第4回
シェア・ビジネス(share business)
【シェア・ビジネス(share business)】
震災を契機に、日本でもシェアという言葉を聞かない日がないほど、社会的な広がりをみせています。
でも実は、シェアは新しい考え方ではないんですね。
たとえば、多くの本を持つことができないから、みんなで本をシェアしようという図書館。また、スポーツジムもコインランドリーもそうです。
このように、分かち合う文化は以前からありますが、資源をオープンにし、より多くの人が共同利用できる新しい形のシェア・ビジネスが今、世界中で誕生しているのです。
その理由を表す分かりやすい例が、『シェア<共有>からビジネスを生みだす新戦略』(日本放送出版協会)という本に掲載されています。
アメリカの約半数の5000万世帯が持っている電動ドリルの利用時間を調べたら、一生のうちでたった6〜13分だったそうです。また、アメリカ国民は、コーヒーやビールよりも、なんとレンタル倉庫に多くのお金を払っていることが分かったそうです。
つまり、過度な消費をし続けると、お金、時間、空間、エネルギーを使い、「所有物に所有される」ことに、多くの人々が気づきはじめているのです。
また、もうひとつの大きな理由が、SNSやリアルタイム技術の発達です。
短期間しか使わない子どものおもちゃなどを、必要としている人・場所に貸し出すサービス。のこぎりや車など、たまにしか使用しないものを、所有せずに利用した分だけお金を支払うサービス。デスクだけでなく、アイデアも共有するシェアオフィスなど、物だけでなく時間や空間、技術といった資産を共有するサービス――。
これらのシェア・ビジネスは、一度に何十万人にも声をかけられるネットワークシステムによって、利用効率を上げ、過剰生産と過剰消費によって生まれた無駄を減らすことを可能にしました。
「何を消費するか」だけでなく、「どう消費するか」。
技術の発達が、シェア・ビジネスの革新的な発展を支えているのです。
このようなシェア・ビジネスは、決して一時的なブームではないと思っています。なぜなら、シェアは、贅沢をあきらめたり、ライフスタイルを犠牲にすることなく、自分にも相手にもプラスになり、合理的だからです。
お金がなくても生きていける世界に、少しずつ近づいている気がします。