2ヵ月と7日間の熱い熱い日々が終わり、ようやくアル・ゴア氏の新刊『私たちの選択』の翻訳が終わりました。どんな感じで進めていたのか、8月から始めたツイッター(junko_edahiro)から拾い読みをどうぞー。
(9/23)
「小さいことを積み重ねる事がとんでもないところへ行くただ一つの道だと思っています イチロー」 イイコト言うねぇ。そして、その積み重ね方に工夫があるんだよね。何も考えずに積み重ねてもあまり進まない。翻訳のトレーニングも同じ。
(10/3)
今日は名古屋へ日帰り講演。帰り夜に海オフィに入る。ゴアさん翻訳、自主缶詰〜。
(10/4)
5行にもわたってとうとうと続く1文......ゴアさん、勘弁して〜。(涙)
(10/11)
私って、翻訳が本当に好きなんだろうなあ〜とつくづく感心しつつ。一休みしてご飯食べればいいのに、「もう1パラ」「もうちょっと進んだら」と、おなかはすいているのに、翻訳が止められない〜。(^^;
(10/25)
おはよー。今日はゴアさん18章です。がんばらなくちゃ!1行目から、よーい、ドン!
途中で少し道草をくってしまったけど、今のところ快調に走り続け、折り返し地点。(18章は短いから助かるなぁ!)
18章、ゴール! 6時間25分。最後の方は、もう泣けてきて、うるうるしながら翻訳していた(うるうるしながらランニングするのと同じく、ペースダウンしてしまうが)。きっとゴアさんも泣きながら書いたんじゃないかと思う。
(10/28)
お日様がどんどん動いていく。海の上のきらきら輝く帯を連れて。 待って〜! 翻訳はそんなに早くは進めないんだよ−。今日中に何とか17章を終えたい。ちょうど折り返し地点に到着。
(10/29)
夜が明けた。私の17章の夜も、ようやく開けた。早起き生活をしているとわかるけど、夜明け前がいちばん暗く、いちばん冷え込む。翻訳も同じである。。。うー。見直しをして(って、これにも2時間ぐらいかかるんだけどね)、朝ご飯を食べて、次の章へゴー!
今日、すでに10時間以上稼働。(頭の中は「まだ」白くないよ−^^;)
だんだん自分が翻訳マシンになってきた気がする。ちゃんと歩けるかな? ちゃんとしゃべれるかな?(これがけっこう怪しくなる......)。今日の目標地点まではまだ遠いのだけど......あと1時間がんばってみることにする。そのあとは、そのときに決めようっと。
朝2時過ぎから、実働15時間超。さすがに目が回ってきた〜 (@_@);;;; そろそろ帰ろうっと。
(11/2)
森林の章に入る。他の章より長い。。。森林は大事。けど、翻訳するときは短めの方がいいなぁ。さあ、始めようっと。
森林の章、予想以上に手ごわい......。真っ向からの向かい風の中を進んでいるような感じ。うー、もっと速く進まなくては。。。
日本語にしにくい英語の1つが、「integrity 」。森林の integrity とは何のことか???
