気候変動対策の切り札としての「炭化(バイオ炭)」への関心と取り組みが世界的に広がっています。
気候変動を止めるためには、「これから出すCO2を実質ゼロまで減らす」だけではなく、「すでに大気中に出てしまったCO2を回収すること」(CDR:Carbon Dioxide Removal)が必要で、さらに、「回収したCO2がふたたび大気中に戻っていかないように固定化する」ことが重要です。
このCO2の固定化の切り札が「炭化」なのです。バイオマス原料を熱分解することで、炭素密度の高いほぼ結晶質の物質ができます。微生物にも分解できないため、炭素の大部分を土中に何世紀も封じ込めることができます。
間伐材や竹、剪定枝、もみがらや栗のいが、お茶などの木などの農作物の残さなどの地域の「植物性のお困りもの」を炭にする「バイオ炭」の取り組みを未来創造部でも進めています。
現在は廃棄物として焼却処分している間伐材や竹、剪定枝、もみがらや栗のいが、お茶などの木などの農作物の残さを炭化することで、廃棄物の処理費も減らせます。同時に、植物が吸収してくれたCO2を固定化して、大気中から除去することで、大気中の炭素循環を整えることができます。"一石二鳥"の取り組みなのです! そして、バイオ炭を農地に施用することで、カーボン・クレジットを創出することもできます。
ここ1~2年ほど、バイオ炭に関する世界の動向を見ているのですが、すさまじい盛り上がりを見せています。
155カ国に及ぶバイオ炭のCDRポテンシャルを定量化した研究によると、「バイオ炭は2050年までに毎年最大30億トンの二酸化炭素を相殺でき、これは800基の石炭発電所を停止させるのとほぼ同じ」とのこと。IPCCでもバイオ炭を気候変動対策の1つとして位置付けています。
バイオ炭はカーボン・クレジットとしても大きな注目を集めています。現在世界中で発行されているカーボン・クレジットの内訳を見ると、バイオ炭の割合がとても高くなっています。「北米最大のバイオ炭プラントがカナダで始動、年間75,000トンの炭素を固定化し、認証カーボンクレジットを創出」というビッグなニュースもあります。
米国農務省の研究者たちは、農家がさまざまな種類のバイオ炭を選び、地元の生産者と結びつけるのを助けるための全国的なデータベースを構築しているそうです。米国議会は超党派の支持を得て、同様の研究のための資金を増やす法案(バイオ炭研究ネットワーク法)を審議しているとのこと。
また、バイオ炭の効果や可能性に関する科学的な研究も増えており、今年3月に『Journal of Environmental Quality』誌に発表された研究では、「バイオ炭を使うことで、窒素などの栄養素を地中に留めておくことができ、農業から排出される地球温暖化の原因となる亜酸化窒素をほぼ5分の1に削減できることがわかった」と、CO2以外の温室効果ガスに対する効果も見出されています。
すでにマイクロソフト、JPモルガン・チェース、ショッピファイなどが数百万ドルものバイオ炭のカーボンクレジットを購入しています。
バイオ炭は現在は農地への施用が中心ですが、コンクリートに混ぜて固定化するなど、他の方法論もいろいろ出てきています。バイオ炭のカーボンクレジットの認証スキームもいろいろ出てきています。バイオ炭(炭化)は、民間も、政府も、研究者も取り組みを進めているホットなテーマなのです。
バイオ炭への注目が集まっているのは、他のCDR手法とは異なり、「安価でスケーラブル、かつ容易に入手可能なソリューションであり、土壌の健全性を向上させることで作物の収穫量を増加させるなど、環境的・社会的なコベネフィットも提供できるから」とのこと。今年の6月に「EUバイオ炭サミット」の初会合がスウェーデンで開催されるなど、世界各地で盛り上がりを見せています。
日本でもバイオ炭(炭化)への関心が高まってきました。私たちが熱海で展開している未来創造部の未来炭化ユニットの視察や見学、意見交換などの要請も増えてきています。また、製炭炉の導入を検討されているところも増えており、「実際の炭化作業を体験したい」「実地でいろいろ確認・質問したい」という声も増えています。
そこで、11月13~15日に、「炭材の準備から炭出しまで~製炭の実務を体験し、炭化の温暖化対策としての可能性を知る3日間コース」を開催することにしました。
炭化とは何か、バイオ炭の可能性、カーボンクレジットの扱い、世界の動向など、私からもまとめてお話しをします。このテーマでまとめてお話をするのは初めてとなります!
