本日のエダヒロのプチ解説は、「TNFD」を取り上げます。
前回のプチ解説では、「TCFD」を取り上げました。
https://www.es-inc.jp/library/mailnews/2022/libnews_id011270.html
「TCFD」と「TNFD」、似てますよね! 「C」と「N」が違うだけです。C=Climate(気候)に対して、N=Nature(自然)です。そのまえの「T」はTaskforce (タスクフォース)で、後ろの「FD」はFinancial Disclosure(財務情報開示)で共通です。
TCFD=気候関連財務情報開示タスクフォース
TNFD=自然関連財務情報開示タスクフォース
(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)
つまり、TNFDとは、「企業などが自然生態系に関連するリスクをマネジメントし、開示するための枠組み」ということです。
TNFDは、昨年2021年6月に発足しました。今後、企業などは気候変動に関連する情報開示だけではなく、自然生態系に関わる情報開示も求められることになります。
https://tnfd.global/
前回「TCFDを理解するうえでのキーワードは3つ、「パリ協定」「金融機関にとってのリスク」「情報開示」です」とお伝えしましたが、今回のTNFDを理解するうえでのキーワードも3つ、「自然生態系の危機」「金融機関にとってのリスク」「情報開示」です。
企業などは、原材料や立地など、自然生態系に「依存」しているとともに、その生産・経済活動を通じて、自然生態系に「影響」を与えています。その両方をしっかり情報開示し、リスクをマネジメントしていくための枠組みです。
昨年6月に出されたレポートの日本語訳が出されています。こちらをご覧になると、どんな感じかわかると思います。
TNFD NATURE IN SCOPE
提案されている TNFD のスコープ、 ガバナンス、ワークプラン、 コミュニケーションと 資金調達計画の概要
https://tnfd.global/wp-content/uploads/2021/10/TNFD-Nature-in-Scope-Japanese.pdf
TNFDは昨年6月に発足したばかりですので、具体的な枠組みの策定・公表は2022年~2023年に進められる予定です。環境省のウェブサイトによると、このような進め方が計画されています。
2022年:フレームワークベータ版のドラフト配布、市場参加者によるオープンイノベーションの手法でテスト。
2022年:20の新興国・先進国市場の金融規制当局、データ作成者・利用者との協議。
2023年:主要・特定のイベントやコミュニケーションを通じてフレームワークの公表。
https://www.env.go.jp/press/110354.html
特に企業にとっては、どのような情報開示が求められるようになるのか、目を離すことができませんね!
さらに詳しく知りたい方は、TCFD発足直後の昨年7月の記事ですが、日経ESG シニアエディター・藤田香さんの記事も参考になると思います。
「TNFD」発足、運用資産総額940兆円の投資家が参加
自然を守る企業に投資呼び込む
2021.07.12
藤田 香(日経ESG シニアエディター)
https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00005/070500097/?P=2
そして、同じく藤田さんの昨年4月の記事もあわせてどうぞ。
生物多様性、欧州が包囲網
指標や開示の枠組みづくりで主導権
2021.04.12
藤田 香(日経ESG シニアエディター)
https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00005/040700065/