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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2023年03月18日

パーパスのパワー

大切なこと
 

日本でも近年、「パーパス経営」が重要だと言われるようになり、取り組みも広がっているようです。

誰であっても、何であっても、「やらなければならないから、ただやる」のと、「何のためにやるかをわかっていて、そのためにやる」のでは、パフォーマンスも、本人の納得感、やる気、幸福度も違うことは想像に難くないですよね?

3月23日に開催する幸せ研読書会(オンライン、事後に音声ファイルを聞くこともできます)で、『ネットポジティブ 「与える>奪う」で地球に貢献する会社』を取り上げます。ユニリーバの元CEOで、世界の産業界を引っ張ってきたポール・ポールマンの書いたすばらしい本です。
https://www.ishes.org/news/2023/inws_id003135.html

この本の中に、「バーパス経営は割が合う」として、パーパスの重要性を具体的な数字で示している部分があるので、抜粋してご紹介します。


~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~


高成長企業を対象にしたある研究で、研究者たちは8年間、イノベーションなど、成功の背後にある要因を探していた。ところが、特に探し求めていなかった要因であるパーパスが「より一体的な組織、より意欲的なステークホルダー、より収益性の高い成長」をもたらすことがわかった。他にも、パーパスは人材を引きつけ、従業員の士気を高め、心理的なウェルビーイングを提供する。明確な「なぜ」を持つことは比類のないわくわく感を生み出す。

フォーブス誌とジャスト・キャピタルが毎年発表する「ジャスト100」(パーパスや社会貢献に関して高い評価を受けた100社)に選出された企業は、5年間のトータルで他社〔101位以下の企業〕より6%高い株主リターンを生んだ。

デロイトの調査によると、ミッション主導の企業はイノベーションのレベルが30%高く、従業員の定着率が40%高い。英国では、3年間にわたって、Bコーポレーションは国内平均の28倍のスピードで成長した。

パーパスは顧客も引きつける。消費者の3分の2が、パーパス志向の無名ブランドにスイッチしてもよいと答え、70%が、サステナブルな製品には高いお金を払ってもよいと答えている。

グーグルのレポートによると、ネットで製品を検索するときに「サステナブル(持続可能)」というキーワードを使う人が、2020年には2015年の10倍になっていた。パーパス主導の企業は、持続可能で倫理的な(エシカル)製品の、成長著しい数兆ドル市場に参入することができる。

Z世代は世界をホリスティックに捉える視点を望み、製品の確かなサステナビリティを求めている。革新的で要求水準が高く、やがて新たな経済勢力となる。2030年には、ミレニアル世代がベビーブーマーの親たちから68兆ドル以上を引き継ぐとされる。

デロイトがこの2つの若い世代(ミレニアル世代とZ世代)を対象に全世界で実施した調査によると、彼らが一番の懸念事項として選んだのは気候変動や環境保護で、消費者と被雇用者として価値観やサステナビリティを大切にするという姿勢を明確にしている。

また、ミレニアル世代の3分の2が、CSRの実績が乏しい企業には就職しないと述べている。ギャラップのある調査は「パーパスヘの高い意識がミレニアル世代を仕事に結びつけている」と結論づける。この調査によると、自分たちの組織が何を大事にしているかがわかったら、71%がそこに勤務し続けると答えた。一方、組織のパーパスがわからない場合、数年間勤め続けると答えたのは30%にすぎなかった。

パーパスには人材を引きつけるだけでなく、従業員エンゲージメントを高める効果もあった。人事責任者のナーイルによると、人事部は何十年も前からデータをとっており、ユニリーバで働くことに満足している従業員の割合は毎年増え続けているという。今や90%以上が会社に誇りを持っている。ちなみに世界のエンゲージメント・スコアは平均15%にすぎない。

企業のパーパスと財務指標に関するある研究によれば、パーパスの明確さと財務指標(と株式市場でのパフォーマンス)との間には明らかな相関関係があった。パーパスについて評価が高い企業は、総資産利益率(ROA)も4%高かった。

論文の著者のひとり、ハーバード・ビジネス・スクールのジョージ・セラフェイム教授が発表した一連の分析によると、サステナビリティに関する重要課題に対応している企業は、そうでない企業よりも業績がかなりよい。


~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~


パーパスってすごいですね! そのパワーは個人や組織のお手伝いをしてきた経験からもうなづけます。

『ネット・ポジティブ』には、企業などの組織が自分たちのパーパスを見つけるための方法も挙げられていて参考になります。読書会では、一人ひとりのパーパスを考える「問い」を使って、マイ・パーパスを考えてみる時間も取ろうと思っています。そして、パーパスが「ネット・ポジティブな企業」にとってなぜ重要なのかもわかっていただけると思います。

この本で引用しているマーク・トウェインが(恐らく)言ったという言葉があります。

「人生で最も重要な日は2つある。生まれた日と、その理由を知った日だ」。

自分は何のために生まれてきたのか? 自分の人生でやるべきことは何なのか? これからの人生、自分はどうやって生きていきたいのか?

そんな問いに静かにじっくりと向きあう時間でもある「自分合宿」、年に2回開催してきていますが、次回は夏に開催します。よろしければ、マイ・パーパスを見つけたり、掘り下げたり、現在の状況を調整していくために、マイ作戦タイムをどうぞ。熱海会場でも、オンラインでも、参加できます。

2023年7月29日(土)開催
「自分合宿 2023夏@熱海&オンライン ~ビジョンを描き、レジリエンスを高める"自分マネジメント"の実践にむけて~」

 

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