する懇談会提言を作りました。この時は、委員の中から有志ということで、私と末吉竹二郎さんが、国民に呼び掛ける文言のたたき台を作らせていただきました。こういった形で、委員みんなで作れればと思っております。
あとは、日本の企業、自治体の声ということで、いろいろな声を寄せていただいていますので、こういった人々の気持ちに応える提言を作っていきたいと思っております。以上です。
~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~
スライドを入れ込んだので読みづらくなったかもしれません、すみません。これだけの内容を3分では厳しく、、、30分か、3時間ぐらいほしかった!(^^;
今後は座長と事務局で最終提言報告書の骨格づくりを進め、来月以降、再度懇談会で議論する見通しです。
最終提言報告書のとりまとめに向けて、私が認識している論点は以下の5点です。
(1)「野心的な長期目標」の実際
「野心的な長期目標が必要」とのことはどの委員も賛同していますが、その具体的な内容についてはまったく議論されていません。「ゼロ」をめざすと明言できるのか、年限を示すことができるのか、それとも、そのあたりを相変わらずふわっとしたまま、「野心的な目標が必要」というかけ声で終わるのか。
(2)国内排出量に関する目標を設定すべき vs 海外貢献分を前面に
私や何人かは「海外貢献は大事だが、国内に対する目標も明示すべき」と述べていますが、「日本の排出量はどうせ世界の3~4%なんだから、海外で貢献し、それをもって日本の目標にカウントすればいい」という声もよく聞きます。
どうせ世界の3~4%でも、世界第5位の排出国ですから、「国内はたいしたことないから、目標は特段持ちません」というのは通らない、と考えています。
それに、昨日発言したように、日本の技術による海外削減を日本の削減にカウントするなら、海外技術による国内削減も同様に、技術供与国の削減にカウントすべきでしょう。ご存じのように、日本で使われている太陽光パネルも風力タービンも、その大部分は海外製です。
(3)石炭の位置づけ
日本のレピュテーションリスクであるとする高村委員や私などは、少なくとも長期的に石炭ゼロに向けて進んでいくという方向性は出すべきだという意見であるのに対し、CCSやCCUを使えば石炭を使い続けることができるのでは、という考えもあります。
(4)イノベーションを進めるための方策
イノベーションが必要!というのはどの委員も力説していることですが、イノベーションは「必要!」と言っているだけで起こるものではありません。
イノベーションを促進するために、カーボンプライシング(CO2に価格をつける)などの方策が必要、という私や何人かの考えと、規制や負担が増えると、企業のイノベーションの原資がなくなるから、そういうのはできるだけやらないほうがよい、という産業界の委員の意見には、大きな隔たりがあります。
(5)カーボンプライシング
各委員の提出資料をご覧いただくと、カーボンプライシングへのスタンスがわかります。
・CO2に値段をつける政策を導入すべき:枝廣
・カーボンプライシングを検討していくべき:高村委員(東大)、水野委員(GPIF)
・カーボンプライシングに反対・記載すべきでない:進藤委員(新日鉄)、中西委員(経団連)
・言及なし:内山田委員(トヨタ)、隅委員(東京海上)、森委員(富山市)、安井委員(持続性推進機構)、北岡座長(JICA)
こうしてみると、産業界の方々はカーボンプライシングに反対の立場であるように見えるのですが、参考資料につけさせてもらったように、日本の中でも先進的な動きを進めている企業には、カーボンプライシングの早期導入を望む声も多々あります。
委員会はどうしても委員の数の制約があります。でも、ある委員が、本当はさ論点に対する考え方はいろいろあるのに、その業界やセクターを代表する意見として扱われるのは問題があるなーと思うのです。なので、私はいつも(まちづくりのビジョンづくりでも)できるだけ委員になっていない方々の声を聞くこと、伝えることを大事にしています。
今回はこの懇談会の資料として出したい!という依頼に応えて、10を超える日本の先進企業・自治体が声を寄せてくれました。お礼申し上げます。世界で戦わなくてはならないのに、日本の煮え切らないスタンスや政策が足かせになっているようす、悲鳴にも近い声が聞かれます。ぜひ懇談会委員の資料とあわせて、お読みいただければと思います。