(11/3)
さあて、今日は森林の章の続きから。がんばるぞ〜。
「植林」と「植樹」の違いに悩むこと、20分。。。英語ではどちらもtree-planting なんだけどね。。。「緑化」っていうのもあるね。ビミョーな日本語の違いで、どう訳し分けるか......。
(11/4)
原発の章。のっけから長考に入る。。。ゴアさん、そんなふうにいっちゃっていいの??? 文字どおりそのまま訳出してよいのだろうか??? うーん。。。
(11/5)
ちょっと風邪気味みたい。。。ここで風邪を引いているわけにはいかないのだ。ゴアさんの翻訳、締め切りまであと11日。
(11/6)
ゴアさんの原子力の章の冒頭、「このまま訳してよいのかな、もうちょっと先まで進んでから判断しよう」と置いてあるところ、「なんて書いてあるの〜?」という声が聞こえてきたので、原書も発売されたので、ご紹介。ゴアさん、原子力のことを「white elephant」だって書いているのですよ。
white elephant って文字どおりに訳せば、「維持費ばかりかかる無用の長物」みたいな感じです。ゴアさんが温暖化対策として原発推進派なのか反対派なのか、とても大事なところなので、とりあえず、先に進んでます。だいたい見えてきた。さすが、感情論なく、論拠がしっかりしている。
それにしても、今日はなんて気持ちのよい日なんだろう! こんな日に、自分が大事だと思う本の翻訳ができて、とっても幸せ。
いま翻訳しながら思ったけど、ツイッターを使って、リアルタイムで翻訳トレーニングをすることができるね。私と受講者が同じものを訳していく。受講生の訳を見ながら、なぜその訳語を選んだのか、どこに気をつけているのか、自分が翻訳しているときに頭の中で起こっていることをツイッターで中継。
たとえば、convert 。どういうときは「変換」で、どういときは「転換」なのか、区別して訳し分ける力が必要。翻訳って、最後は、日本語の力と、その分野の勉強と、調査力。
(11/7)
完全な風邪となってしまった。。。締め切りまであと10日。だましだまし、slowly but steadily にほふく前進のように続けていくだけ。薬、キライだけど、今日は飲もう。
今日は12時間ぐらい翻訳をやっていた。最後は時間の感覚を失う。このままだとずっと続けてしまいそうなので、ここらでおしまいに。
(11/8)
grow なんて簡単な言葉にけっこうひっかかる。植物の場合は、「成長」じゃなくて、「生長」にしたほうがよいのかな......など、いろいろ考えたり調べたり聞いたりすることが増える。
historic ではなく historical が使われているという事実を、どう日本語に反映させるか、考え中。
前も悩んだことがある。。。harvest って単語。ふつうは「収穫する」だけど、その対象が water の場合はどう言えばいいんだろう??? イメージはよくわかるけど、日本語がついてこない〜。そういえば、「ハーベスト」って、おいしいお菓子があったね......
(11/9)
翻訳作業って、地下を掘って進んでいくみたいだ。一歩一歩、足下を確認しながら、真っ暗な中を進んでいく。暗闇はどこまでも果てしなく続くように思われる。。。地熱エネルギーの章を訳しているからそんな気がしてきたのかな?(いま息継ぎのため浮上中)。翻訳者がモグラだったとは!(^^;
(11/16)
ゴアさんの翻訳の校正。ふつうは原稿を渡して、しばらくしてから校正なのだけど、今回は特殊な進行で、渡した原稿から校正ゲラになって戻ってきている。ブーメランみたいに......。
謝辞とクレジットの翻訳の仕上げ中。本当に多くの人々がゴアさんを助けてこの本を作ってきたのだなあ!と思う。そして、ゴアさんほどじゃないけど、たくさんのメンバーや方々に助けてもらってこの翻訳を進めていること、本当にありがたいことだと思う。
(11/22)
ゴアさんの本の「あとがき」を書こうと、前回の「不都合な真実」のあとがきを見たら、最後に「2006年11月23日、誕生日の日に」と書いてあった! この人のいつものパターンでいくと、きっと前日に下書きをしたのだろう。ちょうど3年前の自分と握手しちゃったような気分。(^^;
(11/23)
ゴアさんの缶詰も大詰め。今週、すべて終わらないと間に合わないからねー。
(11/25)
今日が、ゴアさんとの最後の日(になる予定)。制限時間の範囲内で、できるだけ読みやすく、と読者の目で校正中。もっとも、原文が入り組んでフクザツな場合は難しいのだけど......。
オフィスで届いていた再校ゲラを確認。うーむ。今日最終日なのに、まだ全部出ていないんだ−。今回、原稿の到着がかなり遅れたので、私たち翻訳も大変だったけど、校正や編集もスケジュールがずれて苦労している模様。とりあえず、届いているところを終えよう。
(11/26)
まだゴアさんから離れられない〜。(^^;
(11/27)
1日の企業研修を終えて、19時近くに外に出て、最後の再校ゲラを受け取る。明日の午前中にはすべてが終わる。。。これで本当の最後ね(何か、塩化の菓子、じゃなくて、演歌の歌詞みたいね!^^;)。
(11/28)
コーヒーを淹れて、ゴアさん、さあ、始めるよ〜!
編集者と電話で再校の直しを確認。残り90分!最後のがんばり〜(90分というのは、飲み放題の制限時間だけじゃないのね〜。^^;)
ついに、終わった〜! もう、再校も再考もない。サイコー!(^_^)Y
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