エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2007年08月29日

LOHAS

 

 LOHASという言葉を見聞きするようになりましたね(「ローハス」「ロハス」と読みます)。LOHASとは Lifestyles of Health and Sustainabilityの頭文字を取ったもので、Lifestyleは「ライフスタイル」、Healthは「健康」、 Sustainabilityは「持続可能性」ということですから、文字どおり、健康と持続可能性を大事にして生きようという生活スタイルのことです。

 このLOHASという言葉は、1998年にアメリカの社会学者のポール・レイ氏が15年の研究結果を基に、新しいライフスタイルの人たちが増えている、と発表したことから誕生したといわれています。

 LOHASは、「ロハス・ビジネス」というようにビジネスのコンセプトとしても広がっています。ここ1~2年、日本でも雑誌が発刊されたり広告や記事などあちこちで取り上げられるようになってきました。日本でも3割ぐらいがLOHAS層だという調査結果も出ています。

 私は数年前にLOHASの考え方が日本に最初に入ってきた瞬間に立ち会いました。レイ氏が初めて来日して、「新しい価値観の人々が増えている」と発表したその時に、「日本でも広がりそうだなあ」と思いながら通訳をしていたのです。

 この会合で、レイ氏が繰り返し口にしていた言葉があります。Cultural Creative(カルチュアル・クリエイティブ)です。「文化的な創造者」という意味ですが、「新しい(ロハス的な)価値観を持った人々が新しい市場を作っており、米国の人口の約30%がカルチュアル・クリエイティブだ。その市場は、有機農業から自然食品、代替医療、ヨガや自己実現セミナー、エコツーリズムなど、多岐にわたり、大きな規模になる」と言っていました。

 そのときに、まさにそういった商品やサービスを紹介するための「LOHAS Journal」という専門雑誌を見せてもらってびっくりしたことを覚えています。

 私が考えているLOHASのキーワードは3つ。「内的アンテナ」――自分の心や体の状態に対する感度のよいアンテナがあって、「こういうのが気持ちいい」「こういうとき幸せだ」という感じを大事にします。

 「自分の尺度」――「テレビが言うから」「友だちが言うから」「世の中ではやっているから」ではなく、自分自身の尺度や基準を持っています。自分で感じる力、考える力、選ぶ力があります。

 「つながり」――自分ひとりだけでは幸せになれないことを感じ、地球環境や途上国問題にも関心がある。環境活動に熱心な企業を応援して、多少値段が高くても買う人が多い。

 「これからは取り戻す時代がやってくる」と思っていましたが、自分の心や地球とのつながり、自分自身の感性や基準など、忙しい社会の中で忘れてきたものを取り戻そうとするひとつの動きがLOHASなのではないかな、と思っています。

 

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