~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~
(参考資料)日本企業・自治体の声
A社(小売り 東証1部)
・省エネ・再エネの2本柱で目標達成を狙う。RE100公表後、需要喚起の効果により様々な企業から再エネ電力(自家発電・買電)の提案が急増。当初、条件(電力単価と契約期間)のすり合わせに時間を要したが、交渉を進める中で経済的に見合う提案が出始めている。
・ただし自家発電の場合、現時点では海外メーカーの低価格な機器利用が前提とした提案であるため、国内メーカーの価格競争力を高めていただき、選択肢が増えることに期待したい。
・買電については、扱い量が大きいため、旧電力の対応力・スピードに期待している。一方で、国内の再エネ比率向上のためにも、新電力(再エネ事業者)の競争力強化による選択肢の拡大も歓迎したい。
・需要喚起によるマーケットの創出には貢献していくので、数値目標の明示やルール作りなど、新旧あるいは国内外の様々なセクターによる競争が活発化するような政策・施策をお願いしたい。
B社(小売り 東証1部)
【再エネについて】RE100への加盟後、RE100の条件に合うよう、一部の物流センターの電力をグリーン電力証書付CO2ゼロ電力に切り替えた。(グループ全体の約25%)コストは増加した。
需要家としては、以下の2つを要望したい。
①事業に密接に関連した発電事業者の電力を使用し、またその電力を使用していると認められる手軽に利用できるしくみ。(例えば、地域に根ざした電力を利用するなど)
②電力の購入が再エネ発電事業者を支援するようなしくみ:現在は自社所有の建物がなく、再エネ発電をすることが難しいが、日本の中小事業者など多くは同じ環境にあると思う。参考事例になるような再エネの導入に取り組んでいきたい。
【電気自動車について】EV100に加盟。ラストワンマイルとして使用する配達用の小型バンのEV商用車が日本の市場になくて困っている。EVの台数が増えると、建物の電力も含め、エネルギーマネジメントが必要となる。EV所有ではなく、シェアするような仕組みがあるといいと思う。
C社(食品製造 東証1部)
・食料調達において、気候変動は最大のリスクの一つである。
・気候変動リスク回避のためには、国全体で「行動」しなければならない。そのためには、国が明確な数値目標を示すことが必要である。
・グローバル拠点で、再生可能エネルギーの調達を考えた場合、欧州・米国に比べて日本は再生可能エネルギー市場の形成が遅れている。
・日本の競争力アップのためにも、再生可能エネルギー市場の整備は急務である。
・国が主導して、脱炭素に向けた技術革新(例えば、燃料由来のCO2排出量削減技術など)を推進する必要がある。
D社(電機 東証1部)
① IR/SRで寄せられた投資家・金融機関の声 ・RE100に向けた取り組みはどのくらい進んでいるか。・最近何件か御社の環境活動について投資家から問い合わせを受けている。説明会、或いは見学会開催は可能か。・中国での環境規制は緩くなることはないはず。今後サプライヤマネジメントでコストがかかるようになるのでは。・RE100に向けた取り組みの進捗開示はしていくのか。RE100に向けて何か投資が必要か、具体的にどう進めていくか。
→ 環境活動・再エネ利用状況について投資家から当社への情報開示要求が高まっており、またその内容も深くなっている。
・再エネ利用に関しては、当社の全使用電力の5割超を占める日本国内の調達条件が悪く、設備投資・再エネ購入活動は海外を優先せざるを得ない状況。
・そのため、投資家・金融機関への説明は海外での取り組みが中心となり十分な訴求ができない。日本企業としてこの点大変もどかしく感じている。
② 大口顧客からの要請
・欧州のグローバル企業との商談時にESG視点での方針・目標・進捗、取り組み事例等の情報提供要請が増えている。
・環境分野では、特にパリ協定に即した目標設定の有無や再エネ利用率の提供要請がある。
・取引先選定時に10%を環境・社会取り組み視点で評価すると明言する企業も現れており、環境取り組みの重要性は増している。
