翻訳者というのは、翻訳の学校や通信講座で勉強して一定の成績を収めれば誰でもなれる、というものではありません。
待っているだけではなかなか道は開けないでしょう。少しでもアピールできる場所がないか、少しでもつながりができないかと、常にアンテナを張って、積極的に出て行くことが大事なのだと思います。残念ながら、いくら翻訳力が高くても、待っているだけではチャンスはやってきません。
何百人、何千人という人が、なんとか翻訳で生計を立てたい、なんとか出版翻訳をしたいと、日夜さまざまな努力をしているのですから。星の数ほど翻訳者の卵がいる中で、「いつか誰かが認めてくれるだろう」「いつか誰かが発見してくれるだろう」と待っているのではなく、どうすれば自分が進みたい方向に進んでいけるかという戦略を考え、実行していく必要があります。
積極性に加えて有利なのは、得意分野をしっかり持つことです。たとえば、会社勤めをしながら、高度に専門的な分野の専門書をコツコツと訳している人もいます。その専門分野に詳しいからこそ、信頼され、翻訳を任されるのです。その点、自己啓発書や一般的なビジネス書は、特に専門性が高いわけではないため、「多くの人の得意分野」ですから、競争率が高くなります。よほど「読ませる翻訳」ができ、しかもそういう能力があることを出版社なり編集者なりにわかってもらうチャンネルを持っていないと、この分野でデビューすることは至難の業かもしれません。
つまり、いくらコネがあってもじょうずに自分を売り込むことができても、最終的には編集者が「この人に頼みたい」と思ってくれるほどの「高いレベルの翻訳力」がなくては、うまくいきません。一度は頼んでくれるかもしれませんが、質が高くなければ、絶対に次の依頼はこないでしょう。
翻訳者は星の数ほどいると書きましたが、編集者と話していると、「『この人に頼みたい』と思える翻訳者が少なくて困っている」と言われます。「エダヒロさんの講座で、早く優秀な翻訳者を育てて紹介してください」と言われることもあります。翻訳者になりたい人がたくさんいるのに、翻訳者が足りないという、釣り合っていない状況なのですね。ということは、信頼できて『この人だったら頼みたい』と編集者が思ってくれる翻訳者になれば、仕事は問題なく続いて入ってくるでしょう。
「この人だったら頼みたい」と編集者が思う翻訳力を身につけること、そして、信頼してもらえる要件を押さえることです。「一度きりの翻訳者」と「続けて仕事をもらえる翻訳者」の違いは何なのでしょう?
それをいちばんよく知っているのは、翻訳者に仕事を出す立場にある翻訳会社の責任者や担当者ではないかと思います。どういう翻訳者なら、続けて仕事をお願いしたいと思うのか、どういうときに「もう頼まない」と思うのか......
翻訳者や翻訳者のたまごさんたちにとって、もっとも重要なこれらのポイントについて、直接翻訳会社の社長さんにお聞きする機会を作ることにしました。効果的な翻訳の勉強法のヒントも山盛りです。めったにない機会ですので、ぜひいらしてください。きっとお役に立つと思います。
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また、6/26(土)にイーズ翻訳セミナー「あなたも翻訳家になれる! 〜翻訳を仕事にするための3つのステップ〜」が開催されます。
今回は、株式会社テンナイン・コミュニケーション社長、工藤紘実氏をお迎えして、翻訳会社の立場から、「仕事につながる翻訳力〜現場で求められる翻訳者の資質」について、お話をうかがいます。
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