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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2023年11月23日

「幸せをデザインする いのち輝く社会へ」

大切なこと
 

今日は自分のン回目の誕生日です。誕生日や新年は、慌ただしく過ぎていく毎日から、一歩距離を置いて、「さてはて、私は何がやりたくてこんなに頑張っているんだっけ?」「これまでめざしていた方向に、そのまま進んでいけばいいのかな、少し方向を変えた方が良いのかな?」などと、立ち止まって考えてみることができるタイミングでもありますよね。

特に人生の折り返し地点にさしかかっている方々にとっては、一年の計ならぬ、"人生の計"のタイミングかもしれません。

何かを変えたい!と思いながら、そのままになってしまっていることはありませんか? どうしたら、変えていけるのでしょうか?

「どうすれば、実際に変化を創り出すことができるか?」――ここ数年、理論と実践を組み合わせながら、考え、試行錯誤してきました。「変えたい!」という熱い気持ちに加えて、その気持ちをカタチにするために、次の3つの力が必須ではないかと思っています。

(1) バックキャスティングでビジョンを描く力
(2) システム思考でつながりから構造を考える力
(3) 創り出したい変化の連鎖(変化の理論:TOC)をデザインする力     

この3つの力は、未来創造ユースチームでの毎月のゼミを通じて、ユースにも身につけてもらっています。こちらの第1~3期のレポートからご覧いただけます。
https://www.miraisozo-youth.com/

また、企業や組合向けにも(1)~(3)を2日ほど掛けて、じっくり自分たちで実践していく研修を行っています。変化の理論をつくったあと、6ヶ月の実践フォローアップを行った企業では、新製品開発や、事業の見直し、組織改革など、実際の変化につながっていることからも、手応えを感じています。

数年間、実践とともに研修をしてきて、この【バックキャスティングでビジョンを描く】~【システム思考で構造を考える】~【変化の理論をつくる】プロセスを、できるだけシンプルに、わかりやすく伝え、サポートする力を鍛えてきました。そして、いよいよ、個人の方々にも、このプロセスの進め方とコツをお伝えし、実践していただけるようにしていこうと考えています。

その第一弾は、毎年夏と冬に開催している「自分合宿」です。これまでの「ビジョンをつくって、自分マネジメントシステムをつくる」内容に、「変化の理論」をつくるパートを組み入れ、その上で、その実践を始めて、続けていくための自分マネジメントシステムをつくることにしました。以前にもましてパワーアップした講座になります!(そのため、料金据え置きで、セミナー時間を少し長めにしました) よかったらぜひ、自分の人生に、家庭や職場に、社会に変化を創り出す力を身につけてください!

2024年1月6日(土)【熱海会場 or オンライン】
「自分合宿 2024新春 ~ビジョンを描き、レジリエンスを高める"自分マネジメント"の実践にむけて~」

自分自身の生き方や計画を立て、着実に前へ進めたい、と思っている方。
外的な影響に惑わされることなく、自分を前に進めていきたい方。
一度きりの自分の人生、ずっと「今のまま」でいいのかなあ?と思っている方。
自分がどう生きたいのか、何をやりたいのかが、自分でもよくわからない......という方。
やりたいことはあるけど、なかなか着手できない、という方。
「計画倒れ」にさようなら!したい方。

「自分合宿2024新春」でお待ちしています。

少人数制で、ひとり一人に寄り添います。私と1対1でお話しいただく個別のカウンセリングタイムも設けています。

これまで29回、延べ約400人以上が参加され、平均4.8(5点尺度)という高い満足度評価をいただいているセミナーです。他では経験できない"場の力"を味方に、考え抜かれたプロセスを自分のペースで進んでいただくため、だれもが自分の変化や進歩を実感することができます。

忙しい方にこそ参加していただきたい「自分合宿」。「高く跳ぶためには、深くかがむこと」――そんな時間にしていただけたら、と願っています。

2024年1月6日(土)【熱海会場 or オンライン】
「自分合宿 2024新春 ~ビジョンを描き、レジリエンスを高める"自分マネジメント"の実践にむけて~」

さて、私自身はどのような変化を創り出したいと思っているのか? つい先週、りそなアジア・オセアニア財団主催の環境シンポジウムに登壇させていただいたときの発言をベースに、大事だと思っていることをお伝えしたいと思います。
https://www.resona-ao.or.jp/pdf/20231117.pdf

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~

自分の経験も踏まえて、今回の私へのお題「幸せをデザインする いのち輝く社会へ」を考えたとき、大事なことが4つあると思っています。

(1)つながり
(2)レジリエンス
(3)機械論的世界観から、生命論的世界観へ
(4)ネガティブ・ケイパビリティ

(1)1つは、「つながり」ということです。

環境問題は、どんどんと複合化しています。そして福祉や人権などとも密接に絡み合っています。

これまでいろいろな企業の環境活動を支援してきましたが、温暖化の担当グループと生物多様性の担当者が違っていて、それぞれで取り組みを考えたり進めたりすることも多い。

でも、切り口やラベルは違っても、同じ1つの地球を対象にしているわけです。なので、いかに単独ではなく、合わせ技で考えていくかが鍵です。つながりを意識していかないといけない。

