地球温暖化、組織の閉塞感、地域の衰退、生きづらさを感じる人の多い今の社会......私たちのまわりには「変えていかなくてはならない状況」「変えていきたい状況」がたくさんありますよね。
「変えたい!」という思いは大事だけれど、それだけでは空回りしてしまったり、うまくいかずに挫折してしまったりしがちです。そんなとき、「変化のための理論」が役に立ちます。
ずいぶん前のメールニュースですが、まさにこの「変化の理論」をわかりやすく伝えてくれる記事があるので、ご紹介します。
[enviro-news 1726] ピーター・センゲの「変化の理論」 (2009.12.02)
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チェンジ・エージェントの小田による「国際システムダイナミックス学会報告(3)ピーター・センゲと語る」より
彼の「変化の理論」は、システム思考に根ざしたとてもシンプルなものです。まず、最初に、システムとそのパターンを理解します。つまり、「システムがどのように作用するか」を理解するのです。そのために、私たちは観察をして、さまざまな要素のつながりがもたらす構造を明らかにします。
次いで、「どのようにそのシステムを変えるか」を考えます。結果やパターンを表面的に変えようとしても、システムがもとに戻すように働きます。パターンを変えるには、システムの構造を変えなくてはならないのです。
最後に重要なのは、「システムを変えようとする私は何者なのか」を見据えることです。「学習する組織」を黎明期に始めたハノーバー保険の元CEOビル・オブライアンは、「システムへの介入の成否は、介入者の心の在り様に依存する」と言いました。システムを前にして、「私」という個人の存在をどう捉えるか、つまり個々の人のリーダーシップが成功の鍵を握っていると言って過言ではありません。
彼の「変化の理論」は、いわゆる「チェンジ・マネジメント」とは一線を画します。ピーター・センゲの目には、チェンジ・マネジメントは「操作的」であると映ります。多くのリーダーたちは、「どのように人々を変えようか」「どうやって人々に私のビジョンについてこさせようか」という問いを投げかけます。しかし、このような問いからでは効果的に変化創り出すことはなかなかできません。たいてい、人々の抵抗にあって、一時的な変化があったとしてもやがて元に戻ってしまうでしょう。
そんなとき、「人は変わりたがらないものだ」などとよくいいますが、これもよくある誤解です。実際には人は「変化すること」に抵抗しているのではなくて、「変えられること」に抵抗しているのに過ぎないからです。
「変化の理論」に基づくと、効果的に変化を創るための3つの能力が必要です。まず一つ目の能力は、複雑性を理解する力、つまり「システム思考」です。要素がどのような組み合わせになっているかではなく、それらの要素のつながりの質とその全体像を見る力が求められます。
二つ目は、志を立てる力です。自ら変化を求める力といってもよいでしょう。自分が「何を創り出したいのか」を明確に意識すると共に、望ましい未来と今ある現実の姿を対比させ、「創造的な緊張感」や自らの能力開発を自発的に行うことができる力です。組織ならば、ビジョンを共有する力も求められます。
そして、三つ目の力が、内省的な会話をする力です。日々の行動に関して、なぜうまくいったのか、あるいはなぜうまくいかなかったのかをありのままに見ることができる能力です。日記を書くことは、変化を創りたいものにとっては重要な習慣です。また、組織において集団で振り返りができれば、組織としての学習能力を飛躍的に高めることができます。
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私は、大学院大学至善館という社会人向けMBAコースで、「システム思考と持続可能性への挑戦」という授業を担当しています。
https://shizenkan.ac.jp/
システム思考は、企業や組織のリーダーにとっては必須の能力だと思っていますが、それだけでなく、ごくふつうの方々の「海岸のゴミ問題を何とかしたい」「まちを元気にしたい」「みんなが笑顔で働ける職場にしたい」といった思いをカタチにするためにも必須のチカラだと思っています。
そして、システム思考を単なる「思考法」「スキル」として頭の中だけで学ぶのではなく、実際に変化をつくり出すためにどう役に立つのか、実践的に学ぶことが身につくポイントではないかと思います。
しかも、自分ひとりで本を読んで学ぶのではなく、その規模や領域はそれぞれながら「社会を変えたい」という思いを抱く人々と一緒に学び、内省し、対話することで、ピーター・センゲのいう「内省的な会話」ができる力も身につきます。
そんな思いで、「変化の担い手のためのスキルアップ講座「システム思考をベースに変化の理論をつくる」セミナーを開催してきました。
通算で5回目となる「システム思考の基礎+変化の理論(TOC)」セミナーを10月29日~30日に開催します。