そのあとは、実際の製炭炉を使いながら、製炭の実務を体験し、自分たちでバイオ炭が作れるようになっていただくためのコースです。ご関心のある方、ぜひご参加下さい。
~~~~~~~~~~~~~ここからご案内~~~~~~~~~~~~~~~
2023年11月13日(月)~15日(水)開催:炭材の準備から炭出しまで~製炭の実務を体験、炭化の温暖化対策としての可能性を知る3日間コース募集開始!
竹、間伐材、剪定枝、野菜くず、もみ殻など、バイオマス系の不要物の処分に困っている地域が増えています。
植物系の廃棄物は処分場で焼却処分するのではなく、炭化することで、処理費を削減し、処分時に発生するCO2を削減することもできます。
また、植物系の不要物を炭化することで、植物が成長する過程で大気中から吸収した炭素を半永久的に固定化することができるため、温暖化対策としてのCO2の固定化の手段としても炭化(バイオ炭)が注目を集めています。
さらに、植物を炭化し、その炭を農地に入れることで、Jクレジット(カーボンクレジット)の対象にもなります。
そこで、炭化に関する基礎レクチャーをはじめ、炭材の準備から火入れ、製炭炉の温度の管理、窯止め、炭出しまで、実際の製炭プロセスを体験いただくセミナーを開催します。
ぜひこの機会に製炭の実務を体験し、炭化の温暖化対策としての可能性について学んでみませんか。
○本セミナーに参加する効果
・炭材の準備から火入れ、製炭炉の温度の管理、窯止め、炭出しまで、実際の製炭プロセスを体験いただくことができます。
・さまざまな炭材で製炭の試験を重ねてきた講師から、具体的なノウハウや注意事項を詳しく聞くことができます。
・製炭や導入に関する疑問点を製炭作業中、随時質問していただくことができます。
・製炭炉の導入を検討されている方、製炭の可能性についてより広く深く知りたい方にお薦めです。
○こんな方におすすめします
・バイオマス(植物性)の廃棄物の処理費を削減したい方
・処理に伴うCO2を削減したい方
・「炭化とは何か」を知りたい方、学びたい方
・実際に炭化に取り組みたいけど、何から始めたらいいかわからないという方
・製炭炉の導入を検討されている方
・カーボン・クレジットの創出・入手を検討している方
○開催概要
日 時:2023年11月13日(月)・14日(火)・15日(水)12時まで
※基本的に3日間ともご参加いただきます。
※熱海会場近辺でのご宿泊をおすすめいたします。ご宿泊はご自身でご手配ください。
お申込み後にお送りするメールにて、弊社の提携宿の特別申し込みサイトをご案内致しますので、そちらもごご活用下さいませ。
1日目 11月13日(月):10:00~17:00 終了後:学びを深める懇親会(任意)
2日目 11月14日(火): 9:00~17:00 終了後:自由時間
3日目 11月15日(水): 9:00~12:00 終了後:ご希望の方は質疑などお受けします
会 場:(1)株式会社未来創造部 2階セミナールーム
(静岡県熱海市渚町7-5 エムズ熱海ビル)
地 図:https://goo.gl/maps/8cFXdp78GdPpXeF79
お申込みいただいた皆様には詳しいご案内を別途お送りさせていただきます
東京駅から東海道新幹線でJR熱海駅まで約45分
JR熱海駅から徒歩約16分、バス・タクシー約10分
参加者数により開催場所を変更する場合もあります。
(2)製炭場所:笹尻エコビレッジ
(静岡県熱海市字笹尻1804-70)
地 図:https://maps.app.goo.gl/KBKquTXGGiagXyar6
笹尻エコビレッジとは、熱海マリンサービス株式会社が熱海市から土地を借りて、オフグリッド・水道のない環境で運営している400平方メートルのスペース。製炭炉・4トンクレーン付きトラック・チッパー・パワーシャベルなどを取りそろえて、実際の製炭を行っています。
プログラム内容(予定)
【1日目】11月13日(月)10時~17時頃
10:00-12:00 「炭化とは」@セミナールーム 講師:枝廣淳子
まずは炭化に関する総合的なレクチャーを行います
・なぜ炭化が必要なの?
