斎藤幸平さんの『ゼロからの「資本論」』を取り上げ、好評だった先日の読書会が音声講座になりました!
「コミュニズム」の理解が大きく変わることと思います。資本主義はなぜ問題があるのか-資本家の立場と、労働者の立場、そして地球の立場から考えることができます。そして、 「どうしたら資本主義を乗り越えることができるか」も! よろしければぜひ。
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『ゼロからの「資本論」』を読む
さて、今日からCOP28(第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで行われます。12月12日までの会期中に、人類の未来を左右することになる場面や結果が出てくることでしょう。
今回のCOP28では、温室効果ガス排出削減の状況の検証、化石燃料の削減・廃止、再生可能エネルギーの拡大目標、途上国支援などが大きな論点となるとされてきます。
COPの議論はどんどんテクニカルになってくるので、難しく感じたり、自分と関係ないと思ったりする人もいるかもしれません。WWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)の気候・エネルギーグループが、できるだけわかりやすく解説してくれている動画や資料を提供してくれていますので、ご紹介します。
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WWF気候・エネルギーニュースより
■ 気候変動に関するCOP28会議の注目点
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3537.html#note2023-2023-04
■【動画解説】COP28見どころ紹介! GST、適応、損失と損害、
パリ協定6条、1.5度目標の野心強化(WWFジャパン小西、山岸も解説)
https://www.can-japan.org/activities/3753
■【動画解説】COP28見どころ紹介! GST、適応、損失と損害、
パリ協定6条、1.5度目標の野心強化(WWFジャパン小西、山岸も解説)
WWFジャパンも参加するCAN-Japanが「COP28見どころ紹介!」動画を公開しました。
CAN-Japanの専門家が「グローバル・ストックテイク」「適応」「損失と損害」
「パリ協定6条」「1.5度目標の野心強化」の5つのテーマで、市民・NGOの立場から
COP28で注目すべき点を解説します。「グローバル・ストックテイク」「パリ協定6条」
についてWWFジャパンの小西が、「損失と損害」について山岸が解説しました。
▼グローバル・ストックテイク(解説:WWF ジャパン 小西雅子)
https://www.youtube.com/watch?v=pBNxy_7O_8Y
▼適応(解説:JACSES 遠藤理紗)
https://www.youtube.com/watch?v=OaippPvAKag
▼損失と損害(解説:WWF ジャパン 山岸尚之)
https://www.youtube.com/watch?v=Fi6BuAUZ4MU
▼パリ協定 6条(解説:WWF ジャパン 小西雅子)
https://www.youtube.com/watch?v=XDI21m18FV8
▼1.5度目標の野心強化(解説:350 Japan 伊与田昌慶)
https://www.youtube.com/watch?v=2nP9NiR0ZkM
各動画の一覧はこちら
https://www.can-japan.org/activities/3753
※ CAN-Japanとは
気候行動ネットワーク(Climate Action Network; CAN)は、130カ国・1800を超えるNGOからなる、世界規模のネットワークです。人為的な気候変動を環境が持続可能であるレベルにとどめるため、政府・個人の行動を促進する
活動をしています。CAN-Japanは日本に拠点を置く団体のネットワーク組織で、WWFジャパンもその一員です。
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COP28期間中、WWFジャパンでは現地からの報告を随時掲載していくとのこと、ご興味のある方、ぜひ時々のぞいてみてください。
▼気候変動に関するCOP28会議について
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/5461.html
10日ほど前に、「世界人口の1%の富裕層が出しているCO2は、最貧困層の3分の2を占める50億人の排出を上回っている」というショッキングな調査結果の発表がありました。1942年にイギリスで創設され、現在90ヶ国以上で貧困をなくすために活動する世界的なNGOのオックスファムが出したものです。
Richest 1% emit as much planet-heating pollution as two-thirds of humanity
https://www.oxfam.org/en/press-releases/richest-1-emit-much-planet-heating-pollution-two-thirds-humanity