→ グローバル商談は数十億円規模の案件であり当社として顧客要請は無視できない。また、競合(海外グローバル企業)の環境取り組みのレベルは高く、商談獲得のためには世界基準での自社環境対応が必須。
脱炭素の取り組みを顧客に訴求できなければ、グローバルなバリューチェンの中で不利な扱いを受けかねないとのリスクを感じる。
E社(電子部品 東証1部)
・コーポレートとしてGHG削減に取り組む中で、損益の厳しい国内事業所は安価でCO2排出係数の高い電力に飛びつく傾向にある。カーボンプライシングによる炭素価格の内部化が必要。
・事業所の駐車場にカーポートタイプの太陽光パネル設置を検討しているが、建築基準法上の構築物とされてしまい構造コストが高価に、また確認申請も必要となり工期が長くなり管理コストも上がる。さらに建蔽率に算入されてしまい事業所の土地有効利用が難しくなる。規制緩和が必要。
・Jクレジットは供給が少なく、単価もASEANや中国のI-RECと比較して非常に高い。非化石価値証書はRE100対応できていないため活用できない。再エネ証書の創出を簡易にして供給を増やすことが必要。
・日本は省エネ機器が補助金前提の価格設定になっており普及の妨げになっている。ヨーロッパで普及しているバイオマスボイラーも国内では本体や工事費が高く、補助金無しで導入が困難
F社(建設・不動産 東証1部)
・東日本大震災後に策定されたエネルギー基本計画にて「2030年に新築建物でZEHやZEBを一般化する」と明記され、国の政策の後押しもあり、ZEH・ZEBとも導入期から普及期へと拡大※しつつある。※2017年度の大手住宅メーカーの新築戸建住宅では、全体の37.1%(16年は25.4%)がZEH(プレハブ建築協会調べ)。 ※弊社のZEB実績は、24棟(14年)→31棟(15年)→75棟(16年)→104棟(17年)と年々増加。
・国が長期のビジョンを示し、それに応え建材/設備メーカー、住宅/建築事業者がZEHやZEBの開発に取組み普及を進めた結果であり、国が市場を生み出し事業者の切磋琢磨で普及につながった好例といえる。
・しかし、足元ではその中間目標として示されていた「2020年に新築建物の省エネ基準への適合義務化」が先送りされる方向で議論が進んでおり、ZEHやZEBといったより高いレベルの建物の開発を進めてきた事業者としては「はしごを外された※」感がある。※将来ZEHやZEBが当たり前になると説明してきたのが嘘っぽくなる。
・国内においてものづくり部門のCO2排出量が残る以上、業務・家庭部門の脱炭素化は必須である。また、建物は一度建設すると長期にわたり使用され、今建設された建物は2050年にも現役である。ぜひ、長期にわたるぶれない脱炭素ビジョンを提示いただき、事業者のイノベーションと事業の拡大を後押し願いたい
G社(素材製造 東証1部)
・エネルギー集約型の産業に属するため、CO2の大幅な削減には、安価な再生エネルギー(電力、水素)が不可欠である。
・グローバルで削減計画を立案中であるが、国内の製造拠点は、他の地域(欧州、南米、北米の一部)と比べて、再エネ電力の価格と供給の面で大幅に遅れており、また、将来の見通しも不透明であるため、有効な削減計画の立案に苦労している。
H社(建設 東証1部)
・日本における浮体式洋上風力の可能性は大きく、パリ協定達成にはこれらの活用が必須であるが、?欧州市場で成功した電気事業者も新たな市場を探しており、このまま日本の取組が遅れると、日本企業が出遅れ、アジア・太平洋が欧州メーカーの独壇場になってしまう。
・再エネ発電事業は、人口減少と高齢化で疲弊する地方の自治体に対して、現在でも数百億円、2030年以降は数千億円の投資となり、固定資産税等の税収増や現地雇用の拡大などの効果を地域にもたらす。すぐにでも誘致したい自治体は非常に多いが、送電網の整備が進まず、導入量が頭打ちになっていて、地方の企業がやる気を失いつつある。
・風力発電の立地自治体を拠点とするガソリンスタンド事業者は、当初、再エネ発電事業に賛成的でなかったが、現在は発電機に用いるオイルの販売という新事業を見出し、再エネの規模拡大を成長戦略として期待している。
・このように、全国の自治体で再エネ事業実施に伴った事業転換(エネルギートランジション)が芽吹き始めている。他方、再エネ発電所の規模が限られることから、事業規模が小さく、価格競争力を保つことが現時点では困難であり、国の成長戦略としての規模の拡大が事業の成長につながる。
