climateは「気候」、changeは「変化」で、「気候変動」と訳します(ちなみに、最初にこの単語が日本に入ってきた頃は「気候変化」と訳したりしていましたが、「気候変動」という定訳ができました。訳語のでき方、定着の仕方も面白いものです)。
地球の気候はこれまでずっと安定していたわけではなく、過去20億年間に数千万年~億年のスケールで氷河時代と無氷河時代が繰り返されていたことがわかっていますし、数万年スケールでも海洋の変動や火山の噴火、地球軌道変化などによって、気候は変動しています。
もっとも「気候変動に関する国際連合枠組条約」(UNFCCC:United Nations Framework Convention on Climate Change)では、「気候変動とは、地球の大気の組成を変化させる人間活動に直接又は間接に起因する気候の変化であって、比較可能な期間において観測される気候の自然な変動に対して追加的に生ずるものをいう」と、「人為的なもの」と定義しています。
この人為的な意味での気候変動は、「地球温暖化(global warming)」と同義です。温暖化とは、人間の活動の拡大によって、二酸化炭素などの「温室効果ガス」(GHG:green house gas)の濃度が増加し、地表面の温度が上昇することです。地球の平均気温は約15℃に保たれていますが、もし温室効果ガスがないと-18℃になるといわれていますから、温室効果ガスは「必要だけど多すぎると困る」のですね。
産業革命以降、石炭、石油、天然ガス等の化石燃料の燃焼量が増え、一方で炭素を吸収する森林が減少し、温室効果ガスの大気中濃度が上昇しています。
現在、世界中で年間に63億トンの炭素が排出され、森林・土壌が14億トン、海洋が17億トンの炭素を吸収しているといわれます。
63億-(14億+17億)=32億(トン)
つまり、毎年32億トンの炭素が地球の吸収可能量を超えて排出されている計算です(小学生にも「どうしたらよいか」わかります(「出す量を半分にすればいい」って!)。
climate(気候)は「クライメート・セイバーズ・プログラム」「クライメート・グループ」など、カタカナで登場することも増えてきました。「クライメート」と出てきたら、気候変動に関するものだな、と思えばほぼ間違いないでしょう。
さて、気候変動の大きなポイントは、気候が多くの要素のつながりから成っているシステムであることです。つまり、「排出量が同じなら同じだけ温度が上がっていく」わけではなく、何かがどこかの閾値を越えたとたんに、非線型の変化が起きる可能性があります。
例えば、温暖化→気温上昇→シベリアの永久凍土が融解→凍土中のメタンガスの放出→メタンは二酸化炭素の21倍もの温室効果を持つので、ますます温暖化→気温がさらに上昇→……という悪循環にスイッチが入ると、急激に悪化していくでしょう。
このような気候変動のさまざまなフィードバック・ループにスイッチを入れないうちに、引き返さなくてはなりません。