エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2008年03月17日

global compact

 

「グローバル・コンパクト」という言葉を初めて聞いたとき、「何だろう?」と思いました。同じように思った方、いらっしゃるのでは?

global(グローバル)はもちろんわかりますが、compact(コンパクト)は? 「コンパクト・カー」などのように「小型の」という意味や「ぎっしり詰まった」という意味で使われたり、またはお化粧に使うファンデーションの鏡付き容器を指したりしますよね。そこで、「グローバルなコンパクトって?」と、思ったのでした。

このcompactには、「協定」「盟約」という別の意味もあります。その意から、global compactは、「地球規模での協定」という意味になります。

グローバル・コンパクトは、1999年1月、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムの席上で、コフィー・アナン国連事務総長(当時)が提唱し、翌2000年7月に米ニューヨークの国連本部を拠点として発足したネットワークです。

世界各地の多くの企業や労働組合、市民社会組織が参加しています。その目的は、グローバル化した世界経済が引き起こしかねない様々な問題を解決するため、企業が一致団結し、市民社会と手を組むことによって、地球市民としての立場からその責務の推進を求めるというものです。

グローバル・コンパクトは条約や規制ではなく、法的な拘束力の無い「自発的なイニシアチブ」です。ですから「協定」「盟約」という意味でのcompactを使っているのですね。 

グローバル・コンパクトでは、次の10原則をビジネスに組み入れることを目指しています。

■人権
1.企業はその影響の及ぶ範囲内で国際的に宣言されている人権の擁護を支持し、尊重する
2.人権侵害に加担しない

■労働
3.組合結成の自由と団体交渉の権利を実効あるものにする
4.あらゆる形態の強制労働を排除する
5.児童労働を実効的に廃止する
6.雇用と職業に関する差別を撤廃する

■環境
7.環境問題の予防的なアプローチを支持する
8.環境に関して一層の責任を担うためのイニシアチブを取る
9.環境にやさしい技術の開発と普及を促進する

■腐敗防止
10.強要と賄賂を含む、あらゆる形態の腐敗を防止するために取り組む

この10原則を具体的に追求するため、①政策対話:現在直面する課題の解決、②学び:実践活動の共有、③ローカル・ネットワーク:国・地域レベルのネットワークづくり、④パートナーシップ・プロジェクト:協同プロジェクトによるサポート――の4つが進められています。

日本からは現在、50を超える企業のほか、川崎市も参加しています。

 

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