たとえば、気候変動だけを考えるのであれば、たくさんCO2を吸収する、たとえばユーカリのような木を一面に植えるのがいいかもしれない。でもそれは、温暖化にはプラスかもしれないけど、単一林が広がるわけですから、生物多様性の観点ではマイナスになります。

今日、Just Transition(公正な移行)が重要だと言われるようになっていますが、気候変動対策をするときも、人権や、「誰一人取り残さない」といったことを考えながらやらないといけない。そういう時代になっています。つながりというのがとても大事です。

もう1つ、「つながり」という意味では、コロナ禍のソーシャルディスタンスで、人と人とのつながりが薄くなったり、切れてしまいました。社会の絆をどういった形でもう1回つなぎ直すのか。そういったことも大事です。

逆に、自然界と人間のつながり、もしくは距離感をどう取るかも重要です。コロナもジャングルの奥深くにしかいなかったウイルスが、人間が切り拓いて入り込んでいったために発生・蔓延したともいわれていますよね。

私たち人間が、手つかずのまま自然界を置いておけるか?ということだと思うんです。これはまさに、経済成長をどうとらえるかということと同じ問題です。経済成長を続けないといけないとしたら、どこまでもどこまでもフロンティアを求めて、ジャングルの奥までも、私たちの経済活動は入っていってしまいます。

そうではなくて、「もっと大切なことがあるよね。ここは開発しないで置いておこう」ということが、私たちに言えるようになるかどうか。つまり成長至上主義から脱却できるかどうか。これを考える必要があります。

(2)4つあるといった2つめは「レジリエンス」です。回復力、何かあったときに立ち直る力です。これからも外部からの強い衝撃が――それが戦争なのか新型の感染症なのか、わかりませんが――、さまざま出てくるときに、それでポキッと折れるのではなくて、しなやかに立ち直る力。このレジリエンスをどのように、私たち個人としても、組織としても、地域としても、社会としても、持っておくか。

このことを伝えたくて数年前に『レジリエンスとは何か~何があっても折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる』を出版しました。
http://amzn.to/1zcdreh

怖いことに、レジリエンスは、あるところまでは持ちこたえられたとしても、ある一線を越えると持ちこたえられなくなって、元の状態に戻れなくなってしまいます。

「カタストロフィック・レジームシフト」と呼びます。破局的に変ってしまい、戻れなくなってしまう。「外からの力がどれくらい強いか」と「そのシステムがどのくらいレジリエンスを持っているか」の組み合わせで起こります。

残念ながら、外的な力はどんどん強くなります。そして残念ながら、私たちの社会・地域・個人のレジリエンスはどんどんと弱くなってしまっている。これはとても怖い状況じゃないかなと思います。

レジリエンスをつくり出す要素として、世界のレジリエンス研究者たちが言っている1つは、「多様性」です。1つに掛けてしまうと、それが倒れたときにすべてが崩れ落ちてしまう。なので、いろいろなものを持っておくということです。

もう1つは、「モジュール性」です。たとえば、普段はグローバル経済とつながっていてもいいけど、何かあったときはそこから切り離して、自分たちだけで回るような仕組みになっているか、ということです。たとえば、地域通貨や、地域で雇用をつくっていく動き、地域経済をある程度自立できるようにしておくといったことが取り組みとしてあげられます。

もう1つが「緊密なフィードバック」です。何かあったときに、すぐそれがわかるようになっているか。これらがレジリエンスをつくり出す大事な要素だと言われています。
 
そして、もう1つ考えないといけないことがあります。「レジリエンス」は大事ですし、「なかった」と言うことになると大変なことになるのですが、レジリエンスをつくって維持するのはコストがかかるということです。

たとえば、日本の企業も3.11の後、取引先を多様化しようとしました。部品のサプライヤーが1社しかなかったから、そこが被災したら全部止まってしまったという経験をしたからです。サプライチェーンを多様化するという動きになったのですが、数年経つと、また元に戻ってしまいました。

なぜか? 一ヵ所から仕入れれば、量の力で仕入れ値を下げられる。でも、多様なサプライヤーから仕入れると言うと、コスト的にはマイナスになってしまうからです。

あれもできる、これもできるようにしておきましょうという「多様性」は、平時には無駄なコストになってしまう。そうすると、短期的な経済至上主義の中では、どんどん削られてしまうのです。

そうなると、目に見える短期的な経済効率を上げるというプレッシャーと、長期的に大事な、何かあったときにないと困るレジリエンスを保っておこうとする動きと、どちらが強いのか?となります。今は、経済成長至上主義が強いので、どうしても短期的な経済効率に走りがちです。その結果、あちこちでレジリエンスが弱くなっている。