この調査は、 "Climate Equality: A Planet for the 99%"( 「気候平等: 99%の人々のための地球」)は、ストックホルム環境研究所(SEI)の調査に基づき、データが入手可能な直近の年である2019年における、さまざまな所得層の消費排出量を評価したものです。
簡単に内容をご紹介しましょう。
・2019年のデータによると、最富裕層1%のCO2排出量は、世界のCO2総排出量の16%に急増し、世界人口の底辺からの3分の2を占める50億人の排出量の合計と同程度である。
・下位99%のどこかに位置付けられる人が、最富裕層1%に位置する億万長者が1年間に出すCO2と同じだけのCO2を排出するには約1500年かかる
・毎年、1%の富裕層が排出するCO2は、100万基近くの風力タービンが削減してくれるCO2を帳消しにしている
・最富裕層1%のCO2排出量は、自動車や道路交通からの全排出量よりも多い。
・最富裕層1%のCO2排出量は、暑さによる130万人の死亡を引き起こすに足る量であり、この死者のほとんどは、2020年から2030年の間に発生する
・最富裕層1%のCO2排出量は、2030年には、パリ協定の1.5℃目標に適合するレベルの22倍に達する
・最富裕層10パーセントが、世界のCO2総排出量の半分(50パーセント)を出している。
・不平等な国々は、より平等な国々に比べて、洪水による死亡者数が7倍も多い
・気候変動は、すでに国家間および国家内の不平等を悪化させている
・オックスファムの試算によると、1%の富裕層の所得に60%の税金を課せば、英国の総排出量よりも多いCO2排出が削減され、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行費用として年間6.4兆ドルが調達できる
・オックスファムの試算によると、世界的な所得の再分配によって、貧困にあえぐすべての人に1日に最低25ドルを支給しつつ、世界の排出量を10%削減することが可能である(EUの総排出量にほぼ匹敵する)
・超富裕層に公平に課税すれば、気候変動と不平等の両方を抑制することができる
以上、オックスファムの調査からでした。
前回読書会で取り上げた『資本主義の次に来る世界』にも、超富裕層と貧困層の不平等の問題を取り上げています。読書会のスライドより、いくつか抜粋してご紹介します。
~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~
人新世という言葉の意味とは裏腹に、生態系の危機は「全人類」によって引き起こされているわけではない
地球規模の生態系崩壊のほぼすべての原因は、高所得国の過剰な成長、とりわけ超富裕層による過剰な蓄財にあり、グローバル・サウスと貧困層は不当に傷つけられている
社会学者のジェイソン・ムーアが指摘するように、現代は人新世(アントロポセン)ではなく、資本新世(キャピタロセン)と呼ぶべき
「大気の植民地化」
グローバル・ノースとグローバル・サウスの格差:1990年以来、爆発的に拡大
1人当たりで言えば、この期間の資源消費最の増加の81%は、富裕国における消費の拡大がもたらしたもの
気候崩壊によるダメージの92%:グローバル・ノースの責任
グローバル・サウスの国の大半はごくわずかしか排出しておらず、現在もプラネタリー・バウンダリーの妥当なシェアを下回っている
一方、サウスは気候崩壊がもたらしたコストの82%を負担(2010年には5710億ドル):干ばつ、洪水、地すべり、暴風雨、山火事などによる
2030年までにサウスは地球全体のコストの92%を負担し、その額は9540億ドルに達すると見られている
「気候変動による死の分布」
2010年:気候崩壊が原因で約40万人が死亡(大半は飢えと伝染病によるもの)
その98%以上:サウス
そのうちの83%:世界で最もCO2が少ない国々
気候崩壊がもたらす死は2030年までに年間53万件に達すると推定
ほぼすべてはサウスで起きるだろう
富裕国の領土内での気候関連の死は、そのわずか1%
このすべてが1℃の上昇で起きている
2℃の上昇は、グローバル・サウスの大半にとって死刑宣告に等しい
「サウスは2度苦しめられている」
最初はノースの工業の発展を支えるための資源と労働力の強奪によって
今はノースの産業のCO2排出による大気コモンズの強奪によって
~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~
こちらの読書会も音声受講ができますので、ご興味があればスライドと音声での解説をどうぞ!
【音声受講受付中】 第137回幸せと経済と社会について考えるオンライン読書会
『資本主義の次に来る世界』を読む ≪問題編≫
【音声受講受付中】 第138回幸せと経済と社会について考えるオンライン読書会
『資本主義の次に来る世界』を読む ≪解決編≫
「人為的なCO2排出が温暖化をもたらしている」というと、「世界中の人のせい」という感じですが、その大部分が超富裕層の排出だとしたら、温暖化を止めるために打つべき手の1つは明らかなのではないかな、と思います。(その打ち手の実行はそう簡単ではないでしょうけど......)
そういった問題意識も背景に、最近、世界では「気候正義」、「公正な移行」といった言葉が多く聞かれます。環境問題は人権や格差の問題でもあるという意識を持って、COP28の成り行きや、政府・企業の取り組みも見ていきましょう!