https://mirai-sozo.work/topics/012231.html
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社会を変えたい、組織を変えたい、地域や地球環境をなんとか変えたい、という思いに答えてくれる方法が「変化の理論(Theory of Change: TOC)」です。
「こうなったらいいな」「こういう組織や社会にしていきたい」という思いを抱いているだけでは何も変わりません。その思いやビジョンを、どうやって現実の変化につなげていったらいいのか。もちろん、このツールだけで変化が生まれ、ハッピーエンドとはなりません。でも、変化を生み出すための方法や道筋を計画し、ステークホルダーとともに考えていくためには、非常に役に立つ強力なツールです。
この「変化の理論」を学び、ご自身のプロジェクトにまで結びつける1.5日のワークショップを熱海で開催します。
少人数の募集になりますが、ぜひこの機会に「変えたい!」という思いをご自身の組織やプロジェクトを通じて、社会にとって価値のある変化を実際に創りだせるよう「変化の理論」を一緒に学びませんか。お待ちしています。
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これまでのセミナー参加者から寄せられた感想やコメントからご紹介します。どんなセミナーなのか、何が得られるのか、感じていただけたらうれしいです。
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○サステナビリティを担当している中で、本質的なことを実践していく立場として、その手段を得た気がする。皆さんの意見を聴いて、発見することの多さが、最大の気づきだった。それを明日からどう組み込んでいくか、考えながら実践していきたい。
○いい意味で予想外の感銘を受けたすばらしいセッションだった。フィールドワークのあとにシステム思考とTOCが必要だなと思った。これがあるとフィールドワークの成功率が高まり、的を射た実践ができるのではないかと思った。
○2日間で学んだことは実際に頭を動かすこと、考えることはどういうことかということ。これを使わないといけないと思った。この2日間で学んだことをベースとして、何かを発信したりつなぐ役割を担っていきたいと思っている。
○このようなリアルな場で集まってやることのよさも体感できた。つながりを大切にしていきたい。
○この学びのおかげで業務の未来の希望が見えた。
○今回学んだことは身近なことから使えそうな気がしていてうれしい。みんなで一緒に考えることが好きなんだということがわかって、本当に楽しかった。
○新たな気づきと進化が得られたので実践につなげていきたい。たくさんの学びをありがとうございました。
○喫緊の課題に取り組むことができた。思ったことはシステム思考やTOCなど、「正しい知識と道具を使うこと」を学ばなければいけない、ということ。TOCの理論を使って、課題を見つめなおし、小さな成功事例を作っていきたい。
○この場のエネルギーはすごいなと思う。こういう空間を共有できたのが新鮮だった。
○システム思考はフラットに課題を浮き上がらせて、感情に誘導しないところがすばらしいと思った。
○リアルな題材から学べるものが多かった。2日間、テーマ設定、利害関係者、現状とありたい姿、ループ図、アクションプランなどの作業を通じて、見えてきたものがあり、手ごたえを感じている。実践につなげていきたい。
○システム思考を今ある課題に取り入れると、今何をしなければいけないかがクリアになると感じた。また、皆さんの取り組みや関心を聞くことで気づきや刺激を得た。私自身も始めたいことがみえてきた気がする。
○私は複雑さに負けていた、ということに気づいた。構造を見通せることで「何かできるかも」と思えることがすごくよかった。システム思考のような素養は身に着けておくべきものだと思い、その機会を得られたことを幸せに思う。
○率直にすごく楽しかった。同じ志を持った人が集まって、同じ目標に向かって学ぶ体験は宝物になった。お金に変えられないものをいただいたと思う。いかに視野が狭かったことを感じさせられた。対処療法ばかりをやってきたように思う。すべての人にとって、アウトカムにつながる活動につなげたいなと思った。
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残席10ぐらいとなっています。よろしければぜひ!ご参加下さい。
10月29日~30日「システム思考の基礎+変化の理論(TOC)」セミナー
https://mirai-sozo.work/topics/012231.html
ちなみに、前回ご紹介したユースチームでも、システム思考、変化の理論(TOC)をコンテンツに入れています。何かを変えるための必須のスキルをぜひ。ユースチームについてはこちらをご覧下さい。
https://mirai-sozo.work/topics/012212.html