・炭化とは?
・炭化に関する国内外の動向
・炭化に関するカーボン・クレジットについて など
「熱海で導入している製炭炉の特徴」 講師:光村智弘
12:00-13:00 昼食@セミナールーム(希望者の方には海鮮丼を用意します)
13:00-17:00 実践編(1) 講師:光村智弘
笹尻エコビレッジに移動して、実際の作業を体験していただきます
・製炭炉の解説
・製炭の準備(炭材・燃焼材を入れる手順とセットの方法・炭材の準備)など
17:00-19:00 市内に移動、各自宿泊施設にチェックインなど
19:00-21:00 学びを深める夕食懇親会 (自家製炭で炭焼きナイトの予定!)
21:00 終了・解散
【2日目】11月14日(火)9時~17時
9:00 セミナールームに集合
9:00-17:00 実践編(2) 終日笹尻エコビレッジにて活動します(適宜休憩あ
り)講師:光村智弘
・前日に用意した材料で製炭炉の火入れ
・消煙装置の取り扱い
・温度管理の手法
・チッパー・パワーショベルなどの操作体験
・製炭炉の窯止め など
※昼食は朝出発前までに各自ご用意ください(レンジや電気は使えませんのでおにぎりやサンドイッチなど)
※夕食は各自自由にお取りいただきます
【3日目】11月15日(水)9時~12時
9:00 各自ホテルをチェックアウトして、セミナールームに集合
9:00-12:00 実践編(3) 笹尻エコビレッジに移動して、炭出しをします
・できた炭の確認
・製炭後の炉について
・全体的な質疑応答 など
12:00 終了・解散
終了後:ご希望の方には、質問や導入に向けてのご相談を受けます
講 師:光村智弘
株式会社未来創造部副代表、熱海マリンサービス取締役社長。
熱海マリンサービスの会社創立30周年の節目となる2020年に、これまで海岸清掃や減災・防災・ECO・健康など、ボランティア活動として実施してきた活動の一部を未来創造部としてスタート。「未来のこどもたちに きれいで楽しい地球を残す」ことを目的に、事業としてより広く、深く、持続可能に展開中。
2019年から薪を使ったエネルギー循環や温暖化対策としての炭化・製炭に着目し、2022年7月に移動式炭化ユニット「未来炭化ユニット」を熱海市笹尻に導入。地球の炭素循環のバランスを正すバイオ炭の可能性に期待し、気候変動対策につなげていきたいと考えている。
講 師:枝廣淳子
大学院大学至善館教授、株式会社未来創造部代表、イーズ代表、チェンジエージェント会長、幸せ経済社会研究所所長。
『不都合な真実』(アル・ゴア氏著書)の翻訳をはじめ、企業や地域の持続可能性や環境・エネルギー問題に関する講演、研修等を通じて「伝えること」で変化を創り、しなやかに強く、幸せな未来の共創をめざす。
コロナの影響で熱海に長期滞在中、地元のメンバーと意気投合し、未来創造部を設立。ブルーカーボンをはじめとする環境問題や熱海のまちづくり、次世代を育む活動に取り組んでいる。
○募集人数:約20名(先着順) (最少催行人数10名)
○参加費:55,000円(税込) (学生の方:44,000円 税込)
※ご希望の方は、別途下記の実費が必要になります(すべて税込)
1日目 昼食(海鮮丼) お一人 1,500円
1日目 夕食懇親会 お一人 4,400円(2時間、飲み放題付)
3日間を通じて笹尻エコビレッジに往復する交通費(タクシー代)
これは乗車される方でお支払いいただきます。片道1台2,200円程度を予定しています。
もし4人で乗車された場合、3日間を通じて、おひとり3,000円~4,000円程度の見込みです。
※参加費に関してはeumo通貨をお使いいただけます。
※個人のご移動費、宿泊代、食費は含まれません
~~~~~~~~~~~~~ご案内ここまで~~~~~~~~~~~~~~~
詳細やお申し込みはこちらをご覧下さい。
https://www.mirai-biochar.net/post/biochar-seminar2023
初の炭化セミナー、とっても楽しみです! 関心のあるみなさまのご参加をお待ちしています。