そういう状態になっているということを伝えてくれたのが、コロナ禍での学びの1つだったと思っています。どうやって短期的な経済至上主義を超えて、レジリエンスも大事にする社会にしていけるのか、ということです。

(3)それからもう1つは、私たちのものの見方です。近代的な西洋思想は、二元論・還元主義で、どんどんモノを細かく分けて、個別に見る、部分を見るという思考法をベースに発展してきました。それに対して、私たちの、東洋思想というのは、もともとは全体を見るという考え方でした。それをもう1回思い出さないといけないんじゃないかなと思います。

自然と人間との関係性をどう見るかも、東洋と西洋ではかなり違います。西洋には、人間は神から自然の世話をするよう委託されている、という「スチュワードシップ」の考え方があります。人間は自然界の上にいて、自然界を支配するのだ、という考え方が強い。

他方、東洋思想だと、「生かさされている」という言葉があるように――これは英語にしづらい言葉ですが――、私たちはいろいろなもののつながりの網の目の中に生かされているんだという感覚を、私たちはもともと持っていました。そういった自然観、世界観、人間観も問い直していく必要があります。

(4)こういったことを大事にしようとすると、最後のポイントですが、「立ち止まる」とか「見直す」という力が必要になってきます。

私たちは今、コスパだけじゃなくてタイパ、タイムパフォーマンスという、即時決断・即時行動を求められる時代に生きている。特に企業の方はそういった状況に置かれている中で、結論をすぐ出さないで、立ち止まったりするのは難しいかも知れません。このように、答えや定義にすぐに飛びつかずに、答えがない状態に耐えながら、じっくりと考え続ける力のことを「ネガティブ・ケイパビリティ」と言います。

今、一般的に評価されているのは、この逆の「ポジティブ・ケイパビリティ」、問題解決能力です。情報収集し、予測をし、計画をたてるなどの力です。これは問題が何であるかはっきりわかっている場合は有効ですが、今私たちが直面している問題には、見えていない問題もたくさんある。問題が見えていれば、それを解決すればいいのですが、「見えていない問題をどう見るのか」をまず考えないといけないこともあります。

そしてもう1つ、問題には、「正解がある問題」と「正解がない問題」があります。皆さんが今立ち向かっているのは、どちらの問題でしょうか。多くの場合、正解がない問題ではないでしょうか。正解がない問題に対しては、唯一の正解を求めるというよりも、「質の高い解決策をつくり続ける」しかない。

それなのに、「すぐに決めろ」「早く考えろ」「結論は何だ」という世界にいると、どうしても対症療法や部分最適、安易な選択に走るしかなくなります。本当の問題に切り込むことができなくなってしまっている。これが今の多くの組織や社会の現状ではないかと思います。

先月、NHKの「クローズアップ現代」でも、ネガティブ・ケイパビリティを"モヤモヤする力"というわかりやすい言葉に変えて番組をつくってくれました。番組でもお話をしたのですが、こういう番組ができること自体、ネガティブ・ケイパビリティが大事という認識が出てきたということでしょうね。

私たちは、「わかった」と思った瞬間に思考停止してしまう。そうではなくて、まだわからないんだと、全部はわかっていないんだと、立ち止まって保留すること。結論を保留すること。わからなくてもそこで耐え続ける。実は、それはパッと結論を出して思考停止するよりも、ずっとエネルギーが必要です。

この力が今とても重要になっていると思っています。これも伝えたいと思って、ネガティブ・ケイパビリティの本を『答えを急がない勇気』というタイトルで、この春に出しました。
『答えを急がない勇気 ネガティブ・ケイパビリティのススメ』(イースト・プレス社)
https://amzn.to/3JGURKJ

この本に対する反応を見ても「本当にこういうことが大事だと思います」と言う声が多く、本当にそういう時代なのだなあと。

今の時代、「急げ、急げ」と、ますます加速しているけど、だからこそ、立ち止まって見直すこと。そうして、大事なつながりをもう1回取り戻したり、レジリエンスを高めるための手立てを考えたり、機械論的に、還元主義で、すべてを手段として、部分として見ていくのではなくて、「全体としてとらえる」という、生命論的な世界観を大事にしたりする。そのためネガティブ・ケイパビリティを身につけること。こういったことが、幸せをデザインしていのち輝く社会になっていくために大事なことではないかなと思っています。

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~

みなさんだったら、「いのち輝く社会」に向けて、何が必要だと思われますか? 何をどう変えていく必要があると思われますか?

そして、もしよろしければ、心理的安全性のある場で、ネガティブ・ケイパビリティを発揮して、じっくりゆっくり考える時間を「自分合宿」で味わってみてください!
https://www.es-inc.jp/seminar/2023/smn_id012847.html

 

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