第6回
スマートコミュニティ(smart community)
【スマートコミュニティ(smart community)】
スマートグリッド、スマートハウス、スマートタウンなど、最近テレビCMや新聞でよく見聞きするようになった〝スマート○○〟。直訳すると〝賢い〟という意味ですが、ここでは「情報技術(IT)」と「エネルギー」が結びついたものと考えると分かりやすいかもしれません。
最初に登場したのは、「スマートグリッド」で、グリッドとは送電線のこと。
現在、日本のほとんどの送電線は、大規模な発電所(火力や原子力など)から末端のユーザーまで一方向に電力を届けるシステムあるため、自然エネルギーのように変動のある小規模・分散型発電(太陽光や風力など)を調整することはできません。
しかし、ITを活用した「スマートグリッド」は、必要な電力の情報をリアルタイムで収集し、大規模発電や分散型発電など電力の供給側と、工場や一般家庭、ビルなど電力の需要側とのマッチングと調整を行います。それにより、天候に左右されがちな太陽光や風力などの再生可能エネルギーを安定的に使えるようになります。
このような、エネルギーの生産・利用を賢く行う技術を取り入れた家を、「スマートハウス」と呼びます。
人のいない部屋の電気を消す、開け閉めしない時間帯の冷蔵庫の電気量を減らすシステムなど、これまでは「心がけましょう」というレベルだったことも自動的に可能になります。
こうした技術を、個々の家でなく地域全体で取り入れ、各家の再生可能エネルギー発電システムをつなぎ需供バランスを調節しようと生まれたのが、「スマートコミュニティ」「スマートタウン」です。
需要を最適化し、地域内で作った再生可能エネルギーを効率的に使うことを促します。国内では、神奈川県横浜市、愛知県豊田市、福岡県北九州市、京都府けいはんな学研都市などで、実験的な取り組みが始まっています。
スマートコミュニティを語るとき、どうしても技術の話が優先されがちなのですが、こうした技術を本当の意味で活用していくためには、私たち一人ひとりが〝スマートピープル〟になることが必要です。
自分に必要な電力量を考えることは、自分にとって何が大切かを知ることにもつながります。技術に頼るだけでなく、技術を使いこなしていくことが重要ですね。