・再エネ電気の需要の更なる拡大のためのカーボンプライシングや、ウィンドファームからの送電を可能にする送電網等への公共投資によって、大規模な再エネ発電事業の実施が可能になり、自治体の財政への貢献や経済の規模による脱炭素事業への転換、都市から地方へのマネーの還流がはじまる。
I社
・日本国内の再エネ大量導入には各種インフラ整備が必要だが、中でも系統連系の強化は急務である。脱炭素に資する再エネ発電を行おうとしても、系統に接続できなければ事業として成り立たないばかりか、事業の予見性が失われ新規開発のリスクを取ることもできない。
・また、再エネ/FIT制度に関する現在の政策は、現行のFIT制度のネガティブ面の解消に偏りすぎの面が否めない。制度変更による既存事業者への事後的なコスト増加は、事業者の投資予見性を大きく阻害し、投資意欲を著しく減退しかねない点を危惧する。既存事業者への十分な配慮をしつつ、官民一体となった系統連系の整備とコスト負担の在り方について、今後の方向性を示してもらいたい。
・併せて、FIT制度終了後を見据え、次世代の再エネ活用モデル構築において重要な要素となる蓄電池開発・導入やIoT技術活用を推進する政策を大胆に打ち出して頂きたい。
・CO2削減を促進するためには、CO2ゼロをうたう小売電気事業者が市場に参入し、需要家がそのような商品を選べることが必要である。しかし現実には、水力等のCO2ゼロ発電所の殆どを旧一般電気事業者が抱え込み、需要家に新メニューとして提供できる一方、市場を介してまたは直接に新電力には供出されていない。また、非化石価値取引市場を通じて非化石証書を購入すれば小売電気事業者はCO2ゼロ電気を販売できるとされているが、実際には非化石証書分のコストが膨らむため、新電力が不利な状況に置かれていることは否めない。例えば、旧一般電気事業者に対して一定量のCO2ゼロ電気の卸電力への供給を義務付ける等、現実を見据えた対策を実行頂きたい。
・日本の技術・ノウハウは高い評価を受けているにも関わらず、アジア地域では系統が脆弱であるため再エネ電源開発が中々進まない。官がアジア地域の系統連系を支援し、民が発電事業を進めるような、官民一体での海外再エネ事業展開のイニシアティヴを発揮して頂きたい。
・日本の廃棄物処理は、各自治体が保有する中小規模施設で行われており、処理効率が悪くCO2排出も多い。例えば、特区を作り、大規模な処理施設(ex.3,000t/日の焼却場)をPFI方式で作れるようにして、一般廃棄物・産業廃棄物を広域に集荷可能とさせることで処理効率を高め、最終的にCO2排出を抑えるような政策をご検討頂きたい。
自治体1
・以前は地域にとっての厄介者だった風が、いまは地域の資源という認識に変わった。
・再エネは地域の資源であり、外資や大手資本だけでなく地元が一緒になって、「地産地消」にとどまらず「地産外商」していくことで、地元が稼ぐかたちで再エネの導入を進めていくことが重要である。
・地元が再エネを活用することで、地方で疲弊している一次産業の安定化にも資するうえ、地元産品のイメージアップやブランド化にもつながる。
自治体2
・これまでの地域の再エネ導入によって、地域の雇用創出だけでなく、浮体部製造・メンテナンス・エコツーリズム等の再エネ関連産業の創出、視察者増による交流人口拡大と地域経済への波及効果、といった地域へのメリットがあった。
・将来的に地域の再エネポテンシャルを活用出来れば、人口減少対策として雇用創出、自主財源の確保などによる住みやすいまちづくりが進められるとともに、海洋エネルギーと漁業との共生、蝟集効果、磯焼け対策、漁業生産性の向上といった資源保全、さらには国土強靭化、地方創生、環境保全といった地域へのメリットが見込める。
・再エネの導入拡大、脱炭素化の取組を加速させて地域を活性化させていくためには、①基幹送電網の整備、②系統運用の新しいルール改正、③脱炭素化インセンティブ(脱炭素化に取り組む自治体への交付金拡充等の優遇。中小企業も併せて)、④地域新電力の保護、といった施策を早期に実施することで課題の解決を図ることが必要であり、政府に支援をお願いしたい。
・将来世代に炭素社会を引き継いではいけないというような経済的、環境的、社会的価値の創造が求められるのではないか。
(以上)